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26.※国際会議⑪
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「兄上、今日は自分で後ろを慣らすところを見させてください」
パーティー会場を今日も途中で抜け出した俺は部屋に戻り兄にそうやってお願いしていた。
その言葉に兄は真っ赤になりながらも胸元をはだけさせ、下穿きを中途半端に脱いだ状態で高く腰を上げその手に潤滑油を垂らすとゆっくりと後孔へと指をのばした。
「ふ…んうぅ……」
ゆっくりと中に入っていく指。
それでもブルーグレイで教えられたように懸命にほぐす姿がいじらしくて可愛い。
「あ…あんっ…」
気づけばじゅぷじゅぷと指を増やして夢中でほぐしていて、そのあまりの淫靡さにゴクリと唾を呑んでしまう。
「兄上。まだ三本ですよ。両手で二本づつ入れたら四本入るでしょう?やってみてください」
「んっんっ……」
そう促すだけでちゃんと指示通り四本に増やす兄につい恍惚とした目を向けて視姦してしまった。
自ら正装を乱し、気持ちよさそうに自慰に耽る兄は見ていて最高だ。
「はぁ…ん。ロキ、早くきてぇ……」
しかもゆらゆらと尻を振りながらそんなおねだりまでしてくるなんて、ゾクゾクしてたまらない。
「兄上。今日もノリノリですね」
「あ…だって、ロキがずっと傍に居てくれないから…」
「寂しかったんですか?ロッシュ卿を紹介してくれたのは兄上でしょう?」
「でも…あんな趣味があったなんて知らなかったし…」
「そうですか。それなら仕方ないですね」
そう言ってギシッとベッドに乗り上げ、そっと兄の後孔へと顔を近づける。
「兄上、そのまま両手で広げていてくださいね?」
「え?やっ…!」
逃がさないとばかりに兄の両手首を掴み、そのまま左右にグイっと引っ張ってやると指の入っていた後孔の中が目の前へと曝け出された。
「やぁっ!見ないでっ!中まで見ちゃダメぇっ!」
「赤くて可愛い下の口が物欲しげにキスしてって言ってるのにそんなこと言わないでください」
そしてフフッと笑ってそのままディープキスをするようにゆっくりと舌を挿し入れてやった。
「ひやぁあっ!ゆる、許してぇっ!」
湯も浴びてないのにそんなところを舐めたら汚いと泣いて逃げようとされたけど、兄は俺をわかってない。
「んっ…。兄上?兄上に汚いなんて思うわけないでしょう?寧ろ色んな兄上を沢山味わわせてください」
「ひぃっ!やめてぇ…っ」
そしてよがって逃げようとする兄を押さえつけ、中をたっぷりと舌で蹂躙し、時にはちゅぅと吸って身悶える兄を堪能した。
「あ…あひぃ……ッ」
慣れない刺激にガクガクと腰を震わせ、目がうつろになるほど快感を甘受した兄に満足げに笑う。
そんな可愛い兄の男根の付け根に持っていたリボンをキュッと強めに結んであげた。
「兄上。そろそろ挿れてあげますね?」
そしてそう声をかけ、穴から指を抜かせるとゆっくりと身を沈めていった。
「あ…あぁあああっ!!」
先程の快感の余韻からか、まるでそうされるのを待っていたかのようにあっという間に奥までのみ込み、離さない言わんばかりにきゅうきゅうと締め付けてくる可愛い兄に笑みがこぼれ落ちる。
「は…ぁん」
「兄上。ほら、こっちに来てください」
そして背面座位の姿勢になるよう兄の身体を引き寄せて、そのまま足を大きく広げるように両腕で支えながら思い切り下から突き上げた。
「んひぃいいぃっ!」
突然奥まで突き挿れられた兄が身を反らしながら悲鳴を上げる。
どうやら奥に挿れたと同時に達してしまったらしい。
物凄く気持ちよさそうだ。
「ふふっ…ここ、大好きですもんね」
「ひぁあっ!ひやぁあっ!」
涎を垂らして結腸に入った俺を悦ぶ兄を優しく抱きしめてあげると、舌ったらずな声でご主人様と言い始めた。
