【完結】王子の本命~ガヴァム王国の王子達~

オレンジペコ

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82.※鉱山ホテルへ行こう!①

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シャイナーが帰国し無事に日常が戻ってきた頃、まるでタイミングを見計らったかのようにレオがやって来て、鉱山ホテルがやっとオープンするから遊びに来てほしいと笑顔で誘ってきた。
有難いことに『一番に誘いに来たから好きな部屋を予約してほしい』と言ってもらえたので、早速兄へと声を掛けてみる。

「兄上。シャイナーの件では気苦労もかけてしまいましたし、折角なので二、三日俺とミラルカまで旅行に行きませんか?」
「え?」
「仕事を調整すれば可能でしょう?」
「でも馬車だと時間が…」
「それは大丈夫!鉱山ホテルからここまでワイバーンで俺が送ってもいいし、オープン記念に是非遊びに来てほしい!」

レオの後押しもあり兄はちょっと戸惑いつつも予定を調整してみると言ってくれた。

「じゃあ、どの部屋にする?やっぱり最初の希望だった牢屋風か温室風?それとも教会部屋かシャンデリアのある舞踏会風の部屋?あ、某宰相から依頼されてマニアックな鏡張りの部屋とかSM部屋とかも作ってあるから!後は書斎風の部屋とか研究室風の部屋とか…誰かさんが仕事持ち込んで長期滞在してくれそうな部屋なんかもあるかな。他は鉱山の特色を生かした部屋で────」

「色々ありますね。兄上はどの部屋が気になりますか?」

にこやかに尋ねると兄は真っ赤になった後、そっと上目遣いに俺を見てきてポツリとこう言ってきた。

「鏡張りの部屋がいい…」

(鏡張りの部屋?)

「滅茶苦茶マニアックなんですが…」
「だ、ダメならいい!そうだ!無難に温室にしよう!そうしよう!」

焦りに焦る兄が可愛くて、何でも望みを聞いてあげたくなってしまう。

「大丈夫ですよ?じゃあそこにしましょうか」

ギュッと抱きしめながらそっと耳元で尋ねると恥ずかしそうにしながらもコクリと頷いてくれたので、クスッと笑ってレオへと向き直った。

「レオ。鏡張りの部屋を予約させてください」
「了解!じゃあ日にちはまた連絡してくれるかな?」

そう言ってレオは笑顔で帰っていった。
その際ついでにツンナガールも渡しておいたので、日が決まればすぐに部屋を押さえることができるだろう。




それから日を決め、仕事に励んであっという間に出発の日になった。
それまで毎朝毎朝シャイナーの連絡が煩かったけど適当に流し、機器はガヴァムに置き忘れたことにして旅行に行くことにした。
折角の旅行を邪魔されたくはないし、これくらい大丈夫だろう。
補佐官に適当にあしらっておくよう指示は出しておいたし、問題はないはずだ。

ミラルカまでレオ自らが案内してくれるということで俺と兄は揃ってレオのワイバーンに乗せてもらい、お供の人達のワイバーンの方に護衛としてリヒターやマーシャル他数人の近衛達を乗せてもらう。

「じゃあ行くよ」

そうして俺達は久方ぶりのミラルカへと向かった。
ワイバーンでの移動は初めての事。
風を切って空を飛ぶのは案外楽しかった。
でも意外だったのは兄が想像以上に怖がったことだ。
フルフル震えてずっと俺に抱き着いていて、それがまた凄く可愛くて幸せな気持ちでいっぱいになった。
どうも高所と言うより風を切って飛ぶのが怖かったらしく、飛ばされる、落ちるとずっと俺の腕の中で言っていた。
レオが『見ない振り』を貫いてくれたので、『俺がついてるから大丈夫ですよ』と何度も声を掛けてイチャついてしまったが許してほしい。

現地へと到着すると一風変わった真新しいホテルがあり、周囲には一面の花畑が広がっていて壮観だった。
中には花咲き誇る庭園もあるらしく、その一部は屋外でも楽しめる作りにしてあるんだとこっそり教えてもらえた。

「ホテルの部屋を作るにあたって、俺もすっごい勉強したんだ!だから道具類もフロントに言えば大抵揃うし、仕事を持ち込む人用にペンとか紙とかの文具類も完備してるから、何か欲しいものがあれば何でも聞いてみて」
「へぇ…」
「食事も部屋でとってもいいし、こっちにレストランもあるから好きな方で。あ、個室もあるよ」

なんだか至れり尽くせりなホテルだ。

「会議に使える部屋とかパーティーを開けるホールなんかもあっちの方にあって、一般用の宿泊部屋も一応あるから使い勝手はいいと思う」

どうやらマニアック向けだけではないらしい。

「で、こっちがマニア向けの部屋が集まったエリア。一見外からはそうとわからないようにしてるから、万が一一般客がやってきても中に入らない限りは大丈夫な造りになってるんだ。防音も完璧だから安心して楽しめるようになってる」

そうして案内されつつやってきたのが予約していた部屋らしい。

「はい、ここが鏡張りの部屋。そのまま楽しむのもいいけど折角だから花を沢山用意してみた。床に撒いたら一面の花畑でやってる気分になれると思うから、歓迎の意味も込めて用意させてみたんだけどどうかな?」

