【完結】王子の本命~ガヴァム王国の王子達~

オレンジペコ

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29.※国際会議⑭

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国際会議最終日。
今日は条約の見直しメインらしいので宰相と外務大臣が揃って会議に出てくれるらしい。
その分俺は交流会の方に行ってきていいらしいので兄とずっと一緒だ。
これは正直物凄く嬉しい。
だからウキウキ気分で兄と一緒に居たのだけれど…。

気づけばミラルカの皇太子とロッシュ卿とサーディ卿に囲まれてしまっていた。
レオナルド皇子はわからなくもないが、ロッシュ卿とサーディ卿は会議の方に出席しなくてもいいのだろうか?
そう思って聞いてみたら何事も経験だからと次代の宰相候補に任せてみたのだと笑われてしまった。
なるほど。確かに良い経験になりそうな気はする。
ちなみにレオナルド皇子は二人とは初面識だったらしいのだが、気づけば話が盛り上がっていた。

「ロキ王子はスパンキングも得意なのですな」
「そうなんですよ。本当に絶妙な尻叩きで…」

何故か嬉しそうに話すレオナルド皇子だが、それを見た兄に「皇子に何をした?!」という目で見られてしまった。
ただ謝罪方法を教えただけだったのに、どうしてこんなことに…。

「何でもできますなぁ。もしやロキ王子は道具の方もお詳しいのでは?」
「夜のですか?まあそれなりに」
「それならフォルティエンヌ国のジョン殿をご紹介しましょう!彼は素晴らしい世界屈指の魔道具師でして、趣味でそちらの道具も作っているんですよ」

そんなこんなで「いいのかな?」と思いながら二人三人と紹介され、やけにみんな(俺は除く)で盛り上がってしまったのだが国同士の交流はいいのだろうか?

(いや、でもこれもある意味交流…なのかな?)

兄はすっかり諦めたような顔をしているが、逆にレオナルド皇太子は興味津々といった様子で目を輝かせながら話に加わっているし、誰も何も言わないからきっといいのだろうと割り切ることにした。

ちなみにこの状況下で兄が敢えて席を外さなかったのは、レオナルド皇子が俺の片腕にしがみ付いて離れなかったからだ。
本人は大親友アピールのようだったが、正直鬱陶しくて仕方がなかった。
兄が傍を離れず妬いてくれているのがわかったので悪い気はしなかったが、どうせならレオナルド皇子ではなく兄に同じようにして欲しかったくらいだ。絶対にその方が嬉しい。
離れてくださいと言ってもレオナルド皇子は「照れなくてもいいのに~」と聞いてくれなかったので、兄が終始俺とレオナルド皇子を離そうと隙を狙ってはグイッと引っ張ってくれたけど、意外にもレオナルド皇子はしぶとかった。
結局どう足掻いても離してくれなかったので、兄は拗ねたようにそっと俺の小指を握ってきたんだけど…。

(か…可愛すぎますよ、兄上……)

兄のそんな可愛い焼きもちに胸が弾むほど嬉しくなってしまった。
とは言えやっぱり人前だと堂々とイチャイチャできないのが辛い。
早く二人きりになりたくてもやもやが募る。

「いやぁ…まさかロキ王子がこんなにも多才な方だったとは」
「本当に。特に魔道具の新しい発想には驚かされました。あれは色々応用が利きますよ。帰ったら早速ひとつ作ってみるので是非お試しください。すぐにでも送らせて頂きますので」
「私ももっと鞭の素材を見直して色々作らせてみようかと思いましたよ。今日は新しい視点でご意見を聞かせて頂けて本当に目から鱗でした」
「私もですな。緊縛用の薄衣なんて最高ではないですか!是非試作品を送って下され!」
「あ、俺も尻叩き用の鞭を送ってほしいな。お仕置き用に母上にでも渡しておこうかなって思ってたのを忘れてた」
「私は是非躾け方の本でも作って送ってほしいですね。我が国は上の者ほど腐っていることが多くて辟易していたので、ロキ王子の方法を是非参考にさせていただきたいです」
「…………わかりました」