「ごひゅじんしゃまぁ…。あ、も、そこ、ダメぇぇ…。もっと沢山虐めてぇ…っ」
「いいですよ?兄上が好きなだけ突いてあげますね?」
ズンッと遠慮なく突き上げると気持ちいい気持ちいいと啼き始め暫くそのまま中イキをしながら楽しんでいたけれど、そのうち出したいのに出せなくて苦しいとグスグス泣き始めた。
「そうですね。今日は前にリボンをつけてますし、我慢してください」
「んぅっ!いや、いやぁ…!」
「中イキも好きでしょう?」
「前も出したいのぉ…」
「ちゃんと後で出させてあげますよ。ちょっと体位を変えて抱っこにしてあげますから、もう少しだけ我慢してください」
「あ…ロキ、ロキぃ…」
一度抜いて対面座位にしてあげたら今度は抜かないでと泣かれてしまった。
一生懸命抱きついてくる兄が可愛い。
今日は離れていた時間があった分、お詫びとして可愛がろうと思ったのに本当に仕方のない人だ。
やっぱり『普通』よりも、沢山道具を使って可愛がられる方が好きなんだなと俺が思っても仕方がないと思う。
「そんな兄上にはこれを挿れてあげましょう」
外務大臣からこのプジーは凄いんですよと渡されたものだ。
一見普通のものより少し太いだけのように見える凹凸のついたこのプジー。
でも────。
「あ…いつものより太いぃ…」
つぷつぷと前に入れても兄は慣れたものであっという間に受け入れてしまう。
「全部入りましたね」
そして俺は先端の魔石にそっと指を触れた。
「え?あ、何?あ…あぁああああっ!」
兄はそのプジーの本当の効果を知って唐突に襲われた快感に逃げようと身を捩った。
でもしっかり腰を支えた俺からは逃げられない。
「さあ兄上。前と後ろ、両方で堪能してくださいね?」
振動するプジー。
突き上げられる後孔。
そんな両方からの刺激に震え、嬌声を上げた兄をうっとりと見つめながら、そっと胸の突起を吸ったり舐めたりしながら堪能する。
「んひっ!とめ、止めてぇ…!」
「いいですよ?」
そして振動を止めたら今度はその太めのプジーを上下させてやる。
敏感になった内部を凹凸が嬲るので更に気持ちがいいらしい。
「ひぃいっ!きもひいぃよぉ…っ!腰、止まらないぃいっ!」
「ああ、兄上。そんなに涎を垂らして。可愛すぎです」
それから前のリボンは解いてあげたけど、何度も『振動させては止めて上下させる』を繰り返しながら前立腺を嬲り身悶えるその姿を堪能した。
「んぁあっ!しょんなにしないでぇえっ!おかしくなっちゃうぅっ!」
「兄上っ!」
感じすぎた兄が後孔を締め付ける度にイキそうになるが、それを何度もやり過ごし中に出すのを耐え忍ぶ。
気持ち良くてたまらないが兄ばかり我慢させる気もない。
そして最終的にぐずぐずになって白目を剥いて気絶した兄に思い切り白濁をかけてやり、まるでレイプでもされたかのような風情になった姿を息を整えながら見降ろした。
上半身はぐちゃぐちゃに乱れた正装。下半身はすっかり取り払われて白い肌が露出した状態。そこにかけられた精液────。おまけに気持ちよさそうな顔で笑ったように気絶しているから物凄く刺激的に見える。
「はぁ、本当にエロくてたまらない。…………可愛すぎて絵に残したい」
ついついうっとり視姦してしまうそんな俺に後ろから呆れたように声をかけてくるリヒター。
「ロキ王子は相変わらずですね。お望みなら今度画家でも呼びましょうか?ロキ王子がお好きなカリン王子の可愛い姿がいつでも見放題になりますよ?」
「そうだな。良い画家を探しておいてくれ」
「半分冗談だったんですが?」
「半分は本気で言ってくれたんだろう?」
ふふふと笑いながらそう言ってやるとまあそうですねと笑ってくれたので、そのまま兄を綺麗にしてやってほしいと頼み、俺もシャワーへと向かった。
***
リヒターにそのまま兄を任せ、俺は騎士団長と共にそっと外に出た。
