【完結】王子の本命~ガヴァム王国の王子達~

オレンジペコ

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130.薔薇の棘⑱ Side.カリン

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全ての始末をつけ、いよいよ俺はロキを迎えに行くことにした。
ここに来るまで長かった。

その間ロキの知り合いだと言う暗殺者が俺の元へやって来て、忠告も受けた。

『母親だからって甘い対応をしようもんなら即俺が始末してやる。場合によってはてめぇも道連れだ』

剣を抜く間もなく背後から首筋にナイフを添えられ、その本気を嫌でも伝えてこられたから俺は慎重に『甘い対応なんて絶対にしない』と返した。
そんな俺に男は『ならいい。後はやってくる貴族達への対応を全部見させてもらった上で一発ぶん殴るか、犯罪奴隷達に輪姦させるか決めてやるよ』と言ってきて、『てめぇの場合壊れても闇医者が治してくれるからなぁ?精々頑張るんだな』とドスのきいた声で言い置き去って行った。

多分彼らからしたら俺はロキの傍に居る資格なんてないも同然なのだろう。
引き離してやりたいと言う気持ちがその声音から嫌と言う程感じられた気がする。
でもロキが俺を必要としてくれているからそれを許してくれているのだと思う。

(母上よりもずっとロキを思ってくれているのが伝わってきた気がする…)

あれはどう考えても身内を害されたことによる怒りのように見えた。



ちなみに令嬢達は心の底から自分達が悪かったと涙ながらに謝り、どうか命だけはと懇願していた。
けれど罪は罪だ。
選択肢は与えてやったが、きちんとその罪は償ってもらった。
何故か二人共俺に斬られて死にたいと言ってきたのでその通りにしてやったが。

全く躊躇することなく剣を抜きはなった俺に驚愕の表情を浮かべていたのが印象的だった。
もしかして俺に女が斬れるはずがないとでも思われていたんだろうか?
母が「あの子は女性に優しいから」とでも吹き込んでいたのかも知れないが、そんなはずがないではないか。
王太子教育で王となる者の心構えのひとつとして教えられるのに。

【罪を犯した者の断罪に情けはいらぬ。王の本質は孤独であると心得よ。故に私情を挟まず、時として冷酷な判断を下すこともできる。女子供が相手であろうとも、自らを律し、場合によっては容赦なく斬り捨てよ】

だからこういう時、俺に慈悲を求めても無駄なのにと思いながら、そのまま無情に斬り捨てた。



母は…最期までロキに謝ることはなかった。
彼女の中で自分の考えは絶対的な正義で、何一つ間違ってはいないと言うことだったらしい。
終始『ロキが無能だったのが悪い』の一点張り。
無能ではないといくら言っても無駄だった。
『誰も認めてないじゃないの!それが無能の証拠よ!』と嘲笑うように言われて悔しさが込み上げる。
認められているといくら訴えても『上辺だけで誰も本心からは認めてはいないのに、わかってないのね』とせせら笑われた。
言えば言うだけ傷つく言葉を返され、こんなに話の通じない人だったのかと絶望に襲われた。

仮に俺と同じくらいできればよかったのかと聞けば、それがスペアとして当然であり、そうならなかった時点で無能なのだとのこと。
人の成長速度など様々だし、良し悪しだって当然ある。
一つとして同じであるはずがなく、故に個性が生まれるというのにどうしてそんなに決めつけてかかるのか。
そう言っても聞きはしなかった。

鞭で何度打とうと、彼女の考えを変えることはできなかった。
拷問官もあれこれ手は尽くしたが、それでも今回の件についての反省すら引き出すことはかなわなかった。
自分が今こんな目にあっているのは全部ロキのせいだと言い放ち、最後には呪詛のような言葉まで紡ぎ始めた。
彼女にとって自分を苦しめるものが悪であり、それを排除するのは当然なのだそうだ。

そこまでいくと最早考えを変えることは不可能なのだと諦めがついた。
なので俺は母の主張に沿って、その通りにしてやることを決意する。
令嬢達のように一閃で楽にしてやる気はない。

「貴女は俺を苦しめる者であり、俺の最愛のロキを苦しめる者でもあります。排除するのが当然なのであれば貴女にはもう消えてもらいます。自らの用意した毒で苦しみながら死んでください」

