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22.逃がすはずがないだろう?
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「アーデルハイト様!おとなしくなさってください!」
「逃げられるはずがないのですから、どうか…グハッ!」
案の定その場はハイジの独擅場だった。
軽鎧を身に着けている相手にまで攻撃が効くなんてどれだけ強いのだろうか?
説得にかかっている兵達がすでに5人も地に沈んでいる。
「ヒロ!どうしておとなしく見てるんだ?!」
そして駆け付けたそこになすすべもなく立ち尽くすヒロの姿を発見し、思わず声を掛けた。
「え?いや…彼女を助けるべきか、訳ありっぽい兵達に手を貸すべきかがわからなくて」
ヒロ曰く、護衛を買って出たのだから最初はハイジを助けようとはしたらしい。
そこを『カテオロスで略奪行為をした犯罪者を勇者様が庇うのですか?!』と怒鳴られて敢え無く引き下がる羽目になったのだとか。
オロオロとただ現状を見遣るだけのヒロはなんだかとっても情けない。
魔物相手ならかかってこいと勇敢な様を見せるくせに、どうしてこんな時は役に立ってくれないのだろうか?
(まあそれは他の面々にも言えることだけど…)
ことここに至っては騎士も魔道士もどうしたものかと戸惑っているようだった。
そうこうしているうちにまた兵が二人もやられていた。
これでは逃げられるのも時間の問題だろう。
(ん~…)
魔法で捕まえると言っても自分は攻撃魔法は勿論、眠りの魔法も捕縛の魔法も持ち合わせてはいない。
使えるのは防御系の魔法や浄化系の聖魔法の類ばかりだ。
どうしたものか……。
(あ、そうだ!)
アンデッド系に使える例の聖魔法なら使えるかもと思って、そのまま自分と兵達に影響がないよう防御魔法を掛けて、ハイジへと近づき魔法を発動させる。
『聖なる滝(ホーリーフォールズ)!』
バシャーーーン!
魔法が発動すると共にハイジの上から大量の聖水が降り注ぐ。
これはアンデッド系の魔物に効果的な魔法で、数少ない自分に使える攻撃魔法と言っても過言ではないだろう。
とは言え彼女はアンデッドではないのでダメージはゼロだ。
何がしたかったかというと、単純に彼女を水浸しにしたかったのだ。
そうすれば水でスカートが張り付いて鋭い蹴りが繰り出せなくなると考えての事だった。
そしてあまりにも突然のことに何が起こったのかわからないと固まっている彼女の足をよいしょと掬い上げ、いわゆるお姫様抱っこで抱き上げる。
これでしっかり足と腕を押さえて拘束すれば攻撃されることはないし安全だ。
「ちょっ!なんですの?!その手を離しなさい!」
いきなり抱き上げられて睨みつけられるが、腕はしっかりと押さえているし、平手が飛んでくることもない。
「えっと、この人どこに連れて行ったらいいでしょう?」
取り敢えず急展開で茫然と佇む兵達の方へと向かって声を掛けると、先ほどの隊長らしき人が我に返って慌ててこっちだと誘導してくれた。
「離しなさいと言っているではありませんか!風邪でも引いたらどうしてくれるんです?!」
必死になんとか逃げようと腕の中で暴れるハイジを連れて衛兵の詰め所へと向かう。
「大丈夫ですよ。もし風邪を引いても聖魔法で治してあげられますから」
ニッコリと笑ってそう言うが、彼女は何故か頬を引き攣らせてくる。
「それよりも隊長さん…でいいんでしょうか?先程彼女に蹴られた方々は大丈夫でしょうか?治癒魔法を掛けた方がよければいつでもお声掛けくださいね」
彼女の蹴りは本当に痛そうだったので心配だと口にすると、隊長───ウィンベルが有難いと頬を緩ませた。
「貴方の機転には本当に助かりました。治癒魔法の方ものちほどお言葉に甘えさせていただきます」
当然報酬は払わせてもらうからと言ってくれたウィンベルに、そう言うことならその報酬で宰相にお土産でも買わせていただきますと答えたら物凄く好意的な笑みを向けられた。
どうやら印象は悪くはないようだ。
これまでがこれまでだっただけにこういう反応は素直に嬉しい。
「サトル様はヴェルガー様と面識がおありなのですか?」
「ええ。ヒロ──勇者と同じように俺も異世界からやってきたんですが、こちらに来てからは随分親切にしていただきました」
「そうですか。ヴェルガー様は真面目なのはいいのですが、どうも面倒事を押し付けられる傾向にあるので王宮で苦労なさっていないか皆で心配していたのですよ」
「そうなんですか」
さすが宰相の身内。その人となりをしっかりと把握しているようだ。
聞くところによるとウィンベルは宰相の幼馴染らしい。
そしてなんと今腕の中で暴れているハイジは宰相の婚約者なのだという。
「慎ましやかで質素倹約を体現したご令嬢ということで、ヴェルガー様の父上も絶賛されていたご令嬢だったのですが…まさかこれほど攻撃力のあるご令嬢だとは思いもしませんでした」
相手が令嬢だけにあまり手荒なことをするわけにもいかず、なんとか近づいて数を頼りに制圧しようと思ってもその鋭い蹴りにやられてどうにも思うように動けなかったのだと困ったように話すウィンベルはきっと人が良いのだろう。
けれどそれで逃げられては本末転倒だ。
「ここです」
そうして話しながら辿り着いた先は応接間だった。
扉には無事だった二人の兵が立ち、まかり間違ってハイジに逃げられないよう各窓にもしっかり鍵を掛ける。
俺の側には何故かついてきてくれていたヒロも控えてくれていた。
本人曰く心配だからとのことだったが、正直本当に頼りになるのかは疑問だ。
ともあれこれで準備は万端だとウィンベルに促されて、俺はハイジの身を床へと下した。
パシッ!
