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【王妃の帰還】
109.王妃の帰還⑧
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王妃が帰って来てから俺は散々だ。
姫は王宮から離れてバカンスに行ってしまうし、セドの不機嫌は多少マシになったとは言え続いているし。
そんな中、気晴らしに鍛錬場にでも行ってたまにはブルーグレイ側の騎士達と手合わせでもしようかなと思って回廊を歩いていたら何故か王妃に捕まってしまった。
最初声を掛けられた時、何が狙いなんだろうと思ったけど、一応セドの母親だしまあ頼みたいことがあると言うなら話くらいは聞こうかなと思った。
わざわざ息子の側妃に声を掛けてくるんだからそれなりに重要なことなのかもしれないし、もしかしたらセドとの仲を取り持ってほしいとかそう言う話かもしれない。
おかしな話なら断ればいいだけの話だし、別に危ない目に合うことなんてないだろうと思った。
だってこっちは剣を携えているけど、向こうは女性で丸腰。危ない目に合う可能性なんてゼロだろう。
だから大人しくついていったんだ。
それなのに────。
「んんんっ?!」
ドアが閉まると同時に抱き着かれ、あっという間に唇を塞がれてしまった。
「な…なななっ?!」
(えええええっ?!)
慌てて引き剥がしたけど、何が起こったんだと動揺を隠せない。
しかも全く悪びれることなく笑みを浮かべ、俺にこう言ってきたんだ。
「そんなに狼狽することはないわ。こう言ったことが初めてなら私が貴方に教えてあげる」
(いや、結構です!!)
この人、変なところでセドと親子だな?!
ちょっとどころではなくびっくりしてしまった。
やることが予測不能過ぎる。
『俺、親子で食べられるのか?』と思いながらどう逃げようと焦っていたら、セドの暗部か誰か知らないけど急に王妃の背後に現れて、有難いことにストップが入った。
「王妃様。それ以上の暴挙は許されません」
本当にとんでもない暴挙だし、止めに入ってくれてよかったとホッと安堵の息を吐く。
でも刃物を突き付けられた王妃の方はそうも言ってられない。
怯えたように固まって、一生懸命現状打破を考え始めた。
そして何とか有効と思われるであろう言葉を紡ぎ出したのだ。
「お、夫をここに呼んできてちょうだい!」
「…………」
「ふ、不用意に動いたりしないし、ちゃんとおとなしくしているわ」
その言葉に暗部の男が暫し考え、そっと刃物を引いた。
どうやら彼はセドではなく陛下の暗部だったらしい。
けれどこの後王妃は思わぬ行動に出た。
俺の方に身を投げて暗部を指さし悲鳴を上げたのだ。
まあ王妃からしたら確かに立派な狼藉者だっただろう。
(でもなぁ……)
明らかに身内の暗部だとわかってて悲鳴を上げるか?
この場を何とかしようと思ってのことだろうけど、だいぶ無理があると思う。
案の定、駆け付けた者達は状況の把握ができずその場から動けない。
だって、俺がここにいるのに剣も抜かず困った顔で固まってるんだから。
本当に王妃が言うような狼藉者なら俺が前に出てすぐにでも斬り捨ててるだろうし、おかしいと思っても何ら不思議ではない。
そうこうしているうちに、一番ヤバい奴がこの場にやってきてしまった。
セドだ。
「その香水臭い身体を今すぐどけろ」
もうこの言葉を聞いただけで駆け付けた騎士達が蒼白になるのが分かった。
物凄く怒ってる。
なのに王妃だけが現状を理解できないようで、マイペースに言葉を紡いでしまった。
「セドリック。心配をかけたわね。大丈夫よ」
そう言いながら王妃は相変わらず俺から離れようとはしない。
ここは俺から離れるべきか?
