196 / 234
172.※ロロイア国へ⑨ Side.ロキ&他視点
しおりを挟む
※今回一部残酷描写があるので、苦手な方はご注意ください。
ロキ命なリヒターの行動に要注意!
宜しくお願いしますm(_ _)m
****************
「錯乱系の毒…」
折角だし、耐毒効果を確認する為にちょっと試してみようかなとチラッとそちらを見たら、兄が絶対にダメだと言わんばかりに無理矢理振り向いてきて、これでもかと深く口づけてきた。
「ロキ。耐毒効果を試したいなら闇医者がいる場で裏の者達の許可を得て試せ。あれはダメだ。それに…俺を満足させてくれるんじゃなかったのか?」
潤む目で俺を誘ってくる兄に胸がトスッと射抜かれる。
こんな誘われ方をされたら当然張り切るに決まっている。
「可愛い兄上…。ちゃんと満足するまで可愛がってあげますね?」
「んっ、あっ!ロキッ!」
セドリック王子がやってきた事でちょっと興が削がれたものの、俺は兄の要望に応えるべく頑張った。
「はぁんっ!イイッ!」
離れていた分恋しかったのか、兄は搾り取るかのように俺を締めつけ、恍惚としながらどんどん溺れていく。
そして中に放つと、蕩けきった顔で『ロキの精液が美味し過ぎる』とまで言ってきた。
そんな兄が可愛過ぎてたまらなかったから、できれば沢山イチャつきたくて一先ずそこでやめておくことに。
「兄上。満足できましたか?」
「んぅ…。ロキ、好き」
満足げな顔で安心したように甘えてくる兄が愛おし過ぎる。
やっぱり大好きな精液まみれにしてあげたい。
キュリアス王子の件が片付いたら兄が好む凌辱プレイでもしてあげようか?
メンバーも選ばせてあげたいし、どんな道具を使ったプレイがいいか、ちゃんと聞いてあげよう。
取り敢えず、今はここで我慢。
「それにしても困りましたね。料理に毒を盛られるなんて…」
いっそ街に出て食べた方がいいだろうか?
皆の分の食事も買ってきたら喜ばれるかもしれない。
ちょっと声を掛けてみようか?
それから兄と一緒にシャワーを浴びて、スッキリしてからガチャッと寝室のドアを開けると、そこは既に本番真っ只中で、キュリアス王子はすっかり快楽落ちしてしまっていた。
この仕事の速さはリヒターだろう。
玩具であの後しっかり堕としきったと見た。
「ロキ陛下。何か?」
「ああ。さっきセドリック王子が来て、食事に錯乱系の毒が盛られていたから食べるなと忠告されたんだ。だからこれからデートついでに街まで出て、皆の食事を買ってこようかと思って」
そう口にした途端、凄い目で皆の目がこちらへと向けられた。
何かおかしな事でも言っただろうか?
街歩きも少しは慣れたし、ここは他国で俺の事を知ってる者も居ないだろうから、別に安全だと思う。
兄一人なら俺が守ってあげられるし問題はないはず。
そう思いながら首を傾げたら、全員からダメだとツッコミが入った。
何故だろう?
夜は屋台が閉まっているから、開いてる店を探して迷子になるとでも思われたんだろうか?
別に一人じゃないから大丈夫なのに。
(折角ロロイアまで来たし、兄上と夜デートに行ってみたかったな)
ちょっとどころではなく残念だ。
「ロキ陛下?まず、お一人で外出は厳禁です」
「え?兄上と一緒だけど…」
「ますますダメです。それと、毒が盛られていたと言う話が事実であれば、直ぐにでも帰るべきです」
「でも夜だし」
「関係ありません。避暑の際の教訓から、残るべきではないと判断致します」
リヒターの目がかなり本気だ。
これは譲る気はないなと一目でわかった。
「わかった。でもキュリアス王子へのお仕置きが……」
ちょっと納得がいかずそう口にしたら、リヒターがお仕置きより俺の命の方が大事と言い、キュリアス王子の口に舌を噛まないようハンカチを突っ込み、男根から道具をあっさりと抜き取るやいなや全く迷うことなく根元からサクッとナイフで切り落とした。
酷い。
俺と裏の者達以外全員ドン引きだ。
情緒も何もなさ過ぎる。
キュリアス王子に至っては、あまりの痛みに白目を剥いて気絶してしまった。
そんな状況にもかかわらず、リヒターは全く気にすることなく止血処理だけして、サクサク帰る支度を始めてしまう。
そんなに俺を優先なんてしなくていいのに。
「ロキ陛下?ここはゴネるところではありませんよ?」
不満げな顔が表に出ていたのか、リヒターから急かすように声を掛けられる。
「わかった。リヒターは過保護だな」
仕方がないので素直に従い、帰り支度を全員で整えた。
「じゃあ行こうか」
食事は帰りにどこかの街の酒場にでも行こうか?
