【完結】元主人が決めた婚約者は、まさかの猫かぶり野郎でした。

オレンジペコ

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18.※動揺

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馬車の中で翻弄され、気づけばルシアンに抱き上げられながら宿に戻っていた。
トサッと優しくベッドに下ろされて、続きとばかりに口づけられる。

「あ…れ…?」

どうしてこうなってるんだっけ?
そんな疑問がふと頭に浮かぶけど、ルシアンが『そのまま身を任せればいい』って言うから、そのまま口づけを受け入れた。
身体が熱い。
さっき触れられていた部分がキュッと締まって物足りなさを訴えてくる。

(もう一回…してほしい)

そう思うけど、その先に待つのはルシアンとの性交だと今の俺は知っているからどうしていいのかわからなくなる。
怖い。

「ルシ…ルシアン」
「どうした?」
「…風呂に、行きたい」

このまま先に進まれるのが怖くて、せめてもの抵抗をしてみたけど、頷いてくれるだろうか?
そう思って様子をそっと窺うと、欲情した顔をしながらゴクリと喉を鳴らしはしたものの、特に気を悪くした様子もなく二つ返事で頷いてくれた。
意外だ。優しい。
だから素直に不安をこぼせたのかも知れない。

「ルシアン…さっきの馬車でああ言ったのは、その…お前のが大きくて立派過ぎるから、絶対入らないって思ったからで、別にお前を怒らせる気はなかったんだ」
「…カイ」
「ゆ、指は気持ちよかったから、それならいい…とは思う」

だからこの先は遠慮させてほしい。
そんな思いでルシアンを見つめてみた。
この際恥を忍んで言おう。
アレは無理だと。
内心そう意気込む俺に、優しくルシアンが言ってくる。

「お前の気持ちはわかった。そうか。怖かったんだな」

す、すごい。口にするまでもなく察してもらえた。
これはやはり流石元将軍と言うことか。

(そうだよな。あの主人と同格で戦った相手だし)

どうやら侮り過ぎていたようだ。
敵に回したら厄介だが、そうでないなら心強いかも知れない。

「じゃあ風呂場で身体を洗いがてら俺がじっくりほぐしてやる」

だからその言葉に俺が素直に頷いたのは不可抗力だ。


***


身体を互いに洗い、最後に尻穴を洗ってやると言われて言われるままに壁に手を付き尻を突き出す。
そんな俺の身体に身を添わせ、ルシアンがキスをしながらゆっくりとソコに指を沈めた。

ツプッ…チュッチュクッ…。

石鹸の滑りで浅いところをチュクチュクと洗われる。
気持ちいい。

「あ…ルシアンっ」
「気持ち良さそうだな」
「ん…イイッ」
「…っ!いい子だ」

そう言いながらキスが降ってくる。
こういうのは好きかも知れない。
そう思っていたら、もう少し奥まで洗っていいかと聞かれたから頷いた。

「ふ…あ…っ」

ググッとさっきよりも沈み込んでくる指先。
多分第二関節くらいまで入ってるんじゃないだろうか?
ルシアンはそのままゆっくりと抜き差しを開始して中を洗っていく。

「ん。大丈夫そうだな」

そう言ってルシアンがまたキスを落としてくれた。
そこから結局指一本を最後まで挿入されて、『ここが前立腺だ』とコリコリと擦られながら教えられた。

「ヒッ…!やっ…!」

本で読んだばかりだけど、本当に感じるんだと驚きを隠せなかった。
なのにルシアンはそのただでさえ感じる箇所に『ちょっとだけ』と言いながら指先に微弱な雷魔法を纏わせてピリピリと刺激を送ってきて飛び上がるかと思った。

「やっ!怖っ、怖いぃっ!」
「大丈夫。慣れたらヨクなる」

なんでもないように返されるけど、怖いものは怖い。

「無理ッ!無理ぃっ!お願っ、他っ、他のならなんでも許すから、それやめてッ!」

初めてされた行為に慄き、泣きながら懇願したらあっさりやめてもらえて、じゃあ代わりにと言いながら指を増やされた。
苦しかったけどさっきのピリピリよりは怖くないし、最終的に床にくず折れる体勢になったから辛くはなかった。

「ひっ…ひんんっ…」
「頑張ったな、カイ」
「終わっ…た?」
「後は流すだけだ」

そうしてシャワーでしっかり中を洗われて、『こんなの一人で絶対できない』って泣き言を言ったら『しょうがないから次からも俺がやってやる』って言ってもらえた。
良かった。
悔しいがなんだかんだでルシアンはやっぱり大人だ。
人歴の浅い俺じゃあとても敵わない。
こうして頼れるところは任せてしまおう。

「ルシアン。ありがとう」
「……っ!婚約者の俺以外には絶対に頼むなよ?わかったな?」
「わかった」

そんな風に敢えて言わなくても、こんなことルシアン以外に任せる気はないのに。

『変なの』と思いながら俺はルシアンと風呂に浸かって、前よりも嫌いじゃなくなってるかもとなんとなく思った。
それはやっぱりここ暫くずっと一緒に過ごして、強引なようで優しくて、酷いようで引き際を弁えてる姿がそう思わせるのかもしれない。

(なんだかんだでさっきだって突っ込んでこなかったし)

俺に嫌われたくないとかそういう感じなんだろうか?
そう言えば転生も、どうやったかは知らないものの狙ってやったっぽいし…。

(考えてみるとキスもすぐしてくるし、告白までしてきたよな)

そう考えると俺に対する復讐心は皆無なのかもしれない。
でも一応聞いてみよう。

「なあルシアン」
「なんだ?」
「…お前さ、前世であんな死に方したくせに、俺を恨んでないのか?」
「お前を?それはないな。寧ろお前がどうしても欲しくてたまらないから叩き折って一緒に転生したんだ。これ以上ないほど愛してるぞ?」
「~~~~っ?!」

その言葉に一気にのぼせそうになって、俺は慌てて立ち上がる。

「さっ、先に上がる!」

(は、恥ずかしいっ…!)

改めて言われた言葉に動揺して、俺は真っ赤になりながらその場から脱出した。



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