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23.国際会議⑧
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夕食会後、部屋に戻るため二人で廊下を歩く。
近衛達もそれを見てついて来たのだが、兄との二人きりの時間も楽しみたいので少し離れていてもらう。
「兄上。今夜は外で楽しんでもいいですか?」
「…それなんだが、どうやら刺客が父上から送られてきているようで……」
「父上から?」
「ああ。リヒター達が姿を確認したらしいから今追ってもらっている」
「なるほど。それでいなかったんですね」
それで納得がいった。
恐らく騎士団長も一緒なのだろう。
さっきの会場には宰相と外務大臣の姿しか確認できなかったのだから。
「それなら先に報告を聞いた方が良さそうですね」
兄との夜を楽しむのならそちらを先に片付けてしまわなければならないと言うことくらいはわかる。
「残念です」
折角兄のためにミスリルの鎖付きの素敵な首輪を作っておいたのに…。
そう思って肩を落としていると、廊下の奥からバタバタと駆けてくる音が聞こえてきた。
「なっ?!ロキ王子?!」
「カリン王子!刺客が一人そちらにっ!」
「ロキ王子!お逃げください!」
どうやら取り逃がしてしまった一人がこちらへとやってきてしまったらしい。
運が悪いとしか言いようがない。
(まあ…運が悪いのなんて昔からだ)
だからこそ────手は打っているんだけど…。
兄が反応したのはわかったが、刺客の動きはそれよりも速い。
今日の夕食会には護衛以外武器の持ち込みは許されてはいなかったし、丸腰の状態でできることは限られている。
でも────。
俺は懐から取り出した兄用の首輪についているミスリルの鎖を武器とそれを持った手首へと巻き付け速やかに刺客を牽制した。
剣術も体術も最低限しかできなくても身を護る術はあるのだと思い知るのはこういう時だ。
刃物さえ遠ざければ蹴られようと殴られようと頭さえ守れば助かる確率は上がる。
これは裏家業の人に教わったことだ。
「ぶっ壊れてるからって命を簡単に捨てるなよ?生きてりゃ一つくらいいいことがあるんだからな」
そう言ってくれた彼はもう死んでしまったけれど、闇医者曰くいい笑顔で亡くなっていたらしい。
俺もそんな笑顔で死にたいから一応自衛は心掛けるようにしているのだ。
とは言え一撃を食らうくらいの覚悟はあったのだが、その前に兄が横から刺客を蹴りつけ守ってくれた。
(兄上……)
優しい。
そんな行動一つで胸が震えるほど嬉しくなる。
近衛達が慌てて飛んでくるが、今はそんなこと、どうでもいいのだ。
兄が愛おしくてたまらない。
けれどここをさっさと片付けないとそんな兄を愛でることすらできそうにない。
本当に腹立たしい限りだ。
だからこそ腹の底からひたひたと怒りが湧いてきてしまい、冷たい声が出てしまう。
「兄上との逢瀬を邪魔して…ただで済むと思っているのか?」
その声から俺が物凄く怒っているのが分かったのだろう。
皆、ビクッとしてその場で固まってしまう。
正直サッサと刺客を縛り上げろと思ったが、どうにも誰一人動こうとはしないので仕方なく俺がその刺客を縛り上げた。
あまりにも腹が立ったので抵抗が一切できないようきつく縛り上げ、股間だけは無防備にこちらに向けざるを得ない特殊な縛り方にしてやった。
ああ、舌を噛まれても面倒だな。ついでに口枷もつけてやるか。面倒臭い。
近衛達が動かなかったのだから諸々文句は言わないでほしい。
絶対に逃がさないよう取り敢えず踏みつけておいて、先に心配をかけてしまった兄に御礼は伝えておかないと。
「兄上。兄上のお陰で助かりました。ありがとうございます。でも折角の時間が台無しになって残念です。本当は兄上のために特別に作らせたこの首輪を使って楽しみたかったんですけど…」
皮の首輪部分にミスリルの鎖を繋げた兄によく似合う素敵な首輪。
