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閑話6.※ミュゼ

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※今回はミュゼのお話なので、昨日に引き続き苦手な方はバックでお願いします。
次話からまたロキ視点に戻ってレオナルド皇子がやって来る予定です。

*****************

国際会議から戻って早々父から呼び出され、婚約者が決まったと聞いた。
これまで回避し続けてきたのに何故と思ったら、相手が同格の公爵家のスカーレット嬢だったからと判明した。
彼女は元々カリン王子の婚約者候補だったから完全に油断していた。

「ちっ…」

正直全く好みではない相手だ。
結婚しても仮面夫婦になるのは確実だし、金遣いが荒いとも聞いているから我が家にとってマイナスでしかない。
そんな相手と結婚なんて考えるだけで憂鬱だ。
けれど家同士の繋がり強化といった面では無碍にもできないので仕方なくその話を了承した。
でも…。

「ミュゼ様。その…カリン王子は今どうされてます?」

「あの狂った無能王子が王になるだなんて、寒気がしますわ」

「カリン王子が陰であの無能を操り王権を振るわれるのならそれをお支えして差し上げたいわ…」

会う度にこんな話をされて正直気分が悪い。
そんなにカリン王子がいいなら自分との婚約など破棄してくれないだろうか?
その方がずっと嬉しい。
それにロキ王子のことを扱き下ろしてくるのもできればやめて欲しかった。
昔は兎も角、今は気になって仕方がない相手なのだ。
というか可愛がって欲しい。
あの病んだ目で見つめられながら責め立てられたい。
グチャグチャに犯してあの優しい声で容赦なく嬲ってほしい。
どれもこれも特定の一人にしか言えずほぼ胸にしまい込んでいる思いではあるけれど……。




「婚約破棄したい…」
「お前な…」

一緒に飲みながら友人であるリヒターが呆れたように言ってくるけど、こんな愚痴を聞いてくれるのはリヒターだけだ。
こいつは付き合いがいいから昔からなんでも聞いてくれるんだ。

「リヒターはいいな。ロキ王子の閨に呼んでもらえて」
「そもそもお前の紹介で参加したんだ。今更羨ましがるな」
「はぁ…時が戻るなら私が行ったのに…」
「言っておくがロキ王子に虐めてもらう立場じゃないぞ?カリン王子を一緒に抱く立場だぞ?」
「……そうだった。虐めてもらえないならダメだ」

自分はカリン王子を抱きたいわけじゃないのだ。
ロキ王子に虐めて欲しいのだ。

「リヒター…今日も相手をしてくれないか?」
「またか?いい加減婚約者もできたんだし落ち着いたらどうだ?」
「嫌だ。ロキ王子を想いながらお前に抱かれたい」
「はぁ……」




事の始まりは国際会議でミラルカに行った際の一幕。
鞭で叩いてもらいたくて纏わりついていたらロキ王子が嫌そうな顔でリヒターに俺を託したのが切っ掛けだ。
最初はリヒターなんかにと思ったのに……。

「あぁっ…!やぁっ…!」
「ミュゼ…可哀想にな?いくらロキ王子の命令とは言え、友人によがらされるなんて…」

これまでリヒターのことはよく知っていると思っていたのに、その時ばかりは別で、玩具の使い方ひとつとってみてもロキ王子仕込みなのか巧みに使われてあっという間にイク寸前へと持ち込まれてしまった。
なのにイキたくてもイかせてもらえず涙を流しながら身悶えさせられてしまう。

「んやぁっ!ひぁっ!イキたい…!イキたいぃっ!」
「これからはロキ王子の前では暴走せず従順になるか?」
「うぅ…や…いやだぁ…っ。無理…ぃ……!」
「じゃあまだダメだな」

そんな言葉と共に前に入れられた玩具でグリグリと前立腺を嬲られ、中イキさせられる。

「────っ!!あ…あぅ……」

早くそれを抜いて思い切りイかせてほしい。
でももっと虐めて欲しい。
そんな思いで頭の中がぐちゃぐちゃになる。
そうこうしているうちにカリン王子がリヒターを呼びに来て、物凄く半端なところで終わられてしまった。
今でもあの時のカリン王子の酷い言葉は忘れない。

「ミュゼ?ククッ…辛そうだな?だが俺は助ける気はないぞ?お前はそのまま放置プレイだ」

(酷い!!)

前と後ろに玩具を入れられたままどうすることもできずに放置されたこちらの気持ちをわかってほしい。
そのままリヒターが戻ってくるまで放置され、少しは反省したかと問われてグスグス本気で泣いた。
リヒターは呆れたようにしながらも励ましてくれたけど、カリン王子はひたすら冷たかったのだ。
それがかつての部下に対する仕打ちなのかと思ったけど、返ってきた答えは『虐められて本望だろう』だけだった。
泣けてくる。

その後リヒターから呆れたようにおかしなアピールをするくらいなら役に立てと言われてしまった。
その方が覚えも良くなるし、好意的に見てもらえるようになれば閨にだって呼んでもらえるようになるかもしれないだろうと言われて心を入れ替え、国際会議の場でも役に立ってみた。
そうしたら傍に居るのを許されるようになり、各国の主要メンバーとのマニアックな会話について紙に書いておいてくれないかと頼ってもらうこともできた。
これは非常に嬉しいことで、もちろん張りきって書きつけておいた。
しかもその夜は外でのプレイを見学させてもらえる名誉まで…!
本当は自分を虐めて欲しかったけど、他でもない護衛のうちの一人として近衛よりも自分を選んでもらえたのでおとなしく我慢し、周囲を警戒はしつつもロキ王子の声を聞きながら妄想に耽った。

