【完結】王子の本命~ガヴァム王国の王子達~

オレンジペコ

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184.※毒への誘い⑧ Side.カリン

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※今回カリン×ロキです。
リバが苦手な方はスルーしてください。

ついでにここでリクエスト投入&カリンの成長を兼ねた実技講習を入れてみました。
『毒への誘い』のお話の間に、暴走するロキを一人で止められるまで成長したカリンをお届けしようと思いますので、お付き合い頂ける方は引き続き宜しくお願いしますm(_ _)m

****************

ロキが毒に倒れた。
いや。正確には毒耐性薬のお陰で助かったのは助かったのだが、媚薬作用で思うように動けないらしく、酷く辛そうだ。
さっきまではもう少しマシのように見えたが、きっと多少なりとも気を張っていたんだろう。
二人きりになった途端、素直に甘えてきた。

「兄上…っ、辛いです」

いつもとは違うロキの姿。
それが無性に不安を煽ってくる。

「すぐに楽にしてやるから」

そう言ってロキの衣服を脱がせて、まずは手で抜いてやることに。
でも毒性が強い媚薬だからなのかなんなのか、身悶えるほどロキは感じているにもかかわらずなかなか出てくれない。
普段なら兎も角、媚薬成分のせいで余裕がないロキがわざと我慢しているとも思えなかった。

「うっ、はぁっぅっ!あ、兄上ぇっ…」

目に涙を滲ませ辛そうにするロキを早く楽にしてやりたいのに、思うようにできなくて悔しさに唇を噛む。

「や…っぱり、解離しま…す。無理っ…!」
「待て!後ろに挿れてやるから!」

そこから宥めすかして後ろを慣らし、辛いと泣くロキにゆっくりと身を沈めた。
幸い中はかなり敏感になっていたのかイかせることには成功したものの、何故かイった途端症状が悪化して、もっともっととねだられた。
正直どうしていいのかわからない。
そこから三度ほどイかせても症状は治らなくて、ロキはぐったりしながら身を震わせている。

「ロキ…ロキ…」

こんなにも弱った姿を初めて見たせいで、こちらまで涙が止まらなくなる。
本当にこの処置であっているのかすらわからなくて、不安から近くにいたカーライルに声を掛けた。

「カーライル!」
「はっ」
「これは大丈夫か?!」
「えぇと…水を飲ませてあげた方がいいかと…」
「水だな?!」

それを聞いて水差しの水を口移しでロキに飲ませていく。

「ロキ、しっかりしろ」

苦しそうなロキの頬は上気していて、まだまだ辛そうだ。

「どれくらいしたら毒は抜ける?!」
「それは最終的に闇医者に確認してもらうしか…。取り敢えず出なくなるまで、抜いて抜いて抜きまくるしかないのでは?」

理屈はわかるが、これ以上は一人では無理だ。
俺はそこまで絶倫じゃない。

「……仕方ない。リヒターを呼べ」
「いいんですか?」
「しょうがないだろう?今はロキを楽にしてやるのが何よりも優先だ!」
「わかりました」

それからすぐ、リヒターは寝室へとやってきた。

「リヒター。すまないがロキを楽にしてやりたい。手を貸してくれ」
「わかりました。ロキ陛下。もう暫く我慢してくださいね?」

そう言ってリヒターは服を脱ぎ、ロキの様子を確認後更に追加で水を飲ませて愛撫を開始した。

(そう言えば、いっぱいいっぱいで愛撫するのをすっかり忘れてた!)

今更ながら自分の余裕のなさに臍を噛む。

「陛下。すぐに媚薬の苦しみから解放させてあげます。沢山気持ちよくなってくださいね」

リヒターからそう声を掛けられてあっという間に蕩けるような表情で溺れていくロキの姿に、胸が苦しくなっていく。
俺にはあの表情は引き出せなかった。

「はぁっ!気持ちいっ!ぁあっ!」

シーツを掴んで嬌声をあげ始めるロキ。
そんな姿を見るのが耐え難くて、俺はそっとその場を離れた。

「カリン陛下?!」

扉が閉まる寸前焦ったようなリヒターの声が聞こえたけれど、俺にどうしろと?
俺にこの状況で3Pで混ざれとでもいうのか?
こんな屈辱的な気持ちのまま?
それこそ無理に決まっている。

