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24.国際会議⑨
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刺客は一先ず引っ捕らえてミラルカの牢へと入れてもらったらしいのだが、その翌朝俺は何故かミラルカの皇太子に呼び出されていた。
兄も同席すると言ってくれたのだが、先方は俺一人に来てほしいと言っていたので、仕方なく一人で皇太子の元へと向かう。
一体何の用だろう?
その道すがらどこかの姫とすれ違ったので会釈をすると、どこに行くのかと聞かれたので皇太子に呼び出されたのだと答えた。
「まぁ…お兄様に?」
どうやら彼女は皇太子の妹らしい。
話はこれで終わりだろうと思ったのだが、案内役と共に途中まで一緒に行ってくれるとのこと。
それから呼び出される心当たりはあるのかとか、どこの王子かとか色々聞かれたので淡々と答えていく。
「えぇっ?!ガヴァム王国と言うと、カリン王子の弟君ですか?」
「兄をご存じで?」
「ええ。私、ブルーグレイ王国に嫁いでおりまして、その際に案内役を…」
「ああ、なるほど」
どうやら彼女もブルーグレイの関係者だったらしい。
「ブルーグレイの王太子とは昨日も話させてもらいましたが、噂とは違って親切な方でしたね」
「……えっ?!」
「…何か?」
「いいえっ?!なんでもありませんわ。おほほ…」
そんな話をしているうちに皇太子のいる部屋へと到着したので、お礼を言って姫とは別れた。
「失礼します。お呼びと伺いロキ=アーク=ヴァドラシアが参りました」
そう室内に呼び掛けると、すぐさま入ってくれと声をかけられ中へと足を踏み入れる。
「ようこそ、ロキ王子!」
そこにいたのは笑顔が可愛らしいプラチナブロンドの貴公子だった。
恐らく彼がミラルカの皇太子レオナルドなんだろう。
「初めまして!俺はここミラルカ皇国の皇太子、レオナルドだ。ロキ王子は確か同い年だったと思う。どうか気楽に接してくれ」
やけにフレンドリーな皇子だなと思いながら、勧められたソファへと座り用件を聞く。
正直早く兄の元に戻りたい。
でもそんなこちらの心境など知るはずのない皇太子はニコニコしながら世間話を続けた。
一応聞いてはいたが、然程興味を惹かれる内容ではないためほぼ聞き流していた。
そうしてある程度話が終わったところでやっと本題へと入ってくれる。
「それで、ロキ王子を親友と見込んで、是非協力をお願いしたいんだ!」
「…………」
一体いつ自分がこの皇太子と親友になったんだろう?
一方的に話を聞いていただけで親友認定されたのだろうか?
『普通』がわからないからなんとも言えない。
「ロキ王子はセドリック王子と親しいよな?!だから是非、ロキ王子に手助けをして欲しいんだ!」
よくわからなかったので詳しく聞くと、どうやらこの皇太子はあのセドリック王子を怒らせたから謝りたいらしい。
でも謝り方がわからないから助力が欲しい…と。
「なるほど。まあ彼は意外と優しい面もあるようですし、誠心誠意謝れば許してくれるでしょうね」
「そう思うか?!」
「ええ。そういうことなら少しは協力してもいいですよ?」
そう言って懐から尻叩き用の鞭を取り出す。
「じゃあ、まずは謝る練習をしてみましょうか」
「……え?」
「謝りたいんでしょう?」
「あ、ああ。そうなんだけど…?」
「ご安心を。俺がきっちり正しい謝り方を教えてあげますから」
こんな些事はサッサと終わらせて早く兄の元に帰りたい。
だから……今すぐ速やかに覚えてくださいね?
***
「大変、申し訳ございませんでした!!」
「…………」
「うぅ…。他国を巻き込みとんでもないことを要求しようとした私は世界一の愚か者です!踏まれても仕方のない犬です!鞭打たれても文句は言えません!どうかお好きなように罰を与えてくださいー!」
セドリック王子の前で土下座し、床に額を擦りつけながら謝罪をする皇太子。
その横で冷たい眼差しでそんな皇太子を見下ろす俺。
「セドリック王子。レオナルド皇太子はセドリック王子に誠心誠意謝りたいと俺なんかを頼ってきました。どうやら本気で反省しているようなので、後は煮るなり焼くなり本人の望むようにしてやってください」
どうしてもついてきてくれと縋られたので仕方なく付き添ってレオナルド皇子の謝罪っぷりを見る羽目になったが、さっさと終わらせて帰りたい。
覚えが悪くて時間がかかったから段々底冷えするような声で躾けてしまったではないか。
本当にどうしようもない皇太子だな。
こんな親友などいらないのだが?
