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28.※祭りはお預け

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祭りを楽しみたかったけど、結局過敏になった身体ではプラグが擦れてまともに歩けず、ルシアンからも『色気が出過ぎで危ない』とか言われて、見晴らしの良い丘の上でちょっとだけ馬車の窓から活気付く街を眺めて戻ることになった。

「カイ。寒くないか?」

ルシアンはそうやって優しく気遣ってくれるけど、さっきのは流石に酷かったと思う。
でも『街に着くまでにちゃんと満足させてやりたかったんだ。許せ』とかちょっと申し訳なさそうに言われると何も言えなくなった。
だって抱いてってねだったのは俺だし。
よくはわからないけど身体の負担が少なくなる魔法を使ってくれてたらしいし、ダメージもないから許しはしたものの、優しくされたいとつい自分から言ってしまった。
ルシアンはちゃんと謝ってくれて、今夜は優しくするって約束までしてくれたから、一安心だ。

「そんなに寒くはないけど…」

なんとなくくっつきたい。
自然とそう思って、『さっきのお詫びに温めろ』って言ったらあっさり聞いてもらえた。

「いくらでも温めてやる」

そう言って抱き締めてもらうとなんだかホッとする。
あったかい。
俺より背が伸びて大きくなったのもこれなら許せるな。

「そうだ、カイ。祭りの最終日は帰りがてら土産を買いに行こう。それなら確実に楽しめるぞ」

それは嬉しい。

「嬉しい!いっぱいお土産を買って帰りたいな」

兄妹や母にも買うけど、なんと言っても父には一等素晴らしい物を買って帰りたい。

「父様、なんだったら喜んでくれるかな」
「……そうだな。お前の母親と揃いの物を贈ってみたらどうだ?ついでに俺とお前も揃いの物を買おう。睦まじい夫婦にあやかってとでも言えばより喜んでもらえるはずだ」
「なるほど」

その観点はなかった。
なかなか良い案かもしれない。

「両親はラブラブだから、アクセサリーの方がいいかな…」
「そうか。それなら一緒に選ぼう。楽しみだな」
「ああ!」

俺だけならセンスが心配だったけど、ルシアンが一緒に選んでくれるのなら百人力だ。
なにせ元王弟。きっと目利きは優れているはず。

「じゃあそろそろ帰ろうか」

その言葉に頷いて、俺は読書に勤しみながら機嫌よく屋敷へと引き返した。


***


屋敷に到着すると案外あっさり受け入れてもらえて、何も言わなくても『昼食をお部屋の方にご用意させていただきます』と告げられた。
疲れてると思われて気遣ってもらったのかも。

そしてルシアンと一緒に昼食を摂って、又読書。
いっぱい買ったから暇を潰すにはもってこいだ。

それにしてもこの恋愛本?というのはやっぱり人の事を知るのに非常に参考になる。
閨事の勉強にもなるしまさに一石二鳥。

そう思いながら手元の本へと目を落とす。
どうやらこの本は中に出すのが嫌だと思う主人公らしい。
昨日読んでた方の主人公は俺と一緒で中に出されるのは嬉しそうだったけど、この主人公は違うようだ。
腹を壊すというのがその理由らしい。

(あー。きっと相性とかあるんだな)

俺は今日ルシアンのをずっと入れっぱなしにしていたけど、別に腹を下したりはしなかった。
これは別に俺とルシアンがシンクロしてるからとかそういうのは関係ないと思う。
多分体質的なものなんだろう。

「腹を壊すなんて大変だな…」
「カイ?」
「ああ、この主人公が、腹を下すから掻き出してくれって言っててさ」

折角あったかくて幸せな気分になってるのに可哀想だと口にしたら、頬を染められて『お前は大丈夫か?』と言われた。

「俺は全然大丈夫」
「そ、そうか。でも掻き出した方が垂れては来ないと思うぞ?」

(確かに!でも……)

「それはそうかもしれないけど、なんか寂しいし。どうしてもの時以外は嫌だな」
「…………っ、カイッ!」
「なんだ?」
「今からお前を抱き潰してもいいか?」
「え?」
「お前にそんな風に煽られたら我慢できそうにない」
「あ、煽っ?!」

そんなつもりは一切なかったのに、どこをどうしてそうなった?!

「カイ…」
「ちょ、まっ……!」

抱き寄せられて唇を塞がれて、気づけばプラグを抜いて熱いものを後孔に宛がわれていた。

「カイ。挿れるぞ?」
「あ……っ、ん────っ!」

ズズッと入り込んでくるルシアンのものが気持ち良くて思考が溶ける。

「カイ。優しくするから、抱かせてくれ」
「も、挿れてるくせにっ…」

でも優しくはしてほしいから、俺は腕を伸ばしてルシアンへと抱き着き、『優しくして』と口にする。
それからとことん甘やかすように優しく抱かれて、俺はルシアンのことが大好きになった。

意地悪な時もあるけど、なんだかんだで優しい俺の婚約者。
ずっと一緒にいたいなと思ったらシンクロ率が上がったらしく、嬉しそうにしながら風呂へと誘われて一緒に入った。

(幸せ)

そう思ったのも束の間。
まさかその幸せな時間があっという間に遠去かってしまうなんて、この時は思いもしなかった。


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