それとも裏の宿なら夜間の食事も出してもらえるかもしれない。
もし無理でも朝になればどこででも食べられるだろう。
「あ、そうだ。セドリック王子にも一応伝えておかないと」
折角忠告に来てくれたのだから、ちゃんと帰りの挨拶はしておこう。
そう思って部屋を出たのはいいものの、そう言えばセドリック王子は王のところに行ったんだったと思い出す。
もう部屋に戻ってくれていたらいいが、まだなら暗部にでも伝言を頼めばいいだろうか?
そう思いながら部屋の方へと向かった。
コンコンコンッ。
ノックはするけれど応答がない。やっぱりまだ戻っていないのだろうか?
そう思いながら「アルフレッド妃殿下?ロキですが」と声を掛けると、まさかの逃げろと言う焦った声が耳に飛び込んできた。
「ロキ陛下!お下がりください!」
すぐにリヒターが前に出て、他の者達も警戒態勢に入る。
そしてドアを開けると、具合が悪そうにしながらもアルフレッドが剣を手に必死に戦っていた。
セドリック王子の暗部達はどうやら全員昏倒しているようだ。
「同じだ…」
どうやら兄の時と状況が酷似しているらしい。
すんっと香りを嗅ぐとどうやら特殊な香が焚かれているらしいことがわかる。
「逃げろ…!」
具合が悪そうなのにアルフレッドの剣技は素晴らしく、襲撃者達も戸惑いを隠せない様子。
この状況であれだけ動けるところは流石としか言いようがなかった。
とは言え放置して逃げるなんてできるはずもないので、すぐさま騎士達を加勢に向かわせ、その隙に俺は窓を開け放って換気した。
暗部は換気後に中へと入れる。
状況的にそれがベストと判断した。
そうして賊達を完全に制圧したところで、アルフレッドがズルズルと床へと沈み込んだ。
どうやら気力だけで動けていたらしい。
素晴らしい脳筋っぷり。
自分には絶対に無理だ。
「は…あ…セド……」
無事でいてくれと願うように口にして気を失ってしまったから、仕方なく暗部に言ってセドリック王子を探して呼んできてもらうことに。
それにしても賊の狙いはなんなんだろう?
最初はこちらのとばっちりがセドリック王子達に向かったのかと思ったが、もしかしたら別口なんだろうか?
毒で弱らせてその隙に攫って…何がしたいんだ?
キュリアス王子が犯人でないことだけは確かだけれど、それ故に動機も何も読めないからわからない事だらけだ。
さて、これを受けてセドリック王子はどうするだろうか?
***
【Side.シェイラ王女】
ずっとずっと我慢していたの。
いつだって事なかれ主義のロロイア王。
息子以外どうでも良いとばかりに嫁や娘に辛くあたるロロイア王妃。
両親に甘やかされて自分は何をやっても許されるとばかりに浮気を繰り返す王太子。
そんな三人はこの国では誰も逆らえない存在だった。
だからね?
自ら破滅してくれて嬉しい限りなのよ?
