【完結】王子の本命~姫の護衛騎士は逃げ出したい~

オレンジペコ

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【シャイナー陛下の婚礼】

174.※従兄弟の結婚式⑥ Side.セドリック

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ロキに闇医者と引き合わせてもらいパーティーから抜け出し、部屋へと移動する。
そこで闇医者の口から今回の毒耐性の薬についてのリスク説明が行われた。
当然だがノーリスクではないため、やるやらないについては自己責任で決めてほしいと言われた。
まあこちらは大国の王太子だ。
きちんとその辺りの説明をした上でロキに迷惑が掛からないようにしたかったのだろう。
ロキも無理はしなくていいと言っていたことだし、やめるのは簡単だが、熱は出てもこの薬の効果で死ぬことはないらしいから、別に構わないと判断して予定通り受けることにした。

「錯乱系の毒も含まれるので、護身用の短剣等は念のため傍に置かないようにお願いします」

それを聞いてそう言えばここに来るまでにロキがそれで大騒ぎになったと言っていたなと思い出す。
こいつは元々病んでるところがあるから効きやすかったんだろう。
俺に剣を突きつけられても平気な顔をしているような奴だ。
死を恐れるとは思えないし、それはもう迷うことなく潔く死のうとしたはず。
止めに入った護衛は焦っただろうが、はっきり言って賞賛ものだ。
よく間に合ったなと、そちらに対しての方が驚きだった。

そうして実際にそれを試したのだが、処置としては一瞬だ。
痛みも思ったほどにはなかったし、本当にこれで耐性がつくのかと疑いたくなったほど。
けれどそれは大間違いで、ちゃんと効果は出た。
呼吸が段々辛くなってきたのだ。

「セド!」

大丈夫かとアルフレッドが心配してくれるが、これはなかなかに辛い。

「アルフレッド妃殿下。後は寝かせておいて様子を見てあげてください。熱が上がったら額を冷やして汗を拭いてあげるといいと思います。水分も適度に取らせてあげて、脱水症状を起こさないよう気を配ってあげてください」
「わかった」

心配そうに手を握ってくるアルフレッド。

「症状的に媚薬っぽい効果が強く出ているようですが、熱がある時に激しい運動は控えた方がいいので、そこはどうかご辛抱を」

闇医者が俺に出ている症状を観察してからそう言ってきたが、何故媚薬っぽい症状が出るのかと疑問だった。
するとこの毒耐性薬は、媚薬成分が含まれた毒も対象になっているからだと言われた。
そのため媚薬耐性も少しはつくらしい。

「……何故『少し』なんだ?」

どうせならついでにその効果をもっとつければいいのに。
なんとなく気を紛らわせるために闇医者に尋ねてみると、これは元々裏の暗殺者やスパイ達相手に作った薬だからとのこと。
完全に耐性をつけてしまうとスパイとしてもぐりこんだ際に相手から盛られてもわからないから、逆に疑われる原因になりかねない。
そのため調整してあるのだとか。

「あくまでもメインは毒耐性なので、媚薬耐性はオマケのようなものなんですよ。それに貴方だって妃殿下と媚薬で楽しみたい時に全く効かなかったら興醒めしませんか?ほどほどが一番だと思いますが?」
「なるほどな」

それは確かにそうかもしれない。
アルフレッドに媚薬を盛って楽しむのは嫌いではないし、それができなくなるのは残念だから言いたいことはわかる。

「では、他にご質問がなければ我々はこれで失礼します。万が一何かあればすぐに呼んでください。よろしくお願いします」

そう言って闇医者は踵を返したのだが、そこでロキが具合が悪そうにしている姿を目に止め、どうかしたのかと声を掛けた。

「ロキ陛下?顔色が悪いようですが、大丈夫ですか?」
「ああ…なんだかさっきから眩暈がするんだ。まあ寝てたら治ると思うし、大丈夫だと思う」
「そうですか?念のため部屋に戻ってから診察しますね」

