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67.思いがけない掘り出し物 Side.リヒター
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帰りも安全な地下道を通り、城へと向かう。
そんな中、ロキ陛下から興味深い話を聞くことができた。
「裏ルートの商品というのはどう言ったものなんですか?」
「色々だ。俺がこの間見たのは表に出回らない類の閨の道具や媚薬とかそう言った類のものだったな」
「それ以外にもあるんですか?」
「ああ。勿論。例えば暗殺用の小道具とか情報収集用の魔道具なんかもあって、見ているだけでも楽しい」
「へぇ…」
暗殺用の小道具というのはどう言ったものなんだろう?
「暗殺用の小道具というと、武器類ということですか?」
あまり危険なものがそう言ったルートで持ち込まれているのなら一応この国の騎士として把握しておくに越したことはないと思い尋ねてみたのだが、ロキ陛下からは思いがけない返事が返ってきた。
「もちろん武器類もなくはないが、主に消耗品だな。毒の類やターゲットを追う際の発信機なんかがそうだ」
「発信機?」
毒はわかるが発信機とは一体なんだろう?
「ああ、知らないか。発信機というのはその持ち主がどこにいるのかを離れたところからでも把握することができる魔道具なんだ」
ロキ陛下によるとここ3年ほどで使われ始めた魔道具らしく、フォルティエンヌ国の闇商人によって密かに開発された物らしい。
開発者が裏稼業の者だからこそほとんど表には出てこない代物らしく、暗殺を生業とする者はそれをターゲットにさり気なく渡し、依頼に応じて頃合いを見計らって殺すという使い方をするのだとか。
その間一々相手を見張っていなくてもいいし、実に仕事の効率が上がるということで大人気商品だとも聞かされた。
(そんなものが……)
「……ちなみにそれはどれくらいの間使える物なんですか?」
「…?どういう意味だ?」
「いえ。その…年単位で使用可能なのかと思いまして」
「ああ。使用持続時間か。確かミスリル製でそこそこいい魔石を使っていると聞いたから、10年は使えるんじゃないか?それこそターゲットを殺したら次のターゲットにまた使うと言った使い方をしている者がほとんどだから、耐久性は高いと思う」
「そうですか…」
それを聞いて俺はこれだと思った。
「陛下…それを俺が手に入れることは可能でしょうか?」
「誰か殺したい奴でもいるのか?」
「いいえ。ロキ陛下の自由を守るために使いたいと思いまして」
そして俺は思いついた考えを陛下へと言ってみる。
「今回のカリン陛下のあの暴走はロキ陛下が攫われた際に居場所の特定ができなかったことに起因します」
「…………」
「だからこそ攫われないようにとあれほど躍起になっておられるのはおわかりでしょう?」
「……まあ」
「なので、ロキ陛下の居場所がいつでも特定できるのであれば、少しは対応も変わってくるのではと」
「つまり、その発信機を俺が身に着けておけばいいと?」
「はい。それならいざという時もすぐに駆け付けられますし、陛下の自由も取り戻せるのではないかと思って」
言ってみれば発想の転換だ。
「それは思いつかなかったな。リヒターは目の付け所が違う」
「単に暗殺者専用と言う思い込みがなかっただけですよ。それで…」
「ああ。そういうことならこれから行ってみようか。上手くいけば即手に入るだろうし」
そして陛下に連れられながらとある出口から出ると、そこは一見なんて事のない建物があった。
けれど促されるまま中へと入ると、裏の人間達の巣窟とも言える場所で、そこには至る所に裏稼業の者や闇商人が溢れかえっていた。
そんな中を陛下は全く気負うことなく鼻歌まじりにスルスルと歩いていく。
時々顔見知りがいるようで、チラッと視線を向けたり楽しげな顔でそちらを見たりもしていた。
「あ、この辺かな」
そしてお目当ての場所に行きついたようで、俺を呼んで『これだ』と言ってきた。
そこにあったのは初めて見るコンパクトな魔道具。
「おやまあ、珍しい。誰か暗殺したくなったんですか?」
そんな俺達に商人が物珍しそうに声を掛けてくる。
どうやら陛下のことも見知っている様子。
「いや。俺用だ」
「……え?ト、トーシャスさ~ん!すぐ来てください!大変なんです!」