「そうよね?ニーナお義姉様」
「そうね。シェイラ王女」
私達は揃って苦渋を味わってきた仲間だ。
だから…この復讐の機会を逃す気なんてなかった。
相変わらず下衆なお兄様。
自ら破滅に向かってくださってありがとうございます。
怒らせたのは狂王ロキ陛下。
伴侶であるカリン陛下を溺愛なさっているという噂は本当でしたわ。
お兄様を溺愛しているお母様。
貴女も思った通りの行動に出ましたわね。
ロキ陛下の食事に錯乱系の毒を盛るなんて。
申し訳ないですが、こちらは私の方でセドリック王子のものと交換しておきましたわ。
だって狂人を更に錯乱なんてさせてしまったら恐ろしいでしょう?
そしていつだって見たくないものは見ないお父様。
大国ブルーグレイのセドリック王子の追及から逃れられるかしら?
妻と息子と…ついでに娘の私の分の罪まで全部責任を取って下さいましね。
問題から逃げ続けてきた貴方への最大限の嫌がらせですわ。
狂ってる?
ええ。私もとっくに狂っております。
だからロキ陛下のお気持ちはまだわかりますのよ?
ただ一人を心の支えになさって生きているそのお気持ちは痛い程に。
私もかつてはそうでした。
あの兄に想い人を犯され、彼が絶望から自死してしまうまでは。
私も後を追う覚悟をしたけれど、そこをニーナお義姉様に止められてしまいました。
私の気持ちはよくわかるから、いつかきっと復讐しようとその時言われましたの。
「これでやっと…終われますのね」
「そうね。これで王も王妃もキュリアス王子も、皆いなくなるのよ」
優しく抱き締められて、うっとりと束の間の安寧に浸る。
(これでやっと仇が取れて、今度こそあの世であの人に会えるのね。良かった…)
そう思いながら、私はそっと目を閉じた。
***
【Side.ニーナ王太子妃】
(可哀想なシェイラ王女…)
私は同情の眼差しで彼女を見ながら、そっとその身を抱きしめる。
全てはキュリアス王子の弟、トーマス王子の策略なのに、彼女は一連の黒幕としてセドリック王子に差し出されてしまう憐れな生贄だった。
毒入りの食事を出されればセドリック王子はあっさりと父王を殺すだろうと、トーマス王子は笑いながら言っていた。
『国際会議でガヴァムの王がセドリック王子に刺客を放って結果的に殺されたのは知っているか?』
私は知らなかったけれど、彼は確信を持っているかのように話してくる。
『ロキ陛下は元々優秀な兄の陰で虐げられていた王子だったが、兄が愚行を犯したお陰で王になれたんだ』
まるで自分も同じようにやれば王になれると言わんばかりに熱く語ってくるトーマス王子。
『俺も必ず王になってみせる。協力してくれるな?ニーナ』
私はそんな彼の言葉を拒絶することなんてできなかった。
何故なら産まれた我が子はキュリアス王子の子ではなく彼の子だったから。
これは慰めてやるという甘い言葉に乗ってしまった私の罪────。
だから全部終わったら全て自白しよう。
セドリック王子とてまさか赤子の命までは奪ったりはしないはずだ。
もう疲れた。何もかもが。
心の支えだったシェイラ王女が生贄となって死ぬのなら、私も一緒に死んでしまいたい。
母親失格?
ええ、そうね。
でも息子は乳母がいるから大丈夫よ。
私が育てるよりもきっと真面に育つわ。
有害な者達は全部道連れにして死んであげるから、綺麗になったこの国で健やかに育って欲しい。
それが私にできる精一杯の親心。
(幸せになってね。ルイージ)
そう思いながら、私は再度ギュッとシェイラ王女の身体を抱きしめた。
****************
※リヒター的に、
①実はロキを抱こうとしてた件を根に持ってた。(過去)
②ロキが大事にしてるカリンを犯したコレはいらないだろうと思った。(現在)
③残しておいて逆恨み的にロキを襲われたくないから先手を打った。(未来)
多分どれか(もしくは全部)が答え。
ロキ命なリヒターの行動に要注意!