そう言われた途端絶望に染まるその顔を見ても、俺は最早何も感じなかった。
だってここにいるのは人の皮を被った悪魔なのだから。
俺の愛するロキを傷つけ続け、今尚その言葉の刃で俺の心を切り裂く悪魔そのもの────。

「カリン!貴方はロキに洗脳されているのよ!私にこんな仕打ちをして!後で絶対に後悔するわ!」
「……俺は洗脳なんてされていません。至って正気ですよ」

そしてその口へと毒を注ぎ込み、死に追いやってやった。
母は恨めしげな顔で俺を罵っていたが、この毒は元々母がロキに盛ろうとして用意した毒で、暗部が回収してくれていたものだ。
魔物から抽出された無味無臭の猛毒。
しかも即死系ではなく長々と苦しむ類のものだ。
ロキが飲まなくて本当に良かったと思う。
ロキがこんな風にもがき苦しんで死んでいく姿なんて見たら辛すぎて俺は後を追って死んでいただろうから。

「ロキ。…すまない」

短時間でもこれほど傷つけてくる母の悪意に長年晒され続けていたロキに、俺はどう詫びればいいのだろう?
俺は込み上げてくる複雑な感情を抱えながら、その場で一頻り泣いた。


***


正直言って俺はロキに会うのが少しだけ怖かった。
迎えに来るのが遅くなってしまったし、失望を滲ませた目で見られるのが怖かったのだ。
でもロキは俺の姿を見た途端嬉しそうに満面の笑みで俺の方へと飛んできて、思い切り抱きしめてくれた。

「兄上!会いたかった!」

ぎゅうぎゅうと抱きしめられて俺の涙腺が崩壊する。
こんな力足らずな俺をロキはずっと待っていてくれたのだ。
その姿にどうしようもなく胸がいっぱいになってしまう。

「兄上。そんなに泣かないでください」

取り敢えずこっちにきて座りましょうと優しく声を掛けられて余計に涙が止まらなくなった。

「誰かに虐められてないですよね?もしそうなら言ってくださいね?俺が…」

そうやって気遣いながらハンカチで俺の涙を拭いてくれるけど、そんなロキにまずは謝ろうと口を開いた。

「ロキ…すまない。結局俺は母上を謝らせることができなかった」
「兄上」

そんな俺をロキはそっと抱きしめて、何度も優しく背を撫で、甘やかすようにキスを落とし始めた。

「俺のために動いてくれただけで嬉しいです」
「でも…」
「あの人は無理ですよ。本質は俺が一番よくわかっていますから」

それは……否定できないかもしれない。
ロキは誰よりも母に酷い目に合わされてきたのだから…。

「気にしなくて大丈夫なので」
「…………」
「それと…今回は兄上に頼りきりになってしまいましたけど、だからと言ってこれから全部一人で抱え込もうとしないでくださいね?」
「え?」
「言っていなかったかもしれませんけど、俺は兄上に頼ってもらうのは実はすごく好きなんです」
「……え?」
「甘えてもらうのも、意地悪をして可愛い反応を見るのも好きです」
「…………」
「仕事を助けてくれるカッコいい兄上も、たまに甘えさせてくれる頼りになる兄上も大好きですけど、どちらかと言うとそれだけじゃダメで、さっき言ったことの方が大事なんです」
「ロキ……」
「俺は俺を必要としてくれる兄上がいて初めて生きていて良かったと思えるので、できればこれからも頼ってくださいね」

それはどう言えばいいのだろう?
誰にも必要とされていなかった中、ただ一人壊れた俺がロキを必要として頼ったからそんな風になったのか。
自分の存在意義をそこにしか見出せなかったということなのか、どちらなのだろう?
いや。どちらでもいいのかもしれない。
俺はあれから気持ちを整理しちゃんと反省して、これからはロキをこれまで以上に幸せにすると誓ったのだから。
どんなロキでも受け入れて包み込んでやるんだ。

「ロキ…その……」

取り敢えずレイプの件を挽回させて欲しいと言おうとしたのだけれど────。

「ロキ陛下。折角の感動の再会ですが、カリン陛下が落ち着いたのなら先に物申したいことがあるので、少しだけお借りできませんか?」
「え?でも折角会えたし、まだ話してる途中だから」
「ロキ様、ちょっとだけ!ちょっとだけです!五分で構いませんので!」
「…………わかった」

ロキが物凄く不服そうな顔で俺からそっと身を離す。

それから俺は別室で二人からこれからはよく考えて話し行動することと忠告を受けた。
どうやら相当二人からの信用がなくなってしまっているらしく、ここでうっかり失言なんてされたらたまらないといわんばかりで、滅茶苦茶睨まれてしまった。
それと、ロキの慰め方とやらを今度一から教えてくれるらしい。
これは素直に有難いと思った。
最後についでに一発づつ殴らせて欲しいですと言われたので、気持ちはわかるから甘んじて受け取った。
結果、本気で怒らせたこの二人は滅茶苦茶怖いということがよくわかった。
でもそれだけのことをしでかしたのだとよくわかったから、これからは本気で気をつけよう。

腹を殴られちょっとグロッキーになった俺を見たロキが、蒼白な顔で二人に虐められたのかと聞いてくる。
そんなロキに慌てて『違うから』と否定し『これはそう!愛の…』と言おうとして慌てて口を噤んだ。

(あ、危なかった…)

うっかりNGワードを口にしてしまいそうになったけど、これからはよく考えてから話すと自分なりに心に決めてからここに来たし、さっき二人から忠告を受けたばかりだからここでやらかすわけにはいかない。
ちゃんと言葉を呑み込めて本当に良かった。
仕事ではそんな事を思ったことはないけれど、ロキの前だとどうも安心しすぎるからか気を抜き過ぎて失言が増える気がする。
ちゃんと注意しておかないと。

「兄上?」
「いや。これは不甲斐ない俺へ喝を入れてくれただけだから、気にするな」
「そうですか?でも虐められたらちゃんと言ってくださいよ?兄上を虐めていいのは俺だけなんですから」
「ロキ陛下…」
「ロキ様…」

残念そうな目をリヒター達から向けられても、ロキは以前と全然変わらず俺だけを見ていた。
そんな姿にホッとしながら、これに甘え過ぎてもいけないんだと自分で自分を戒めた。

「そうだ、兄上。今回闇医者始めリヒターやカークも俺を助けるために凄く動いてくれたので、お礼がしたいんですけど、構いませんよね?」
「それは当然だ。その三人以外の裏の連中や商人達にも何かしら礼をしたい。もしよかったらその辺りを闇医者に相談したいんだが…」
「あ、そうですね。じゃあ先にそちらを優先してください」

ロキがそう言ってくれたから俺は先に闇医者に話をしようとしたのだが、何故かリヒターもロキをカーライルに任せてついてきた。
何かさっきの件以外で、俺に言いたいことでもあるんだろうか?
そう思いながら別室に移動したら、まずは俺の話からと促された。
そして相談した結果、闇医者から思いがけず『気持ちだけもらっておく』と言われてしまう。

「皆ロキ陛下に恩返しとか個人的な私怨とかで動いただけなので、気持ちだけで大丈夫です」
「でもそれは…」
「いいんですよ。治療費だけロキ陛下から頂く予定なので。ただ…そうですね。個人的にあの元王妃と話した内容くらい聞かせてもらいましょうか。どうせ貴方にしか聞かせないような腐った話を沢山してから死んだでしょうし」

どうやら闇医者には全てお見通しのようだ。
だから俺は母から聞いたロキへの虐待話や、結局最期まで改心はしてもらえず、悔しく思ったことを話した。

「なるほど…彼女が」

話を聞き終えた闇医者はただ溜息混じりにそう溢しただけだったが、リヒターは拳を震わせてやり場のない怒りを必死に抑えていた。

結局暫くその場には沈黙が落ちたが、その沈黙を破ったのはリヒターだった。
そして俺に深く頭を下げて告げてくる。

「俺に…ロキ陛下を抱く許可をください」
「リヒター…」
「今回の件はあまりにも酷過ぎました。傷ついたロキ陛下を、俺が癒してあげたいんです」

真面目なリヒターらしく、顔を上げた後、真摯に真っ直ぐに俺を見て乞い願う。
でもロキを癒したいのは俺も同じだった。
母に傷つけられ続けたロキを、沢山愛して包んでやりたかった。
だから素直にその気持ちを口にする。

「俺も…ずっと母に傷つけられてきたロキをこれでもかと愛して癒してやりたい。だから…ロキは俺が抱く」

二人の間に譲れない思いが交錯し、互いに見つめ合う形になった。
俺達は凄く凄く真面目にロキの事を考えていたからどうしても折れるわけにはいかなかったのだ。
でもそんな俺達に闇医者が『本人に聞けば早いですよ。きっと明後日の答えが返ってきて脱力するでしょうし、さっさと聞いてみたらどうですか?』と言い、そのまま部屋から追い出されてしまう。
仕方なく、お互いロキが言うことなら受け入れようと結論を出してから本人に聞きにいってみたのだが────。