「なんだ?お、ぶっ壊れ野郎じゃねぇか!今日は…ん?リヒターと一緒なのか?」
商人が呼んだのは酒場で話したトーシャスという男で、こちらに気づいて気さくに声を掛けてきたものの、俺の姿を確認して訝し気な顔を向けてきた。
しかも手元にあった魔道具を見て一気に険しい表情になる。
「…それ、どうする気だ?」
「ああ、実は……」
そうして簡単に説明するとようやく納得がいったという顔でそれを購入させてもらえた。
「全くビビらすなよな?ぶっ壊れ野郎が囮になって誰かを釣る気かと思ったじゃねぇか」
「そんな危ないこと、俺がさせませんよ」
「ああ、そうだな。万が一にでもお前がそんなことを許したら…俺が即殺す。絶対だ」
俺にそう言ったトーシャスの目はどこからどう見ても本気だった。
「ぶっ壊れ野郎はあの兄王子のためならそれくらいしそうだからな」
「え?」
「まあ、陛下ならやりそうですね」
「……」
「何はともあれこれで安心が買えるなら確かに有りではある。問題はぶっ壊れ野郎が他の用途に使ったりしないかってことと…」
「そうですね。ちゃんと肌身離さず持っていてくれるかという…その点ですね」
二人でそう口にすると、ロキ陛下は心外だという顔をしてきたが、そこのところは全く信用ができない。
「いっそのこと指輪にでもしちまうか?」
「え?」
「そうしたら早々外さねぇだろ?」
そしてトーシャスは陛下の指のサイズを測ると、ちょっと待ってろと言ってその発信機を手にどこかへと行ってしまった。
けれど思っていたよりもずっと早く、すぐに戻ってくる。
「ほらよ。これなら使いやすいだろ」
「早いな」
「こういうところの加工技師は速さと正確さが売りだからな。これくらい朝飯前だ」
俺はその指輪を確認し、陛下へと渡した。
「使い方は簡単だ。ほら、こっちの画面のこの点がその指輪のある場所。で、これで拡大、縮小して相手の居場所を確認できる」
それは思っていた以上に物凄く高性能な魔道具で正直言って驚いてしまったほど。
「で、こっちは付属のマジックバッグと呼ばれる道具だ。結構この魔道具は大きいからな。持ち歩きがしやすいようこれが付属されてる。他の暗殺道具もこれにまとめて入れられるから便利なんだぜ」
しかもそんな物まで手渡されて、実は裏ルートの商品は表に出回っているものよりもずっと技術が進んでいるのではないかと酷く驚かされた。
なのでついでにトーシャスに説明を受けながら他の品々も見させてもらって、使えそうな魔道具を購入させてもらうことに。
「こっちのこれは最新式だぞ?ブルーグレイで開発された魔道具の改良品で小型化にも成功している。元は暗部が開発したやつらしいが、こっそり設計図を入手してこっちの腕利き技師が改良に改良を重ねた逸品で、離れたところにいる仲間と直接話すことができる魔道具だ。大物を仕留める時にタイミングを相談するのにうってつけだからこれから需要が高まるだろうな」
「へぇ…。それはどれくらい離れていても大丈夫なのか?」
「さあ?国内ならどこでもって技師の奴は言ってたがな。まだ出始めのもんだし、よくわからん」
「じゃあそれも買おうかな。試しに国外に持ち出して、セドリック王子と話せないか試してみるのも面白そうだ」
「おいおい!極秘で作ったもんをそんなとこにわざわざ送るな!ブルーグレイからパクったもんだって言ってんだろ?!ここを潰す気か?!」
「え?でもセドリック王子なら笑って許して普通に『こっちにも寄越せ』って言ってくれそうだけど」
「本当にぶっ壊れ野郎は危なっかしいな。あんまり酷いと出禁にすんぞ?リヒター!頼むからしっかり見張ってろよ?」
そう言ったトーシャスに俺はしっかりと頷いておいた。
ここは近隣国の中でも割と大きなマーケットらしく、貴重な魔道具が各国から集まりやすいのだとか。
アンシャンテとの間にある二国にも大きなマーケットはあるが、そちらは治安もここよりずっと悪いし定期的に手入れも入るためリスクを考えるならここが一番と思っている商人も多く、壊滅させられたら本気で困るという輩が沢山いるらしい。
まあ国王自らが出入りするのだから、壊滅の憂き目には合い難いだろうし、余程のことがない限りこれからも存続していくこと間違いなしの穴場と言えば穴場だった。
ここほど安心して商売ができる場所もそうはないだろう。
それにしても本当に陛下は放っておけない人だ。
いくらなんでもセドリック王子に懐き過ぎではないだろうか?