それをこんな風に使わせた刺客に怒りが増して、気づけばその股間に足を添え、踏み潰してやろうかとばかりに甚振ってしまっていた。
けれどそんな怒りも兄のお陰で落ち着きを取り戻す。
「ロキ」
「何ですか?兄上」
「礼は素直に受け取ろう。でも…実はかなり怒っているだろう?取り敢えず落ち着こうか」
「そうですね。折角兄上に助けてもらって嬉しかったのに、怒ってしまったら台無しですよね」
(ああ…。やっぱり兄上につけたいな。この首輪。素材がミスリルだし、よく見たら傷一つついてなさそうだな。これならちゃんと使えそうだ)
そう思ったので、そっとその首に手を伸ばして────。
カチャリ……。
(うん。やっぱり兄上によく似合う)
兄に首輪をつけ、満足げな笑みを浮かべた。
周囲は何が起こったのかわからないといった様子だが、構いはしない。
刺客を捕らえた今、大事なのは俺と兄の二人の時間を取り戻すことなのだから。
「ではここは近衛達に任せて部屋に戻りましょうか。報告はそこで聞けばいいですし、その後は安全の為リヒターに同席してもらって楽しみましょう」
「……え?」
兄は突然の展開に頭がついてこないようだけど、これはある意味チャンスだ。
ここで変に正気のままでいられたら可愛い兄を見られなくなってしまうから、攻めて攻めて攻めまくらないと。
「楽しみですね?兄上が沢山身悶えしている恥ずかしい姿をこれでもかとリヒターに視姦してもらいましょうね?」
「え…、や……」
「もちろん逆でもいいですよ?それとも3人でやりますか?恥ずかしい格好で縛った兄上を二人で可愛がるのも楽しそうですね?二人で沢山責め立てて、気絶するまで虐めてあげますからね?」
「や…それはいやぁ……」
鎖をクイッと引き寄せ、囁きを落としながらうっとりと見つめていると泣きが入ったので、これ幸いと腰を抱き再度刺客を踏みつけて兄を部屋へと連れ去った。
後始末は近衛達がするようリヒターが手配し、そのまま付き添ってくれる。
「リヒター。報告は?」
「まだこれで終わったとも思えません。どうか油断はしないよう部屋の方でお楽しみください」
「わかった」
つまりはあまり外でしないようにということか…。
「折角楽しい場所を色々教えてもらったのにな…」
「ハハッ。それならたまには部屋の中でも立ってやってみるのはどうです?扉前だろうと鏡の前だろうと、それこそバルコニーででも、俺が目を光らせておくのでどこでやって頂いても大丈夫ですよ?」
「ああ、それは楽しいかもしれないな。兄上?どこがいいですか?」
「や…」
小さくそんな声を上げるけど、何を想像したのか真っ赤になっているし、興奮しているのも見てわかるからどこでもいいと言ってくれているようなものだ。
「こんなに恥じらってくれるのなら、今度ベッドの上に鏡でも取りつけさせましょうか?ベッドで乱れる恥ずかしい姿が全部丸見えになるからきっと楽しめますよ?」
「そ…そんなっ……!」
「俺に抱かれている時の兄上の表情は本当に可愛いのだと、きっとわかってもらえるはずです」
「あ…ロキぃ……」
部屋に戻るや否や、情欲を滲ませた瞳でもう待てないと言わんばかりに自分から口づけてきてくれた兄の腰を引き寄せ、チャリッと鳴る鎖を引く。
「兄上…この首輪、とてもよく似合ってますよ」
「ん……」
「今日も沢山、楽しみましょうね?」
そしてリヒターに見守られながら今日も愛を交わし合う。
「もう邪魔が入らないといいですね……」
そんなことを言いながら────。
****************
※ロキ王子の懐には縄と口枷と首輪が入っていましたが、武器認定はされなかったので会場入りの時に取り上げられたりはしてなかったという話。
「何か持ち込み予定のものはありますか?」
「はい。これとこれとこれ…くらいですかね?」
「よ、用途は?」
「え?この夕食会後に兄上に使いたくて…。ふふふっ」
(この王子、怖ぇッ……!!)と服装チェックした兵が恐れおののいていたとかなんとか…。
そんなルンルン気分の中セドに睨まれ兄が震えてたので『見るな』と余計に牽制したくなってたんだな~と二話前のロキを読んでもらえたら幸いです。