そう言って大量の花が籠に入れられ用意されていたのでなんだか嬉しい気持ちになる。
これは盲点だった。
レオの気遣いが嬉しい。

部屋の内装としては手前のソファのあるリビングスペースは一部だけ鏡張りになっていて、逆側に水回りのシャワー等が集められているようだ。
そして奥のドアを開いた寝室スペースは天井まで全面鏡張りで、部屋の中央にどんとサイドテーブル付きのベッドが置いてある。
これは確かに床に花を撒いたら楽しいことになりそうだった。
ベッドには天蓋はついていないからどの角度からでも兄を辱めることができそうで、つい頬が緩んでしまう。

「花畑で兄上を犯している気分に浸れそうで最高ですね」
「……?!」
「どうしたんですか?兄上。なんか思ってたのと違ったみたいな顔になってる気がするんですけど…」
「うぅ…」

何故か真っ赤になってこんなはずじゃと言っているけど大丈夫だろうか?

「じゃあ俺はここで。三日間、楽しんで!」

部屋を変えたくなったらフロントで言ってくれたらいいからと言ってレオは満面の笑みで去って行く。
残ったのは俺と兄と護衛の者達だけだ。

「陛下。我々は外で見張りましょうか?それともあちらのリビングスペースに?」
「レオからは何か聞いているか?」
「ええ。一般用の部屋も人数分押さえてあるとは言われています。あと、貴賓が多く利用することを考えて待機部屋もあちらの扉奥にあるとのことでした」

どうやら侍女や護衛騎士が待機できる小部屋がそれぞれついていたらしい。
それならさっき教えてくれればよかったのに。
無粋だとでも思ったのかな?
何はともあれ安全面も確保されたとみていいのだろう。

「兄上。折角の旅行なので、沢山楽しみましょうね」

こうして誰にも邪魔されない兄との時間が幕を開けたのだった。


***


【Side.カリン】

ミラルカに鉱山ホテルがオープンしたとレオナルド皇子が言いにやってきた。
シャイナーの件では随分世話になったし、情報提供などにも力を貸してもらえたのでここはひとつ協力をと思って試しにホテルを利用してみることにしたのだけど、どんな部屋がいいかと訊かれて困ってしまった。
牢屋風はロキが好きそうだけどブルーグレイでの日々が思い出されるから気が乗らない。
シャンデリアのある部屋もなんだかギラギラしてそうで気乗りしないし、教会風の部屋も背徳感に襲われてしまいそうだ。
無難に行くなら温室風の部屋だけど、多分そこだとロキ的に気分転換にはならない気がする。
それならロキが好みそうな部屋の内残っているのは鏡張りの部屋かSM仕様の部屋となる。
どちらかを選べと言われればここはやはり鏡張り一択だろう。
寧ろそれしかない。

(沢山のロキに抱かれてる感じがして興奮しそうだし、案外いいかもしれない)

そんな風に思った。
なのにそれを口にしたら心底意外そうに滅茶苦茶マニアックと言われて急に恥ずかしくなった。
まさかロキにそんなことを言われるなんて思ってもみなくて慌てて温室風の部屋がいいと言ってみたけど後の祭りで、ロキはどこか楽し気にしながら鏡張りの部屋を押さえてしまったのだった。

そして実際に来てみて、部屋に入った途端『これは恥ずかしい!!』と実感してしまった。
ロキがマニアックと言ったのも今ならわかる。
よく考えたらそうだ。
ロキが沢山と言うことは自分も沢山鏡に映っているということだ。
どうしてそこに考えが至らなかったのか……。
確かに興奮はするけど、花畑仕様にまでされて恥ずかしすぎてたまらない。

しかも実際夜に抱かれた時に出来るだけ鏡を見ないようにと思いはしたけど、天井にまで鏡があるせいで全部丸見えで蕩けている自分の顔が見せつけられているようで酷く興奮させられてしまった。

「あ…ひぁあっ…!」
「カリン。今日は滅茶苦茶敏感ですね。いつも以上に感じまくって…」
「はぁっ…!やぁあっ…。はぁ、恥ずかしっ…!恥ずかしいのぉっ!」

一面に広がる花畑に置かれたベッドの上で、俺は鮮やかな赤い縄で縛られてロキの手で翻弄されている。
自由にならない身体を必死に揺らしてご主人様に嬲られるのは至福の時間以外の何ものでもなかった。

「もっと恥ずかしいくらい足を開いてしっかり見てくださいね?ほら、繋がってるところがよく見えて嬉しいでしょう?」
「ひ…う…」
「ほら。あっちでもこっちでもカリンが可愛い顔で俺に犯されてますよ?」
「嫌ぁあ…っ」
「嘘ばっかり。こんなに締めつけて離してくれないのに」

そう言ってロキが一度腰を引いたかと思うと、一際強く奥まで入ってきた。

「んぁあぁあっ!」

それがあまりにも気持ちよくて、思わず蕩けた顔で嬌声を上げてしまう。

「淫乱なカリンをこのまま沢山犯してあげますね」
「あ…あぁ、あ……」

期待に満ちた眼差しで見つめると俺の好きな笑顔で犯してもらえる。

「あっあっ、そんなに突かない、でぇっ!」

ロキに突かれる度に敏感になった身体が打ち震えてたまらない。
カリッと甘噛みされ耳朶を舌で嬲られるのも、胸を可愛がられるのも全部好き。
抗えない歓喜に囚われ、俺はそのままロキに身を任せた────。

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