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15.※馬車内にて

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静かな馬車の中、俺は一人読書に耽る。
ルシアンも俺にちょっかいをかけてくることなく、買った本を読んでいるから問題はない。
実に平和だ。
そう思いながらそっと手元の本へと思考を戻す。

これによるとどうやら人は同性間でも性交渉を普通にするのだということがわかった。
そしてここが大事なのだが、それにも色々バリエーションがあるらしい。
それを見て俺はやっと昨夜ルシアンが言っていたのが本当だったんだと知った。

(まさか出すだけの場所を使うなんて、思いもしなかったな)

しかもそこに性感帯があるなんて、目から鱗もいいところだ。
でもそうなると、どっちが挿入する側になるんだという話になってくる。
昨日のルシアンの様子を見る限り多分ルシアンは挿入する側になりたいんだろう。
けれど思い出すのはルシアンの立派過ぎるほど立派なアレだ。

(無理だろ)

あんなものを挿れられたら尻が壊れる。

(でもな…)

じゃあ俺のをルシアンに挿れるのかと考えるとそれもなぁと悩む。
明らかにあっちより劣っているのに挿れていいのか?

(いや、ないない)

まず有り得ないだろう。

「やっぱりここは性の不一致で婚約をなかったことにするのが一番か?」

思わず言葉がこぼれ落ちた瞬間、隣から腕が伸ばされ、あっという間に腕の中へと閉じ込められて深く唇を塞がれた。

「ンンッ!んーッ!」
「今聞き捨てならない言葉が聞こえた気がするな?」
「ル、ルシアン…」

ギラリと光る目に気圧されてフルリと身が震えてしまう。

「俺で感じないかどうか、試してみるか?」

そう言ってルシアンは俺を膝の上に乗せると、キスをしながら下穿きへと手を滑り込ませ、スリスリと後ろの入り口を撫で始めた。
それだけのことなのに、俺の男根が元気よく勃ちあがってしまって戸惑いを覚える。
しかもそうなったらなったで後ろを撫でていた手がそこへと移動され、先端をクリクリと撫でながら扱きにかかったからたまらない。
逃げたくても背後からしっかり抱き締められて、キスまでされているから逃げ場がないまま追い込まれてしまう。

(う…そだ…)

初めての感覚に涙が滲む。

「カイ。何も知らないお前に俺がきっちり教えてやる。快感というものをな」

その言葉に俺は初めてルシアンを怒らせてしまったのだと知って慄いた。




「ん…ふ…んぅ…」

口を塞がれながら前を擦られ、身体が勝手にピクピク震えてしまう。
何かが込み上げてくる気がして、その感覚が怖くて身を捩るのに逃してもらえずイヤイヤと必死に首を振ろうとするのにそれさえ許してはもらえず追い込まれた。

「あっあっあっ!出ちゃ、出ちゃうっ!」
「出せばいい」
「ん────ッ!」

そして唇を塞がれたまま俺は初めてリアルに解放感を知り、クタリと重怠い感覚に沈んだ。
そんな俺を愛おしそうに抱き締めて、何度もチュッチュとキスを落としてくるルシアン。

「カイ」
「あ…ルシアン」
「そんなに物欲しげな顔をするな。抱きたくなる」

そう言って俺が出した白濁を掬い取り、指に絡めて後ろの入り口をまた撫で始めてしまう。

最初は固く閉じていた後孔もルシアンがマッサージをするようにクリクリと刺激を繰り返しているうちにゆっくりと綻んでいき、やがてツプリと浅く指が沈んだ。

「ふ…あっ…やっ…」
「大丈夫だ。今はこれ以上は挿れない」

その言葉はどうやら本当らしく、ルシアンは指一本、第一関節くらいの浅いところを何度も何度もツプツプと出し入れしながら俺の男根の裏筋をすりすりと撫で続けた。
それが何とも言えず気持ちが良くて、俺は与えられる気持ち良さに身を任せ、ねだるように口づけを繰り返してしまった。
頭がぼんやりして何も考えられない。

「ルシアン…」
「ルシィだ。カイ。言ってみろ」
「んっ…やっ…」
「カイ。ほら。言え」
「ひゃっ…!ん…ルシィ…」
「そうだ。これからはそう呼べ」

どこか満足げにそう言ってくるルシアンにスリッと身を寄せるとわかってるとばかりにまたキスが降ってくる。

「ああ、こんなに素直になって。本当に可愛すぎてしょうがないな」

そして俺はかつてないほど思考を溶かされながらルシアンに身を任せた。


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