俺は兄と居たかっただけなのにどうしてこんなことに…と思いながらそれぞれの要望を一応ミュゼに言って書きつけさせておく。
忘れそうだから仕方がない。

(折角の兄上との時間が…)

交流会だし仕方のないことではあったが、俺はガックリ肩を落としながら深く深く息を吐いた。

それから夕刻のパーティーまで兄にしっかり甘えて、行きたくないですと駄々をこね、無理矢理連れていかれた先でまた彼らに捕まってしまい更なる趣味仲間が増えた。

ロロイア国の薬の効き目がいいのは知っていたけど、媚薬も有名とは知らなかったのでポロッと溢したらそこからまた話が膨らんで、色んな種類があるのですよと熱く語られた。
するとそこからまた人が増えて、薬草毒草の話になってホッとしたところで道具の話になって、また雲行きが怪しくなったと思ったら拘束具の話になってそこからロッシュ卿が緊縛の話に持っていって、俺の話になってと延々と話が終わらない。
完全に興味がないわけでもなかったのでポロポロと質問や説明を挟んだりしたのがいけなかったようで、結局また抜け出すタイミングを逃してしまったのだった。

正直言って最終的に興味がなかったはずの人達まで興味を持ったのが一番の謎だ。
ロキ王子に是非一度叩かれてみたいですって…どうしてそうなった?
国際会議には変態しか来ていないのだろうか?
ちょっと疑いたくなってしまうほど変わった人達の集まりだった気がする。

今日話した中で変態じゃないのはセドリック王子くらいのものではないだろうか?
そう言えば今日はこの後花咲き乱れる庭園でするって言ってたから、そちらには近づかないように気をつけておかないと。

そうこうしているうちにパーティ自体がお開きになったので、今日こそは俺も兄と外でヤるぞとリヒターに護衛を頼んでから目をつけていた庭園へと向かった。
まだ残党がいてはいけないからと他の近衛達も付き合うと言ってきたが、正直俺は彼らを信頼していない。
だからどうしてもと言うならリヒターと騎士団長とミュゼの三人に頼むとだけ言って、残りは明日の帰国準備を任せた。
これできっと大丈夫だろう。

「ロキ…」

ライトアップされた庭園の大きな噴水の下、そっと兄に口づけをすると戸惑うように周囲を見回すが、会場担当者によるとここは穴場スポットらしく、周辺に宮中の者達が頻繁に出入りする場所(食堂や使用人部屋など)がないため夜間は静かでヤりやすいとのこと。
ロマンチックな場所なので元々皇族がこっそり恋人と密会する場所なのだとも聞いた。
他にも色々素敵な場所を教えてもらったが、水辺と言うのがポイントが高くて今日はここにしたのだ。

「兄上。水辺でするのは初めてですね」
「…え?」
「鏡とはまた違って兄上の顔が可愛く水面に映るんじゃないかと思って楽しみにしてたんです」
「あ…そんな……」
「嫌じゃないでしょう?」
「う…」
「兄上が興奮するのがちゃんとわかっててここにしたんですよ?」
「ん…ロキ……」
「ちゃんと俺に犯される兄上の顔がどれだけ可愛いのか、見ていてくださいね?」
「んんっ…あっ…」

そして噴水の淵に手を置かせ、ゆっくりと兄の身体をまさぐり始める。

「護衛の三人が気を散らしてもいけませんから、声は抑えてくださいね?」
「ん…ふぅぅ……」
「今日は口枷を持ってきていないので、キスで塞いであげましょうか」

今は懐に特別な玩具を入れているため、口枷を持ってこなかったのだ。
でもその分沢山兄とキスできるから嬉しくはあった。

「はふっ…んぁっ…」

じわりじわりと性感帯を責め、兄の情欲を煽っていく。

「ああ…暗い中ライトで照らされる半裸の兄上も蠱惑的で素敵ですね。とってもそそられます」
「やぁ…」
「ほら、見てください。段々蕩けていく表情が水面に映っているでしょう?俺が大好きなのは兄上のこの顔なんですよ?」
「ひぅうっ!」

