31 / 81
28.※祭りはお預け
しおりを挟む
祭りを楽しみたかったけど、結局過敏になった身体ではプラグが擦れてまともに歩けず、ルシアンからも『色気が出過ぎで危ない』とか言われて、見晴らしの良い丘の上でちょっとだけ馬車の窓から活気付く街を眺めて戻ることになった。
「カイ。寒くないか?」
ルシアンはそうやって優しく気遣ってくれるけど、さっきのは流石に酷かったと思う。
でも『街に着くまでにちゃんと満足させてやりたかったんだ。許せ』とかちょっと申し訳なさそうに言われると何も言えなくなった。
だって抱いてってねだったのは俺だし。
よくはわからないけど身体の負担が少なくなる魔法を使ってくれてたらしいし、ダメージもないから許しはしたものの、優しくされたいとつい自分から言ってしまった。
ルシアンはちゃんと謝ってくれて、今夜は優しくするって約束までしてくれたから、一安心だ。
「そんなに寒くはないけど…」
なんとなくくっつきたい。
自然とそう思って、『さっきのお詫びに温めろ』って言ったらあっさり聞いてもらえた。
「いくらでも温めてやる」
そう言って抱き締めてもらうとなんだかホッとする。
あったかい。
俺より背が伸びて大きくなったのもこれなら許せるな。
「そうだ、カイ。祭りの最終日は帰りがてら土産を買いに行こう。それなら確実に楽しめるぞ」
それは嬉しい。
「嬉しい!いっぱいお土産を買って帰りたいな」
兄妹や母にも買うけど、なんと言っても父には一等素晴らしい物を買って帰りたい。
「父様、なんだったら喜んでくれるかな」
「……そうだな。お前の母親と揃いの物を贈ってみたらどうだ?ついでに俺とお前も揃いの物を買おう。睦まじい夫婦にあやかってとでも言えばより喜んでもらえるはずだ」
「なるほど」
その観点はなかった。
なかなか良い案かもしれない。
「両親はラブラブだから、アクセサリーの方がいいかな…」
「そうか。それなら一緒に選ぼう。楽しみだな」
「ああ!」
俺だけならセンスが心配だったけど、ルシアンが一緒に選んでくれるのなら百人力だ。
なにせ元王弟。きっと目利きは優れているはず。
「じゃあそろそろ帰ろうか」
その言葉に頷いて、俺は読書に勤しみながら機嫌よく屋敷へと引き返した。
***
屋敷に到着すると案外あっさり受け入れてもらえて、何も言わなくても『昼食をお部屋の方にご用意させていただきます』と告げられた。
疲れてると思われて気遣ってもらったのかも。
そしてルシアンと一緒に昼食を摂って、又読書。
いっぱい買ったから暇を潰すにはもってこいだ。
それにしてもこの恋愛本?というのはやっぱり人の事を知るのに非常に参考になる。
閨事の勉強にもなるしまさに一石二鳥。
そう思いながら手元の本へと目を落とす。
どうやらこの本は中に出すのが嫌だと思う主人公らしい。
昨日読んでた方の主人公は俺と一緒で中に出されるのは嬉しそうだったけど、この主人公は違うようだ。
腹を壊すというのがその理由らしい。
(あー。きっと相性とかあるんだな)
俺は今日ルシアンのをずっと入れっぱなしにしていたけど、別に腹を下したりはしなかった。
これは別に俺とルシアンがシンクロしてるからとかそういうのは関係ないと思う。
多分体質的なものなんだろう。
「腹を壊すなんて大変だな…」
「カイ?」
「ああ、この主人公が、腹を下すから掻き出してくれって言っててさ」
折角あったかくて幸せな気分になってるのに可哀想だと口にしたら、頬を染められて『お前は大丈夫か?』と言われた。
「俺は全然大丈夫」
「そ、そうか。でも掻き出した方が垂れては来ないと思うぞ?」
(確かに!でも……)
「それはそうかもしれないけど、なんか寂しいし。どうしてもの時以外は嫌だな」
「…………っ、カイッ!」
「なんだ?」
「今からお前を抱き潰してもいいか?」
「え?」
「お前にそんな風に煽られたら我慢できそうにない」
「あ、煽っ?!」
そんなつもりは一切なかったのに、どこをどうしてそうなった?!