そう思ったのも束の間、セドの威圧と殺気が噴き出る方がそれよりも早かった。
「聞こえなかったか?その香水臭い身体を今すぐどけろと言っている!!」
「ひぃいっ!!」
半端ない怒りの威圧と殺気はものの見事に周辺にいた騎士達まで巻き込み全てを平伏させてしまう。
俺以外全員床にへなへなと座り込んでしまったじゃないか。
(相変わらず嫉妬深くて容赦がないな)
俺は平気だからいいものの、母親にまでこれかと思わず苦笑してしまった。
これは絶対にキスの件は口にしない方がいいだろう。
言ったが最後、一瞬で首が飛ぶ。
その証拠に全く迷いなくスラリと剣を抜き放ち、今にも斬り殺さんばかりの怒気を振りまいているし、あながち間違ってはいないはず。
「覚悟はできているだろうな?」
「……え?」
「俺の寵姫に手を出して、ただで済むと思ってはいまい」
「ちょ、寵姫?」
どうやら王妃は俺のことを知らずに誘ったらしい。
なんて運が悪いんだろう?
相手が俺じゃなかったらセドもここまで怒らなかっただろうに…。
「え…?」
「アルフレッドは俺のものだ。手を出そうとするのなら容赦なく殺す。それがたとえ母であろうとも」
「あ……」
「自戒の時間は終わったか?」
蒼白になる王妃を見て、冷たい目で見下ろすセド。
即殺さなかった分だけ成長はしてるんだろうけど、ここは止めに入らないとまずいだろう。
本当は陛下が止めに入ってくれるのが一番なんだろうけど────。
「セド。取り敢えず落ち着け」
「俺は落ち着いている」
「いいや、落ち着いてない」
「……アルフレッド」
「俺がされたことは抱き着かれたことくらいだろう?それで殺すなんてどう考えてもやりすぎだ」
「…………」
「彼女は陛下の正妃で、ブルーグレイの正式な王妃だ。お前が勝手に殺していいはずがない。だからまず落ち着けと言ってるんだ」
ただでさえ周辺国に冷酷な王子という印象があるのに、母殺しなんて余計にマズいだろう。
陛下だって絶対に困るはず。
だから怒りの矛先が俺に向いたとしてもちゃんと止めようと思った。
これだって多分側妃としての職分だろうし。
何だったら剣を合わせてでも止めてやろうとそっと自分の愛剣へと手を掛ける。
でもセドはなんとか怒りを呑み込み深く息を吐くと、意外にもあっさりと剣を引いてくれた。
(セ、セドが大人になってる…!)
ちょっと感動と思ってたら、ギッと強く睨まれてしまった。
どうやら怒りは早々納まってはいないようだ。
「アルフレッド。後で覚えていろ」
「ああ、もちろん。お前の怒りはちゃんと受け止めてやる」
別に俺は殺気全開で抱かれても平気だしな。
怒ってようと全然平気だ。
「…………そうか」
「ああ。だからちゃんと陛下と三人で話して戻ってこい」
「…………わかった。それならそれまでにその沁みついた香水の匂いをしっかり洗い流しておけ」
「わかったよ。仕方ないな」
無事に王妃が斬り殺されずに済んでよかったって安心したし、ちゃんと話し合いの場が設けられるのならもう何も心配することもないだろうって思ったんだ。
これで全部丸く収まるって信じてたし、姫ももうすぐ戻ってくるだろうってちょっとウキウキしてた。
だからすっかり頭の中からそのことが飛んでたんだ。
王妃からのキスをセドに隠してたことを────。
***
シャワーを浴びてソファで寛いでたら話し合いを終えたらしいセドが部屋へと戻ってきた。
でもなんだか物凄く怒ってるっぽい。
また王妃が何かセドを怒らせるようなことでも口にしたんだろうか?
