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【シャイナー陛下の婚礼】
177.※従兄弟の結婚式⑨ Side.アルフレッド&ユーツヴァルト
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ユーツヴァルトの件でショックを受けて帰ってきたらセドが抱きしめてくれた。
「納得できたか?」
そう聞かれたけど、全然納得なんてできてないから悔しくて涙がにじんだ。
「……全く話が通じなかった」
「そうか」
「俺、友達だったはずなのに、あいつの言ってること、全く理解してやれなくて…」
「そうか」
「なんでっ…人の幸せを勝手に決めるのか俺にはわからなかっ…ふ…うぅ…っ」
最後は嗚咽交じりにセドに抱きとめてもらいながら一頻り泣いた。
「……このままただシャイナーに任せるのも癪だな」
そう言ってセドは俺を落ち着かせた後、どこかへと行ってしまった。
どこに行ったんだろう?
不思議に思いながら待っていると、暫くしてから戻ってきた。
なんでもシャイナー陛下から許可を取って、ユーツヴァルトの様子を見に行ってきたんだとか。
「ど、どうだった?!」
「最初は妙に落ち着いていたな。ロキが死んだと思わせるようなことでもお前は言っていたのか?俺がロキは無事だと教えてやったら悔しがっていたぞ?」
「あ…そう言えば……」
なんとなく思わせぶりな態度で話していたから、ユーツヴァルトが勘違いしてもおかしくはなかったかもしれない。
「殺そうと思ったやつが生き残って、殺そうと企んだあいつが殺される。因果応報だな」
「それはそうだけど…なんだか俺はそう簡単には割り切れない」
「そういうものだ」
『取り敢えず落ち着くまではここに居ていいと許可を取ったから無理はするな』と言われて、ちょっと出立を遅らせてもらうことにしたのだけど、昼食を取り、気持ちの整理にとセドと手合わせをしていたところでその騒動が起こってしまう。
「脱獄だ!牢から罪人が逃げたぞ!」
どこからかそんな声が聞こえてきて、バタバタと騎士達が誰かを探し回る騒ぎに包まれ始める。
それを受けてもしやという気がしてそわそわしていたら、セドが剣を片付けてシャイナー陛下の元へと連れて行ってくれた。
「セドリック!ユーツヴァルトが逃げた!まさかとは思うが、武器を手渡したり手引きをしたりしていないだろうな?!」
「するわけがないだろう?俺はそこまで腐ってはいないぞ?」
「どうだか!────探せ!草の根分けても探し出せ!」
鋭い指示が飛び騎士達が素早く捜索へと向かう。
どうやらユーツヴァルトは何人か殺してから逃げたらしく、何の罪もない者達が命を散らしたと聞いて遣る瀬無い思いでいっぱいになった。
こうなっては最早何一つ庇うことなどできない。
情状酌量の余地などどこにもないだろう。
「ちっ…」
『ボディチェックが甘すぎる』と、セドは脱獄できる要素を残していたアンシャンテの体制に舌打ちしていた。
セド的に騎士でも何でもない医者の脱獄を易々と許すなどあり得ないらしい。
しかも幇助の疑いまでかけられたのだからその怒りは推して知るべしだろう。
その後もユーツヴァルトの消息は一向に掴むことができず、シャイナー陛下は酷く悔しそうにしていたが、ここでキャサリン妃のツンナガールが鳴った。
「はい。え?!ロキ陛下ですか?!」
『はい』
どうやら通話相手はロキ陛下だったらしい。
ロキ陛下は安全のためという名目で昼を食べてからすぐガヴァムに飛び立ったのだけど、忘れ物でもしたんだろうか?
「ロキ陛下!申し訳ございません!只今取り込み中でしてっ…」
『もしかしてユーツヴァルトが脱獄したとかですか?』
「…っ?!どうしてお分かりに?!」
『いえ。今本人がワイバーンで西方面に飛んで行っているのでどうしたものかと思いまして…』
「ワイバーンですって?!わかりました!情報感謝致します!すぐに追わせますのでどうか安全な場所に避難してくださいませ!」
どうやらユーツヴァルトは脱獄した後ワイバーンで逃亡したらしい。
道理で全然見つからないわけだ。
キャサリン妃は速やかにツンナガールを切ると、シャイナー陛下にその旨をすぐさま伝えた。
「シャイナー陛下!ロキ陛下から連絡が入って、罪人はワイバーンで西方面に逃亡中とのことですわ!」
「なんだと?!」
「ロキ陛下の安全のため近づかないよう言っておきましたが、すぐに確保に向かわせてくださいませ!」
「わかった!」
そこからの行動は早かった。
速やかにワイバーンの手配をしたシャイナー陛下は自らそれを率いて飛び立っていったのだ。
「なかなかシャイナーは動きが早いな」
「確かに」
国の体制はまだまだだが、一国の王としては申し分ないとセドが太鼓判を押すのも納得の判断力と行動力。
嫁とロキ陛下の尻に敷かれているところ以外は素晴らしいと思う。
「セドリック王子、アルフレッド妃殿下。まだ暫く騒動は落ち着きそうにありませんので、どうぞお部屋の方でごゆっくりお過ごしください」
「わかった。そうさせてもらおう」
キャサリン妃の言葉に甘えて部屋へと戻り俺達はシャイナー陛下が戻ってくるのを待っていたんだけど、結果から言うと手負いで森に逃げられたとのこと。
シャイナー陛下のワイバーン部隊にこっそり紛れ込んでいたセドの暗部が報告をしてくれたんだけど、シャイナー陛下達がユーツヴァルトの姿を確認し捕縛しようとしたものの、風向きの関係で囲い込むのが難しくて難航したらしい。
そこにロキ陛下の部下?か誰かが接触してきて、『埒が明かないから攻撃してもいいか?』と訊いてきたんだとか。
それに対してシャイナー陛下は、このまま近くの森に無傷で逃げ切られるよりはいいかと妥協したようだ。
そして許可を得たその相手はナイフを取り出して風を読みながら的確に腕と足を狙ったらしい。
報告を入れてきた暗部も『見事なコントロール力に脱帽しました』と言っていた。
『肩と足の腱を狙ったからな。これで捕まえやすくなっただろ』って笑ってたらしいから裏の人間だったのかもしれない。
死んではいないけど、ユーツヴァルトはそれなりに代償を払わされる結果となった。
あんなことをやらかしたけれど、命が助かって良かった────少しだけそう思ってしまう自分が嫌だ。
どうしてこんなことになったのか。
「はぁ…姫に会いたい」
きっと姫に会ったらいつもの自分に戻れる気がする。
職務に忠実で、護衛騎士としての本分を忘れない自分に…。
だからそう口にしただけだったのに、何故かセドの機嫌を損ねてしまったらしく、あっという間に捕まえられてしまう。
(なんでだよ?!)
「離せよ!この、鬼畜!!」
深々と受け入れさせられたセドのもののせいで感情の矛先がそちらへと向かってしまう。
「頭が真っ白になるくらい虐められた方が嫌なことを考えずに済むだろう?」
「嫌なことって…っ」
「姫に会うより俺に犯される方がずっといいと思うはずだ。おとなしく観念してこのまま俺に身を委ねろ」
「はぁあ?!そんなわけあるか!この性欲直結王子!!傷心の俺を少しは優しく慰めろ!」
「だからこうして慰めてやっているだろう?わからん奴だな」
「わからん奴なのはお前だ!抜けよ!本当に最悪なんだからっ!ちょっ、は…ッ、あぁっ…!」
ドチュッと弱いところを突き上げられて思わず口から嬌声が零れ落ちる。
「んっ、やめっ…っ、はっ、あぅっ…」
ソファの上で膝の上に乗せられて、気づけば腰を支えられながら何度も何度も奥まで穿たれジワリジワリと快感に染められていく。
「も、やめ…セド……ッ」
「泣きたいなら泣け。今なら涙をこぼしても悲しみからか快感からかわからんだろう?」
(……なんだよそれ)
セドのおかしな優しさがやたらと胸を打つ。
「う…うぅ……」
「お前の涙が枯れるまで抱いてやる」
そうしてなんだかんだ言いながらセドに抱かれて、俺は自分から求めるように腰を振り、何も考えられなくなるくらいセドの優しさに甘えた。
***
【Side.ユーツヴァルト】
上手く脱獄しワイバーンで空へと逃げきれたと思っていたのに、気づけばアンシャンテの連中に囲まれていた。
けれど追いつかれたところはこちらには都合のいい場所。
もう少し行けば大きな街の上空。その先は広大な森。更にその先は隣国メルケだ。
街の上空では高度を保ち、森が近づけば低空飛行に切り替えよう。
そうすれば易々と攻撃はできないはず。
この状況で大人しく捕縛される気はないし、逃げ切る自信があった。
それなのに奴らの中に腕利きの者がいたらしく、こんな激しい飛空状態にもかかわらず、風を読み的確にナイフをこちらへと放ち、利き腕の肩と足の腱を攻撃された。
「ぐぅっ!」
しかも最悪な事に痺れ薬まで仕込まれている。
(このままだと捕縛される…!)
けれどここで諦めるわけにはいかない。
だから気力を振り絞って、ギリギリ隣国の国境線に近い森の中へと逃げ込んだ。
動けなくなる前に、早く早く、逃げなければ!
追っ手に捕まるわけにはいかないと手持ちの薬を飲んで自分を誤魔化し、ワイバーンを乗り捨て足を引きずりながら無理矢理歩いた。
降りた場所は幸い追っ手のワイバーンが降りれる広さはどこにもない木が密集した場所で、空から場所が特定されそうにもないほど木が生い茂っている。
これなら助かる可能性は高い。
それからどれくらい歩いただろう?
俺はやがて力尽き、地に倒れこんだ。
ザッ…と誰かの足音が聞こえた気もするが、最早顔を上げる気力などどこにもなく、そのまま気を失ってしまったのだった。
「納得できたか?」
そう聞かれたけど、全然納得なんてできてないから悔しくて涙がにじんだ。
「……全く話が通じなかった」
「そうか」
「俺、友達だったはずなのに、あいつの言ってること、全く理解してやれなくて…」
「そうか」
「なんでっ…人の幸せを勝手に決めるのか俺にはわからなかっ…ふ…うぅ…っ」
最後は嗚咽交じりにセドに抱きとめてもらいながら一頻り泣いた。
「……このままただシャイナーに任せるのも癪だな」
そう言ってセドは俺を落ち着かせた後、どこかへと行ってしまった。
どこに行ったんだろう?
不思議に思いながら待っていると、暫くしてから戻ってきた。
なんでもシャイナー陛下から許可を取って、ユーツヴァルトの様子を見に行ってきたんだとか。
「ど、どうだった?!」
「最初は妙に落ち着いていたな。ロキが死んだと思わせるようなことでもお前は言っていたのか?俺がロキは無事だと教えてやったら悔しがっていたぞ?」
「あ…そう言えば……」
なんとなく思わせぶりな態度で話していたから、ユーツヴァルトが勘違いしてもおかしくはなかったかもしれない。
「殺そうと思ったやつが生き残って、殺そうと企んだあいつが殺される。因果応報だな」
「それはそうだけど…なんだか俺はそう簡単には割り切れない」
「そういうものだ」
『取り敢えず落ち着くまではここに居ていいと許可を取ったから無理はするな』と言われて、ちょっと出立を遅らせてもらうことにしたのだけど、昼食を取り、気持ちの整理にとセドと手合わせをしていたところでその騒動が起こってしまう。
「脱獄だ!牢から罪人が逃げたぞ!」
どこからかそんな声が聞こえてきて、バタバタと騎士達が誰かを探し回る騒ぎに包まれ始める。
それを受けてもしやという気がしてそわそわしていたら、セドが剣を片付けてシャイナー陛下の元へと連れて行ってくれた。
「セドリック!ユーツヴァルトが逃げた!まさかとは思うが、武器を手渡したり手引きをしたりしていないだろうな?!」
「するわけがないだろう?俺はそこまで腐ってはいないぞ?」
「どうだか!────探せ!草の根分けても探し出せ!」
鋭い指示が飛び騎士達が素早く捜索へと向かう。
どうやらユーツヴァルトは何人か殺してから逃げたらしく、何の罪もない者達が命を散らしたと聞いて遣る瀬無い思いでいっぱいになった。
こうなっては最早何一つ庇うことなどできない。
情状酌量の余地などどこにもないだろう。
「ちっ…」
『ボディチェックが甘すぎる』と、セドは脱獄できる要素を残していたアンシャンテの体制に舌打ちしていた。
セド的に騎士でも何でもない医者の脱獄を易々と許すなどあり得ないらしい。
しかも幇助の疑いまでかけられたのだからその怒りは推して知るべしだろう。
その後もユーツヴァルトの消息は一向に掴むことができず、シャイナー陛下は酷く悔しそうにしていたが、ここでキャサリン妃のツンナガールが鳴った。
「はい。え?!ロキ陛下ですか?!」
『はい』
どうやら通話相手はロキ陛下だったらしい。
ロキ陛下は安全のためという名目で昼を食べてからすぐガヴァムに飛び立ったのだけど、忘れ物でもしたんだろうか?
「ロキ陛下!申し訳ございません!只今取り込み中でしてっ…」
『もしかしてユーツヴァルトが脱獄したとかですか?』
「…っ?!どうしてお分かりに?!」
『いえ。今本人がワイバーンで西方面に飛んで行っているのでどうしたものかと思いまして…』
「ワイバーンですって?!わかりました!情報感謝致します!すぐに追わせますのでどうか安全な場所に避難してくださいませ!」
どうやらユーツヴァルトは脱獄した後ワイバーンで逃亡したらしい。
道理で全然見つからないわけだ。
キャサリン妃は速やかにツンナガールを切ると、シャイナー陛下にその旨をすぐさま伝えた。
「シャイナー陛下!ロキ陛下から連絡が入って、罪人はワイバーンで西方面に逃亡中とのことですわ!」
「なんだと?!」
「ロキ陛下の安全のため近づかないよう言っておきましたが、すぐに確保に向かわせてくださいませ!」
「わかった!」
そこからの行動は早かった。
速やかにワイバーンの手配をしたシャイナー陛下は自らそれを率いて飛び立っていったのだ。
「なかなかシャイナーは動きが早いな」
「確かに」
国の体制はまだまだだが、一国の王としては申し分ないとセドが太鼓判を押すのも納得の判断力と行動力。
嫁とロキ陛下の尻に敷かれているところ以外は素晴らしいと思う。
「セドリック王子、アルフレッド妃殿下。まだ暫く騒動は落ち着きそうにありませんので、どうぞお部屋の方でごゆっくりお過ごしください」
「わかった。そうさせてもらおう」
キャサリン妃の言葉に甘えて部屋へと戻り俺達はシャイナー陛下が戻ってくるのを待っていたんだけど、結果から言うと手負いで森に逃げられたとのこと。
シャイナー陛下のワイバーン部隊にこっそり紛れ込んでいたセドの暗部が報告をしてくれたんだけど、シャイナー陛下達がユーツヴァルトの姿を確認し捕縛しようとしたものの、風向きの関係で囲い込むのが難しくて難航したらしい。
そこにロキ陛下の部下?か誰かが接触してきて、『埒が明かないから攻撃してもいいか?』と訊いてきたんだとか。
それに対してシャイナー陛下は、このまま近くの森に無傷で逃げ切られるよりはいいかと妥協したようだ。
そして許可を得たその相手はナイフを取り出して風を読みながら的確に腕と足を狙ったらしい。
報告を入れてきた暗部も『見事なコントロール力に脱帽しました』と言っていた。
『肩と足の腱を狙ったからな。これで捕まえやすくなっただろ』って笑ってたらしいから裏の人間だったのかもしれない。
死んではいないけど、ユーツヴァルトはそれなりに代償を払わされる結果となった。
あんなことをやらかしたけれど、命が助かって良かった────少しだけそう思ってしまう自分が嫌だ。
どうしてこんなことになったのか。
「はぁ…姫に会いたい」
きっと姫に会ったらいつもの自分に戻れる気がする。
職務に忠実で、護衛騎士としての本分を忘れない自分に…。
だからそう口にしただけだったのに、何故かセドの機嫌を損ねてしまったらしく、あっという間に捕まえられてしまう。
(なんでだよ?!)
「離せよ!この、鬼畜!!」
深々と受け入れさせられたセドのもののせいで感情の矛先がそちらへと向かってしまう。
「頭が真っ白になるくらい虐められた方が嫌なことを考えずに済むだろう?」
「嫌なことって…っ」
「姫に会うより俺に犯される方がずっといいと思うはずだ。おとなしく観念してこのまま俺に身を委ねろ」
「はぁあ?!そんなわけあるか!この性欲直結王子!!傷心の俺を少しは優しく慰めろ!」
「だからこうして慰めてやっているだろう?わからん奴だな」
「わからん奴なのはお前だ!抜けよ!本当に最悪なんだからっ!ちょっ、は…ッ、あぁっ…!」
ドチュッと弱いところを突き上げられて思わず口から嬌声が零れ落ちる。
「んっ、やめっ…っ、はっ、あぅっ…」
ソファの上で膝の上に乗せられて、気づけば腰を支えられながら何度も何度も奥まで穿たれジワリジワリと快感に染められていく。
「も、やめ…セド……ッ」
「泣きたいなら泣け。今なら涙をこぼしても悲しみからか快感からかわからんだろう?」
(……なんだよそれ)
セドのおかしな優しさがやたらと胸を打つ。
「う…うぅ……」
「お前の涙が枯れるまで抱いてやる」
そうしてなんだかんだ言いながらセドに抱かれて、俺は自分から求めるように腰を振り、何も考えられなくなるくらいセドの優しさに甘えた。
***
【Side.ユーツヴァルト】
上手く脱獄しワイバーンで空へと逃げきれたと思っていたのに、気づけばアンシャンテの連中に囲まれていた。
けれど追いつかれたところはこちらには都合のいい場所。
もう少し行けば大きな街の上空。その先は広大な森。更にその先は隣国メルケだ。
街の上空では高度を保ち、森が近づけば低空飛行に切り替えよう。
そうすれば易々と攻撃はできないはず。
この状況で大人しく捕縛される気はないし、逃げ切る自信があった。
それなのに奴らの中に腕利きの者がいたらしく、こんな激しい飛空状態にもかかわらず、風を読み的確にナイフをこちらへと放ち、利き腕の肩と足の腱を攻撃された。
「ぐぅっ!」
しかも最悪な事に痺れ薬まで仕込まれている。
(このままだと捕縛される…!)
けれどここで諦めるわけにはいかない。
だから気力を振り絞って、ギリギリ隣国の国境線に近い森の中へと逃げ込んだ。
動けなくなる前に、早く早く、逃げなければ!
追っ手に捕まるわけにはいかないと手持ちの薬を飲んで自分を誤魔化し、ワイバーンを乗り捨て足を引きずりながら無理矢理歩いた。
降りた場所は幸い追っ手のワイバーンが降りれる広さはどこにもない木が密集した場所で、空から場所が特定されそうにもないほど木が生い茂っている。
これなら助かる可能性は高い。
それからどれくらい歩いただろう?
俺はやがて力尽き、地に倒れこんだ。
ザッ…と誰かの足音が聞こえた気もするが、最早顔を上げる気力などどこにもなく、そのまま気を失ってしまったのだった。
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※皆様いつもありがとうございます♪この度スピンオフ作品をアップしましたので、ご興味のある方はそちらも宜しくお願いしますm(_ _)m『王子の本命~ガヴァム王国の王子達~』https://www.alphapolis.co.jp/novel/91408108/52430498
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