するといきなり平手が飛んできたのだが、申し訳ないがさっきの防御魔法が効いているので全くダメージはない。
けれど彼女はそれに気づく間もなく扉に立つ二人の兵の方へと勢いよく駆けだした。
(ああもう、不用心だなぁ…)
けれどそちらにはちらっと目をやっただけで、俺は先に扉と窓に魔法を飛ばす。
結界魔法を応用すれば窓や扉は開かなくなるから、こういう時こそ使うべきだろう。
そして全部に魔法を掛けたところで彼女の方を見遣ると、蹴りは難しいと思ったのか今度は抜き手で兵達の目を狙って失敗に終わっていた。
(うん。その人たちにもさっき防御魔法掛けてたし、悪いけど効かないよ?)
攻撃は悉く無効化させてもらった。
これで彼女の逃げ場はもうどこにもない。
「…?!嘘っ!」
驚愕の表情で動きを止めるが、そこを捕まえられそうになって彼女は慌てて身を翻し今度は窓へと向かう。
でもそこはもう閉まってるんだ。
悪いな。
「どうして開かないのよ?!」
ガチャガチャと鍵を回そうとするが全く動かないそれに彼女が蒼白になる。
「えっと、無駄だと思うよ?さっき結界張ったし」
「…?!?!まさかこれは貴方が?!」
驚きの表情でこちらを見てくるがどうしてだろう?
「勇者一行の中で一番使えなさそうで弱そうな貴方がこれを?!嘘でしょう?!」
────酷い。
まあ確かに一番弱いのは確かだけど…。
「逃げられるはずがないのですから、どうか…グハッ!」
案の定その場はハイジの独擅場だった。
軽鎧を身に着けている相手にまで攻撃が効くなんてどれだけ強いのだろうか?
説得にかかっている兵達がすでに5人も地に沈んでいる。
「ヒロ!どうしておとなしく見てるんだ?!」
そして駆け付けたそこになすすべもなく立ち尽くすヒロの姿を発見し、思わず声を掛けた。
「え?いや…彼女を助けるべきか、訳ありっぽい兵達に手を貸すべきかがわからなくて」
ヒロ曰く、護衛を買って出たのだから最初はハイジを助けようとはしたらしい。
そこを『カテオロスで略奪行為をした犯罪者を勇者様が庇うのですか?!』と怒鳴られて敢え無く引き下がる羽目になったのだとか。
オロオロとただ現状を見遣るだけのヒロはなんだかとっても情けない。
魔物相手ならかかってこいと勇敢な様を見せるくせに、どうしてこんな時は役に立ってくれないのだろうか?
(まあそれは他の面々にも言えることだけど…)
ことここに至っては騎士も魔道士もどうしたものかと戸惑っているようだった。
そうこうしているうちにまた兵が二人もやられていた。
これでは逃げられるのも時間の問題だろう。
(ん~…)
魔法で捕まえると言っても自分は攻撃魔法は勿論、眠りの魔法も捕縛の魔法も持ち合わせてはいない。
使えるのは防御系の魔法や浄化系の聖魔法の類ばかりだ。
どうしたものか……。
(あ、そうだ!)
アンデッド系に使える例の聖魔法なら使えるかもと思って、そのまま自分と兵達に影響がないよう防御魔法を掛けて、ハイジへと近づき魔法を発動させる。
『聖なる滝(ホーリーフォールズ)!』
バシャーーーン!