(トラブルメーカーだなぁ…)
そう思って、それならそれでせめて笑顔で迎えてやろうと声を掛けた。
「セド、おかえり。疲れただろう?一緒に茶でも飲むか?」
「…………そうだな、冷たい水を一杯もらおうか」
「水でいいのか?」
「ああ」
変なのと思いつつ、喉が渇いてるんだろうなと思って水差しからグラスに水を注いで手渡してやると、凄い勢いで一気飲みした。
「落ち着いたか?」
「ああ」
「それなら良かった」
でも俺が穏やかでいられたのはここまでだった。
グラスを片付け、名を呼ばれたところでそちらを向くと、何故か物凄く凶悪な顔でセドが笑ってて、こう言ったんだ。
「アルフレッド。俺に隠し事はないか?」────と。
(え?隠し事?)
その言葉に一気に蒼白になる。
(ど、どれがバレた?!)
オーガストへ近況報告の手紙を書くついでに『早く帰ってきて手合わせしてほしい』って書いたことだろうか?
それとも殺気全開で連日抱き潰されるのが辛いから、セドの暗部に『二日に一回睡眠薬でも盛れないか?』って愚痴を溢しがてら相談した件だろうか?
どっちも怒られそうだからできれば言いたくないんだけど…。
そう思ってたら、胡乱気な顔で「キス…」と言ってきた。
「…え?」
も、もしかして極たまに愛剣にキスしてるのがバレたんだろうか?
今日も宜しくって感じでしてただけなんだけど、これがバレたんなら流石に恥ずかしい!
「や、それは…その…っ」
「…………何故照れる?」
「え?だって、どう考えても恥ずかしいだろ?!」
「だから何故だ?」
「だ、だって…」
「どうやら予想は正しかったようだな?」
「え?」
「まさかお前が嫌がることなく受け入れているとはな?」
(な、なんかセドの怒りが滅茶苦茶増していってないか?!)
なんで愛剣にキスしたくらいでこんなに怒るんだよ?!
「セ、セド?!」
そのまま俺はあっという間にセドに抱き上げられて、問答無用でベッドへと放り投げられた。
「さあ────お仕置きの時間だ」
こうしてこれ以上ないってくらい激怒したセドに見下ろされ、俺はブルリと震える羽目になったのだった。
姫は王宮から離れてバカンスに行ってしまうし、セドの不機嫌は多少マシになったとは言え続いているし。
そんな中、気晴らしに鍛錬場にでも行ってたまにはブルーグレイ側の騎士達と手合わせでもしようかなと思って回廊を歩いていたら何故か王妃に捕まってしまった。
最初声を掛けられた時、何が狙いなんだろうと思ったけど、一応セドの母親だしまあ頼みたいことがあると言うなら話くらいは聞こうかなと思った。
わざわざ息子の側妃に声を掛けてくるんだからそれなりに重要なことなのかもしれないし、もしかしたらセドとの仲を取り持ってほしいとかそう言う話かもしれない。
おかしな話なら断ればいいだけの話だし、別に危ない目に合うことなんてないだろうと思った。
だってこっちは剣を携えているけど、向こうは女性で丸腰。危ない目に合う可能性なんてゼロだろう。
だから大人しくついていったんだ。
それなのに────。
「んんんっ?!」
ドアが閉まると同時に抱き着かれ、あっという間に唇を塞がれてしまった。
「な…なななっ?!」
(えええええっ?!)
慌てて引き剥がしたけど、何が起こったんだと動揺を隠せない。
しかも全く悪びれることなく笑みを浮かべ、俺にこう言ってきたんだ。
「そんなに狼狽することはないわ。こう言ったことが初めてなら私が貴方に教えてあげる」
(いや、結構です!!)
この人、変なところでセドと親子だな?!