でも一応約束したから口添えだけはしておいた。
さて、もう帰ってもいいかな?
そう思ってセドリック王子を見ると────。
「ふはっ!はははははっ!!」
何故か大笑いされてしまった。
やっぱり全然怒ってなんていなかったのではないだろうか?
わざわざ俺なんかを頼らなくても、普通に謝れば許してくれたと思う。
何故か後ろにいる姫とアルフレッドの頬は引き攣ってるから、きっと他国の王太子を巻き込むなよとでも思ってくれてるんだろう。
「くっ…はははっ…!ロ、ロキ王子、身内が迷惑をかけたようで申し訳なかったな」
予想通り申し訳ないと思ってくれたのかセドリック王子が謝ってきてくれる。
「いえ。皇太子殿下曰く、俺を親友として頼ってくれたらしいので…」
本人がそう言ったのだからきっとそれでいいのだと思う。
「ククッ…し、親友……。そうか。ではレオナルド皇子への罰はそれに決まりだな」
「……?」
「レオナルド皇子。今後ふざけたことをしでかしたらロキ王子にしっかり躾けてもらうことを罰とする。それに承諾するのなら今回の件は不問としよう」
「…………っ!!」
「……迷惑なのですが?」
なんだかレオナルド皇子は許してもらえたとばかりに顔を輝かせているが、本当にそれでいいのだろうか?
この場合、下手をすればガヴァム王国に皇太子が来てしまうということなのでは?
俺としては迷惑でしかないから断って欲しい。
兄との時間が減ってしまったらどうしてくれるんだろう?
けれど結局そのまま皇太子は承諾の返事を返してしまい、あっさりと解散となってしまったので何も言えなかった。
まあ兄の元に早く帰りたかったので異議申し立てをしなかったとも言えるのだが……。
「「ロキ王子。お世話になりました!」」
去り際に皇太子と姫からそんな風に礼を言われたが、兄との時間が減るからもう二度とこんなことには巻き込まないでもらいたい。
そんな気持ちを込めて言葉を紡ぐ。
「ええ。二度と俺の手を煩わせないでくださいね?」
取り敢えずこれでやっと帰れると思いながら、大きな溜息を吐いて俺は兄の元へと帰ったのだった。
兄も同席すると言ってくれたのだが、先方は俺一人に来てほしいと言っていたので、仕方なく一人で皇太子の元へと向かう。
一体何の用だろう?
その道すがらどこかの姫とすれ違ったので会釈をすると、どこに行くのかと聞かれたので皇太子に呼び出されたのだと答えた。
「まぁ…お兄様に?」
どうやら彼女は皇太子の妹らしい。
話はこれで終わりだろうと思ったのだが、案内役と共に途中まで一緒に行ってくれるとのこと。
それから呼び出される心当たりはあるのかとか、どこの王子かとか色々聞かれたので淡々と答えていく。
「えぇっ?!ガヴァム王国と言うと、カリン王子の弟君ですか?」
「兄をご存じで?」
「ええ。私、ブルーグレイ王国に嫁いでおりまして、その際に案内役を…」
「ああ、なるほど」
どうやら彼女もブルーグレイの関係者だったらしい。
「ブルーグレイの王太子とは昨日も話させてもらいましたが、噂とは違って親切な方でしたね」
「……えっ?!」
「…何か?」
「いいえっ?!なんでもありませんわ。おほほ…」
そんな話をしているうちに皇太子のいる部屋へと到着したので、お礼を言って姫とは別れた。
「失礼します。お呼びと伺いロキ=アーク=ヴァドラシアが参りました」
そう室内に呼び掛けると、すぐさま入ってくれと声をかけられ中へと足を踏み入れる。
「ようこそ、ロキ王子!」
そこにいたのは笑顔が可愛らしいプラチナブロンドの貴公子だった。
恐らく彼がミラルカの皇太子レオナルドなんだろう。
「初めまして!俺はここミラルカ皇国の皇太子、レオナルドだ。ロキ王子は確か同い年だったと思う。どうか気楽に接してくれ」
やけにフレンドリーな皇子だなと思いながら、勧められたソファへと座り用件を聞く。
正直早く兄の元に戻りたい。
でもそんなこちらの心境など知るはずのない皇太子はニコニコしながら世間話を続けた。
一応聞いてはいたが、然程興味を惹かれる内容ではないためほぼ聞き流していた。
そうしてある程度話が終わったところでやっと本題へと入ってくれる。
「それで、ロキ王子を親友と見込んで、是非協力をお願いしたいんだ!」
「…………」
一体いつ自分がこの皇太子と親友になったんだろう?
一方的に話を聞いていただけで親友認定されたのだろうか?
『普通』がわからないからなんとも言えない。
「ロキ王子はセドリック王子と親しいよな?!だから是非、ロキ王子に手助けをして欲しいんだ!」
よくわからなかったので詳しく聞くと、どうやらこの皇太子はあのセドリック王子を怒らせたから謝りたいらしい。
でも謝り方がわからないから助力が欲しい…と。
「なるほど。まあ彼は意外と優しい面もあるようですし、誠心誠意謝れば許してくれるでしょうね」
「そう思うか?!」
「ええ。そういうことなら少しは協力してもいいですよ?」
そう言って懐から尻叩き用の鞭を取り出す。
「じゃあ、まずは謝る練習をしてみましょうか」
「……え?」
「謝りたいんでしょう?」
「あ、ああ。そうなんだけど…?」
「ご安心を。俺がきっちり正しい謝り方を教えてあげますから」
こんな些事はサッサと終わらせて早く兄の元に帰りたい。
だから……今すぐ速やかに覚えてくださいね?
***
「大変、申し訳ございませんでした!!」
「…………」
「うぅ…。他国を巻き込みとんでもないことを要求しようとした私は世界一の愚か者です!踏まれても仕方のない犬です!鞭打たれても文句は言えません!どうかお好きなように罰を与えてくださいー!」
セドリック王子の前で土下座し、床に額を擦りつけながら謝罪をする皇太子。
その横で冷たい眼差しでそんな皇太子を見下ろす俺。
「セドリック王子。レオナルド皇太子はセドリック王子に誠心誠意謝りたいと俺なんかを頼ってきました。どうやら本気で反省しているようなので、後は煮るなり焼くなり本人の望むようにしてやってください」
どうしてもついてきてくれと縋られたので仕方なく付き添ってレオナルド皇子の謝罪っぷりを見る羽目になったが、さっさと終わらせて帰りたい。
覚えが悪くて時間がかかったから段々底冷えするような声で躾けてしまったではないか。
本当にどうしようもない皇太子だな。
こんな親友などいらないのだが?
でも一応約束したから口添えだけはしておいた。
さて、もう帰ってもいいかな?
そう思ってセドリック王子を見ると────。
「ふはっ!はははははっ!!」
何故か大笑いされてしまった。
やっぱり全然怒ってなんていなかったのではないだろうか?
わざわざ俺なんかを頼らなくても、普通に謝れば許してくれたと思う。
何故か後ろにいる姫とアルフレッドの頬は引き攣ってるから、きっと他国の王太子を巻き込むなよとでも思ってくれてるんだろう。
「くっ…はははっ…!ロ、ロキ王子、身内が迷惑をかけたようで申し訳なかったな」
予想通り申し訳ないと思ってくれたのかセドリック王子が謝ってきてくれる。
「いえ。皇太子殿下曰く、俺を親友として頼ってくれたらしいので…」
本人がそう言ったのだからきっとそれでいいのだと思う。
「ククッ…し、親友……。そうか。ではレオナルド皇子への罰はそれに決まりだな」
「……?」
「レオナルド皇子。今後ふざけたことをしでかしたらロキ王子にしっかり躾けてもらうことを罰とする。それに承諾するのなら今回の件は不問としよう」
「…………っ!!」
「……迷惑なのですが?」
なんだかレオナルド皇子は許してもらえたとばかりに顔を輝かせているが、本当にそれでいいのだろうか?
この場合、下手をすればガヴァム王国に皇太子が来てしまうということなのでは?
俺としては迷惑でしかないから断って欲しい。
兄との時間が減ってしまったらどうしてくれるんだろう?
けれど結局そのまま皇太子は承諾の返事を返してしまい、あっさりと解散となってしまったので何も言えなかった。
まあ兄の元に早く帰りたかったので異議申し立てをしなかったとも言えるのだが……。
「「ロキ王子。お世話になりました!」」
去り際に皇太子と姫からそんな風に礼を言われたが、兄との時間が減るからもう二度とこんなことには巻き込まないでもらいたい。
そんな気持ちを込めて言葉を紡ぐ。
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