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59.国際会議㊹
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「ロキ陛下。ガヴァムの街を案内してもらえないか?」
何やら王宮内が落ち着かないなと思いながら回廊を歩いていると、セドリック王子から声を掛けられた。
まさか街の案内を頼まれるなんて思わなかったので驚いてしまう。
「構いませんが、それほど詳しくはないので詳しい者を呼んで参りましょうか?」
俺は裏稼業の者達と親しくはしているが、特別街をぶらつくことはないので観光名所などはよくわからない。
だからそういったことに詳しい者に案内させた方がいいのではと思いそう言ったのだが、それなら一緒に散策をしないかと誘われた。
どうやら案内目的と言うよりも俺と外で話したかっただけのようだったので、二つ返事で了承する。
「わかりました。ではすぐに準備をしてきますのでお待ちください」
馬車の手配と護衛の準備が必要なのでそう言ったのだが、セドリック王子はどちらも必要ないと言ってきた。
「俺にはアルフレッドがいるし、徒歩でかまわないから馬車も必要ない」
確かに言われてみればアルフレッドは元々護衛騎士だと聞いている。
剣の腕も確かだし、セドリック王子からすれば俺はオマケで単純にデートを楽しみたいのかもしれなかった。
「わかりました。では俺も信用のおける者だけ同行させて頂きます」
「ああ」
そうして俺はきちんと正規の手続きを踏んでセドリック王子達と一緒にリヒターを伴い徒歩で城を出た。
(それにしても変な感じだな…)
子供の頃ならいざ知らず、秘密通路と地下道を覚えてからは外に出る時は主にそちらから出ていたので、こうして手順を踏んで城門を通るのはなんだかおかしな気分になってしまう。
ザワザワと賑やかな王都の雑踏の中を歩くのも何となく慣れなくて、あまり好きにはなれない。
「どこか行ってみたい場所や見たいところはありますか?」
「そうだな。ガヴァムの名物料理でも食べてみようか」
「リヒター。どこかお勧めできる店を知らないか?」
「はい。それなら丸鶏を使った料理を色々出してくれる店があるので、そちらは如何でしょう?」
「ああ、もしかしてヴァーテが食べられるのか?あれは確かにお勧めだな。セドリック王子、如何です?」
「ヴァーテと言うのはどういうものなんだ?」
「簡単に言えば鶏の丸焼きですよ。リヒターのお勧めする店なら恐らくそれ以外にスープや前菜も楽しめるはずなので、よろしければ是非」
「そうか。では行ってみよう」
そんな感じでリヒターの助けを借りながら食を楽しんでもらったり、お土産になりそうなものを探したりしながら時間を過ごす。
「こちらはガヴァムの工芸品を多く取り扱う店となっております」
リヒターはどうやら街にも詳しいようで、俺が知らないこともさり気なく沢山教えてくれた。
俺は裏ルートの製品には詳しくても表の人気商品などはよく知らないのだ。
でもそうやってセドリック王子の隣で同じように『へぇ…』と感心している俺を見て、アルフレッドが妙に複雑そうな顔をしていたので、デートの邪魔をしてすみませんと謝ったら違うって言われてしまった。謎だ。
一体何が違ったんだろう?
そうして一通り街の案内を終え城へと戻ると、セドリック王子から妙な質問が飛んできた。
「ロキ陛下。街は楽しめたか?」
「え?ええ。まあ」
普通は逆ではないのだろうか?
セドリック王子が見たいと言って街に出たはずなのに。
「そうか。これからはもっと自国のことを知っていくといい。国王として民の生活を知り、その顔に憂いがないかを見るのも勉強の一つだぞ」
「え……」
その言葉にセドリック王子が今日外に出た目的が俺に王としての心構えを教えるためだったことに気が付いた。
それはつまりまだまだ王として頑張れと言っていることに他ならなくて……。
「……ありがとうございます」
「いや。俺からのせめてもの餞だ」
「…?」
よくわからないが、わざわざこんなことを言ってくるからには簡単にはやめさせてもらえないということなのだろうと思った。
きっとセドリック王子からしたら俺の心情なんてバレバレだったのだろう。
先手を打たれてしまい非常に残念だ。
仕方がないから今回は諦めて、また別の機会を狙って退位してもいいか聞くとしよう。
そして仲良く部屋に戻っていくその背を見送り、見えなくなったところでそっと後ろのリヒターへと声を掛けた。
「リヒター。知り合いが祝い酒を用意してくれるらしいんだが、これから一緒に来てくれないか?」
昨日は結局行けなかったから今日改めて闇医者達に会いに行きたい。
礼も言いたいし、多めに金貨を持って祝ってくれる皆にお返しがしたかった。
ついでに秘密通路と地下道の件も教えておきたいし、一緒に来てもらえたら皆に紹介だってできるから有難いのは有難いのだが…。
そう思ってリヒターの方を見ると、なんだか物凄く胸がいっぱいといった表情で嬉しそうに『喜んで同行させて頂きます』と言われた。
何がそんなに嬉しかったんだろう?
