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116.※薔薇の棘④ Side.カリン

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※後半***以降ロキ視点で暴力行為、モブ姦あり(モブ攻め)です。
ロキなので喘ぎはしないし反撃はしてるんですが、地雷の方はお気をつけください。
飛ばしてもらっても全然OKなので、無理はしないでください。
よろしくお願いしますm(_ _)m

****************

「下剤だと?!」

リヒターの口から聞かされたのはロキのスープに下剤が盛られていたという事実だった。

「その前の紅茶には媚薬が盛られていたらしいです」

しかも次いでカーライルの口から飛び出した言葉にも驚かされる。
どうしてロキはそんな大事な事を自分に言わなかったのかと苛ついてしまう。

「何故言わない?!」
「ロキ陛下はカリン陛下に心配を掛けたくないから内々に調べるようにと…」

それはロキの性格からいけば容易に言い出しそうな言葉ではあった。
ただでさえ母達の対応に苦慮している俺にこれ以上心配を掛けたくないと思ってしまったのだと思う。

(またあいつはズレたことを…)

それがロキの愛情からくるものだとわかってはいるけれど、頼ってくれた方がずっと嬉しいというのに。
そうは言っても人の性格はそう簡単には変わったりしないものだ。
こうなったらこちらから動くしかない。
明日速やかに帰るのが一番いいはずだし、もうそうしてしまおう。

今回の件は完全に想定外の押しかけだったから、こちらの護衛など全く手が足りていない。
その上下剤がスルーされたということから、真面な毒味役がいないと言うことと等しい。
いくら毒に慣れた王族とはいえロキに何かあったら大変だ。
早めに手を打ってしまおう。

「カーライル。食事に下剤を盛ったのが誰かはわかるか?」
「それはわかります。毒見係らしき男本人でした。ただ誰の指示だったかはこちらにすぐ来たので…」
「そうか」

俺の暗部も動かして調べさせるかとすぐさま指示を出しておく。

「ロキに害をなす相手をくまなく探れ」
「御意」
「リヒターとカーライルにはロキの護衛を頼みたい。俺も気をつけるが、ロキに何かあったら大変だからな」
「そう言えばロキ陛下は慣らし毒を飲んでいないと以前言っていましたし、俺が毒見をしても構いませんか?ロキ陛下は必要ないと言いそうですがどうも心配で…」
「え?!」

(慣らし毒を…飲んでいない?)

「俺はそんな話…聞いていない」
「多分ロキ様の事だから自分からわざわざ言わなかっただけでは?」
「確かに。思い返せば勉強の世間話の一端でたまたま口にしただけでしたね。暴力は振るわれたけど、売られたり毒殺されなかっただけまだマシだったと言っていて、慣らし毒はと訊いたら一度も飲んでないからと…」

その言葉に俺は一気に青褪めてしまう。
慣らし毒を飲んでいないと言うことは、つまり普通に王族が持っている毒への耐性が全くないと言うことだ。
それはつまり弱い毒でも命取りになるという事に他ならなくて…。

「そんな…」

今回媚薬、下剤と続いたが、もしそれらが毒だったなら────俺は永遠にロキを失っていた。
その事実に鳥肌が立つ。

「すぐに帰る支度をしろ!今すぐにだ!」

調査も大事だが、悠長な事を言わずにロキの安全の為にも今すぐ帰りたい。
そう思って二人に指示を出す。
夜の移動は危険だが、馬車にロキを乗せて他の全員が護衛に回ればなんとかなるはずだ。

(ロキ…!)

だから泣きそうな気持ちで俺はロキを起こすためにロキが眠る部屋へと向かったのだが…。
────そこで目にしたのはどこからどう見ても浮気現場だった。


***


【Side.ロキ】

下剤のせいでお腹が痛かったから手持ちの薬を飲んで早々にベッドで休んだ。
闇医者の薬は良く効くからすぐに良くなるだろう。
そう思いながらそっと眠りについたはずだった。

違和感を感じたのはそれから然程経ってはいない頃合いだったと思う。
ぼんやりする頭で状況を把握しようとしてみたけれど、正直言ってよくわからない。
ただ、感じる違和感の正体は尻穴に挿れられた何か。
多分指だと思う。
誰かが潤滑剤を使って俺の後ろを慣らしているようで、グチュグチュといった水音が部屋に響いていた。
相手は誰だろう?
兄ではない。
兄なら睡姦も大歓迎だけど、それとは違う指の感覚だった。
だからそう認識したところで攻撃に出ようとしたのだけど、上手に押さえつけられていて上手くはいかなかった。

「起きたか」

そう言って俺の上にいる男が下卑た笑みを浮かべて俺を見下ろしてくる。
はっきり言って醜悪という言葉がぴったりの気持ち悪い笑みだった。
このままいけばレイプまっしぐらだろう。
正直嫌ではあるが、とても逃げられそうにない。

まあ…処女は兄にちゃんとあげられたし、よく考えたら兄には男達をけしかけたりしていたから、ここでついでに兄の気持ちになってみるのも勉強になっていいのかもとふと思う。
ついでに兄以外の相手と寝る事で他者の実力もわかるはず。
一石二鳥だ。
だからこう聞いてみた。

「誰かは知りませんが、寝込みを襲うからには自信があるんでしょうね?」
「…?当然だ。俺はこのデカブツで選ばれたんだぜ?これまで色んな奴を悦ばせてきたんだ。お前もこれから存分に可愛がってひんひん啼かせてやるよ」

男はそう言って自信満々に笑ったのだけど…。

「オラァ!どうだ、俺のデカブツはよぉ!最高だろう?」

男は自慢げにそう言ってくるが、俺が冷めていることに気づいてすらいないんだろうか?
確かにモノは大きいけど、ただそれだけだ。
『最高』からは程遠くて、どちらかと言うと『最低』だった。
顔を洗って出直してきてほしいくらいだ。

(こう言うのを独り善がりって言うんだろうな)

俺からすれば他者を使って自慰に励んでいるようにしか思えない。
と言うより大きいほど受け入れる側は苦しいのに、がむしゃらに突き上げるなんて馬鹿じゃないだろうか?
揺さ振られるだけでちっとも気持ち良くはないし、下手にも程がある。
もっとこう…やりようがあると思う。

だから「どうだ?気持ちいいだろう?」と聞かれてついしかめっ面で「え?もしかして童貞でした?あまりにも下手過ぎて、これで感じろという方が難しいんですけど」と本音を口にしてしまった。
迂闊と言われてしまえばそれまでの話だ。
でも体調不良の中犯されたんだから、それくらい言ったっていいじゃないかとつい思ってしまったのだ。
とは言えその言葉は男のプライドをいたく傷つけてしまったらしく、そのまま思い切り頬を張り飛ばされた。

「五月蝿えぞ!くそビッチが!テメェが不感症なだけだろう?!」

お前は泣きながらよがってたらいいんだよと言われてあと二発ほど叩かれた。

激昂して何度も頬を叩かれる────。
その姿に何かを思い出しそうになるがそれが何かは自分ではわからなかった。
ただ、何故か悲しくても苦しくても辛くても、笑わなければこの暴力行為は終わらないのだと言う気持ちが込み上げて来て仕方がなくて、勝手に口からは乾いた笑い声がこぼれ落ちてくる。

「ハハッ…」

(なんだ…これ)

どこか懐かしい気持ちに襲われて、自分の中で狂気が目を覚ましたような気がした。

多分普通ならこれで男の言う通り怯えて従順になるんだろうけど、俺が急に笑い出したからか男は怯んだように様子を窺ってくる。

「なんだ?ぶたれたショックでおかしくなっちまったのか?」

それはある意味真実に近かったのかもしれない。

「……そんなにビッチがお好みなら、お望み通り虐めてあげますよ」
「はぁ?」

意味がわからないと言う顔をした男の首にガッと手を食い込ませつつもう片方の手で男根の根元を押さえにかかる。

「知ってます?本で読んだんですが、窒息プレイというのがあるそうですよ?脳に酸素が足りないと頭がふわふわして、頭が勝手に快楽と勘違いするんだそうです」
「な…っ!は…なせ……っ」
「俺に…付き合ってくれるんですよね?」

そう言いながら舌舐めずりをして俺は男を翻弄し、嬲り始める。
いつも以上にドSな感情に支配されてしまうのはどうしてだろう?
まるで自分の中の狂気が行き場をなくして身の内で暴れまわっているかのようだ。

悲しみも苦しみも心の痛みも、何もかも狂気で覆ってしまえばいい────。

けれど心のどこかは酷く冷めていて不思議な気分でもあった。

「ほら…何度イッてもいいんですよ?」

もちろん中に出されるのは兄以外ごめんだったから中イキだけさせてやったけど。

「本当に…大きいだけで下手くそですね。全く気持ちよくなれないんですけど」
「う…やめ……っ、手、はな、はなして…っ!」
「後ろを知らないくせにこんなに何度も中イキするなんて、俺よりビッチの素質があるんじゃないですか?」
「あ…あぅ……ゆ、ゆるひて…おねが……」
「ダメですよ?ほら、言ってください。『デカイだけでいい気になって、ご主人様の頬をぶってすみませんでした』と」
「あ…デ、デカイだけで、いい気に、なって…ご、ごひゅじんしゃまの、頬をた、叩いて…ず、ずみません…でしたっ」
「『一から覚え直すので、どうか淫乱な自分の後ろを使ってご奉仕させてください』」
「うっ…い、ちから覚え、なぉす、ので、ひぅッ!どうか、い、んらんな、後ろを使っ、使って…ご、ご奉仕させ、てくら、さいぃ…っ!」
「よく言えました」
「あ……」

ズルッとやっと苦しいだけのものを抜いてホッと息を吐く。
腹痛で寝込んでいたのになんの苦行だ。
本気で腹が立って絞め殺してやりたくて仕方がなかったのだが。

「ご主人様…」

期待を孕んだ目で見られるが、当然後ろに挿れてやるつもりはない。
さっき言ったのは単に安全に引き抜くためのでまかせだ。
後はもう放置で十分だと思う。
でもこのまま俺よりガタイがいい男に居座られるのも嫌だし、素直に出て行ってくれるとも思えなかったから、キツめに縛り上げてやることにした。
だから縄を手に男に向き合ってこう言ったのだ。

「取り敢えず、縛り上げてしっかりと自分の立場をわからせてあげますね?」と。

でもタイミング悪くそこで寝室のドアが開いて、兄が入ってきてしまう。
部屋の中には先程まで繋がっていたせいで淫靡な空気が満ちている。
ベッドの上も乱れていて、ヤッたというのは一目でわかる状況だった。
正直言って全く言い訳はできない。

「ロキ…?」

驚愕に染まった兄の顔。

寝込みを襲われましたと正直に言っても多分信じてもらえないだろうこの状況下で、俺が言えることといえばもうこれしかないだろう。

「今駄犬のしつけ中なんですが、兄上も混ざりますか?」

いつも通りを装っていたつもりだけれど、その時の俺の表情はもしかしたらいつもとは違って、狂気に染まっていたかもしれない────。


****************

※ぶたれたせいでいつも通りのようでちょっと違う、そんなロキです。
トラウマが関係しているのですがそのあたりはもう少し先で判明。

狂気八割、理性二割くらいな感じでしょうか?
二割の理性は子供の頃と違って自分をわかってくれる人がいると言うのがわかっているからこそ残っていた部分だったりします。

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