宜しくお願いしますm(_ _)m
****************
「錯乱系の毒…」
折角だし、耐毒効果を確認する為にちょっと試してみようかなとチラッとそちらを見たら、兄が絶対にダメだと言わんばかりに無理矢理振り向いてきて、これでもかと深く口づけてきた。
「ロキ。耐毒効果を試したいなら闇医者がいる場で裏の者達の許可を得て試せ。あれはダメだ。それに…俺を満足させてくれるんじゃなかったのか?」
潤む目で俺を誘ってくる兄に胸がトスッと射抜かれる。
こんな誘われ方をされたら当然張り切るに決まっている。
「可愛い兄上…。ちゃんと満足するまで可愛がってあげますね?」
「んっ、あっ!ロキッ!」
セドリック王子がやってきた事でちょっと興が削がれたものの、俺は兄の要望に応えるべく頑張った。
「はぁんっ!イイッ!」
離れていた分恋しかったのか、兄は搾り取るかのように俺を締めつけ、恍惚としながらどんどん溺れていく。
そして中に放つと、蕩けきった顔で『ロキの精液が美味し過ぎる』とまで言ってきた。
そんな兄が可愛過ぎてたまらなかったから、できれば沢山イチャつきたくて一先ずそこでやめておくことに。
「兄上。満足できましたか?」
「んぅ…。ロキ、好き」
満足げな顔で安心したように甘えてくる兄が愛おし過ぎる。
やっぱり大好きな精液まみれにしてあげたい。
キュリアス王子の件が片付いたら兄が好む凌辱プレイでもしてあげようか?
メンバーも選ばせてあげたいし、どんな道具を使ったプレイがいいか、ちゃんと聞いてあげよう。
取り敢えず、今はここで我慢。
「それにしても困りましたね。料理に毒を盛られるなんて…」
いっそ街に出て食べた方がいいだろうか?
皆の分の食事も買ってきたら喜ばれるかもしれない。
ちょっと声を掛けてみようか?
それから兄と一緒にシャワーを浴びて、スッキリしてからガチャッと寝室のドアを開けると、そこは既に本番真っ只中で、キュリアス王子はすっかり快楽落ちしてしまっていた。
この仕事の速さはリヒターだろう。
玩具であの後しっかり堕としきったと見た。
「ロキ陛下。何か?」
「ああ。さっきセドリック王子が来て、食事に錯乱系の毒が盛られていたから食べるなと忠告されたんだ。だからこれからデートついでに街まで出て、皆の食事を買ってこようかと思って」
そう口にした途端、凄い目で皆の目がこちらへと向けられた。
何かおかしな事でも言っただろうか?
街歩きも少しは慣れたし、ここは他国で俺の事を知ってる者も居ないだろうから、別に安全だと思う。
兄一人なら俺が守ってあげられるし問題はないはず。
そう思いながら首を傾げたら、全員からダメだとツッコミが入った。
何故だろう?
夜は屋台が閉まっているから、開いてる店を探して迷子になるとでも思われたんだろうか?
別に一人じゃないから大丈夫なのに。
(折角ロロイアまで来たし、兄上と夜デートに行ってみたかったな)
ちょっとどころではなく残念だ。
「ロキ陛下?まず、お一人で外出は厳禁です」
「え?兄上と一緒だけど…」
「ますますダメです。それと、毒が盛られていたと言う話が事実であれば、直ぐにでも帰るべきです」
「でも夜だし」
「関係ありません。避暑の際の教訓から、残るべきではないと判断致します」
リヒターの目がかなり本気だ。
これは譲る気はないなと一目でわかった。
「わかった。でもキュリアス王子へのお仕置きが……」
ちょっと納得がいかずそう口にしたら、リヒターがお仕置きより俺の命の方が大事と言い、キュリアス王子の口に舌を噛まないようハンカチを突っ込み、男根から道具をあっさりと抜き取るやいなや全く迷うことなく根元からサクッとナイフで切り落とした。
酷い。
俺と裏の者達以外全員ドン引きだ。
情緒も何もなさ過ぎる。
キュリアス王子に至っては、あまりの痛みに白目を剥いて気絶してしまった。
そんな状況にもかかわらず、リヒターは全く気にすることなく止血処理だけして、サクサク帰る支度を始めてしまう。
そんなに俺を優先なんてしなくていいのに。
「ロキ陛下?ここはゴネるところではありませんよ?」
不満げな顔が表に出ていたのか、リヒターから急かすように声を掛けられる。
「わかった。リヒターは過保護だな」
仕方がないので素直に従い、帰り支度を全員で整えた。
「じゃあ行こうか」
食事は帰りにどこかの街の酒場にでも行こうか?