(まあいいか)
いつもの如くわからないことはサラッと流し、今日の騎士の配置を思い出す。
(ええと…第五分隊はっと…)
そしてそちらへと向かおうとしたところでリヒターからポツリと言葉が落とされた。
「陛下。もしやどこか特定の分隊がいる場所に向かおうとしていますか?」
「え?ああ。第五分隊のいるところへ」
「それなら今日は配置が変わっているので無駄かと。彼らは陛下が攫われた際の失態で特別訓練を課せられたようですから、持ち場を与えられていません」
「そうなのか。じゃあ…こっちだな」
仕方がないので他の分隊の警備が手薄な場所を狙って移動する。
どこの分隊にも癖があるので、上手く死角を狙えば容易に脱出できるだろう。
「…………昨日の今日でこれか」
ポツリと苦々しい声でリヒターが呟いたので、俺もちょっとだけ反省する。
不用意にうろうろし過ぎだと思われたんだろうか?
けれどどうやらリヒターが怒っていたのはそういうことではなかったようで…。
「違いますよ。警備が杜撰だと思っただけです」
「そうか?いつもこんなものだろう?」
流石に昨日国王が攫われただけあっていつもよりも遥かに厳重な警備が敷かれている。
責めるほどではないだろう。
まあ…行方をくらますのは得意だから、それでも普通に抜け出せるけど。
「こっちだ。リヒター」
ガコッと床のレンガを押すとクルッと一部が回転し、そこに秘密通路へと繋がる階段が現れる。
「今日はここから行く。カーク。お前も来い」
「はっ」
置いていかれてはたまらないとばかりにカーライルも速やかにその通路へと滑り込んだ。
「これは……」
「城にはいくつかこの地下道へと繋がる場所がある。俺は大体こんな感じのルートで闇医者の所へ行くようにしているから心配はするな」
「…………わかりました」
「離れるなよ?迷ったら出られなくなるからな」
裏稼業の者達と顔合わせする前に駆逐者に会ったら殺されてしまうし、ちゃんとついてきて欲しい。
「で、ここから出ると…」
そこはもう闇医者のいる建物のすぐ傍だ。
「おや。今日は珍しく護衛付きですか?」
「ああ。一応今後のことも考えて皆に紹介もしておきたいと思って」
「そうですか。まあまた攫われたら笑い話にもならないですもんね」
「なんだ?笑い話にされているのか?」
「ええ。それはもう」
「まあいい。今回ロンギスの名を貸してもらった。改めて礼を言わせてくれ」
「いいですよ。闇医者である私のその名は合言葉みたいなものですし」
そしてそのまま俺は闇医者も一緒に引き連れて酒場へと向かった。
「お~!英雄のお出ましだ!」
「よぉ!来たな、ぶっ壊れ野郎、もといぶっ壊れ陛下!今日は祝い酒を飲みながらお前の楽しい冒険譚を話してくれよ?」
「み~んな、結婚式当日に攫われた間抜けな花婿の奮闘話を楽しみにしながら飲んで待ってたんだぜ?」
ギャハハハハッと笑いながら裏稼業の皆が口々に俺を歓迎してくれる。
ついでなのでそのままリヒターとカーライルを紹介し、何かあったら彼らが来ることもあるかもしれないからその時は宜しくと言っておいた。
顔繋ぎは上々で、そういうことなら飲めと言って二人は男達に滅茶苦茶絡まれていた。
すぐに認めてもらえて良かったと思おう。
