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40.呼び出し Side.ルシアン
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登校一日目から絡まれ続けること複数回。
虹を見て様子見に徹し始めたものもいるにはいたが、全員ではない。
その後も休み時間だけではなく授業時間にも絡まれた。
剣の時間に複数人で挑まれたから全員叩き伏せてやったら教師から叱られ、魔法の授業で的にされたから全部カウンターで弾き返してやったらまた叱られた。
「そんなことを言われても、弱い方が悪くないですか?ここはもっと前向きに考えた方が建設的だと思いますよ?」
にこやかに笑ってもっと強くなって出直してこいと暗に言ってやったらどちらの教師もブチ切れて襲い掛かってきた。
バカだな。
勝てるとでも思ったか?
そして強固な俺のカウンターアタックで気絶した教師は二人とも保健室送りになった。
自業自得だ。
そして疲れたなと思いながら寮へと帰ると今度はそこでも絡まれた。
食堂では『お前にやる飯はない』とかふざけたことを言われたから、勝手に中に入って自分で盛りつけてやった。
当然怒鳴られて叩き出されそうになったが、そんなことできるはずもない。
勝手に吹っ飛んで地べたを這いずる羽目になっていた。
間抜けだな。
そうして悠々と席に着き、さあ食べようと思ったところで今度は上級生から皿をひっくり返された。
舐めてるのか?殺すぞ?
腹が立ったから叩き潰してそいつから飯を奪ってやった。
都合のいいことに大盛だったから大満足だ。
今日のところは許してやろう。
それにしても猫を被っているとこれだけ色々やっても舐められるものなんだな。
前世のようにもっと遠巻きにされるかと思ったが正直意外だった。
まあ逆に言えば親しみやすいと思われているということだろう。
暫くはこれでいくとしようか。
そう思いながら部屋へと戻ったら中が荒らされていた。
教科書の類だけではなく服まで切り刻まれて、まるで学校に来るなと言わんばかりの所業だ。
「はぁ……」
わかっていたこととは言え、流石に幼稚にも程があるだろう。
「【修復】」
面倒だが全部修復するしかない。
「カイザーリードのお陰で魔力が有り余ってるから苦でもないが…流石に鬱陶しいな」
そうして修復作業に勤しんでいると今度はドアをノックする音が聞こえてきた。
今度は何だろう?
そう思っていたら、まさかの呼び出しだった。
こんなに堂々とした呼び出しも寮だからこそなのだろうか?
寮の裏にある空き地に呼び出され、上級生に囲まれて魔法と剣で挑まれる。
こちらは丸腰なのに随分いい度胸だ。
正直言って面倒この上ない。
そう思ったから全部バーストの魔法で吹っ飛ばしてやった。
衝撃で吹っ飛んだだけだから然程怪我はしていないだろう。
気絶しているだけだ。
そんな中、一人の男が魔剣と思しきものを手にして立ち上がった。
良いのか悪いのか、どうやらステータス底上げのお陰で気絶に至らなかったらしい。
「お、お前っ…!まさか魔剣使いか?!」
震えながらそう尋ねられるが、そうとも言えるし、違うとも言えるのが今の俺だ。
俺の魔剣は今現在剣という形を取ってはいない。
魂は魔剣でも人として生まれ変わっているから正確には魔剣とは違う。
だからどう答えるべきか悩んだが、沈黙を肯定と取ったのか相手はじりじりと後ずさり、そのまま逃げて行った。
どうせなら掛かってくればよかったものを。
(まあ判断力に優れているとも言えるか)
実力差をわかって逃げたのならまだ頭が良い方だ。
「さて、シャワーでも浴びてもう寝るか」
そして俺は部屋へと引き上げた。
翌日。その日は朝から皆に遠巻きに見られた。
きっと昨日の件が噂になっているんだろう。
早いものだ。
朝食も普通に食べることができ、特に寮で絡まれることなく学園へと向かう。
教室に入ってからもまるで腫れもの扱いだった。