近衛達もそれを見てついて来たのだが、兄との二人きりの時間も楽しみたいので少し離れていてもらう。
「兄上。今夜は外で楽しんでもいいですか?」
「…それなんだが、どうやら刺客が父上から送られてきているようで……」
「父上から?」
「ああ。リヒター達が姿を確認したらしいから今追ってもらっている」
「なるほど。それでいなかったんですね」
それで納得がいった。
恐らく騎士団長も一緒なのだろう。
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「それなら先に報告を聞いた方が良さそうですね」
兄との夜を楽しむのならそちらを先に片付けてしまわなければならないと言うことくらいはわかる。
「残念です」
折角兄のためにミスリルの鎖付きの素敵な首輪を作っておいたのに…。
そう思って肩を落としていると、廊下の奥からバタバタと駆けてくる音が聞こえてきた。
「なっ?!ロキ王子?!」
「カリン王子!刺客が一人そちらにっ!」
「ロキ王子!お逃げください!」
どうやら取り逃がしてしまった一人がこちらへとやってきてしまったらしい。
運が悪いとしか言いようがない。
(まあ…運が悪いのなんて昔からだ)
だからこそ────手は打っているんだけど…。
兄が反応したのはわかったが、刺客の動きはそれよりも速い。
今日の夕食会には護衛以外武器の持ち込みは許されてはいなかったし、丸腰の状態でできることは限られている。
でも────。
俺は懐から取り出した兄用の首輪についているミスリルの鎖を武器とそれを持った手首へと巻き付け速やかに刺客を牽制した。
剣術も体術も最低限しかできなくても身を護る術はあるのだと思い知るのはこういう時だ。
刃物さえ遠ざければ蹴られようと殴られようと頭さえ守れば助かる確率は上がる。
これは裏家業の人に教わったことだ。
「ぶっ壊れてるからって命を簡単に捨てるなよ?生きてりゃ一つくらいいいことがあるんだからな」
そう言ってくれた彼はもう死んでしまったけれど、闇医者曰くいい笑顔で亡くなっていたらしい。
俺もそんな笑顔で死にたいから一応自衛は心掛けるようにしているのだ。
とは言え一撃を食らうくらいの覚悟はあったのだが、その前に兄が横から刺客を蹴りつけ守ってくれた。
(兄上……)
優しい。
そんな行動一つで胸が震えるほど嬉しくなる。
近衛達が慌てて飛んでくるが、今はそんなこと、どうでもいいのだ。
兄が愛おしくてたまらない。
けれどここをさっさと片付けないとそんな兄を愛でることすらできそうにない。
本当に腹立たしい限りだ。
だからこそ腹の底からひたひたと怒りが湧いてきてしまい、冷たい声が出てしまう。
「兄上との逢瀬を邪魔して…ただで済むと思っているのか?」
その声から俺が物凄く怒っているのが分かったのだろう。
皆、ビクッとしてその場で固まってしまう。
正直サッサと刺客を縛り上げろと思ったが、どうにも誰一人動こうとはしないので仕方なく俺がその刺客を縛り上げた。
あまりにも腹が立ったので抵抗が一切できないようきつく縛り上げ、股間だけは無防備にこちらに向けざるを得ない特殊な縛り方にしてやった。
ああ、舌を噛まれても面倒だな。ついでに口枷もつけてやるか。面倒臭い。
近衛達が動かなかったのだから諸々文句は言わないでほしい。
絶対に逃がさないよう取り敢えず踏みつけておいて、先に心配をかけてしまった兄に御礼は伝えておかないと。
「兄上。兄上のお陰で助かりました。ありがとうございます。でも折角の時間が台無しになって残念です。本当は兄上のために特別に作らせたこの首輪を使って楽しみたかったんですけど…」
皮の首輪部分にミスリルの鎖を繋げた兄によく似合う素敵な首輪。
それをこんな風に使わせた刺客に怒りが増して、気づけばその股間に足を添え、踏み潰してやろうかとばかりに甚振ってしまっていた。
けれどそんな怒りも兄のお陰で落ち着きを取り戻す。
「ロキ」
「何ですか?兄上」
