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178.毒への誘い②

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もうすぐシャイナーとキャサリン嬢の結婚式がある。
それが終われば今度はひと月半後にレオの結婚式となかなか慌ただしい。
来年にはレトロンのカール王子も結婚式をするらしく、絶対に参列してほしいと手紙が来た。
面倒だけど一気に済むから良かったじゃないかと兄から言われ、それもそうかと思った。
近隣国でこれだけ一気に祝い事があれば暫くどこにも行かなくて済むということに他ならない。
つまりカール王子の結婚式まで終わってしまえば後は城に籠って兄を独占し放題と言うことだ。
悪くはない。

そんなある日のこと、リヒターがなんだか悩んだ様子で何か言いたげにしているのを感じた。

「リヒター?何か悩み事か?」
「いえ…。随分懐かしい方から手紙が来たので戸惑っているだけです」
「友人とか?」
「いえ。従姉妹です。彼女はジルナス伯爵家の長女だったんですが、ある日突然行方不明になりまして」
「行方不明…」
「はい。でも行方不明になった翌年手紙が届き、アンシャンテの貴族に嫁いで子供が生まれたとの知らせがきて皆が驚いたという少々訳アリの方なんです」
「随分突飛なことをする人だな」
「彼女が家を出る前ジルナス家は彼女の婚約者を誰にしようかと釣り書きを前に浮かれていたらしく、彼女の意見など何一つ聞いてもらえないと手紙で溢していましたし、他国に渡ったのはそのせいでしょう。良くも悪くもガヴァムの貴族は大抵閉鎖的ですから」
「なるほど」

それにしてもなかなかガヴァムでは珍しいタイプの令嬢だ。
どこの国にも変わった令嬢はいるんだなと素直に思った。

「それで?何が書かれてあったんだ?」
「はい。今度シャイナー陛下の結婚式にロキ陛下とアンシャンテに来るのなら、是非俺にエスコートを任せたいと」
「そういうのは普通夫の役目だろう?」
「そうなんですが、どうやら昨年夫が病死してしまったようで…」
「なるほど。それで」
「はい。彼女としてはそれで家計が傾きかけた際、たまたま投資した商会がロキ陛下の三か国事業に助けられ成功したらしく、そのお陰で困窮せずに済んだそうです。その件のお礼も直接言えたら嬉しいとのことでした」

なかなか面白い繋がりだし、リヒターの話す彼女の為人は実に面白そうだから会うのも吝かではないなと思った。

「それならこちらは気にせずエスコートを引き受けたらどうだ?」
「ですが陛下が心配で…」
「大丈夫だ。護衛は以前よりも万全だし、気にしなくてもいい」
「……わかりました」

渋々ながら引き受けることにした様子のリヒターにクスリと笑って、一番頼りにしてるからエスコートが終わったらちゃんと戻ってきてほしいと伝えておいた。




「ロキ。勉強は終わったか?」

その後ちょうど切りよく勉強が終わったところで兄が笑顔で俺を迎えに来てくれる。
最近は俺も危なげなく剣を受け止められるようになってきたから、剣の手合わせも兄がしてくれることが増えた。
リヒターがブルーグレイでオーガストという騎士に教わったきた鍛錬法が良かったんだろう。
いい感じに筋肉が鍛えられて、前のような手振れがなくなった。
これにはリヒターも嬉しそうだ。
俺が成長する様を見るのが楽しいらしい。
俺も兄と手合わせができるのは素直に嬉しいから、もっと頑張ってみようかなと密かに思った。

ちなみに兄はたまに本気で手合わせがしたくなるらしく、リヒターに思い切り向かっていくこともしばしば。
ストレス発散も兼ねているのか、何やら話しながら剣を合わせている。
その様を見て器用だなと感心してしまう。
でもマーシャル曰く、あれはきっとリヒターにロキ陛下を独り占めされて悔しいって八つ当たりしてるとかですよと言われていた。
そんなはずないのに。
マーシャルの冗談は全く笑えない。

「ロキ陛下。たまにはリヒターではなく俺も閨に呼んでくださいね?」

そんなことを言われたけど、今のところ特に予定はない。
だってマーシャルは元々兄が誰かを抱きたいなと思った時要員だし、最近は兄も『抱きたい気持ちになったらロキを抱く』って言うようになったからちょっと呼び難いのだ。

「最近兄上は俺を抱くのがマイブームみたいだから、暫くはないかな」
「え?!えっと、カリン陛下だけじゃなくロキ陛下が俺を抱くのでも構いませんよ?!」

『寧ろ抱いてください!』と言われて、具体的なプレイはと尋ねたら暫く熟考され、パッと顔を輝かせながら提案された。

「サンドイッチプレイと言いたいところですが、ここは敢えて輪姦プレイとかはどうでしょう?俺が総受けになるので、カリン陛下とロキ陛下で交互に俺を犯してください!」
「う~ん…何かが足りない気がする」
「ダメですか…」

じゃあもっといいプレイが思い浮かんだらまた提案してみますと言われて、そうしてくれと返していたら、何故か兄とリヒターが戻って来て、リヒターの方が笑顔でマーシャルを連れて行った。

「ロキ。マーシャルに誘惑されていなかったか?」
「特には?」
「そうか。なんだか不穏な空気を感じるとリヒターが言っていたから切り上げたんだが…」
「大丈夫ですよ?ただの世間話なので。リヒターの代わりに閨に呼んで欲しかったらしくて、俺の興味を惹くプレイの提案をしていただけですから」
「…?!マ、マーシャルッ!!」
「ひっ?!」
「お前!ロキに誘いをかけるとはいい度胸だな?!」

どうして兄はこんなに怒ってるんだろう?
本当にただの世間話なのに。

「だってリヒターばかりズルイじゃないですか!補佐官の皆ももっと順番に呼んでくれたらいいのにって言ってました!」
「お前!愚痴を溢すのと直談判するのは話が全然違うだろう?!来い!シゴいてやる!」

そう言って兄がリヒターと一緒にマーシャルを鍛錬場の真ん中へと引き摺って行ってしまった。

「……マーシャルに兄上を取られた」
「ロキ様、俺がいるから寂しがらないでください」
「カーク…。じゃあ今日はカークと遊ぶ」
「え?!いいんですか?」
「ちょっと手が空いたし、そろそろひと月に一回の恒例時期だろう?」
「じゃあカリン陛下に試したい玩具があれば使ってみますか?確かこの間新しく裏市場で購入してましたよね?」
「え…」

それは正直嬉しい提案だ。

「ふふふ。俺も付き合いが長くなってきたので、ロキ様の喜ばせ方もわかってきましたよ!俺でよければ是非使ってやってください」

カークもどうやら随分慣れたらしく、そんなことまで言うようになった。

「…ありがとう」
「はぅっ!はにかみロキ様可愛い!」
「……新しい煽りか?好きなだけ虐めてやるぞ?」
「そのドSとのギャップがっ…!」

そんな軽口を言いながら場所を移し、俺はカークと新しい玩具で遊んだ。


****************

※どこかに書いたと思いますが、カークはロキに月一で玩具で遊んでもらえるのである意味実はリヒターよりロキとの性的ふれあいは多いかもしれません(基本的に誰かが毎回立ち会ってます)。

リヒターは昼間勉強や鍛錬、護衛でロキの側にいる感じ。
ロキを抱けるのは3Pの閨などでカリンがうっかりOKを出してしまった時かロキがやらかした時に限られるため、棚ぼたで抱けたら幸せという感じです。

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