せめてミラルカのレオナルド皇子と試してはどうかと後で言ってみよう。
『頻繁に来てもらう必要もなくなるし、いいのでは』とでも言えばきっと納得してもらえるはずだ。
だが他にもいい買い物ができたし、来てよかったと本当に思う。
後でカリン陛下やカーライルとも一緒に見て、色々使い方を模索してみたい。
これでロキ陛下の気鬱が少しでも晴れるといいのだが────。
そんな中、ロキ陛下から興味深い話を聞くことができた。
「裏ルートの商品というのはどう言ったものなんですか?」
「色々だ。俺がこの間見たのは表に出回らない類の閨の道具や媚薬とかそう言った類のものだったな」
「それ以外にもあるんですか?」
「ああ。勿論。例えば暗殺用の小道具とか情報収集用の魔道具なんかもあって、見ているだけでも楽しい」
「へぇ…」
暗殺用の小道具というのはどう言ったものなんだろう?
「暗殺用の小道具というと、武器類ということですか?」
あまり危険なものがそう言ったルートで持ち込まれているのなら一応この国の騎士として把握しておくに越したことはないと思い尋ねてみたのだが、ロキ陛下からは思いがけない返事が返ってきた。
「もちろん武器類もなくはないが、主に消耗品だな。毒の類やターゲットを追う際の発信機なんかがそうだ」
「発信機?」
毒はわかるが発信機とは一体なんだろう?
「ああ、知らないか。発信機というのはその持ち主がどこにいるのかを離れたところからでも把握することができる魔道具なんだ」
ロキ陛下によるとここ3年ほどで使われ始めた魔道具らしく、フォルティエンヌ国の闇商人によって密かに開発された物らしい。
開発者が裏稼業の者だからこそほとんど表には出てこない代物らしく、暗殺を生業とする者はそれをターゲットにさり気なく渡し、依頼に応じて頃合いを見計らって殺すという使い方をするのだとか。
その間一々相手を見張っていなくてもいいし、実に仕事の効率が上がるということで大人気商品だとも聞かされた。
(そんなものが……)
「……ちなみにそれはどれくらいの間使える物なんですか?」
「…?どういう意味だ?」
「いえ。その…年単位で使用可能なのかと思いまして」
「ああ。使用持続時間か。確かミスリル製でそこそこいい魔石を使っていると聞いたから、10年は使えるんじゃないか?それこそターゲットを殺したら次のターゲットにまた使うと言った使い方をしている者がほとんどだから、耐久性は高いと思う」
「そうですか…」
それを聞いて俺はこれだと思った。
「陛下…それを俺が手に入れることは可能でしょうか?」
「誰か殺したい奴でもいるのか?」
「いいえ。ロキ陛下の自由を守るために使いたいと思いまして」
そして俺は思いついた考えを陛下へと言ってみる。
「今回のカリン陛下のあの暴走はロキ陛下が攫われた際に居場所の特定ができなかったことに起因します」
「…………」
「だからこそ攫われないようにとあれほど躍起になっておられるのはおわかりでしょう?」
「……まあ」
「なので、ロキ陛下の居場所がいつでも特定できるのであれば、少しは対応も変わってくるのではと」
「つまり、その発信機を俺が身に着けておけばいいと?」
「はい。それならいざという時もすぐに駆け付けられますし、陛下の自由も取り戻せるのではないかと思って」
言ってみれば発想の転換だ。
「それは思いつかなかったな。リヒターは目の付け所が違う」
「単に暗殺者専用と言う思い込みがなかっただけですよ。それで…」
「ああ。そういうことならこれから行ってみようか。上手くいけば即手に入るだろうし」
そして陛下に連れられながらとある出口から出ると、そこは一見なんて事のない建物があった。
けれど促されるまま中へと入ると、裏の人間達の巣窟とも言える場所で、そこには至る所に裏稼業の者や闇商人が溢れかえっていた。
そんな中を陛下は全く気負うことなく鼻歌まじりにスルスルと歩いていく。
時々顔見知りがいるようで、チラッと視線を向けたり楽しげな顔でそちらを見たりもしていた。
「あ、この辺かな」
そしてお目当ての場所に行きついたようで、俺を呼んで『これだ』と言ってきた。
そこにあったのは初めて見るコンパクトな魔道具。
「おやまあ、珍しい。誰か暗殺したくなったんですか?」
そんな俺達に商人が物珍しそうに声を掛けてくる。
どうやら陛下のことも見知っている様子。
「いや。俺用だ」
「……え?ト、トーシャスさ~ん!すぐ来てください!大変なんです!」
「なんだ?お、ぶっ壊れ野郎じゃねぇか!今日は…ん?リヒターと一緒なのか?」
商人が呼んだのは酒場で話したトーシャスという男で、こちらに気づいて気さくに声を掛けてきたものの、俺の姿を確認して訝し気な顔を向けてきた。
