【完結】王子の本命~ガヴァム王国の王子達~

オレンジペコ

文字の大きさ
上 下
3 / 234

3.※帰ってきた兄

しおりを挟む
※このお話は『王子の本命~姫の護衛騎士は逃げ出したい~』の『閑話3.※ガヴァム王国にて』から持ってきています。
既読の方は飛ばしてお読みください。
宜しくお願いしますm(_ _)m

****************

「兄上が帰った?」

ブルーグレイ王国への使節団に同行し一か月滞在予定だったはずの兄が急遽問題を起こして帰ってきたと聞き、驚いてしまった。
いつもこちらを馬鹿にしてばかりのあの兄が問題を起こすだなんてちょっと考えられないことだ。
何故ならあの人は外面だけは物凄くよかったから────。
だからこそ不思議だった。
一体何をやらかしたのかと……。

けれど兄を連れて帰ってきた者は酷く口が堅く、こちらの探りにも全く口を割ってはくれない。
事情を知るであろう父もだんまりだ。
兎に角ブルーグレイ王国には逆らうなの一点張り。
そして何故か王太子に指名するとまで言われてしまった。
嬉しくはあったが、これまではあの完璧な兄が王太子だったというのにどういうことなのだろう?
兄に何があったのか?
そう言えば帰ってきてから一度も姿を見てはいない。
食事は部屋で食べているようだが、世話をする者達も揃って口を固く閉ざしているのでその様子を探ることさえできなかった。

そんなある日のこと…。

「あ…あぁっ…あぁんっ……」

庭園を歩いているとどこからかか細い声が聞こえてきて、ふと見上げると兄の部屋の窓が開いていた。

(あそこから聞こえているのか?)

キョロキョロと周囲を見渡すが他に人の姿はない。
だからこれ幸いと窓の近くの木に足をかけ、興味本位で登ってみると……。

「あっあっ…やぁあっ……気持ちいい…足りない…もっと欲しいぃ……」

うつろな目をした兄がベッドの上であられもない格好を晒しながら大人のおもちゃで遊んでいた。

「あ…兄上?」

そんな兄に恐る恐る声をかけるが、兄は俺が誰だか認識できないのか、ひたすら玩具で自慰を繰り返している。
暫くそんな姿を呆然と眺めていたのだが、コンコンという軽いノックの音が聞こえてきたので咄嗟にカーテンの後ろへと身を隠した。

「カリン王子。今日もご機嫌ですね。そろそろお注射のお時間ですよ?今日は何本欲しいですか?」
「あっあっ!太くて長いの、いっぱい、いっぱい欲しいっ!」

入ってきた男の言葉に喜色の眼差しを向け、そんな風にねだり始める姿にゾワッとする。
もしかしてという思いが込み上げて、バクバクと心臓が弾んだ。

そこからは最初の男がひき込んだらしい男達が次々とやってきては兄を犯し始め、兄は嬉しそうにその男根を受け入れ嬌声を上げ続けた。
卑猥な言葉でこれでもかと狂乱に耽る姿はこれまで見てきた兄の姿からは程遠く、最早王太子としては立てないのだと、誰に言われずとも察することができた。
けれど────男達に組み敷かれしどけなく色香を巻き散らすその姿に興奮してしまう自分が止められなくて、男達が全員満足して部屋を去った後、愚かにも俺は兄を抱いてしまった。
男達に何度も犯され白濁に塗れたその姿はどこまでも淫靡でたまらなくそそられて、つい自分もと思ってしまったのだ。

「はぁあぁああっ!いいっいいっ!」
「ははっ…兄上。大嫌いな弟に犯されてもこんなに感じるんですね」
「あぁんっ!はぁっん!」
「可愛い兄上をこんなにしたのは誰なんでしょうね?」
「んぁっ!は…ぁあんっ!いいっ!気持ちいいっ!」
「ほら、締めて。そう。上手ですよ」
「んっんっ、ご褒美っご褒美ちょうだいっ!」
「ご褒美?」
「はぁっ!キス、キスしてっ!乳首弄ってぇっ!」

その言葉にそう言えば男達は上の口と下の口しか使ってなかったなと思い出す。
しかも上の口は強制フェラオンリーだった。
だからそっとその口を優しく塞いでやり、乳首を思い切り虐めてやったのだが……。

「あぁああぁああ────っ!ご主人様────っ!」

兄は至福の蕩ける顔でそう叫ぶとビクビクと痙攣しながら気絶してしまった。
どうやらそんな風に調教されていたらしい。
正直兄にご主人様と呼ばれて、背に快感が駆け抜け、気づけば思い切り中に放ってしまっていた。
それくらい衝撃的だったのだ。

「はぁ…はぁ…兄上。なんて可愛いんでしょうね」

ビクンビクンと身を震わせて白目をむきながら至福の笑みで気絶する兄。
こんなにも可愛く調教されてしまった兄を他の男達の前に放置しておくのは勿体ない。

「兄上…これからは俺が貴方のご主人様になりますからね?」

毎日可愛がってあげますよと嗤い、俺はそのまま手早く衣服を整えると兄の部屋を出た。
目指すは父の元────。

『ねえ父上。あの、精液に塗れた可愛い兄上を…俺が貰っていいですか?』

慰み者にしたいんです。そう言ってやったらどんな顔をするだろうか?
絶望の表情で俺を見ながら「好きにしろ」とその口で言わせたかった。
これまでずっと兄を褒めそやし、俺をスペアとしか思ってこなかったあの男に。

これからは毎日俺の手で壊れた兄を可愛がり、父の罪悪感を刺激しながら日々を過ごしてやろう。
それが────それこそが、俺のこれまでの仕打ちに対する復讐なのだから…。
しおりを挟む
感想 234

あなたにおすすめの小説

さよならの合図は、

15
BL
君の声。

泣くなといい聞かせて

mahiro
BL
付き合っている人と今日別れようと思っている。 それがきっとお前のためだと信じて。 ※完結いたしました。 閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。

王道学園のモブ

四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。 私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。 そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。

陛下の前で婚約破棄!………でも実は……(笑)

ミクリ21
BL
陛下を祝う誕生パーティーにて。 僕の婚約者のセレンが、僕に婚約破棄だと言い出した。 隣には、婚約者の僕ではなく元平民少女のアイルがいる。 僕を断罪するセレンに、僕は涙を流す。 でも、実はこれには訳がある。 知らないのは、アイルだけ………。 さぁ、楽しい楽しい劇の始まりさ〜♪

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】選ばれない僕の生きる道

谷絵 ちぐり
BL
三度、婚約解消された僕。 選ばれない僕が幸せを選ぶ話。 ※地名などは架空(と作者が思ってる)のものです ※設定は独自のものです

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

ブレスレットが運んできたもの

mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。 そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。 血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。 これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。 俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。 そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?

処理中です...