因みにその時ロキ王子が投げ捨てた自身を模したという張り型はいらないなら欲しいと思ったが、リヒターが回収してカリン王子に渡してしまったので非常に憎らしい思いをしたものだ。
あれがあればロキ王子に抱いてもらっているという疑似体験ができたのに…。
そんな思いを抱いていたのがバレたのか、ある日カリン王子に呼び出されリヒターに犯されるという事態になってしまった。

ロキ王子はカリン王子を可愛いだの優しいだの言っているが、この人は本質的に王族特有の傲慢さを持ち合わせていて、それこそブルーグレイに行くまでは王太子として完璧なふるまいをしていたのだ。
言ってみればロキ王子の前にいるカリン王子こそが自分からすればおかしい姿であると言える。
そんなカリン王子が以前のように不敵な笑みで残酷に告げてくる。

「ミュゼ?今日はロキに懸想するお前にここらでしっかりとわからせてやりたいと思ってな」
「……カ、カリン王子?」
「玩具で甚振られるだけではなく、ロキに抱かれたいと…そう思っているんだろう?」
「な…何のことだか……」

けれど口先だけで逃がしてくれる相手でないのは元補佐官である自分が一番よくわかっている。
カリン王子の暗部は優秀だし、きっとそのあたりで確信を持てる情報でも手に入れたのだろう。
こうなっては容易に逃げられるはずがない。

「リヒター。抱け」
「……っ!カリン王子!」

許してくださいと懇願したけれどカリン王子の命令は絶対で、リヒターは困ったようにしながらも命令には逆らえず、そのまま私を押し倒してきた。
正直不特定多数に輪姦されなくてよかったとは思うが、友人と思っていた相手に抱かれるのは恐怖以外の何ものでもない。
玩具で甚振られるのとは大違いだ。
でも────。

「悪いなミュゼ。でもできるだけ気持ちよくしてやるからちょっと我慢しろよ?」

リヒターは真面目な奴だから、カリン王子に聞こえないように小声でそんな言葉を掛けながら丁寧に抱いてくれた。
玩具で嬲られた時にも思ったが、リヒターに翻弄されるのはとても気持ちいい。
恐らくそのテクニックはロキ王子仕込みなのだろう。
下手なはずがない。

「あ…あぁんっ!」

結果的に私はリヒターに溺れるように抱かれてしまい、『もう二度とロキに懸想をするな』と吐き捨てるように言ってきたカリン王子の言葉を聞きながら気を失った。

それからはロキ王子に以前のように突撃したりすることはなくなったが、想いは胸に秘め続けている。
そしてそうなると必然的に衝動は他へと向かうことになって…。

「リヒター…早く」

リヒターは全く乗り気ではないけれど、誘ったら抱いてくれるようになった。
多分一方的に処女を奪ってしまったから責任を取ってくれているんだろう。
バカな奴だ。
カリン王子を見ていればわかるだろうに。
私もカリン王子も結局は同じ穴の狢で、利用できるものは全て利用するのだ。
そんな相手に律儀に義理立てする必要などないというのに…。

「あ…んんんんん……」

それでもこうして抱かれるのは気持ちいいからわざわざ教えてやるつもりはない。

「は…あんっ!」
「ミュゼ…気持ちいいか?」
「あ…もっと激しく…して欲しっ…!」
「仕方がないな。じゃあ今日はこの間ロキ王子がカリン王子にしていたことをしてやろうな」

そんな風にたまに嬉しいことを口にしながら可愛がってもらえるのがどうしようもなく嬉しいから…。

「やぁあっ!くるひぃいっ!」

前を戒めながら中を擦り突かれ前立腺を責められまくり、あまりの快楽にどんどん堕とされていく。

「あ…あひっ!そんなにしないでぇえぇぇっ!」
「ロキ王子はこれで前に挿入して更に虐めてたぞ?」

そう言いながらツプツプ…と限界まで勃ち上がった私のペニスにゆっくりとプジーが差し込まれた。
正直この状態でそんなことをされたら耐えられるはずがない。
ビックンビックン身を震わせながら中イキし、死ぬと叫びながら白目を剥いて気絶してしまった。

その後起きたらリヒターに腕枕をされていて、大丈夫かと弱ったような顔で訊かれ真っ赤になってしまう。
まさかあんな快楽があったなんて…。思い出すだけでたまらない気持ちになってしまった。
でも他の誰でもない。リヒターにそうされたから別に嫌ではなかったと思えて、戸惑いを隠せない。

自分が慕っているのは間違いなくロキ王子で、スカーレットという婚約者だっているのにどうしてリヒターにこんな気持ちになっているんだろう?
快楽に染められすぎて頭がおかしくなってしまったのだろうか?
恋人のように優しくしてもらっているわけでなく、リヒターはあくまでもリヒターだ。
リヒターは友人で、それ以上でもそれ以下でもない。
それなのに……何故かもっと抱いてほしくなる。

「今日は泊っていくか?」

そんな…なんでもない言葉が嬉しくなる。

「…………ああ」
「そうか。じゃあ適当にシャワーも使っていいからな」

そんなことを言いつつもう既に身体を綺麗にしてくれているのだって知っている。

(……私達は友人同士だ)

だからこんな────もっと抱いてほしいなんて気持ちには蓋をすべきだ。

(でも……。それでも利用する分には構わないだろう?)

互いにロキ王子を想っているのは事実だし、叶わぬ思いを抱えつつ時折肌を重ねることくらいいいはずだ。

「リヒター。また今度愚痴を聞いてくれ」
「はいはい」

お人好しで真面目な友人に付け込むようで悪いとは思うが、これからも宜しくと私はそっと笑みを溢したのだった。

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