特にこのトーシャスは気に入らなければ本当に全く容赦しない、殺し屋でもある男なのだから────。
何やら王宮内が落ち着かないなと思いながら回廊を歩いていると、セドリック王子から声を掛けられた。
まさか街の案内を頼まれるなんて思わなかったので驚いてしまう。
「構いませんが、それほど詳しくはないので詳しい者を呼んで参りましょうか?」
俺は裏稼業の者達と親しくはしているが、特別街をぶらつくことはないので観光名所などはよくわからない。
だからそういったことに詳しい者に案内させた方がいいのではと思いそう言ったのだが、それなら一緒に散策をしないかと誘われた。
どうやら案内目的と言うよりも俺と外で話したかっただけのようだったので、二つ返事で了承する。
「わかりました。ではすぐに準備をしてきますのでお待ちください」
馬車の手配と護衛の準備が必要なのでそう言ったのだが、セドリック王子はどちらも必要ないと言ってきた。
「俺にはアルフレッドがいるし、徒歩でかまわないから馬車も必要ない」
確かに言われてみればアルフレッドは元々護衛騎士だと聞いている。
剣の腕も確かだし、セドリック王子からすれば俺はオマケで単純にデートを楽しみたいのかもしれなかった。
「わかりました。では俺も信用のおける者だけ同行させて頂きます」
「ああ」
そうして俺はきちんと正規の手続きを踏んでセドリック王子達と一緒にリヒターを伴い徒歩で城を出た。
(それにしても変な感じだな…)
子供の頃ならいざ知らず、秘密通路と地下道を覚えてからは外に出る時は主にそちらから出ていたので、こうして手順を踏んで城門を通るのはなんだかおかしな気分になってしまう。
ザワザワと賑やかな王都の雑踏の中を歩くのも何となく慣れなくて、あまり好きにはなれない。
「どこか行ってみたい場所や見たいところはありますか?」
「そうだな。ガヴァムの名物料理でも食べてみようか」
「リヒター。どこかお勧めできる店を知らないか?」
「はい。それなら丸鶏を使った料理を色々出してくれる店があるので、そちらは如何でしょう?」
「ああ、もしかしてヴァーテが食べられるのか?あれは確かにお勧めだな。セドリック王子、如何です?」
「ヴァーテと言うのはどういうものなんだ?」
「簡単に言えば鶏の丸焼きですよ。リヒターのお勧めする店なら恐らくそれ以外にスープや前菜も楽しめるはずなので、よろしければ是非」
「そうか。では行ってみよう」
そんな感じでリヒターの助けを借りながら食を楽しんでもらったり、お土産になりそうなものを探したりしながら時間を過ごす。
「こちらはガヴァムの工芸品を多く取り扱う店となっております」
リヒターはどうやら街にも詳しいようで、俺が知らないこともさり気なく沢山教えてくれた。
俺は裏ルートの製品には詳しくても表の人気商品などはよく知らないのだ。
でもそうやってセドリック王子の隣で同じように『へぇ…』と感心している俺を見て、アルフレッドが妙に複雑そうな顔をしていたので、デートの邪魔をしてすみませんと謝ったら違うって言われてしまった。謎だ。
一体何が違ったんだろう?
そうして一通り街の案内を終え城へと戻ると、セドリック王子から妙な質問が飛んできた。
「ロキ陛下。街は楽しめたか?」
「え?ええ。まあ」
普通は逆ではないのだろうか?