月明りの中二人で回廊を歩きながら静かに話す。
「暗殺者はまだ居るかな?」
「そうですね。くるなら今日も狙ってくるでしょうが…」
それを確かめるための囮になる自分。
本当は反対されたのだけど、昼間に動きがなかったようだし仕方がない。
寝込みを襲われ兄に何かあったら困ると思い断行した。
「騎士団長は父上との付き合いも長いし、俺が気に入らないと思ったりはしないのか?」
「まさか。それよりロキ王子のところに騎士団から送られていた教育係がどうしようもないクズばかりだったとリヒターから聞いて本当に申し訳なく思っているのです」
暇な者に行かせればいいと安易に考え指示を出していた自分が情けないと騎士団長は肩を落とすが、まあ王子を虐待するなんて普通思わないよなと思い、気にする必要はないとだけ言っておいた。
どうせもう過ぎたことなのだ。
今更それをどうこうできるはずもない。
「ロキ王子は随分リヒターを信頼なさっていますね」
「そうだな」
「何か理由でも?」
唐突にそう聞かれたけれど、逆に俺は聞きたい。
「他の近衛とリヒターの違いを騎士団長が見てわからないとでも?」
「…………愚問でしたな」
信頼があるのは態度がそもそも他の者達と違うからだ。
単なる職務だけで動く他の近衛達と俺に正面から向かいあってくれているリヒターでは全然違う。
あれだけ真摯に向き合い付き合ってくれているリヒターに信頼を置かず何を置くのだと。
リヒターだから兄を任せられるし、何度も三人での閨に誘うのだと思う。
多分最初に紹介されたのがリヒターでなければ3Pの相手は毎回変わっていたことだろう。
「はぁ…。リヒターが羨ましいですな」
「そうか?」
俺の信頼など別に欲しくはないだろうにと思いながら騎士団長を見遣ると、少し寂し気な顔で微笑まれてしまった。
そんな俺達のところに唐突に矢が飛んできて、騎士団長がそれを剣で叩き落とす。
「何者だ?!」
けれど相手はそれには答えず次々とこちらへと矢を放ってきた。
────どうやら父は本気で俺を殺したいらしい。
パーティー会場を今日も途中で抜け出した俺は部屋に戻り兄にそうやってお願いしていた。
その言葉に兄は真っ赤になりながらも胸元をはだけさせ、下穿きを中途半端に脱いだ状態で高く腰を上げその手に潤滑油を垂らすとゆっくりと後孔へと指をのばした。
「ふ…んうぅ……」
ゆっくりと中に入っていく指。
それでもブルーグレイで教えられたように懸命にほぐす姿がいじらしくて可愛い。
「あ…あんっ…」
気づけばじゅぷじゅぷと指を増やして夢中でほぐしていて、そのあまりの淫靡さにゴクリと唾を呑んでしまう。
「兄上。まだ三本ですよ。両手で二本づつ入れたら四本入るでしょう?やってみてください」
「んっんっ……」
そう促すだけでちゃんと指示通り四本に増やす兄につい恍惚とした目を向けて視姦してしまった。
自ら正装を乱し、気持ちよさそうに自慰に耽る兄は見ていて最高だ。
「はぁ…ん。ロキ、早くきてぇ……」
しかもゆらゆらと尻を振りながらそんなおねだりまでしてくるなんて、ゾクゾクしてたまらない。
「兄上。今日もノリノリですね」
「あ…だって、ロキがずっと傍に居てくれないから…」
「寂しかったんですか?ロッシュ卿を紹介してくれたのは兄上でしょう?」
「でも…あんな趣味があったなんて知らなかったし…」
「そうですか。それなら仕方ないですね」
そう言ってギシッとベッドに乗り上げ、そっと兄の後孔へと顔を近づける。
「兄上、そのまま両手で広げていてくださいね?」
「え?やっ…!」
逃がさないとばかりに兄の両手首を掴み、そのまま左右にグイっと引っ張ってやると指の入っていた後孔の中が目の前へと曝け出された。
「やぁっ!見ないでっ!中まで見ちゃダメぇっ!」
「赤くて可愛い下の口が物欲しげにキスしてって言ってるのにそんなこと言わないでください」