それとも裏の宿なら夜間の食事も出してもらえるかもしれない。
もし無理でも朝になればどこででも食べられるだろう。
「あ、そうだ。セドリック王子にも一応伝えておかないと」
折角忠告に来てくれたのだから、ちゃんと帰りの挨拶はしておこう。
そう思って部屋を出たのはいいものの、そう言えばセドリック王子は王のところに行ったんだったと思い出す。
もう部屋に戻ってくれていたらいいが、まだなら暗部にでも伝言を頼めばいいだろうか?
そう思いながら部屋の方へと向かった。
コンコンコンッ。
ノックはするけれど応答がない。やっぱりまだ戻っていないのだろうか?
そう思いながら「アルフレッド妃殿下?ロキですが」と声を掛けると、まさかの逃げろと言う焦った声が耳に飛び込んできた。
「ロキ陛下!お下がりください!」
すぐにリヒターが前に出て、他の者達も警戒態勢に入る。
そしてドアを開けると、具合が悪そうにしながらもアルフレッドが剣を手に必死に戦っていた。
セドリック王子の暗部達はどうやら全員昏倒しているようだ。
「同じだ…」
どうやら兄の時と状況が酷似しているらしい。
すんっと香りを嗅ぐとどうやら特殊な香が焚かれているらしいことがわかる。
「逃げろ…!」
具合が悪そうなのにアルフレッドの剣技は素晴らしく、襲撃者達も戸惑いを隠せない様子。
この状況であれだけ動けるところは流石としか言いようがなかった。
とは言え放置して逃げるなんてできるはずもないので、すぐさま騎士達を加勢に向かわせ、その隙に俺は窓を開け放って換気した。
暗部は換気後に中へと入れる。
状況的にそれがベストと判断した。
そうして賊達を完全に制圧したところで、アルフレッドがズルズルと床へと沈み込んだ。
どうやら気力だけで動けていたらしい。
素晴らしい脳筋っぷり。
自分には絶対に無理だ。
「は…あ…セド……」
無事でいてくれと願うように口にして気を失ってしまったから、仕方なく暗部に言ってセドリック王子を探して呼んできてもらうことに。
それにしても賊の狙いはなんなんだろう?
最初はこちらのとばっちりがセドリック王子達に向かったのかと思ったが、もしかしたら別口なんだろうか?
毒で弱らせてその隙に攫って…何がしたいんだ?
キュリアス王子が犯人でないことだけは確かだけれど、それ故に動機も何も読めないからわからない事だらけだ。
さて、これを受けてセドリック王子はどうするだろうか?
***
【Side.シェイラ王女】
ずっとずっと我慢していたの。
いつだって事なかれ主義のロロイア王。
息子以外どうでも良いとばかりに嫁や娘に辛くあたるロロイア王妃。
両親に甘やかされて自分は何をやっても許されるとばかりに浮気を繰り返す王太子。
そんな三人はこの国では誰も逆らえない存在だった。
だからね?
自ら破滅してくれて嬉しい限りなのよ?
「そうよね?ニーナお義姉様」
「そうね。シェイラ王女」
私達は揃って苦渋を味わってきた仲間だ。
だから…この復讐の機会を逃す気なんてなかった。
相変わらず下衆なお兄様。
自ら破滅に向かってくださってありがとうございます。
怒らせたのは狂王ロキ陛下。
伴侶であるカリン陛下を溺愛なさっているという噂は本当でしたわ。
お兄様を溺愛しているお母様。
貴女も思った通りの行動に出ましたわね。
ロキ陛下の食事に錯乱系の毒を盛るなんて。
申し訳ないですが、こちらは私の方でセドリック王子のものと交換しておきましたわ。
だって狂人を更に錯乱なんてさせてしまったら恐ろしいでしょう?