ロキを助けられるのは俺じゃない。
それをこれでもかと痛感してしまった。
ロキが好きだ。
愛してる。
でもだからこそ、自分の手で助けてやれないのが悔しくて仕方がなかった。
そんな俺に無情にもカーライルが今すぐ戻れと言ってくる。

「流石にロキ様が可哀想ですよ」

カーライルはそう言うが、ロキはリヒターに抱かれるのはこれでもう四度目だ。
最初は母の件で慰める時。
二度目は筆でお仕置をした時。
三度目は俺がうっかりサンドイッチで真ん中になれと言ってしまった時。
初めてじゃないんだし、リヒターは任せるに値する相手だと思っている。
今更だし、今はちょっとそっとしておいてほしい。
そう思ったのだけど────。

(…………ん?)

考えてみればリヒターがロキを抱くのはいつだって三人の時だった気がする。
二人きりでというシチュエーションはこれまで一度もなかったような…?
いつだってあの二人は俺に気を遣ってくれたし、ブルーグレイに行った時など、二人きりでベッドに入る時は添い寝だけだと公言してはばからない。
それはカーライルの証言からも明らかだ。
それなのに……。

(やってしまった…!!)

またしても思い切り墓穴を掘ってしまった気がする。

「二人きりでのシチュエーションは初だった!」

「……カリン陛下。今更気づいたんですか?」

その場にしゃがみこんでしまった俺にカーライルが呆れたように声を掛けてくるが、俺としては気が気じゃない。

「今頃ロキ様、大好きな兄上がいないって泣いてるかもしれませんよ?」

こんな媚薬の毒に冒されてる中、可哀想でしょうと叱られてしまう。
でもここで戻って見せつけられるのも嫌だ。

(俺はどうすればいいんだ?!)

部屋の前でウロウロしてたらカーライルに呆れたように溜息を吐かれた。

「スパッと割り切って男らしく戻る気がないなら、せめて邪魔だけはしないでくださいね?リヒターならきっちり責任をもって最後まで毒を抜ききってくれると思うので」
「うぅ…」

酷い。あんまりだ。
二人が気になるけど、戻ったら絶対に睨んで邪魔してしまいそうな自分がいるから動くに動けない。
仕方がないから黙って様子見をしてくれていた闇医者の方へと足を向け、犯人の捕縛に向かった連中から連絡が入っていないかを尋ねてみることに。

「今のところはまだ」
「そうか…」
「それにしても、思っていた以上に貴方はポンコツですね」
「……っ?!不敬だぞ!」
「不敬で結構。まあいつもの二人の立ち位置がよくわかったので、別に責める気はないですが」

(二人の立ち位置?俺とリヒターのか?)

ちょっと言われている意味が分からない。

「何はともあれ貴方をフォローしてくれるリヒターがいるんですから、今は任せてしまっては?」
「~~~~っ!」
「悔しくて地団駄踏むくらいなら、これをバネにもっと手技を磨くとか、閨の勉強でもすればいいじゃないですか」
「閨の勉強はちゃんとした!追加で書庫から本を引っ張り出して、ちゃんと学んだぞ?!」
「してそれですか?」
「しょうがないだろう?!俺は基本抱かれる側なんだから!」

どう足掻いても実技が足りないのだ。
口淫の練習ならロキのを模した張り型で練習したりもしたけど、手でやるのはやり方がよくわからない。
基本的に俺はロキに抱いてもらえるから自慰だってほぼしなくていいし、俺が抱く側の時ロキはすぐに立場を逆転させてくるから、あれこれ試せる時間は少ない。
いつだって余裕のロキに翻弄されるのは俺の方で、だからこそこういう時は困るのだと痛感してしまったのだ。
だからそう言ったのに、闇医者はこともなげに酷いことを言ってきた。

「それなら今そこでカーク相手に試したらいいでしょう?」
「……え?」
「へ?俺?」

これにはカーライルも驚いたのか目を丸くしている。

「カークは月一でロキ陛下に玩具で可愛がってもらっていると聞いてます。つまり抱かれる側ということなんでしょう?玩具でもなんでも、試せばいいじゃないですか。練習あるのみです」

まさかそんなことを言われるなんて思ってもみなかったから、俺はカーライルと共に固まってしまった。

「で、でも…」
「でもも何もないですよ。言い訳している暇があればそこのソファでやってみればいいんです。見ていて差し上げますので、ほら早く」

闇医者から促されて、よくわからないままソファで俺はカーライルを相手に実技講習紛いのことをさせられてしまう。
潤滑油と張り型で取り敢えずカーライルを気持ちよくさせてみろと言われて渋々やっては見たけど、全然上手くできない。

「そんなにおっかなびっくりやっていたら気持ちよくなんてしてあげられませんよ?」

そう言われてちょっと思い切ってやったら悲鳴をあげられるし、カーライルに『痛くて死ぬ』と泣かれてしまった。

「はぁ…本当に仕事はできるのにこっち方面はダメダメですね。どれだけ不器用なんですか。こうですよ、こう」

そして闇医者が手本を見せてくれたらカーライルがさっきとは全然違う表情になった。

「カリン陛下。相手がどこで感じるのかちゃんと把握できてますか?前立腺の位置さえ知らないとか言いませんよね?」
「そ、それくらいはわかってる!」
「ならいいんですが…」

それから暫く特訓され、なんとなく力加減もわかったから、そこから攻め方のコツやらなんやらを教えてもらった。
緩急が大事というのも丁寧に教えてもらって、相手の表情をしっかり観察して、こういうのをしっかり覚えるんだと教わった。
女の抱き方は15の年に教わったが、こうして男の抱き方を教わるのは初めてだから勉強になる。
そう思っていたら『女性の抱き方もこの分だと大したことを教わっていないのでは?』なんて言われてしまった。
本当に酷い。
そっちはちゃんと実技も交えて教わったのに!

「実技ではちゃんと感じさせてやれたぞ?!」
「はぁ…わかっていませんね。女性は男に恥をかかせないように、わざと感じているフリをして声を出してくれることも多いんですよ?王族相手なら尚更です」
「……え?」
「ロキ陛下はカリン陛下が大好き過ぎて、技を極めていったというのに貴方ときたらこれですからね。はっきり言って愛情を疑います」
「うぐっ…」
「まあ今日は隙を見てこうして実技講習をしたわけですが、きっとあの人が正気の時に許可を得るのは難しいと思うので、上手く説得できる方法でも考えてみては?」
「…………わかった」

そうして実技講習は終わったけれど、部屋の中からはまだロキの声が聞こえてきて、戻るべきかどうすべきか悩みに悩む。
するとそこで裏の者達から闇医者へと連絡が入った。

「……わかった。ああ。ああ。そうか。頼んだ」

短いそんなやり取りの後、給仕の一人であるとある男が侍女と抱き合っている姿を目撃し張っていたところ、ロキのワイングラスにだけ『シロップ』を投入したと話していたことが判明した。
恐らくその『シロップ』とやらが毒だったのだろう

『入れてくれた?』
『ああ。赤ワインの渋みが消えてまろやかな味になるシロップだっけ?ロキ陛下の好みを知るシャイナー陛下ならではの配慮だな。美味しそうに飲んでくださっていた』
『そう。良かったわ。でもあれはシャイナー陛下からじゃないわよ?』
『…?じゃあ誰からだ?』
『ブルーグレイのセドリック王子のご寵姫、アルフレッド様のお知り合いから頂いたの。ほら、ロキ陛下はセドリック王子と仲が良いって噂でしょう?だからその繋がりでお好みもご存じだったんだと思うわ』
『なるほど。そういうことか』

そんな会話が繰り広げられていたらしいが、はっきり言って少しは疑えと言ってやりたい。
これでロキが死んでいたらどうする気だったんだ?
だからそれを受けてシャイナーへと伝言を頼んだ。
厳しく罰してほしいと。もしくはこちらがその二人を殺してもいいという許可が欲しいと書いておいた。
いずれにせよきっとシャイナーなら手紙を読んですぐに手を打ってくれるはずだ。
結婚式当日に申し訳ないが、俺達の結婚式の時にロキを攫ったペナルティとでも考えて、許してほしいと思う。


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