魔法が発動すると共にハイジの上から大量の聖水が降り注ぐ。
これはアンデッド系の魔物に効果的な魔法で、数少ない自分に使える攻撃魔法と言っても過言ではないだろう。
とは言え彼女はアンデッドではないのでダメージはゼロだ。
何がしたかったかというと、単純に彼女を水浸しにしたかったのだ。
そうすれば水でスカートが張り付いて鋭い蹴りが繰り出せなくなると考えての事だった。
そしてあまりにも突然のことに何が起こったのかわからないと固まっている彼女の足をよいしょと掬い上げ、いわゆるお姫様抱っこで抱き上げる。
これでしっかり足と腕を押さえて拘束すれば攻撃されることはないし安全だ。
「ちょっ!なんですの?!その手を離しなさい!」
いきなり抱き上げられて睨みつけられるが、腕はしっかりと押さえているし、平手が飛んでくることもない。
「えっと、この人どこに連れて行ったらいいでしょう?」
取り敢えず急展開で茫然と佇む兵達の方へと向かって声を掛けると、先ほどの隊長らしき人が我に返って慌ててこっちだと誘導してくれた。
「離しなさいと言っているではありませんか!風邪でも引いたらどうしてくれるんです?!」
必死になんとか逃げようと腕の中で暴れるハイジを連れて衛兵の詰め所へと向かう。
「大丈夫ですよ。もし風邪を引いても聖魔法で治してあげられますから」
ニッコリと笑ってそう言うが、彼女は何故か頬を引き攣らせてくる。
「それよりも隊長さん…でいいんでしょうか?先程彼女に蹴られた方々は大丈夫でしょうか?治癒魔法を掛けた方がよければいつでもお声掛けくださいね」
彼女の蹴りは本当に痛そうだったので心配だと口にすると、隊長───ウィンベルが有難いと頬を緩ませた。
「貴方の機転には本当に助かりました。治癒魔法の方ものちほどお言葉に甘えさせていただきます」
当然報酬は払わせてもらうからと言ってくれたウィンベルに、そう言うことならその報酬で宰相にお土産でも買わせていただきますと答えたら物凄く好意的な笑みを向けられた。
どうやら印象は悪くはないようだ。
これまでがこれまでだっただけにこういう反応は素直に嬉しい。
「サトル様はヴェルガー様と面識がおありなのですか?」
「ええ。ヒロ──勇者と同じように俺も異世界からやってきたんですが、こちらに来てからは随分親切にしていただきました」
「そうですか。ヴェルガー様は真面目なのはいいのですが、どうも面倒事を押し付けられる傾向にあるので王宮で苦労なさっていないか皆で心配していたのですよ」
「そうなんですか」
さすが宰相の身内。その人となりをしっかりと把握しているようだ。
聞くところによるとウィンベルは宰相の幼馴染らしい。
そしてなんと今腕の中で暴れているハイジは宰相の婚約者なのだという。
「慎ましやかで質素倹約を体現したご令嬢ということで、ヴェルガー様の父上も絶賛されていたご令嬢だったのですが…まさかこれほど攻撃力のあるご令嬢だとは思いもしませんでした」
相手が令嬢だけにあまり手荒なことをするわけにもいかず、なんとか近づいて数を頼りに制圧しようと思ってもその鋭い蹴りにやられてどうにも思うように動けなかったのだと困ったように話すウィンベルはきっと人が良いのだろう。
けれどそれで逃げられては本末転倒だ。
「ここです」
そうして話しながら辿り着いた先は応接間だった。
扉には無事だった二人の兵が立ち、まかり間違ってハイジに逃げられないよう各窓にもしっかり鍵を掛ける。
俺の側には何故かついてきてくれていたヒロも控えてくれていた。
本人曰く心配だからとのことだったが、正直本当に頼りになるのかは疑問だ。
ともあれこれで準備は万端だとウィンベルに促されて、俺はハイジの身を床へと下した。
パシッ!
するといきなり平手が飛んできたのだが、申し訳ないがさっきの防御魔法が効いているので全くダメージはない。
けれど彼女はそれに気づく間もなく扉に立つ二人の兵の方へと勢いよく駆けだした。
(ああもう、不用心だなぁ…)
けれどそちらにはちらっと目をやっただけで、俺は先に扉と窓に魔法を飛ばす。
結界魔法を応用すれば窓や扉は開かなくなるから、こういう時こそ使うべきだろう。
そして全部に魔法を掛けたところで彼女の方を見遣ると、蹴りは難しいと思ったのか今度は抜き手で兵達の目を狙って失敗に終わっていた。
(うん。その人たちにもさっき防御魔法掛けてたし、悪いけど効かないよ?)
攻撃は悉く無効化させてもらった。
これで彼女の逃げ場はもうどこにもない。
「…?!嘘っ!」
驚愕の表情で動きを止めるが、そこを捕まえられそうになって彼女は慌てて身を翻し今度は窓へと向かう。
でもそこはもう閉まってるんだ。
悪いな。
「どうして開かないのよ?!」
ガチャガチャと鍵を回そうとするが全く動かないそれに彼女が蒼白になる。
「えっと、無駄だと思うよ?さっき結界張ったし」
「…?!?!まさかこれは貴方が?!」
驚きの表情でこちらを見てくるがどうしてだろう?
「勇者一行の中で一番使えなさそうで弱そうな貴方がこれを?!嘘でしょう?!」
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