「カイ…」
「ちょ、まっ……!」
抱き寄せられて唇を塞がれて、気づけばプラグを抜いて熱いものを後孔に宛がわれていた。
「カイ。挿れるぞ?」
「あ……っ、ん────っ!」
ズズッと入り込んでくるルシアンのものが気持ち良くて思考が溶ける。
「カイ。優しくするから、抱かせてくれ」
「も、挿れてるくせにっ…」
でも優しくはしてほしいから、俺は腕を伸ばしてルシアンへと抱き着き、『優しくして』と口にする。
それからとことん甘やかすように優しく抱かれて、俺はルシアンのことが大好きになった。
意地悪な時もあるけど、なんだかんだで優しい俺の婚約者。
ずっと一緒にいたいなと思ったらシンクロ率が上がったらしく、嬉しそうにしながら風呂へと誘われて一緒に入った。
(幸せ)
そう思ったのも束の間。
まさかその幸せな時間があっという間に遠去かってしまうなんて、この時は思いもしなかった。
「カイ。寒くないか?」
ルシアンはそうやって優しく気遣ってくれるけど、さっきのは流石に酷かったと思う。
でも『街に着くまでにちゃんと満足させてやりたかったんだ。許せ』とかちょっと申し訳なさそうに言われると何も言えなくなった。
だって抱いてってねだったのは俺だし。
よくはわからないけど身体の負担が少なくなる魔法を使ってくれてたらしいし、ダメージもないから許しはしたものの、優しくされたいとつい自分から言ってしまった。
ルシアンはちゃんと謝ってくれて、今夜は優しくするって約束までしてくれたから、一安心だ。
「そんなに寒くはないけど…」
なんとなくくっつきたい。
自然とそう思って、『さっきのお詫びに温めろ』って言ったらあっさり聞いてもらえた。
「いくらでも温めてやる」
そう言って抱き締めてもらうとなんだかホッとする。
あったかい。
俺より背が伸びて大きくなったのもこれなら許せるな。
「そうだ、カイ。祭りの最終日は帰りがてら土産を買いに行こう。それなら確実に楽しめるぞ」
それは嬉しい。
「嬉しい!いっぱいお土産を買って帰りたいな」
兄妹や母にも買うけど、なんと言っても父には一等素晴らしい物を買って帰りたい。
「父様、なんだったら喜んでくれるかな」
「……そうだな。お前の母親と揃いの物を贈ってみたらどうだ?ついでに俺とお前も揃いの物を買おう。睦まじい夫婦にあやかってとでも言えばより喜んでもらえるはずだ」
「なるほど」
その観点はなかった。
なかなか良い案かもしれない。
「両親はラブラブだから、アクセサリーの方がいいかな…」
「そうか。それなら一緒に選ぼう。楽しみだな」
「ああ!」
俺だけならセンスが心配だったけど、ルシアンが一緒に選んでくれるのなら百人力だ。
なにせ元王弟。きっと目利きは優れているはず。
「じゃあそろそろ帰ろうか」
その言葉に頷いて、俺は読書に勤しみながら機嫌よく屋敷へと引き返した。
***
屋敷に到着すると案外あっさり受け入れてもらえて、何も言わなくても『昼食をお部屋の方にご用意させていただきます』と告げられた。
疲れてると思われて気遣ってもらったのかも。
そしてルシアンと一緒に昼食を摂って、又読書。
いっぱい買ったから暇を潰すにはもってこいだ。
それにしてもこの恋愛本?というのはやっぱり人の事を知るのに非常に参考になる。
閨事の勉強にもなるしまさに一石二鳥。
そう思いながら手元の本へと目を落とす。
どうやらこの本は中に出すのが嫌だと思う主人公らしい。
昨日読んでた方の主人公は俺と一緒で中に出されるのは嬉しそうだったけど、この主人公は違うようだ。
腹を壊すというのがその理由らしい。
(あー。きっと相性とかあるんだな)
俺は今日ルシアンのをずっと入れっぱなしにしていたけど、別に腹を下したりはしなかった。
これは別に俺とルシアンがシンクロしてるからとかそういうのは関係ないと思う。
多分体質的なものなんだろう。
「腹を壊すなんて大変だな…」
「カイ?」
「ああ、この主人公が、腹を下すから掻き出してくれって言っててさ」
折角あったかくて幸せな気分になってるのに可哀想だと口にしたら、頬を染められて『お前は大丈夫か?』と言われた。
「俺は全然大丈夫」
「そ、そうか。でも掻き出した方が垂れては来ないと思うぞ?」
(確かに!でも……)
「それはそうかもしれないけど、なんか寂しいし。どうしてもの時以外は嫌だな」
「…………っ、カイッ!」
「なんだ?」
「今からお前を抱き潰してもいいか?」
「え?」
「お前にそんな風に煽られたら我慢できそうにない」
「あ、煽っ?!」
そんなつもりは一切なかったのに、どこをどうしてそうなった?!
