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199.※花嫁の打診⑤ Side.他視点

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※今回はアンヌ父への玩具責め表記がありますので、苦手な方は回避してください。
宜しくお願いしますm(_ _)m

****************

【Side.アンヌ】

いよいよロキ陛下とカリン陛下への目通りが叶う日がやってきた。
どんな方々なのかしらとドキドキしながら胸を弾ませ連れて行かれた先でお二人に対面する。
挨拶をして顔を上げるとそこには噂に違わぬ堂々とした出で立ちの偉丈夫、カリン陛下の姿があり、その隣に目をやると、噂とは大違いのミステリアスな麗人の姿があった。
こちらがロキ陛下だろうか?
柔和な笑みの中にどこか憂いを含んだ、アンバランスな危うさに心を掴まれる。
正直言って初めて接するタイプの人物だ。
恐らくこういうタイプに色仕掛けは一切効かないだろう。
それならもう正攻法で行くしかない。

幸い知識は本物だし、ロキ陛下は兎も角カリン陛下に気に入られる自信はある。
だからその後誘われた茶の席で、まずは積極的にカリン陛下と話して気に入ってもらえるよう努めた。

ちなみにロキ陛下は予め宰相から聞いていた通り、カリン陛下一筋と言わんばかりにそちらに甘い眼差しを向けているので、話を振るのは邪魔にならない程度、最低限に留めておいた。
あまり攻めすぎると逆に悪感情を抱かれかねないし、空気はしっかり読まないといけない。
踏み込み過ぎはダメだ。
まずは様子見をしつつその為人を把握しよう。

とは言え見合いの席なので全く話を振らなければそれはそれで気遣いのできない女とカリン陛下に思われかねないため、気を付けて話題は振った。
きっとこれくらいのバランスでちょうどいいはず。
顧客の心をつかんできた私の接客術が火を噴くわと内心で高笑いしながら表面上はおっとりと話を進めていく。
するとカリン陛下に好印象を与えることができたようで、仮ではあるけれど話を進めていただけることに。
ロキ陛下も特に気分を害した様子はなさそうだし、上手くいったようだ。

(や、やったわ!)

正直言って嬉しくて仕方がなかった。
ここまでくれば後は決まったも同然。
今日は王宮に泊まっていってもいいと言ってもらえた。
夕食を一緒に食べようと言われたのは恐らくマナーチェックだろうし、夜は胆力を見せてもらいたいと言われたから恐らく例のアレだろうと思われる。

(いよいよだわ)

ロキ陛下のテクニックは如何ほどだろうか?
楽しみで楽しみで仕方がない。
問題は父の方なのだけれど……。

「お父様。顔色がよろしくありませんが、大丈夫ですか?」

気遣いながらそう尋ねると、胃を押さえながら『お前は当本人ではないから気楽でいいな』と言われてしまった。

「私は今夜、大事なものを失うかもしれないんだぞ?!」
「お父様…娘のためにありがとうございます。決してお父様の勇気を無駄には致しませんわ」

演技でウルッと目を潤ませながら父に感謝を伝えると、『ぐっ…』と複雑な表情で言葉を詰まらせそれ以上は何も言わなくなった。
本当にちょろい父親だ。
嫌なら嫌でもっと頭を回して説得をしてくればいいのに。




そうして迎えた夜────。
私は衝撃的なものを見てしまった。

「ヒューガー侯爵。どうぞこちらへ」

そう言って父をベッドへと誘うロキ陛下。

「は…はい…」

蒼白な顔でベッドに向かう父はまるで死刑宣告をされた囚人のようだ。
それを見ながら用意された椅子へと腰かける私。
その隣にはカリン陛下も見届け人として座っている。

「では始めさせていただきますね?」

優しい声と笑顔。
なのにその流し目に胸が期待に膨らみ心臓がバクバクと音を立て始める。

(こ、これは期待大だわ…!)

そうして始まった凌辱の夜。
ええ。ええ。ロキ陛下は別に父を犯したわけではありませんでしたわ。
終始玩具で責め立てていただけですもの。
でもあれはどこからどう見ても凌辱と表現してもよいと思いますの。

「あっあぁっ!陛下ぁっ!」

あんなに怯えて嫌がっていたはずの父が、すっかり雌の顔になって、自ら腰を振ってロキ陛下にうっとりとした眼差しを向けています。
見ている方はハードなプレイだとしか思えないのですが、それを父が嬉々として受け入れていく姿は圧巻でした。
あんなに嫌がっていたのが本当に嘘のよう。

「ふふっ。いい顔でこんなに感じて。すっかり淫乱な雌犬に堕ちてしまいましたね」
「はぁっはぁっ…。あっ…陛下っ。私は貴方の忠実な犬です。沢山可愛がってくださいぃ…っ。ひぁあっ!」

(ああ、ダメだわ)

こんなものを見せられればあそこが勝手に濡れてしまう。
そこでふとカリン陛下は大丈夫なのかしらと思いそっと隣を見ると、自分も抱いて欲しいと言わんばかりの顔をしていて驚いた。
あんなに昼間は毅然とした方だったのに、やはり夜はロキ陛下に抱かれたくて仕方がないのだろうか?
でも父の堕ち具合を見るに、理解はできる気がした。
私も抱かれたい。

(はぁ…。私もあんな風にぐちゃぐちゃに抱かれたいわ。なんて素敵なんでしょう?)

そうして私は恍惚としながらベッドへと目をやり、最後の最後までロキ陛下のテクニックに溺れる父の姿をしっかりと目に焼き付けた。


***


【Side.ヒューガー侯爵】

私は侯爵家当主ではあるものの、特に王宮に役職をいただいているわけではないため主に領地を治めることに尽力している。
そのためロキ陛下にお目通りしたのは戴冠式の際くらいのものだった。
そんな自分の元に何故かあり得ない話が舞い込んできた。
出戻りの娘、アンヌをロキ陛下にという夢のような話だ。
そんなことあるはずがないと思ったものの、宰相自らが領地まで足を運んで事情説明をしてくださり、納得がいった。
これは不肖の息子が結んでくれた縁だったらしい。

リヒターは昔アンヌを襲おうとしたことがあったから、きっとその罪滅ぼしでもしようと思ったのだろう。
ロキ陛下に取り立てていただいているとは随分出世したものだ。
とは言え教育係としてという話を聞いてこれもまた納得することができた。
あいつは剣は特別優秀というわけでなかったが、学業は物凄く優秀だった。
好奇心が旺盛で本も幅広く色々なジャンルを読んで、実際に気になった場所に足を運ぶような行動力もあった。
そう。行動力があったのだ。
だからアンヌを襲ったんだと思ったし、誰もそれを疑わなかった。
なのに従姉妹のエメラルダ達が私達を責めてきた。

曰く、『あの真面目なリヒターがそんなことをするはずがないでしょう?!』だそうだ。
馬鹿なことを。
真面目だからこそ、切羽詰まってやらかすのだとわからないのだろうか?
だから彼らの言葉を一笑に付した。
それが間違っていたとは今も思ってはいない。
それにそう思ったのは自分だけではない。
家族、使用人達含めて皆だ。
それが何よりの真実ではないだろうか?

何はともあれそれで反省してアンヌのために動いてくれたのならまあ勘当を解いてやってもいいだろうという気にはなった。

それから暫くして宰相が我が家へと説明に来てくださったのだが、話の内容を聞いて驚愕してしまった。
何故なら思った以上に求められる内容が酷かったからだ。
本人に対する要求ならアンヌ自身に『頑張れ!』『好機だぞ!』といくらでも言ってやれた。
それなのに────まさか自分自身が頑張らないといけないことになるなんて思わないだろう?
息子も妻も驚いてはいたが、『アンヌのためならできるだろう』『頑張ってくれ』としか言わない。
アンヌ自身も期待をにじませた目で私を見てくる。
なんて薄情な!
ロキ陛下は昔から狂王子と言われているような人ではあったが、ここ最近の国の発展を鑑みて王として即位してから真面になったのだと思っていたのに、とんだぬか喜びだ。
やはり普通ではない。
なんて恐ろしい条件をつけてくるのか。

けれど家族や宰相からの期待を一身に受けては侯爵家当主として無様に逃げるという選択をすることはできなかった。
渋々話を受け、宰相が言うところの『ある意味最高の時間』という言葉だけを信じて王都へと向かった。

宰相の屋敷で暫く過ごさせてもらっているとある日話が通ったと呼び出しを受けた。

(いよいよか…)

そう思いながら両陛下が待つ場へとアンヌと向かう。
そしてそこで改めてお二方に挨拶をさせてもらったが、話してみると思った以上に普通だった。
ロキ陛下の穏やかな話しぶりは特に狂っているようには見えない。
カリン陛下も立派な王配で、お二人とも王族とは斯くありけりという素晴らしいお姿そのもの。
これならもしかしたら宰相の話は冗談だった可能性も…そう思ってしまった。

それなのに────。

「ヒューガー侯爵。どうぞこちらへ」

そう言って私をベッドへと誘うロキ陛下。

「は…はい…」

希望は辛くも砕け散った。

「緊張してますね」

そう問われ素直に頷きを落とす自分。
なんとかここで解放してもらえないだろうか?
そんな希望をもってロキ陛下を見遣ると、宥めるように『大丈夫ですよ』と優しく言ってもらえた。

「怖ければ目をつぶっていてもいいですからね?」

その声に従うように私はそっと目を閉じた。
そこからはなんと言えばいいのだろう?
緊張をほぐすように耳を擽ってくるロキ陛下の優しい声を聴きながら、煽るように感じるところを虐められて、気づけば与えられる快感に夢中にさせられていた。
こんな快感なんてこれまで知らなかったし、あるとも思っていなかった。
まさに新しい世界を知ったと言ってもいいだろう。

「あっあぁっ!陛下ぁっ!」

陛下に翻弄されあられもない声が口から飛び出し、年甲斐もなく閨で自ら腰を振りその手管に溺れてしまう。

「ふふっ。いい顔でこんなに感じて。すっかり淫乱な雌犬に堕ちてしまいましたね」
「はぁっはぁっ…。あっ…陛下っ。私は貴方の忠実な犬です。沢山可愛がってくださいぃ…っ。ひぁあっ!」

陛下に可愛がってもらえるのなら最早何でもよかった。
ロキ陛下のものになりたい。
ロキ陛下にずっと可愛がってもらいたい。
そんな気持ちで満たされていく。
これはカリン陛下がロキ陛下の傍に居たいと思うのも納得の閨。
こんなものを知ってしまえば他はいらないと思ってしまうことだろう。
羨ましい。
リヒターもこの気持ち良さを知っているのだろうか?
常に傍に居るのならきっとそうなんだろう。
なんて羨ましいんだろう?
何だったらその立場を代わってほしい。
陛下の傍に置いてもらえてこんな風に可愛がってもらえるのなら、いくらでもこの命を懸けてお守りするのに…。

そんなことを考えながら私は最高に気持ちよくしてもらいつつ意識を飛ばした。


****************

※取り敢えず二人に気に入られたロキです。

でも侯爵はここで退場。
この後領地に戻ってからロキの責め立てを思い出しては溜息を吐く毎日を送ります。
仕事が手につかなくなって長男に爵位を譲り、王都まで出てくるけどロキにはそう簡単に会えず当然可愛がってもらうなんて夢のまた夢。
リヒターやアンヌに会う口実で城にやってきては溜息を吐いています。
最終的に、リヒターに上辺だけの謝罪をして呆れたように溜息を吐かれ、絶縁を申し渡される感じ。
ご愁傷さまです。


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