そしてフフッと笑ってそのままディープキスをするようにゆっくりと舌を挿し入れてやった。
「ひやぁあっ!ゆる、許してぇっ!」
湯も浴びてないのにそんなところを舐めたら汚いと泣いて逃げようとされたけど、兄は俺をわかってない。
「んっ…。兄上?兄上に汚いなんて思うわけないでしょう?寧ろ色んな兄上を沢山味わわせてください」
「ひぃっ!やめてぇ…っ」
そしてよがって逃げようとする兄を押さえつけ、中をたっぷりと舌で蹂躙し、時にはちゅぅと吸って身悶える兄を堪能した。
「あ…あひぃ……ッ」
慣れない刺激にガクガクと腰を震わせ、目がうつろになるほど快感を甘受した兄に満足げに笑う。
そんな可愛い兄の男根の付け根に持っていたリボンをキュッと強めに結んであげた。
「兄上。そろそろ挿れてあげますね?」
そしてそう声をかけ、穴から指を抜かせるとゆっくりと身を沈めていった。
「あ…あぁあああっ!!」
先程の快感の余韻からか、まるでそうされるのを待っていたかのようにあっという間に奥までのみ込み、離さない言わんばかりにきゅうきゅうと締め付けてくる可愛い兄に笑みがこぼれ落ちる。
「は…ぁん」
「兄上。ほら、こっちに来てください」
そして背面座位の姿勢になるよう兄の身体を引き寄せて、そのまま足を大きく広げるように両腕で支えながら思い切り下から突き上げた。
「んひぃいいぃっ!」
突然奥まで突き挿れられた兄が身を反らしながら悲鳴を上げる。
どうやら奥に挿れたと同時に達してしまったらしい。
物凄く気持ちよさそうだ。
「ふふっ…ここ、大好きですもんね」
「ひぁあっ!ひやぁあっ!」
涎を垂らして結腸に入った俺を悦ぶ兄を優しく抱きしめてあげると、舌ったらずな声でご主人様と言い始めた。
「ごひゅじんしゃまぁ…。あ、も、そこ、ダメぇぇ…。もっと沢山虐めてぇ…っ」
「いいですよ?兄上が好きなだけ突いてあげますね?」
ズンッと遠慮なく突き上げると気持ちいい気持ちいいと啼き始め暫くそのまま中イキをしながら楽しんでいたけれど、そのうち出したいのに出せなくて苦しいとグスグス泣き始めた。
「そうですね。今日は前にリボンをつけてますし、我慢してください」
「んぅっ!いや、いやぁ…!」
「中イキも好きでしょう?」
「前も出したいのぉ…」
「ちゃんと後で出させてあげますよ。ちょっと体位を変えて抱っこにしてあげますから、もう少しだけ我慢してください」
「あ…ロキ、ロキぃ…」
一度抜いて対面座位にしてあげたら今度は抜かないでと泣かれてしまった。
一生懸命抱きついてくる兄が可愛い。
今日は離れていた時間があった分、お詫びとして可愛がろうと思ったのに本当に仕方のない人だ。
やっぱり『普通』よりも、沢山道具を使って可愛がられる方が好きなんだなと俺が思っても仕方がないと思う。
「そんな兄上にはこれを挿れてあげましょう」
外務大臣からこのプジーは凄いんですよと渡されたものだ。
一見普通のものより少し太いだけのように見える凹凸のついたこのプジー。
でも────。
「あ…いつものより太いぃ…」
つぷつぷと前に入れても兄は慣れたものであっという間に受け入れてしまう。
「全部入りましたね」
そして俺は先端の魔石にそっと指を触れた。
「え?あ、何?あ…あぁああああっ!」
兄はそのプジーの本当の効果を知って唐突に襲われた快感に逃げようと身を捩った。
でもしっかり腰を支えた俺からは逃げられない。
「さあ兄上。前と後ろ、両方で堪能してくださいね?」
振動するプジー。
突き上げられる後孔。
そんな両方からの刺激に震え、嬌声を上げた兄をうっとりと見つめながら、そっと胸の突起を吸ったり舐めたりしながら堪能する。
「んひっ!とめ、止めてぇ…!」
「いいですよ?」
そして振動を止めたら今度はその太めのプジーを上下させてやる。
敏感になった内部を凹凸が嬲るので更に気持ちがいいらしい。
「ひぃいっ!きもひいぃよぉ…っ!腰、止まらないぃいっ!」
「ああ、兄上。そんなに涎を垂らして。可愛すぎです」
それから前のリボンは解いてあげたけど、何度も『振動させては止めて上下させる』を繰り返しながら前立腺を嬲り身悶えるその姿を堪能した。
「んぁあっ!しょんなにしないでぇえっ!おかしくなっちゃうぅっ!」
「兄上っ!」
感じすぎた兄が後孔を締め付ける度にイキそうになるが、それを何度もやり過ごし中に出すのを耐え忍ぶ。
気持ち良くてたまらないが兄ばかり我慢させる気もない。
そして最終的にぐずぐずになって白目を剥いて気絶した兄に思い切り白濁をかけてやり、まるでレイプでもされたかのような風情になった姿を息を整えながら見降ろした。
上半身はぐちゃぐちゃに乱れた正装。下半身はすっかり取り払われて白い肌が露出した状態。そこにかけられた精液────。おまけに気持ちよさそうな顔で笑ったように気絶しているから物凄く刺激的に見える。
「はぁ、本当にエロくてたまらない。…………可愛すぎて絵に残したい」
ついついうっとり視姦してしまうそんな俺に後ろから呆れたように声をかけてくるリヒター。
「ロキ王子は相変わらずですね。お望みなら今度画家でも呼びましょうか?ロキ王子がお好きなカリン王子の可愛い姿がいつでも見放題になりますよ?」
「そうだな。良い画家を探しておいてくれ」
「半分冗談だったんですが?」
「半分は本気で言ってくれたんだろう?」
ふふふと笑いながらそう言ってやるとまあそうですねと笑ってくれたので、そのまま兄を綺麗にしてやってほしいと頼み、俺もシャワーへと向かった。
***
リヒターにそのまま兄を任せ、俺は騎士団長と共にそっと外に出た。
月明りの中二人で回廊を歩きながら静かに話す。
「暗殺者はまだ居るかな?」
「そうですね。くるなら今日も狙ってくるでしょうが…」
それを確かめるための囮になる自分。
本当は反対されたのだけど、昼間に動きがなかったようだし仕方がない。
寝込みを襲われ兄に何かあったら困ると思い断行した。
「騎士団長は父上との付き合いも長いし、俺が気に入らないと思ったりはしないのか?」
「まさか。それよりロキ王子のところに騎士団から送られていた教育係がどうしようもないクズばかりだったとリヒターから聞いて本当に申し訳なく思っているのです」
暇な者に行かせればいいと安易に考え指示を出していた自分が情けないと騎士団長は肩を落とすが、まあ王子を虐待するなんて普通思わないよなと思い、気にする必要はないとだけ言っておいた。
どうせもう過ぎたことなのだ。
今更それをどうこうできるはずもない。
「ロキ王子は随分リヒターを信頼なさっていますね」
「そうだな」
「何か理由でも?」
唐突にそう聞かれたけれど、逆に俺は聞きたい。
「他の近衛とリヒターの違いを騎士団長が見てわからないとでも?」
「…………愚問でしたな」
信頼があるのは態度がそもそも他の者達と違うからだ。
単なる職務だけで動く他の近衛達と俺に正面から向かいあってくれているリヒターでは全然違う。
あれだけ真摯に向き合い付き合ってくれているリヒターに信頼を置かず何を置くのだと。
リヒターだから兄を任せられるし、何度も三人での閨に誘うのだと思う。
多分最初に紹介されたのがリヒターでなければ3Pの相手は毎回変わっていたことだろう。
「はぁ…。リヒターが羨ましいですな」
「そうか?」
俺の信頼など別に欲しくはないだろうにと思いながら騎士団長を見遣ると、少し寂し気な顔で微笑まれてしまった。
そんな俺達のところに唐突に矢が飛んできて、騎士団長がそれを剣で叩き落とす。
「何者だ?!」
けれど相手はそれには答えず次々とこちらへと矢を放ってきた。
────どうやら父は本気で俺を殺したいらしい。
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