しかも手元にあった魔道具を見て一気に険しい表情になる。
「…それ、どうする気だ?」
「ああ、実は……」
そうして簡単に説明するとようやく納得がいったという顔でそれを購入させてもらえた。
「全くビビらすなよな?ぶっ壊れ野郎が囮になって誰かを釣る気かと思ったじゃねぇか」
「そんな危ないこと、俺がさせませんよ」
「ああ、そうだな。万が一にでもお前がそんなことを許したら…俺が即殺す。絶対だ」
俺にそう言ったトーシャスの目はどこからどう見ても本気だった。
「ぶっ壊れ野郎はあの兄王子のためならそれくらいしそうだからな」
「え?」
「まあ、陛下ならやりそうですね」
「……」
「何はともあれこれで安心が買えるなら確かに有りではある。問題はぶっ壊れ野郎が他の用途に使ったりしないかってことと…」
「そうですね。ちゃんと肌身離さず持っていてくれるかという…その点ですね」
二人でそう口にすると、ロキ陛下は心外だという顔をしてきたが、そこのところは全く信用ができない。
「いっそのこと指輪にでもしちまうか?」
「え?」
「そうしたら早々外さねぇだろ?」
そしてトーシャスは陛下の指のサイズを測ると、ちょっと待ってろと言ってその発信機を手にどこかへと行ってしまった。
けれど思っていたよりもずっと早く、すぐに戻ってくる。
「ほらよ。これなら使いやすいだろ」
「早いな」
「こういうところの加工技師は速さと正確さが売りだからな。これくらい朝飯前だ」
俺はその指輪を確認し、陛下へと渡した。
「使い方は簡単だ。ほら、こっちの画面のこの点がその指輪のある場所。で、これで拡大、縮小して相手の居場所を確認できる」
それは思っていた以上に物凄く高性能な魔道具で正直言って驚いてしまったほど。
「で、こっちは付属のマジックバッグと呼ばれる道具だ。結構この魔道具は大きいからな。持ち歩きがしやすいようこれが付属されてる。他の暗殺道具もこれにまとめて入れられるから便利なんだぜ」
しかもそんな物まで手渡されて、実は裏ルートの商品は表に出回っているものよりもずっと技術が進んでいるのではないかと酷く驚かされた。
なのでついでにトーシャスに説明を受けながら他の品々も見させてもらって、使えそうな魔道具を購入させてもらうことに。
「こっちのこれは最新式だぞ?ブルーグレイで開発された魔道具の改良品で小型化にも成功している。元は暗部が開発したやつらしいが、こっそり設計図を入手してこっちの腕利き技師が改良に改良を重ねた逸品で、離れたところにいる仲間と直接話すことができる魔道具だ。大物を仕留める時にタイミングを相談するのにうってつけだからこれから需要が高まるだろうな」
「へぇ…。それはどれくらい離れていても大丈夫なのか?」
「さあ?国内ならどこでもって技師の奴は言ってたがな。まだ出始めのもんだし、よくわからん」
「じゃあそれも買おうかな。試しに国外に持ち出して、セドリック王子と話せないか試してみるのも面白そうだ」
「おいおい!極秘で作ったもんをそんなとこにわざわざ送るな!ブルーグレイからパクったもんだって言ってんだろ?!ここを潰す気か?!」
「え?でもセドリック王子なら笑って許して普通に『こっちにも寄越せ』って言ってくれそうだけど」
「本当にぶっ壊れ野郎は危なっかしいな。あんまり酷いと出禁にすんぞ?リヒター!頼むからしっかり見張ってろよ?」
そう言ったトーシャスに俺はしっかりと頷いておいた。
ここは近隣国の中でも割と大きなマーケットらしく、貴重な魔道具が各国から集まりやすいのだとか。
アンシャンテとの間にある二国にも大きなマーケットはあるが、そちらは治安もここよりずっと悪いし定期的に手入れも入るためリスクを考えるならここが一番と思っている商人も多く、壊滅させられたら本気で困るという輩が沢山いるらしい。
まあ国王自らが出入りするのだから、壊滅の憂き目には合い難いだろうし、余程のことがない限りこれからも存続していくこと間違いなしの穴場と言えば穴場だった。
ここほど安心して商売ができる場所もそうはないだろう。
それにしても本当に陛下は放っておけない人だ。
いくらなんでもセドリック王子に懐き過ぎではないだろうか?
せめてミラルカのレオナルド皇子と試してはどうかと後で言ってみよう。
『頻繁に来てもらう必要もなくなるし、いいのでは』とでも言えばきっと納得してもらえるはずだ。
だが他にもいい買い物ができたし、来てよかったと本当に思う。
後でカリン陛下やカーライルとも一緒に見て、色々使い方を模索してみたい。
これでロキ陛下の気鬱が少しでも晴れるといいのだが────。
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