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43.国際会議㉘

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見送りを終え、俺が兄と一緒に歩いていると兄の友人だと紹介された近衛騎士のマーシャルと内務大臣の息子エディオンが再度挨拶に来た。

「ロキ陛下。ご即位、改めてお祝い申し上げます」
「ああ。ありがとう」
「つきましては是非お祝いをと思いまして…」

その言葉に鷹揚に頷くが、多分続く言葉はアレだろう。

「ロキ陛下は多人数での閨がお好みと伺っておりますので、是非!我々をお好きにお使いください!」

満面の笑みでそう言い放った二人の言葉に兄がギョッとした顔で一歩後退る。
きっとお祝いならいいですよねと俺が言い出すのを警戒しているのだろう。
まあこれまでがこれまでだったから気持ちも分からなくはない。
でも今は兄との約束で多人数でするのは本気で怒った時だけと決めているし、彼らは兄目当てなので俺の中では断る一択だ。
だから…。

「お祝いなら…」

別のものにと口にしようとした途端、兄の言葉が割って入る。

「ロ、ロキ!」
「…なんですか?兄上」

折角断ろうと思ったのにと兄の方を見ると、必死に物凄く可愛い顔でこんなおねだりをされてしまった。

「き、今日は俺の我儘を聞いてほしい」

兄上の我儘?
珍しい。
でも…なんだろう?
折角言ってくれるのならなんでも聞いてあげたい。
一体何を言ってくれるんだろう?

「いいですよ?どんな我儘です?」

まあこの状況なら多人数は嫌ってことくらいだろうか?
そんな事を考えていると…。

「……お前がたまにリヒターとやってくる二輪挿しを俺もやってみたい」
「……え?」

正直言って思わぬ言葉にその場で固まってしまう。
まさかそんな事を言いだされるなんて思ってもみなかったからだ。

「だってリヒターが俺の中でお前のものとこすれ合って気持ちいいって…。あれがいつも悔しかったんだ。俺だって…一度くらいお前とあんな風に気持ちよくなってみたい」

だからお願い…なんて上目遣いでおねだりされてしまった。
本来なら俺は兄以外に挿れたくない。
でもこんな可愛いおねだりをされたら期待に応えたくなる。
けれどこればかりは二人だけではできない事だ。
絶対に第三者がいる。
リヒターは抱く側でそういう対象に入らないので非常に困った。
さてどうしたものか…。
そう考えていると、兄は目の前の二人に向き直ってにこやかに言い放った。

「すまないが、そういうわけで処女はお断りだ」

その言葉に納得がいく。
そもそもがどうやら二人を体良く追い払うために言いだした事だったらしい。

(まあいいか…)

それで追い払えるならそれでいいし、おねだりの方は後で聞いてみて本当にやりたいなら何か手を考えよう。
そう思ってこの場はお開きかと思っていたら、なんと果敢にも目の前の二人は揃って頷き合い、意を決したように口を開いた。

「俺達二人共二輪挿しの経験はないですが、一応経験はあるので処女ではないです!」
「今回のお祝いのために俺達、経験を積んでおいたんです!だから是非お供させてください!」

まさかまさかでそんなセリフを言われてしまう。
どうやら彼らは抱く側でなくても別に構わないらしい。
俺は別にこうなったらなるようになればいいとは思うけど、兄の方は目論見が外れて物凄く悔しそうだ。

「兄上…どうしますか?友人からの好意を受け取るか受け取らないか…決めさせてあげますよ?」

どうせこの場の主導権は兄が握っている。
折角だしここは好きなようにさせてあげたいと考え、そう口にした後スッと耳元に唇を寄せて小さく囁きを落とした。

「あの二人を使って俺と擦り合いたいですか?それともミュゼにでも声を掛けて実行しますか?俺は別にどちらでもいいですよ?」
「ミュゼに…?」
「ええ。リヒターがたまに玩具を使って二輪挿しもしてるらしいので…」

確か前にそんな事を聞いた気がすると思い出し、一つの選択肢として口にしただけだったのに、兄はミュゼの名前が出た途端険しい顔つきですぐさま却下を言い渡してくる。
ミュゼなら兄に惚れる心配もないしいいかなと思ったのに、どうやらこの提案はお気に召さなかったらしい。

「あいつはお前に懸想しているから絶対にダメだ!マーシャル!エディオン!お前達!…ロキが好きか?」

そう問われた方は少々戸惑ったようだが、二人は素直に兄の方が好きだと言ってきた。
まあそれはそうだろう。
元々彼らは兄の友人だし、今日に至っては兄の色香に惑わされて兄に色目を使っていたくらいだ。
こうやってお祝い名目で言ってきたり、兄の牽制に引き下がらずに大丈夫だから混ぜてくれと言ってきたのだって、あわよくばを狙っての事だとすぐにわかる。
なのに兄は見当違いの牽制をしながら彼らを見定めるように見て、本当に俺に興味がなさそうだと感じたのかホッとしたようにそれならいいと言い出した。

「ならいい。ロキ、いいか?」
「まあ…兄上がそれでいいのなら」

友人と寝て本当に後悔しないなら俺はこれ以上何かを言うつもりもない。

(仕方がないな…)

珍しい兄の我儘だし、今日は万全の体制で挑むとしようか。
折角の兄のおねだりなのだから、相手が勘違いしないよう躾けながら、途中で逃げないよう完全に快楽に落としてからした方がいいだろうか?
入らなくて兄が残念な思いをしても可哀想だし、予め念入りに拡張させておいて、いっぱい中で擦り合えるようにしてあげたい。
取り敢えず二人のうちどちらか一人ですればいいのかな?
そんな事を考えながら連れ立って部屋へと向かった。


