【完結】元主人が決めた婚約者は、まさかの猫かぶり野郎でした。

オレンジペコ

文字の大きさ
上 下
33 / 81

30.※誘惑② Side.ルシアン

しおりを挟む
「カイ。着いたようだ」
「あ…あ…、ん。ルシィ…」

激しく達した余韻に浸るその表情は情欲に満ちていて、俺を食い締める後孔は名残惜しげにキュウッと甘く締めつけてくる。
そんなカイザーリードにチュッとキスを落として、プラグはいるかと訊いたら頷いたからもう一度挿れてやった。
その表情はひどく嬉しそうだ。

(そんなに子種が好きか。こんな顔をされたら無理だとわかっていても孕ませたくなるな)

そう思いながら淫紋を解除して身支度を整え、馬車から降りた。
けれど────。

「は…あっ…」

カイザーリードは過敏になった身体のままプラグが中で擦れたらしく、甘い声で啼いて降りるまでもなく馬車内で崩折れ、とても動けそうにない。
抱き上げて連れて行くことはできるが、色気が出過ぎているから人混みに連れて行くのは無理だろうと判断する。
攫われたら大変だ。

「カイ。色気が出過ぎで危ない。今日はやめておこう?」
「え…」
「歩けないだろう?」
「うぅ……」

折角来たのにと物凄く残念そうだが、自分でも無理だとわかっているんだろう。

「あそこに見える丘の上から少しだけ祭りを楽しんで、それから帰ろう?」

どうせ祭りは一週間続くのだ。
今日にこだわる必要もない。
そう言ったらなんとか納得してもらえた。

「カイ。寒くはないか?」

日は出てるが流石に風は冷たい。
汗が冷えて風邪でも引いたらいけないとそう尋ねたら、ちょっと拗ねたように『そんなに寒くはないけど、さっきの詫びに温めろ』と言われた。
確かにいきなりの結腸責めは責められても仕方がない。
ちゃんと謝りはしたけど、可愛い我が儘くらいはいくらでも聞いてやろう。

(本当に可愛いな)

こんなに可愛いと毎日抱きたくなるだろうし、どう考えてもゆっくり祭りへ連れて行ける気がしない。
今日の二の舞になるのが関の山だ。
でも約束は守りたい。
となると確実なのは祭り最終日だ。
そう思ったからカイザーリードを温めながら何気なく提案してみた。

「そうだ、カイ。祭りの最終日は帰りがてら土産を買いに行こう。それなら確実に楽しめるぞ」

その言葉に思った通りカイザーリードはパッと顔を輝かせる。

「嬉しい!いっぱいお土産を買って帰りたいな」

けれどカイザーリードは無防備に俺の嫉妬を煽ってきた。

「父様、なんだったら喜んでくれるかな」

こんな時にまでユージィンか。
腹が立つな。

(もう俺のカイザーリードなのに…)

とは言えここで好感度を下げるのはマイナスでしかない。
この状況を利用して優位に持っていこう。

「……そうだな。お前の母親と揃いの物を贈ってみたらどうだ?ついでに俺とお前も揃いの物を買おう。睦まじい夫婦にあやかってとでも言えばより喜んでもらえるはずだ」
「なるほど」

目から鱗だと言わんばかりにカイザーリードが目を輝かせる。

「両親はラブラブだから、アクセサリーの方がいいかな…」

これは好都合だ。
揃いのアクセサリーでも買ってユージィンの奴に見せつけてやろう。

「そうか。それなら一緒に選ぼう。楽しみだな」
「ああ!」
「じゃあそろそろ帰ろうか」

そして機嫌よく俺はカイザーリードと屋敷へと戻った。


***


屋敷に到着し、昼食を食べて部屋へと戻る。
どうせ今夜も抱くのだからと上機嫌でカイザーリードの読書に付き合った。
今読んでいる本は確か後処理の仕方が書かれてあったはずだ。
これでカイザーリードもそっちの方がいいかもと思うことだろう。
そう思ったのに、口から飛び出したのはまたしても斜め上の言葉だった。

「腹を壊すなんて大変だな…」
「カイ?」
「ああ、この主人公が、腹を下すから掻き出してくれって言っててさ。折角あったかくて幸せな気分になってるのに可哀想だなって」

(あったかくて幸せ?なんだその褒美のようなセリフは!)

どうしてやろうかと思うほど胸がムズムズして、どうしようもなく抱きしめたくなった。
なんて罪作りな奴なんだろう?
でもここでその考えを正してやれるのは俺しかいない。
ここは誠実に対応しよう。

「お前は大丈夫か?」
「俺は全然大丈夫」
「そ、そうか。でも掻き出した方が垂れては来ないと思うぞ?」

なのにカイザーリードはその天然さで俺をどこまでも煽ってくるのだ。

「それはそうかもしれないけど、なんか寂しいし。どうしてもの時以外は嫌だな」

これ以上俺を夢中にさせてどうする気だ?
抱き潰すぞ?!

「…………っ、カイッ!」
「なんだ?」
「今からお前を抱き潰してもいいか?」
「え?」
「お前にそんな風に煽られたら我慢できそうにない」
「あ、煽っ?!」

戸惑うカイザーリードを捕まえて、夢中になってキスをする。

「カイ…」
「ちょ、まっ……!」

俺を散々煽って誘惑するからこうなるのだ。
少しは思い知ればいい。

「カイ。挿れるぞ?」
「あ……っ、ん────っ!」

プラグを引き抜き、すっかり勃ち上がった己の象徴に手を添えてゆっくりとカイザーリードの温かな雄膣へと沈み込む。

「カイ。優しくするから、抱かせてくれ」
「も、挿れてるくせにっ…」

抗議の声は口にしたもののこれっぽっちも抵抗する気のないカイザーリードに微笑んでやると、自ら抱き着いてきて『優しくして』とねだってきた。
すっかり相思相愛だな。

好感度は現在82%。やはり優しくすればするほど上がるんだろうか?
それならそれでもっともっと優しくしてやろう。

「ん…ルシィ…」

その瞳に宿る信頼の光を堪能しながら溺れさせるのも悪くはない。
そんな気持ちで甘やかすように沢山愛してやれば、すっかり蕩け切ってそこから更に10%も好感度は上昇していた。
最高だ。これならユージィンに勝つ日も遠くはない。
そして俺は上機嫌で愛しいカイザーリードを抱き上げて、一緒に風呂へと向かったのだった。


****************

※次はカイザーリードの元主人兼現父親であるユージィン視点になります。

しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……? ※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

某国の皇子、冒険者となる

くー
BL
俺が転生したのは、とある帝国という国の皇子だった。 転生してから10年、19歳になった俺は、兄の反対を無視して従者とともに城を抜け出すことにした。 俺の本当の望み、冒険者になる夢を叶えるために…… 異世界転生主人公がみんなから愛され、冒険を繰り広げ、成長していく物語です。 主人公は魔法使いとして、仲間と力をあわせて魔物や敵と戦います。 ※ BL要素は控えめです。 2020年1月30日(木)完結しました。

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

公爵家の五男坊はあきらめない

三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。 生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。 冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。 負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。 「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」 都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。 知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。 生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。 あきらめたら待つのは死のみ。

処理中です...