嫌がらせをされるよりはマシだし、俺は全く気にしていなかったが、教師から無視されるのはどうかと思った。
本当に大人げない奴らばかりだ。
「さてと」
取り敢えず嫌がらせも一時的に落ち着いたことだし、カイザーリードとのことでも考えようか。
そう思い、これからどうユージィンを納得させるかを考え始める。
カイザーリードが成人したら有無を言わさず結婚に持ち込むことは可能だが、それまでの約二年も耐えるのは流石に癪だ。
「やはり駆け落ちだな」
こちらで先に地盤を作り、カイザーリードをこちらの国に攫ってくるのが一番だろう。
金なら十分にあるし二人で生活していく分には何も困ることはない。
問題があるとすればカイザーリードが学園中退になってしまうということくらいか。
流石にそれは可哀想だ。
何とか後見人を作って編入という形で通わせてやりたい。
「甥に頼めたらいいが…」
バルトロメオ国の国王が自ら後見人になってくれたら一番話は早いが、流石にそれは求め過ぎかと考え直す。
「仕方がない。これは保留だな」
取り敢えず半年でこちらの味方を増やしつつ、後見を引き受けてくれそうな相手を探してみよう。
取引材料を見繕いながら上手く事を運べば不可能ではないはず。
(待っていろ、カイザーリード)
約束通り、必ず迎えに行く。
すぐには難しくとも必ず取り戻して見せる。
「最悪ユージィンを殺してでも攫ってやるからな」
勿論その時はカイザーリードにバレないように事故死扱いで上手くやるつもりではある。
愛しの元主人を俺が殺してしまうのは流石に問題だということくらいはわかっているから、あくまでもやるならバレないようにだ。
(それはそれで憂さ晴らしにもなるしな)
全てはユージィンの行動次第だ。
(殺されたくなかったら精々上手く立ち回るんだな。ユージィン)
そんなことを考えながら俺は不敵に笑った。
虹を見て様子見に徹し始めたものもいるにはいたが、全員ではない。
その後も休み時間だけではなく授業時間にも絡まれた。
剣の時間に複数人で挑まれたから全員叩き伏せてやったら教師から叱られ、魔法の授業で的にされたから全部カウンターで弾き返してやったらまた叱られた。
「そんなことを言われても、弱い方が悪くないですか?ここはもっと前向きに考えた方が建設的だと思いますよ?」
にこやかに笑ってもっと強くなって出直してこいと暗に言ってやったらどちらの教師もブチ切れて襲い掛かってきた。
バカだな。
勝てるとでも思ったか?
そして強固な俺のカウンターアタックで気絶した教師は二人とも保健室送りになった。
自業自得だ。
そして疲れたなと思いながら寮へと帰ると今度はそこでも絡まれた。
食堂では『お前にやる飯はない』とかふざけたことを言われたから、勝手に中に入って自分で盛りつけてやった。
当然怒鳴られて叩き出されそうになったが、そんなことできるはずもない。
勝手に吹っ飛んで地べたを這いずる羽目になっていた。
間抜けだな。
そうして悠々と席に着き、さあ食べようと思ったところで今度は上級生から皿をひっくり返された。
舐めてるのか?殺すぞ?
腹が立ったから叩き潰してそいつから飯を奪ってやった。
都合のいいことに大盛だったから大満足だ。
今日のところは許してやろう。
それにしても猫を被っているとこれだけ色々やっても舐められるものなんだな。
前世のようにもっと遠巻きにされるかと思ったが正直意外だった。
まあ逆に言えば親しみやすいと思われているということだろう。
暫くはこれでいくとしようか。
そう思いながら部屋へと戻ったら中が荒らされていた。
教科書の類だけではなく服まで切り刻まれて、まるで学校に来るなと言わんばかりの所業だ。
「はぁ……」
わかっていたこととは言え、流石に幼稚にも程があるだろう。
「【修復】」
面倒だが全部修復するしかない。
「カイザーリードのお陰で魔力が有り余ってるから苦でもないが…流石に鬱陶しいな」
そうして修復作業に勤しんでいると今度はドアをノックする音が聞こえてきた。
今度は何だろう?
そう思っていたら、まさかの呼び出しだった。
こんなに堂々とした呼び出しも寮だからこそなのだろうか?
寮の裏にある空き地に呼び出され、上級生に囲まれて魔法と剣で挑まれる。
こちらは丸腰なのに随分いい度胸だ。
正直言って面倒この上ない。
そう思ったから全部バーストの魔法で吹っ飛ばしてやった。
衝撃で吹っ飛んだだけだから然程怪我はしていないだろう。
気絶しているだけだ。
そんな中、一人の男が魔剣と思しきものを手にして立ち上がった。
良いのか悪いのか、どうやらステータス底上げのお陰で気絶に至らなかったらしい。
「お、お前っ…!まさか魔剣使いか?!」
震えながらそう尋ねられるが、そうとも言えるし、違うとも言えるのが今の俺だ。
俺の魔剣は今現在剣という形を取ってはいない。
魂は魔剣でも人として生まれ変わっているから正確には魔剣とは違う。
だからどう答えるべきか悩んだが、沈黙を肯定と取ったのか相手はじりじりと後ずさり、そのまま逃げて行った。
どうせなら掛かってくればよかったものを。
(まあ判断力に優れているとも言えるか)
実力差をわかって逃げたのならまだ頭が良い方だ。
「さて、シャワーでも浴びてもう寝るか」
そして俺は部屋へと引き上げた。
翌日。その日は朝から皆に遠巻きに見られた。
きっと昨日の件が噂になっているんだろう。
早いものだ。
朝食も普通に食べることができ、特に寮で絡まれることなく学園へと向かう。
教室に入ってからもまるで腫れもの扱いだった。
嫌がらせをされるよりはマシだし、俺は全く気にしていなかったが、教師から無視されるのはどうかと思った。
本当に大人げない奴らばかりだ。
「さてと」
取り敢えず嫌がらせも一時的に落ち着いたことだし、カイザーリードとのことでも考えようか。
そう思い、これからどうユージィンを納得させるかを考え始める。
カイザーリードが成人したら有無を言わさず結婚に持ち込むことは可能だが、それまでの約二年も耐えるのは流石に癪だ。
「やはり駆け落ちだな」
こちらで先に地盤を作り、カイザーリードをこちらの国に攫ってくるのが一番だろう。
金なら十分にあるし二人で生活していく分には何も困ることはない。
問題があるとすればカイザーリードが学園中退になってしまうということくらいか。
流石にそれは可哀想だ。
何とか後見人を作って編入という形で通わせてやりたい。
「甥に頼めたらいいが…」
バルトロメオ国の国王が自ら後見人になってくれたら一番話は早いが、流石にそれは求め過ぎかと考え直す。
「仕方がない。これは保留だな」
取り敢えず半年でこちらの味方を増やしつつ、後見を引き受けてくれそうな相手を探してみよう。
取引材料を見繕いながら上手く事を運べば不可能ではないはず。
(待っていろ、カイザーリード)
約束通り、必ず迎えに行く。
すぐには難しくとも必ず取り戻して見せる。
「最悪ユージィンを殺してでも攫ってやるからな」
勿論その時はカイザーリードにバレないように事故死扱いで上手くやるつもりではある。
愛しの元主人を俺が殺してしまうのは流石に問題だということくらいはわかっているから、あくまでもやるならバレないようにだ。
(それはそれで憂さ晴らしにもなるしな)
全てはユージィンの行動次第だ。
(殺されたくなかったら精々上手く立ち回るんだな。ユージィン)
そんなことを考えながら俺は不敵に笑った。
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