「カイ…」
「ちょ、まっ……!」
抱き寄せられて唇を塞がれて、気づけばプラグを抜いて熱いものを後孔に宛がわれていた。
「カイ。挿れるぞ?」
「あ……っ、ん────っ!」
ズズッと入り込んでくるルシアンのものが気持ち良くて思考が溶ける。
「カイ。優しくするから、抱かせてくれ」
「も、挿れてるくせにっ…」
でも優しくはしてほしいから、俺は腕を伸ばしてルシアンへと抱き着き、『優しくして』と口にする。
それからとことん甘やかすように優しく抱かれて、俺はルシアンのことが大好きになった。
意地悪な時もあるけど、なんだかんだで優しい俺の婚約者。
ずっと一緒にいたいなと思ったらシンクロ率が上がったらしく、嬉しそうにしながら風呂へと誘われて一緒に入った。
(幸せ)
そう思ったのも束の間。
まさかその幸せな時間があっという間に遠去かってしまうなんて、この時は思いもしなかった。
17
お気に入りに追加
766
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
繋がれた絆はどこまでも
mahiro
BL
生存率の低いベイリー家。
そんな家に生まれたライトは、次期当主はお前であるのだと父親である国王は言った。
ただし、それは公表せず表では双子の弟であるメイソンが次期当主であるのだと公表するのだという。
当主交代となるそのとき、正式にライトが当主であるのだと公表するのだとか。
それまでは国を離れ、当主となるべく教育を受けてくるようにと指示をされ、国を出ることになったライト。
次期当主が発表される数週間前、ライトはお忍びで国を訪れ、屋敷を訪れた。
そこは昔と大きく異なり、明るく温かな空気が流れていた。
その事に疑問を抱きつつも中へ中へと突き進めば、メイソンと従者であるイザヤが突然抱き合ったのだ。
それを見たライトは、ある決意をし……?
異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる
ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。
アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。
異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。
【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。
αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。
負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。
「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。
庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。
※Rシーンには♡マークをつけます。
釣った魚、逃した魚
円玉
BL
瘴気や魔獣の発生に対応するため定期的に行われる召喚の儀で、浄化と治癒の力を持つ神子として召喚された三倉貴史。
王の寵愛を受け後宮に迎え入れられたかに見えたが、後宮入りした後は「釣った魚」状態。
王には放置され、妃達には嫌がらせを受け、使用人達にも蔑ろにされる中、何とか穏便に後宮を去ろうとするが放置していながら縛り付けようとする王。
護衛騎士マクミランと共に逃亡計画を練る。
騎士×神子 攻目線
一見、神子が腹黒そうにみえるかもだけど、実際には全く悪くないです。
どうしても文字数が多くなってしまう癖が有るので『一話2500文字以下!』を目標にした練習作として書いてきたもの。
ムーンライト様でもアップしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる