【完結】王子の本命~ガヴァム王国の王子達~

オレンジペコ

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96.※ブルーグレイ再訪⑦ Side.カリン

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正直に言うとロキにブルーグレイに向かうと言う機会は何度もあった。

そちらは変わりないですかと尋ねられた時。
ツンナガール越しに抱いていいですかと訊かれた時。
今向かっている。会いたい。そう言えばよかったんだ。
でも────言いたくなかった。

何故と問われたなら、会えない日数分沢山愛してほしかったからだと答えたい。
サプライズで喜ばせつつ、ちょっとレオナルド皇子に焼きもちでも妬いてくれたら嬉しいなと思ったのもある。
ロキの嫉妬はわかりにくいから、わかりやすい方法を取ってみただけだ。

きっとロキのことだからちょっとくらいムッとしても他国なんだし表立っては笑顔でいてくれるだろう。
部屋に連れ去ってお仕置きと称して沢山可愛がってくれたら俺はそれでよかったし、それを狙っていた。
なのに……表情をなくすという表現がぴったりだと思えるほどに、ロキの怒りはすさまじかった。

セドリック王子が楽しそうに『滞在は伸びても構わないと言っておいてやったぞ』と囁いてきた時に嫌な予感はしたのだ。
まさか他国に来てまで多人数に犯されるなんて思ってもみなかった。
しかも相手はただの男達ではない。
全員が全員テクニシャンな拷問官なんて最悪だ。

まあ多人数はもう何回か経験済みだし、嫌だけど人数は減ったしまだ我慢できる。
玩具で嬲られるのだってロキに散々されてるから、平気だ。
相手はその手のプロだからド素人にやられるよりずっと安心だろう。

嫌なのはロキに抱いてもらえないのと嫌われることに他ならない。
縛られ、玩具で散々嬲られながら許して許してと何度も言ったけどロキの目はどこまでも冷たくて、本気で怒っているのが嫌でも伝わってきてしょうがなかった。
このまま許してもらえなかったらどうしよう?
まるで当てつけのようにリヒターやカーライルとキスまでして見せつけてくるから泣きたくなった。

俺にもキスしてほしい。
抱き寄せて愛してほしい。
そう思うのに、俺の相手は拷問官任せなのだ。
酷い。

でも、以前俺を快楽堕ちさせた拷問官がそこに混じっていることに気づいてからはこっちに来て混じってくれた。
そんな優しさがどこまでも嬉しい。

その拷問官については俺も最初は心臓が凍るかと思って思わず悲鳴を上げてしまったけど、触れられて初めて『あれ?』と思った。

(意外と平気だ…)

ミラルカの牢屋部屋の時のようにロキが居るからだろうか?
それともロキのテクニックを覚えこまされたせいなのか…。
いずれにせよ恐怖感はあっという間に霧散して、他の拷問官同様ただただ気持ち良さだけを甘受することができた。

ロキの優しいキスも一役買ったのかもしれない。
待ち望んでいたロキとのキス。
宥めるように何度も俺にキスもしてくれて、大丈夫だと言ってくれるように俺を見つめてくれた。
怒っていてもロキはロキだ。
基本的に俺に甘い。
だからだろう。なんだか愛情を再確認できたようでやっと安心できた気がした。

ロキがいる。ロキと口づけて、ロキに触れてもらえる。
それが凄く凄く嬉しくて、犯してきているのが拷問官達だろうときゅんきゅん後ろを締め付けてしまった。
もうこの際感じてしまうのは仕方がない。
そうして沢山喘いで白濁塗れにされたらちゃんとロキは俺に挿れてくれたんだ。
拷問官たちは流石のテクニシャンばかりだったけど、やっぱりロキのものが一番いい。
ロキに犯されるのが一番気持ち良くて幸せだった。
そのせいで箍が外れて乱れまくったけど、いいんだ。
だって相手はロキなんだから。
我慢した分沢山甘えたい。
包み込むように抱きしめられて、そこからはロキだけに愛される。
完全に俺の独り占めだ。
邪魔な拷問官達はもういらない。
ずっとずっとロキに抱かれたかったから、沢山愛してもらいたくてひたすら感じるままに嬌声を上げ続けた。




「兄上。大丈夫ですか?」
「…………」

激しく交わった後のロキの優しい声が好き。

「お水、飲ませてあげますね」

合わさる唇から流れ込んでくる水が甘露のようにとても甘く感じる。

「お腹が空いたでしょう?食べさせてあげますね?」

ひと匙ひと匙丁寧に食べさせてくれるロキに胸が温かくなる。

「可愛い兄上」

そう言いながら抱き寄せて頭を撫でてくれるこの時間がたまらなく幸せ。
すりすりとロキに甘えて、ギュッと抱き着くとよしよしと可愛がってもらえる。
どこか懐かしくて俺は常にないほどベッタリ甘えていたように思う。
そんな至福の時間を邪魔する者が────。

「ロキ。カリン陛下は落ち着いたか?」
「セドリック王子。ええ。一応」
「それにしてはベッタリだな」

煩いな。邪魔をするな。

「可愛いでしょう?以前ブルーグレイから帰ってから暫くはこんな感じでしたよ?」
「そうか。アルフレッドもそれくらい甘えてくれたらいいんだがな」
「ふふっ。そう言いつつ、照れて逃げるくらいがお好きなのでは?」
「まあな」

そんな風に惚気るくらいならさっさとアルフレッドのところへ行けばいいのに…。
俺とロキの時間を邪魔しないで欲しい。

「本当に滞在を延ばしても?」
「ああ。父も是非と言っていたしな。お前はアルフレッドに手を出すこともないし、俺としては全然構わん」
「そうですか。まあ政務をいつまでも放っておくわけにもいかないので後二日ほどで帰ろうと思います」
「大変そうだな」
「それはそうですよ。腰掛けの俄か仕込みの王ですし」
「ククッそう言いつつ少しは慣れてきただろう?」
「まあ兄上のお陰で少しは?」

ロキはこんな時でも俺を持ち上げてくれるのか。嬉しい…。

「それは何より。それより、ソレは戻るのか?」
「ええ。一晩経てば恐らく」
「幸せそうだな」
「もちろん。こんなに可愛い愛しの兄上がわざわざ俺に会いに来てくれたんですから当然です」

そう言いながら愛おしそうに俺を包み込んでくれるロキ。
なんだかんだとセドリック王子には苦手意識が強いが、このふわふわした状態なら怖くはない。
ロキに包まれて安心しているというのが大きいのだと思う。

「そう言いつつ酷かったとも聞いたが?」
「まあ怒っていましたから?だって閨の相手まで置いてきたのに、そちらは無視でレオナルド皇子にずっとくっつく事を選んだんですよ?」
「ふっ…やはり歪んでいるな。普通は自分以外と寝る方が嫌だろうに」
「たかが一時間の触れ合いは許せても、三日も四六時中ベッタリくっつかれるのは許せないんです。全く……」

そう言って憤るロキにセドリック王子は自分ならどっちも嫌だと言ってたけど、俺はそれを聞いてロキらしいなと納得がいった。

「ご主人様……」

流石にちょっと悪かったなと反省してそのままチュッと唇を重ねてみる。
ゴメンの意味が伝わるといいのだけど。

「ああ…まだもう少しかかりそうですね」
「正気に戻ったら連れてくるといい。ではな」
「ええ。ありがとうございます」

そう言ってセドリック王子は部屋を出ていった。
後はもう俺がロキを独り占めだ。

俺だけを見つめて愛おし気に何度も口づけてくれるロキに俺の心が浮き立って、思わず笑みが浮かんでしまう。

そんな風に甘い時間を過ごしているとコンコンと軽いノックの音が響いた。
誰だろう?
そう思ったところでロキが誰何すいかの声を掛けると、セドリック王子が呼んでいるとのこと。
さっきまでここにいたくせにおかしいなとは少し思った。
でもロキは何かあったのかもしれないと言い、リヒターに俺を任せて行ってしまう。

「カリン陛下。しっかりなさってください」

リヒターがそう声を掛けてくれるけど、もう少しくらいいいじゃないか。
俺はいっぱいロキに甘えたいのだ。
それには堕ちてるこれくらいが丁度いい。
一度戻してもらったという安心感から、もう少しこのままがいいとつい思ってしまうのも無理のない事だろう。

「んぅ…ロキ……」
「はぁ…。カリン陛下。それほど甘えたかったのなら一言言えばよかったではないですか」

素直じゃないですねと叱られたけど、煩いなと思った。
お前は黙ってロキを守ればいいんだ。
そんな事を考えながらロキが帰ってくるのを待っていたけれど、その間にロキはまた攫われていた。

あいつはどうしてすぐ変なことに巻き込まれるんだろう?
最悪だ。

とりあえず、快楽堕ち中のご主人様ロスの一報は半狂乱になるんだなと一つ勉強になった。
アルフレッドに気絶させられ事なきを得たが、目覚めてすぐ俺は生まれて初めて神頼みをしたいと思った。

もうロキが二度と攫われませんように……と。

(本当に…無理だとわかっていても、帰ったらどこかに閉じ込めてやりたい……)

密かにそう思ってしまった俺を────多分誰も責めたりはしないと思う。


****************

※割と色んな耐性ができてて、意外と余裕もあったロキLOVEなカリンの心の内でした(注:ご主人様ロス時を除く)。

因みにこの日のロキの昼以降のスケジュール(?)は↓

昼食後、姫やヴィンセント陛下とお茶選び 13:00~14:00頃
二人とお茶会 14:00~15:00頃
セドと玩具選び 15:00~16:00頃
レオ達のワイバーンが到着 17:00頃
お仕置き 17:00過ぎ~20:00ちょっと前
食事 20:00~20:30頃
セドが様子見に来たのが21:00頃
攫われたのは22:00ちょっと前

大体こんなイメージ。

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