そしていつだって見たくないものは見ないお父様。
大国ブルーグレイのセドリック王子の追及から逃れられるかしら?
妻と息子と…ついでに娘の私の分の罪まで全部責任を取って下さいましね。
問題から逃げ続けてきた貴方への最大限の嫌がらせですわ。
狂ってる?
ええ。私もとっくに狂っております。
だからロキ陛下のお気持ちはまだわかりますのよ?
ただ一人を心の支えになさって生きているそのお気持ちは痛い程に。
私もかつてはそうでした。
あの兄に想い人を犯され、彼が絶望から自死してしまうまでは。
私も後を追う覚悟をしたけれど、そこをニーナお義姉様に止められてしまいました。
私の気持ちはよくわかるから、いつかきっと復讐しようとその時言われましたの。
「これでやっと…終われますのね」
「そうね。これで王も王妃もキュリアス王子も、皆いなくなるのよ」
優しく抱き締められて、うっとりと束の間の安寧に浸る。
(これでやっと仇が取れて、今度こそあの世であの人に会えるのね。良かった…)
そう思いながら、私はそっと目を閉じた。
***
【Side.ニーナ王太子妃】
(可哀想なシェイラ王女…)
私は同情の眼差しで彼女を見ながら、そっとその身を抱きしめる。
全てはキュリアス王子の弟、トーマス王子の策略なのに、彼女は一連の黒幕としてセドリック王子に差し出されてしまう憐れな生贄だった。
毒入りの食事を出されればセドリック王子はあっさりと父王を殺すだろうと、トーマス王子は笑いながら言っていた。
『国際会議でガヴァムの王がセドリック王子に刺客を放って結果的に殺されたのは知っているか?』
私は知らなかったけれど、彼は確信を持っているかのように話してくる。
『ロキ陛下は元々優秀な兄の陰で虐げられていた王子だったが、兄が愚行を犯したお陰で王になれたんだ』
まるで自分も同じようにやれば王になれると言わんばかりに熱く語ってくるトーマス王子。
『俺も必ず王になってみせる。協力してくれるな?ニーナ』
私はそんな彼の言葉を拒絶することなんてできなかった。
何故なら産まれた我が子はキュリアス王子の子ではなく彼の子だったから。
これは慰めてやるという甘い言葉に乗ってしまった私の罪────。
だから全部終わったら全て自白しよう。
セドリック王子とてまさか赤子の命までは奪ったりはしないはずだ。
もう疲れた。何もかもが。
心の支えだったシェイラ王女が生贄となって死ぬのなら、私も一緒に死んでしまいたい。
母親失格?
ええ、そうね。
でも息子は乳母がいるから大丈夫よ。
私が育てるよりもきっと真面に育つわ。
有害な者達は全部道連れにして死んであげるから、綺麗になったこの国で健やかに育って欲しい。
それが私にできる精一杯の親心。
(幸せになってね。ルイージ)
そう思いながら、私は再度ギュッとシェイラ王女の身体を抱きしめた。
****************
※リヒター的に、
①実はロキを抱こうとしてた件を根に持ってた。(過去)
②ロキが大事にしてるカリンを犯したコレはいらないだろうと思った。(現在)
③残しておいて逆恨み的にロキを襲われたくないから先手を打った。(未来)
多分どれか(もしくは全部)が答え。
10
お気に入りに追加
1,086
あなたにおすすめの小説



王道学園のモブ
四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。
私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。
そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。

陛下の前で婚約破棄!………でも実は……(笑)
ミクリ21
BL
陛下を祝う誕生パーティーにて。
僕の婚約者のセレンが、僕に婚約破棄だと言い出した。
隣には、婚約者の僕ではなく元平民少女のアイルがいる。
僕を断罪するセレンに、僕は涙を流す。
でも、実はこれには訳がある。
知らないのは、アイルだけ………。
さぁ、楽しい楽しい劇の始まりさ〜♪

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?


婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

ブレスレットが運んできたもの
mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。
そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。
血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。
これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。
俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。
そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる