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19.魔剣の能力 Side.ルシアン
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部屋に戻りベッドでその身を味わおうと思ったら風呂場に誘われ、可愛く謝りながら俺に身を委ねてくれた。
やっぱりもう抱いていいだろう。
そう思ってしっかり後ろをほぐして洗い、愛してると伝えたら照れて先に上がってしまった。
可愛い過ぎるだろう。
でも続きをしようとしたらお腹を鳴らし、食べたら食べたで寝るとはどういう了見だ。
犯すぞ?!
ヤル気満々だったのに、こっちはお預けをくらった気分でいっぱいだ。
「仕方がない。先に寝たコイツが悪い」
折角解したんだし、一回くらい挿れたい。
もうどこからどう見ても相思相愛だし、別に構わないだろう。
そう思ったのに……。
バシッ!!
いざ繋がろうとしたら結界のようなものに阻まれて弾かれてしまった。
「これは……」
自分は経験がないが、見た事はある。
そう。魔剣が主人以外を拒絶する時と同じ現象だ。
(もしかして人に転生していても、その魂に魔剣としての能力が付随しているのか?)
だとしたら非常に問題だ。
カイザーリードが起きた状態で俺を認め受け入れた時しか抱けないということになる。
「つまりもっときっちり本人が自覚するほど惚れさせないとダメということか」
これは計画を変更しなければならない。
翻弄するのは後回しにして、兎に角早急に落としてしまおう。
そう考えをまとめ、俺はそっとカイザーリードを抱きしめながら眠った。
***
翌朝、カイザーリードにおはようと言いながらキスを落としてやると、やっぱり真っ赤になった。
どこからどう見ても落ちているというのに、あんな風に拒絶されたのは何気にショックだ。
さて、自覚させるにはどうしてやればいいのか。
(取り敢えずひたすら甘やかすか)
それは確定だ。
ついでに情報収集もしておこう。
魔剣の能力は平たく言えばピンキリだ。
ステータス向上は言わずもがなだが、その特色は魔剣によっても違う。
そう言った意味でも俺が前世で使っていたバルトブレイクは特別だった。
国宝と言うだけあってこんな転生などという願いまで叶えてくれたのだから。
「カイ。朝食を食べに行こう。早めに出れば明日には別荘に着くぞ」
この二ノの街と別荘を繋ぐ間にある街はあと一つ。
それもホワイトフェスティバルが開かれる別荘近くの街サニーティアだけだ。
それを伝えてやると一気にカイザーリードの顔がパッと輝いた。
「もう着くのか?」
「ああ」
「じゃあさっさと食べて出発しよう!」
そんな可愛いカイザーリードに微笑みかけ、猫を被り直して朝食の席へと向かう。
「カイ。はい、あーん」
「やめろ!いきなり甘々になるな!」
真っ赤な顔で恥じらう姿にクスリと笑みがこぼれた。
やっぱり揶揄うのは楽しい。
甘やかしながら揶揄うのもいいな。
「カイ。お前はこっちの俺の方が好きなようだな?」
「いきなり猫を脱ぐな!は、恥ずかしいだろ?!」
「クッ…やっぱりどちらの俺も大好きだな?」
「ち、違う!俺はお前なんか好きじゃない!」
「昨日はあんなに素直だったのに」
馬車に乗ってすぐそう言ってやったら恥じらいながら睨んできた。
この表情はやっぱりそそられるな。
でも揶揄うのは一旦やめだ。
馬車も走り出したことだし、さっさと本題に入ろう。
「そう言えば、カイ。前世でのお前はどういった魔剣だったんだ?」
「え?」
「俺が持っていたのは国宝だったがお前は違ったんだろう?」
「まあ」
「お前のことをもっと知りたいんだ。教えてもらえないか?」
その言葉に頬を染め、渋々ではあったもののなんとか話を聞くことができた。
それによるとカイザーリードはユージィンの祖父の代に名工によってつくられた魔剣で、あの時の戦いが始まる以前はずっと屋敷の中に飾られていたらしい。
魔剣として考えるならかなり若い方だろう。
ずっと飾られていたのなら予想以上に無知なのもわからなくはない。
魔剣としての戦闘歴も知れているが、それでもユージィンを勝利へと導き続けたというのがまた凄い。
それだけ良い剣をその名工は作ったということか。
「ちなみに特殊能力はあるのか?」
「特殊かどうかは知らないけど、俺の能力は好感度によってシンクロ率が変わって、それ次第でステータスの向上率が変わるって感じだったな」
なんでも当時の当主が『家宝にする』と言ったのを受けて、それなら剣を大切にすればするほどその能力が発揮されるようにと心を込めて作られたのだとか。
「……ちなみにお前を実戦で使ったのはユージィンだけだな?」
「そうだけど?」
「シンクロ率は?」
そう尋ねるとパッと顔を輝かせてこう言った。
「それが驚異の120%だったんだ!凄くないか?!」
いや。おかしいだろう。
100%を超えるってどういうことだ?
「つまり、何か?ユージィンは倍以上のステータス向上が見られたと?」
「そう!凄いよな!凄く大事にしてもらったし、俺も大好きだったからまさに相思相愛って感じで、主人の為なら死んでもいいってくらい頑張れたんだ!」
能力以上の力を振り絞って主人に尽くせるなんて、魔剣冥利に尽きるとカイザーリードは嬉しそうに話すが、俺の心は嫉妬に染まった。
(ユージィン……っ)
やっぱり殺してやりたい。
旅行から帰ったら暗殺計画でも立ててやろうか?
いや、それよりもこれはなんとしてもユージィン以上のシンクロ率を目指さねば!