そんなことを言いながら『では失礼します』と部屋を出て行った。
さっきまで平気そうだったのに急にどうかしたんだろうか?
そう思ったが、人のことより今は自分のことだ。
先程から媚薬のような効果が段々酷くなっていて、体が熱くて息が苦しい。
これで一晩耐えろとはなかなかどうして酷いことを言う。
俺にとっては何よりの苦痛でしかない。

「セド、大丈夫か?俺に出来ることがあったらなんでも言ってくれよな」

アルフレッドが心配そうにそう言ってくれるが、ここで俺のを抜いてくれと言ったら怒るだろうか?
激しい運動はするなと言われたが、ヤルなとまでは言われていないし、ヌクなとも言われていない。
つまりゆっくり繋がる分にはアリのはずだし、それがダメなら手か口でして欲しい。

「アルフレッド…辛いからお前の手で俺をイかせてくれ」
「へ?!」
「媚薬の症状が強いから、協力してほしい」
「えぇえ?!で、でもほら、ダメだってさっき確か…」
「ダメなのは激しい運動だけだ」

それ以外は問題ないからと言って、俺はアルフレッドをなんとか宥めすかし、してもらうことに成功した。

「う……」

アルフレッドの手で擦ってもらうとあっという間に育っていく己の分身。

「なあセド…」
「はぁ…っ、なんだ?」
「俺、こういうのって殆どやったことないから、良いところとかよくわからないし、ちゃんとお前がイケるように教えてくれよな」

『媚薬成分を身体から抜くなら必要だろう?』と言ってくる。
それは確かにその通りだからこれを機にしっかりと教えてやることに。
力加減から扱き方、攻め方まで仕込んでやる。

「う…ふ……」
「なんかいつもと逆で楽しいな」

アルフレッド的にも自分が攻めてるという珍しいシチュエーションが気に入ったのか、段々やる気が漲ってきて自分で工夫しながら俺をイかせ始めた。

「お前絶倫だし、最初にこうやって何度かイかせてやったら俺も負担が減るんじゃないか?」
「はぁ…っ、どうだか、な…。うっ…」

アルフレッドは分かっていない。
最初に何度かイかせたら、その分俺に余裕が出て攻め放題になるということを。
なんて美味しい提案だ。
是非やらせてやろう。

それから媚薬成分が抜けるまで何度もイキ、粗方抜けたところでアルフレッドが甲斐甲斐しく汗を拭って身体を拭いて着替えさせてくれた。
流石にここから抱かせろとは言う気はない。

「弱ってるセドって新鮮だよな」

そう言いながら嬉々として俺の世話を焼くアルフレッド。
それが何とも言えず嬉しかった。

「後はゆっくり寝て、熱が下がるよう安静に!」
「…ああ」
「俺がずっとついててやるから、なんでも言ってくれよな」
「じゃあ水をくれ」
「わかった」

すぐにグラスを差し出されるが、ここは口移しだろうと思ったからグラスが持てないほど弱っているふりをして、敢えて飲ませてもらうことに。

「持てない」
「え?!そんなに辛いのか?!」

慌ててグラスを手ずから口元に当ててくるアルフレッド。

(察しが悪いな)

「アル。飲みにくい。口移しで飲ませろ」
「はぁ?!」
「ほら、早く」
「え…えぇっ?!」

真っ赤になって俺とグラスを交互に見遣る姿が何とも愛おしい。
きっと物凄く葛藤しているんだろう。

「……わ、わかった」

やがて観念したのかアルフレッドはグラスの水を口に含み、ゆっくりと唇を重ねてきた。
甘露のように甘い水が口いっぱいに広がって、満足感で満たされていく。

「アルフレッド。もっと」

そう言うとアルフレッドはしょうがないなと言いながら頬を染め、自ら俺に口づけ俺が満足するまで水を飲ませ続けた。

たまにはこんな日も悪くはない。


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