セドリック王子が見たいと言って街に出たはずなのに。
「そうか。これからはもっと自国のことを知っていくといい。国王として民の生活を知り、その顔に憂いがないかを見るのも勉強の一つだぞ」
「え……」
その言葉にセドリック王子が今日外に出た目的が俺に王としての心構えを教えるためだったことに気が付いた。
それはつまりまだまだ王として頑張れと言っていることに他ならなくて……。
「……ありがとうございます」
「いや。俺からのせめてもの餞だ」
「…?」
よくわからないが、わざわざこんなことを言ってくるからには簡単にはやめさせてもらえないということなのだろうと思った。
きっとセドリック王子からしたら俺の心情なんてバレバレだったのだろう。
先手を打たれてしまい非常に残念だ。
仕方がないから今回は諦めて、また別の機会を狙って退位してもいいか聞くとしよう。
そして仲良く部屋に戻っていくその背を見送り、見えなくなったところでそっと後ろのリヒターへと声を掛けた。
「リヒター。知り合いが祝い酒を用意してくれるらしいんだが、これから一緒に来てくれないか?」
昨日は結局行けなかったから今日改めて闇医者達に会いに行きたい。
礼も言いたいし、多めに金貨を持って祝ってくれる皆にお返しがしたかった。
ついでに秘密通路と地下道の件も教えておきたいし、一緒に来てもらえたら皆に紹介だってできるから有難いのは有難いのだが…。
そう思ってリヒターの方を見ると、なんだか物凄く胸がいっぱいといった表情で嬉しそうに『喜んで同行させて頂きます』と言われた。
何がそんなに嬉しかったんだろう?
(まあいいか)
いつもの如くわからないことはサラッと流し、今日の騎士の配置を思い出す。
(ええと…第五分隊はっと…)
そしてそちらへと向かおうとしたところでリヒターからポツリと言葉が落とされた。
「陛下。もしやどこか特定の分隊がいる場所に向かおうとしていますか?」
「え?ああ。第五分隊のいるところへ」
「それなら今日は配置が変わっているので無駄かと。彼らは陛下が攫われた際の失態で特別訓練を課せられたようですから、持ち場を与えられていません」
「そうなのか。じゃあ…こっちだな」
仕方がないので他の分隊の警備が手薄な場所を狙って移動する。
どこの分隊にも癖があるので、上手く死角を狙えば容易に脱出できるだろう。
「…………昨日の今日でこれか」
ポツリと苦々しい声でリヒターが呟いたので、俺もちょっとだけ反省する。
不用意にうろうろし過ぎだと思われたんだろうか?
けれどどうやらリヒターが怒っていたのはそういうことではなかったようで…。
「違いますよ。警備が杜撰だと思っただけです」
「そうか?いつもこんなものだろう?」
流石に昨日国王が攫われただけあっていつもよりも遥かに厳重な警備が敷かれている。
責めるほどではないだろう。
まあ…行方をくらますのは得意だから、それでも普通に抜け出せるけど。
「こっちだ。リヒター」
ガコッと床のレンガを押すとクルッと一部が回転し、そこに秘密通路へと繋がる階段が現れる。
「今日はここから行く。カーク。お前も来い」
「はっ」
置いていかれてはたまらないとばかりにカーライルも速やかにその通路へと滑り込んだ。
「これは……」
「城にはいくつかこの地下道へと繋がる場所がある。俺は大体こんな感じのルートで闇医者の所へ行くようにしているから心配はするな」
「…………わかりました」
「離れるなよ?迷ったら出られなくなるからな」
裏稼業の者達と顔合わせする前に駆逐者に会ったら殺されてしまうし、ちゃんとついてきて欲しい。
「で、ここから出ると…」
そこはもう闇医者のいる建物のすぐ傍だ。
「おや。今日は珍しく護衛付きですか?」
「ああ。一応今後のことも考えて皆に紹介もしておきたいと思って」
「そうですか。まあまた攫われたら笑い話にもならないですもんね」
「なんだ?笑い話にされているのか?」
「ええ。それはもう」
「まあいい。今回ロンギスの名を貸してもらった。改めて礼を言わせてくれ」
「いいですよ。闇医者である私のその名は合言葉みたいなものですし」
そしてそのまま俺は闇医者も一緒に引き連れて酒場へと向かった。
「お~!英雄のお出ましだ!」
「よぉ!来たな、ぶっ壊れ野郎、もといぶっ壊れ陛下!今日は祝い酒を飲みながらお前の楽しい冒険譚を話してくれよ?」
「み~んな、結婚式当日に攫われた間抜けな花婿の奮闘話を楽しみにしながら飲んで待ってたんだぜ?」
ギャハハハハッと笑いながら裏稼業の皆が口々に俺を歓迎してくれる。
ついでなのでそのままリヒターとカーライルを紹介し、何かあったら彼らが来ることもあるかもしれないからその時は宜しくと言っておいた。
顔繋ぎは上々で、そういうことなら飲めと言って二人は男達に滅茶苦茶絡まれていた。
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