(あんな奴に負けてたまるか…!)
カイザーリードは俺のものだと改めて思いを強くしながら、俺はより一層カイザーリードを夢中にさせるべく策を練り始めた。
やっぱりもう抱いていいだろう。
そう思ってしっかり後ろをほぐして洗い、愛してると伝えたら照れて先に上がってしまった。
可愛い過ぎるだろう。
でも続きをしようとしたらお腹を鳴らし、食べたら食べたで寝るとはどういう了見だ。
犯すぞ?!
ヤル気満々だったのに、こっちはお預けをくらった気分でいっぱいだ。
「仕方がない。先に寝たコイツが悪い」
折角解したんだし、一回くらい挿れたい。
もうどこからどう見ても相思相愛だし、別に構わないだろう。
そう思ったのに……。
バシッ!!
いざ繋がろうとしたら結界のようなものに阻まれて弾かれてしまった。
「これは……」
自分は経験がないが、見た事はある。
そう。魔剣が主人以外を拒絶する時と同じ現象だ。
(もしかして人に転生していても、その魂に魔剣としての能力が付随しているのか?)
だとしたら非常に問題だ。
カイザーリードが起きた状態で俺を認め受け入れた時しか抱けないということになる。
「つまりもっときっちり本人が自覚するほど惚れさせないとダメということか」
これは計画を変更しなければならない。
翻弄するのは後回しにして、兎に角早急に落としてしまおう。
そう考えをまとめ、俺はそっとカイザーリードを抱きしめながら眠った。
***
翌朝、カイザーリードにおはようと言いながらキスを落としてやると、やっぱり真っ赤になった。
どこからどう見ても落ちているというのに、あんな風に拒絶されたのは何気にショックだ。
さて、自覚させるにはどうしてやればいいのか。
(取り敢えずひたすら甘やかすか)
それは確定だ。
ついでに情報収集もしておこう。
魔剣の能力は平たく言えばピンキリだ。
ステータス向上は言わずもがなだが、その特色は魔剣によっても違う。
そう言った意味でも俺が前世で使っていたバルトブレイクは特別だった。
国宝と言うだけあってこんな転生などという願いまで叶えてくれたのだから。
「カイ。朝食を食べに行こう。早めに出れば明日には別荘に着くぞ」
この二ノの街と別荘を繋ぐ間にある街はあと一つ。
それもホワイトフェスティバルが開かれる別荘近くの街サニーティアだけだ。
それを伝えてやると一気にカイザーリードの顔がパッと輝いた。
「もう着くのか?」
「ああ」
「じゃあさっさと食べて出発しよう!」
そんな可愛いカイザーリードに微笑みかけ、猫を被り直して朝食の席へと向かう。
「カイ。はい、あーん」
「やめろ!いきなり甘々になるな!」
真っ赤な顔で恥じらう姿にクスリと笑みがこぼれた。
やっぱり揶揄うのは楽しい。
甘やかしながら揶揄うのもいいな。
「カイ。お前はこっちの俺の方が好きなようだな?」
「いきなり猫を脱ぐな!は、恥ずかしいだろ?!」
「クッ…やっぱりどちらの俺も大好きだな?」
「ち、違う!俺はお前なんか好きじゃない!」
「昨日はあんなに素直だったのに」
馬車に乗ってすぐそう言ってやったら恥じらいながら睨んできた。
この表情はやっぱりそそられるな。
でも揶揄うのは一旦やめだ。
馬車も走り出したことだし、さっさと本題に入ろう。
「そう言えば、カイ。前世でのお前はどういった魔剣だったんだ?」
「え?」
「俺が持っていたのは国宝だったがお前は違ったんだろう?」
「まあ」
「お前のことをもっと知りたいんだ。教えてもらえないか?」
その言葉に頬を染め、渋々ではあったもののなんとか話を聞くことができた。
それによるとカイザーリードはユージィンの祖父の代に名工によってつくられた魔剣で、あの時の戦いが始まる以前はずっと屋敷の中に飾られていたらしい。
魔剣として考えるならかなり若い方だろう。
ずっと飾られていたのなら予想以上に無知なのもわからなくはない。
魔剣としての戦闘歴も知れているが、それでもユージィンを勝利へと導き続けたというのがまた凄い。
それだけ良い剣をその名工は作ったということか。
「ちなみに特殊能力はあるのか?」
「特殊かどうかは知らないけど、俺の能力は好感度によってシンクロ率が変わって、それ次第でステータスの向上率が変わるって感じだったな」
なんでも当時の当主が『家宝にする』と言ったのを受けて、それなら剣を大切にすればするほどその能力が発揮されるようにと心を込めて作られたのだとか。
「……ちなみにお前を実戦で使ったのはユージィンだけだな?」
「そうだけど?」
「シンクロ率は?」
そう尋ねるとパッと顔を輝かせてこう言った。
「それが驚異の120%だったんだ!凄くないか?!」
いや。おかしいだろう。
100%を超えるってどういうことだ?
「つまり、何か?ユージィンは倍以上のステータス向上が見られたと?」
「そう!凄いよな!凄く大事にしてもらったし、俺も大好きだったからまさに相思相愛って感じで、主人の為なら死んでもいいってくらい頑張れたんだ!」
能力以上の力を振り絞って主人に尽くせるなんて、魔剣冥利に尽きるとカイザーリードは嬉しそうに話すが、俺の心は嫉妬に染まった。
(ユージィン……っ)
やっぱり殺してやりたい。
旅行から帰ったら暗殺計画でも立ててやろうか?
いや、それよりもこれはなんとしてもユージィン以上のシンクロ率を目指さねば!
(あんな奴に負けてたまるか…!)
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