「礼は素直に受け取ろう。でも…実はかなり怒っているだろう?取り敢えず落ち着こうか」
「そうですね。折角兄上に助けてもらって嬉しかったのに、怒ってしまったら台無しですよね」
(ああ…。やっぱり兄上につけたいな。この首輪。素材がミスリルだし、よく見たら傷一つついてなさそうだな。これならちゃんと使えそうだ)
そう思ったので、そっとその首に手を伸ばして────。
カチャリ……。
(うん。やっぱり兄上によく似合う)
兄に首輪をつけ、満足げな笑みを浮かべた。
周囲は何が起こったのかわからないといった様子だが、構いはしない。
刺客を捕らえた今、大事なのは俺と兄の二人の時間を取り戻すことなのだから。
「ではここは近衛達に任せて部屋に戻りましょうか。報告はそこで聞けばいいですし、その後は安全の為リヒターに同席してもらって楽しみましょう」
「……え?」
兄は突然の展開に頭がついてこないようだけど、これはある意味チャンスだ。
ここで変に正気のままでいられたら可愛い兄を見られなくなってしまうから、攻めて攻めて攻めまくらないと。
「楽しみですね?兄上が沢山身悶えしている恥ずかしい姿をこれでもかとリヒターに視姦してもらいましょうね?」
「え…、や……」
「もちろん逆でもいいですよ?それとも3人でやりますか?恥ずかしい格好で縛った兄上を二人で可愛がるのも楽しそうですね?二人で沢山責め立てて、気絶するまで虐めてあげますからね?」
「や…それはいやぁ……」
鎖をクイッと引き寄せ、囁きを落としながらうっとりと見つめていると泣きが入ったので、これ幸いと腰を抱き再度刺客を踏みつけて兄を部屋へと連れ去った。
後始末は近衛達がするようリヒターが手配し、そのまま付き添ってくれる。
「リヒター。報告は?」
「まだこれで終わったとも思えません。どうか油断はしないよう部屋の方でお楽しみください」
「わかった」
つまりはあまり外でしないようにということか…。
「折角楽しい場所を色々教えてもらったのにな…」
「ハハッ。それならたまには部屋の中でも立ってやってみるのはどうです?扉前だろうと鏡の前だろうと、それこそバルコニーででも、俺が目を光らせておくのでどこでやって頂いても大丈夫ですよ?」
「ああ、それは楽しいかもしれないな。兄上?どこがいいですか?」
「や…」
小さくそんな声を上げるけど、何を想像したのか真っ赤になっているし、興奮しているのも見てわかるからどこでもいいと言ってくれているようなものだ。
「こんなに恥じらってくれるのなら、今度ベッドの上に鏡でも取りつけさせましょうか?ベッドで乱れる恥ずかしい姿が全部丸見えになるからきっと楽しめますよ?」
「そ…そんなっ……!」
「俺に抱かれている時の兄上の表情は本当に可愛いのだと、きっとわかってもらえるはずです」
「あ…ロキぃ……」
部屋に戻るや否や、情欲を滲ませた瞳でもう待てないと言わんばかりに自分から口づけてきてくれた兄の腰を引き寄せ、チャリッと鳴る鎖を引く。
「兄上…この首輪、とてもよく似合ってますよ」
「ん……」
「今日も沢山、楽しみましょうね?」
そしてリヒターに見守られながら今日も愛を交わし合う。
「もう邪魔が入らないといいですね……」
そんなことを言いながら────。
****************
※ロキ王子の懐には縄と口枷と首輪が入っていましたが、武器認定はされなかったので会場入りの時に取り上げられたりはしてなかったという話。
「何か持ち込み予定のものはありますか?」
「はい。これとこれとこれ…くらいですかね?」
「よ、用途は?」
「え?この夕食会後に兄上に使いたくて…。ふふふっ」
(この王子、怖ぇッ……!!)と服装チェックした兵が恐れおののいていたとかなんとか…。
そんなルンルン気分の中セドに睨まれ兄が震えてたので『見るな』と余計に牽制したくなってたんだな~と二話前のロキを読んでもらえたら幸いです。
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