表情の蕩け具合がわかるようにゆっくりと指で後孔の中をかき混ぜて前立腺を捏ねるように嬲ってやると、あっという間に気持ちよさそうな顔へと変化していく。

「はぁあんっ!んっんっ!」

一生懸命腰を振って甘い声を我慢する姿は誘っているようにしか見えない。

「ああ…本当に可愛い。こんな場所で発情する兄上を堪能できるなんて夢のようです」

他国でこんなことができるなんて、なんて背徳的なんだろう?
教えてくれた会場担当者には改めて礼を言ってから帰りたいものだ。

「今日は特別な玩具も持ってきたので、挿れてあげますね」
「え?やっ…!あぁあぁあっ!」
「ふふっ…気持ちいいでしょう?兄上が大好きな俺のを模して作ってもらった特注品のディルドですよ?」

どうせなら玩具も自分そっくりなのをと思いついて作らせたけれど、どうだろうか?
そうしてそっと兄の様子を窺うと────。

「あ…あはぁぁっ……」

既にトロトロに蕩け切ってビクビク身を震わせながら中イキしてしまっていた。
しかも腰砕けになるほど感じたのか、支えていないと自力では立てなさそうなほどの状態になってしまっている。

「兄上…どれだけ俺のが好きなんですか?」

ここまで感じられるとなんだか玩具に嫉妬してしまいそうだ。

「…………やっぱり玩具より俺の方がいいって言ってほしいので、……これは廃棄で」

そう言って抜こうとしたら蕩け切っていたはずの兄がハッと我に返って、嫌だと駄々をこね始めた。

「あ…いやっいやぁ!それは捨てちゃ嫌ぁ!」
「…兄上を取られそうで嫌なので捨てます」
「ロキぃ…ロキのが大好きだから捨てないでぇ…」
「俺より玩具がいいなんて耐えられません」
「ロキの方がいいけど、ロキのを舐める練習に使うからぁ……」
「…………」
「お願い…。大事にするから捨てないで…」
「…………俺より玩具の方がいいとか言いませんか?」
「言わない…」
「じゃあそれは兄上の自慰が見たくなった時の視姦用に取っておきます」

それでいいですかと尋ねたらそれはもう嬉しそうに微笑まれた。
そんなに気に入ってくれたのはいいけど、やっぱり俺より好きとか言われそうで本気で嫌だ。

「……なんだかとっても腹立たしいので今日はこのまま慣らして二輪挿しにしますね?」
「えっ?!」
「二人分の俺でも頑張って頬張ってくれるでしょう?」

そう言いながらそっと腰を撫で上げると、サッと顔を青褪めさせてふるふると首を振り始めた。

「あ…絶対無理ぃ……」
「物は試しです。ね?兄上」

にっこり笑って有無を言わさずそのまま後ろを慣らして広げようとしたけれど、そもそもディルドを挿れただけで腰砕けになっていた兄がそれを何度も動かしてやるのに耐えられるわけがなかった。
嫉妬から少々乱暴に嬲ってしまったのも悪かったのかもしれない。

「あ…ひぁあっ!イクッ!ふぐぅっ…!!」

声が我慢できなくなるほど感じてしまった兄の口に指を入れて蹂躙してやるが、それさえ感じるとばかりに身を震わせ何度も中イキしてしまう。
そしてそのまま絶頂から降りられなくなって快楽堕ちしてしまい、とてもではないが自分のものを挿れられる状況ではなくなってしまった。

(最悪だ……やっぱりこれは捨てよう)

これじゃあ二輪挿しは絶対に無理だなと思って、そっとそれを抜いて地面に投げ捨てるとゆっくりと兄へと自身を埋め込んだ。
中イキしている兄の中はとても気持ち良くはあったけど、やっぱり自分のもの以外でこんな風になられたことになんだかモヤモヤしてしまう。
仕方がないから完全に脱力してしまっている兄を抱きしめながら唇をそっと塞ぎ、地面に落としたそれを視界に入れないようにしながら噴水の淵に腰掛け奥まで念入りに犯してあげた。

「あ…も、しんじゃうぅ……」
「兄上。忘れないでくださいね?この一番奥に子種を注げるのはあんな玩具じゃなく、俺だけだってことを…」

そして甘く締め付けてくるその最奥へと、俺は思い切り嫉妬をぶつけたのだった。

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