【完結】王子の本命~ガヴァム王国の王子達~

オレンジペコ

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閑話20.キスの日

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※ついでにこちらの『キスの日』ver.も。

****************

「ロキ様。今日はキスの日らしいですよ」

ある日カークが何気なくそんなことを俺に言ってきた。

「へぇ。そんなのがあるんだ」
「そうみたいです」

そういうことならとカークを手招いて、チュッと軽くキスしてやったら物凄く慌てふためかれて真っ赤になられた。

「なんだ。キスしてほしくて言ったんじゃなかったのか」
「ち、違いますよ?!勿論ロキ様とのキスは嬉しいですけど!」

そんな新鮮な反応にクスリと笑っていたらリヒターから溜息を吐かれた。

「陛下。あまりカークを揶揄ってやったら可哀想ですよ?」
「いや。新鮮だったから、つい…」
「カリン陛下に見つかったらまた叱られますよ?」
「……確かに」

リヒターとそんな話をしていたらとても低い声がその場に響いた。

「ロキ?もう遅いぞ?」
「兄上…」

そこには如何にも怒ってますと言わんばかりに腕を組み、扉に凭れて不機嫌そうにする兄の姿があってとても驚いた。
いつもならすぐに騒いで止めに入るのに、何か悪いものでも食べたんだろうか?
心配だ。

「兄上。何か悪いものでも食べました?」

心底心配してそう尋ねたのに、何故かここで叱られた。

「どうしてそうなる?!」
「え?だって兄上がいつもの兄上らしくないから、もしかしてと思って」
「~~~~っ!お前はいつも通りだな?!」
「はあ。別に悪いものは食べていないので」

何でそう言われたのかわからないと思いながらそう答えたら、ズンズン近づいてきた兄にグイっと引き寄せられてそのままあっという間に唇を塞がれてしまう。

「これは口直しだ」
「……はあ」
「それで?キスの日だったか?」
「兄上もご存じだったんですか?」
「…………」

兄は怖い笑みでこちらを見るばかり。
もしかしたら扉でも空いていて、たまたま最初から聞いていたのかもしれない。

「お仕置きだ」

しかもそんなことまで言われたから、ああなるほどと合点がいった。

「お仕置きがされたかったんですね」
「どうしてそうなる?!」
「だって兄上はお仕置きするよりお仕置きされる方が好きでしょう?」
「ま、まあ?」
「ですよね。ふふっ」

でも何かお仕置きの建前になるようなことはあっただろうか?

(う~ん……。ま、いいか)

キスをしてから考えよう。
だって今日は折角の『キスの日』らしいから。

チュッ。
最初は唇に。

チュッ。
次は首筋に。

「ん…」

悩まし気に声を漏らす兄がとても可愛いから、今日は全身にキスをしてあげよう。

「兄上。覚悟しておいてくださいね?」

そう言って笑った俺の前で、兄は恥じらい頬を染めながら「お仕置きだから、今日はおとなしく俺に独り占めされること!」と言い放ったのだった。


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