「ロキ!俺とリヒター、どっちに癒されたい?」

そう尋ねた俺にロキはキョトンとした顔で訊いてきた。

「二人共俺を癒したいと?」
「ああ」
「本当に?」
「もちろん」

嘘偽りのない本心からだ。

「なら答えは簡単ですね」
「え?」

そしてロキは満面の笑みでこう言った。

「元々リヒターから言われてたんでどうしようか悩んでたんですけど、そういうことなら三人でやりましょう。俺が総受けなんて初めてだからドキドキします。いつもの兄上の気持ちもわかるし、リヒターの上手さもわかるし、凄く楽しみです」
「「…………」」

見るからにウキウキした表情で言われてしまい、これには流石に二人揃って絶句してしまう。

(おかしすぎるだろう…)

でもそう言えばロキはこういう奴だった。
本当に色々ぶっ壊れてズレている奴なのだ。
闇医者が言った通りの明後日具合。

「……ロキ陛下は本当にそれでいいんですか?」

リヒターが心配してそんな風に声を掛けるが、ロキは全く気にした様子もなく笑顔で当然だと答えた。
ロキ曰く、俺もリヒターも自分に暴力なんて振るってこないんだから、いいじゃないかとのこと。

「リヒターは俺を心配してあの時の嫌な記憶を上書きしたいと言ってくれたんだと思うけど、相手が違えばそれはまた全然別の閨だし、本当に気にしないでほしい」
「ロキ陛下…」
「それにわざわざそこだけを特別強調する必要もないだろう?リヒターにはこれまで他のことでも沢山上書きしてもらってるし、兄上と三人でやっても十分上書きになると思う」
「……え?」
「勉強も、体術も、剣術も全部辛かった日々を上書きして、俺はやればできるんだって笑顔で言ってくれた。兄上との不器用なすれ違いもいつもフォローしてくれて仲を取り持ってくれた。そういった積み重ねであの城の中にも信じられる人はいるんだって思えたし、外の世界を知らず視野が狭かった俺に…国際会議に出るのは視野が広がるし良い事だと教えてくれたのもリヒターだった。全部全部感謝してる。本当にありがとう」
「ロキ…陛下…」

そう言ったロキの顔に陰りは見られない。
本心からそう思っていると言わんばかりだ。

「兄上も、俺が不甲斐ない姿を見せてしまったから自分が癒さないとって思ってくれたんだと思いますけど、闇医者にちゃんと診てもらったし、大丈夫ですから気にしないでください」
「そんなわけには…!」

ロキの優しさに甘えるわけにはいかない。
いつもいつも甘え過ぎだった俺だからこそしっかりしなければと言葉を紡ぐが、ロキは柔らかく笑ってそんな俺を包み込んでしまう。

「さっき途中になってしまったからもう一度言いますね。今回俺のために凄く頑張ってくれてありがとうございます。俺は王族としての教育をちゃんと受けたとは言えないので、どうしても考え方や動き方が裏稼業寄りになってしまうんですけど、だからこそ上に立って人を動かし大きな事を成し遂げて解決できる兄上は凄いなと思えるし、素直に尊敬しています」
「ロキ…」
「その上で言わせてください。俺の前でまで無理はしないでください。母上の悪意に十年以上耐えてきた俺と、それに初めて触れた兄上なら、ショックは兄上の方が大きかったはずです。あの人は兄上の前ではいつも笑顔で優しかったんですから。きっと凄く辛かったですよね?我慢はしなくていいので、ちゃんと俺には吐き出してくださいね」
「……っ、ロキッ…!」

誰にも言えなかったそんな気持ちを…ロキは何故かわかってくれていた。
俺よりもロキの方が傷ついていたのだからと気持ちに蓋をして、ただただ俺がロキを癒してやろうと思っていた。
それなのに────。

(母上……やっぱり貴女が間違っていましたよ)

母は最期までロキを認めなかったけど、ロキはちゃんと人の気持ちがわかる…俺よりもずっとできた奴だと自信を持って言える。俺の自慢の弟だった。

「う…うぅ……」

結局俺はロキの優しさには勝てなくて暫くその腕の中で泣かせてもらったけど、何故かリヒターには怒られなかった。

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