***


【Side.カリン王子】

ロキに焦らされながらもなんとか見送りを終え、やっと思い切り抱いてもらえるとホッとしながら部屋へと戻ろうとしていたら俺の友人二人がやってきた。
この二人は所謂幼馴染のようなもので、昔からよく知っている間柄でもあり、ロキに興味がないのもよく知っていた。
だからお祝いの挨拶だけしたらすぐに帰ると思ったのに、その予想は外れ、閨に混ざりたいなどと言い出した。
元々新しい物好きで好奇心も旺盛な二人だ。
きっと遊び心でこんな事を言い出したんだろう。

(最悪だ)

ロキには『多人数でするのは本気で腹を立てた時だけにして欲しい』と言ってはいるが、こんな風に祝いにかこつけて言われてしまってはこれ幸いとやりたいなんて言い出しかねない。

案の定口を開いたロキは『お祝いなら…』と笑顔で言い出したので、慌てて間に入って続く言葉を遮った。
そしてフル回転で思考し、回避方法を考える。
目の前の二人を追い払い、且つロキの気を変える一言を…。

(取り敢えずこのまま三人に犯されるのはなんとしてでも回避する!)

できれば友人に犯されながらよがりまくりたくはない。
その一心で、これだと思いついたものを口に出した。

いつもロキがリヒターと俺を抱く時に一番嫉妬させられるものがある。
それは二輪挿しだ。
二人で俺を抱くくせに二人はいつも中で擦れて気持ちいいと言ってくる。
リヒターがどこか興奮したようにロキの名を呼び、気持ちいいですと耳元で言ってくるから嫉妬してたまらないのだ。
俺だってロキと擦り合いたい。
寧ろそのポジションを今すぐ代われとリヒターに何度思ったことか。
でもそれだとダメなのだ。
リヒターは今の立場でさえロキから絶対の信頼を得ている。
その上でロキに一度でも抱かせたとしたら、前例があるからいいじゃないですかときっとロキは何度でもリヒターを抱くようになるだろう。
それはもう完全なる寝取られ状態に陥ってしまう可能性大だ。
俺はリヒターにロキを取られるのを一番恐れているからそれだけは絶対に避けたい。
だからこそあいつは永遠に『抱く側』でいてもらわなければダメなのだ。
絶対にロキにリヒターを抱かせるわけにはいかない。
だから試すとすれば他の相手を探さなければならない。
そんなジレンマに駆られていた俺の前に、うってつけの獲物が現れた。
これを利用しない手はない。
万が一追い払うのに失敗してもこれなら俺が抱かれる側に回る必要はないし、ロキだって嫌とは言わないだろう。

とは言えできれば後腐れなくできるような一時の相手の方が好ましい。
なんとかこの二人を追い払えないだろうか?
そう思って再度閃いた。

(処女なんてお断りだと言ってやったらいいんじゃないか?)

二輪挿しをするのなら広がる方がいいに決まっている。
それには一本入れるだけでも辛いだろう処女には不向きだ。

(これだ!)

これなら絶対に追い払えると思ってどこか勝ち誇ったような気持ちでそう口にしたというのに────。

(処女じゃないだと?!)

一体いつの間に男に抱かれたんだと苦々しい気持ちが込み上げてくる。
もしかしたら俺がロキに抱かれているのを知って二人で試したのかもしれない。
好奇心が旺盛なのも良し悪しだ。
目論見が外れて思わず睨みつけてしまった。
そんな俺にロキはどうしたいかと聞いてくれたが、正直悩ましい。
けれど悩んだのは一瞬で……。

「あの二人を使って俺と擦り合いたいですか?それともミュゼにでも声を掛けて実行しますか?俺は別にどちらでもいいですよ?」
「ミュゼに…?」
「ええ。リヒターがたまに玩具を使って二輪挿しもしてるらしいので…」

その言葉で俺の心は決まった。

(誰がミュゼを喜ばせてやるものか…!)

あいつはロキにかなり傾倒している。
呼ばれたら喜び勇んでやってくるだろう。
元々ロキに抱いて欲しくて仕方がない様子で、ロキの名を呼びながら自慰をしている姿を俺の暗部も確認している。
それが許せなくてリヒターをけしかけたから今は多少おさまっているようだが、油断はできない。
腹立たしいからそもそもそんな相手に勃つはずもないし、ロキがあいつを抱くと考えただけでイライラする。
絶対に許せるはずがない。
ミュゼを呼ぶくらいならこの二人を相手にした方が断然いい。
けれどその前にこれだけは確認しておかなければならなかった。

「あいつはお前に懸想しているから絶対にダメだ!マーシャル!エディオン!お前達!…ロキが好きか?」

ロキが好きだといったらすぐさま却下して部屋に戻ってやると思いながらそう尋ねると二人は揃って俺の方が好きだと言ってきた。
ロキは面白くなさそうだったが、俺はその答えを聞き満面の笑みを浮かべる。
これなら何も文句はない。

「ならいい。ロキ、いいか?」
「まあ…兄上がそれでいいのなら」

一応確認を取るとロキは何かを諦めたように溜息を吐いたが、俺が言い出したことだったからか特に異論はないようで、すんなりと受け入れ『じゃあ行きましょうか』と皆を促し連れ立って歩き出した。
後は俺がこの二人相手に勃たなければそれを理由に追い出してやるとしよう。

そうして『もうなるようになれ!』と思いながら部屋へと戻ったのだった。


****************

※折角ちょっとだけ真面な方に改善されつつあったロキをまさかのカリン王子が元の路線に戻してしまうという…。
ツッコミ役がいないのがいけないんでしょうか(^^;)
そんなわけで次回はちょっと酷いロキと、ドキドキ二輪挿し体験なカリン王子です。
無理な方は一話飛ばしてくださいね。
宜しくお願いします。
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