ちょっとどころではなくびっくりしてしまった。
やることが予測不能過ぎる。
『俺、親子で食べられるのか?』と思いながらどう逃げようと焦っていたら、セドの暗部か誰か知らないけど急に王妃の背後に現れて、有難いことにストップが入った。
「王妃様。それ以上の暴挙は許されません」
本当にとんでもない暴挙だし、止めに入ってくれてよかったとホッと安堵の息を吐く。
でも刃物を突き付けられた王妃の方はそうも言ってられない。
怯えたように固まって、一生懸命現状打破を考え始めた。
そして何とか有効と思われるであろう言葉を紡ぎ出したのだ。
「お、夫をここに呼んできてちょうだい!」
「…………」
「ふ、不用意に動いたりしないし、ちゃんとおとなしくしているわ」
その言葉に暗部の男が暫し考え、そっと刃物を引いた。
どうやら彼はセドではなく陛下の暗部だったらしい。
けれどこの後王妃は思わぬ行動に出た。
俺の方に身を投げて暗部を指さし悲鳴を上げたのだ。
まあ王妃からしたら確かに立派な狼藉者だっただろう。
(でもなぁ……)
明らかに身内の暗部だとわかってて悲鳴を上げるか?
この場を何とかしようと思ってのことだろうけど、だいぶ無理があると思う。
案の定、駆け付けた者達は状況の把握ができずその場から動けない。
だって、俺がここにいるのに剣も抜かず困った顔で固まってるんだから。
本当に王妃が言うような狼藉者なら俺が前に出てすぐにでも斬り捨ててるだろうし、おかしいと思っても何ら不思議ではない。
そうこうしているうちに、一番ヤバい奴がこの場にやってきてしまった。
セドだ。
「その香水臭い身体を今すぐどけろ」
もうこの言葉を聞いただけで駆け付けた騎士達が蒼白になるのが分かった。
物凄く怒ってる。
なのに王妃だけが現状を理解できないようで、マイペースに言葉を紡いでしまった。
「セドリック。心配をかけたわね。大丈夫よ」
そう言いながら王妃は相変わらず俺から離れようとはしない。
ここは俺から離れるべきか?
そう思ったのも束の間、セドの威圧と殺気が噴き出る方がそれよりも早かった。
「聞こえなかったか?その香水臭い身体を今すぐどけろと言っている!!」
「ひぃいっ!!」
半端ない怒りの威圧と殺気はものの見事に周辺にいた騎士達まで巻き込み全てを平伏させてしまう。
俺以外全員床にへなへなと座り込んでしまったじゃないか。
(相変わらず嫉妬深くて容赦がないな)
俺は平気だからいいものの、母親にまでこれかと思わず苦笑してしまった。
これは絶対にキスの件は口にしない方がいいだろう。
言ったが最後、一瞬で首が飛ぶ。
その証拠に全く迷いなくスラリと剣を抜き放ち、今にも斬り殺さんばかりの怒気を振りまいているし、あながち間違ってはいないはず。
「覚悟はできているだろうな?」
「……え?」
「俺の寵姫に手を出して、ただで済むと思ってはいまい」
「ちょ、寵姫?」
どうやら王妃は俺のことを知らずに誘ったらしい。
なんて運が悪いんだろう?
相手が俺じゃなかったらセドもここまで怒らなかっただろうに…。
「え…?」
「アルフレッドは俺のものだ。手を出そうとするのなら容赦なく殺す。それがたとえ母であろうとも」
「あ……」
「自戒の時間は終わったか?」
蒼白になる王妃を見て、冷たい目で見下ろすセド。
即殺さなかった分だけ成長はしてるんだろうけど、ここは止めに入らないとまずいだろう。
本当は陛下が止めに入ってくれるのが一番なんだろうけど────。
「セド。取り敢えず落ち着け」
「俺は落ち着いている」
「いいや、落ち着いてない」
「……アルフレッド」
「俺がされたことは抱き着かれたことくらいだろう?それで殺すなんてどう考えてもやりすぎだ」
「…………」
「彼女は陛下の正妃で、ブルーグレイの正式な王妃だ。お前が勝手に殺していいはずがない。だからまず落ち着けと言ってるんだ」
ただでさえ周辺国に冷酷な王子という印象があるのに、母殺しなんて余計にマズいだろう。
陛下だって絶対に困るはず。
だから怒りの矛先が俺に向いたとしてもちゃんと止めようと思った。
これだって多分側妃としての職分だろうし。
何だったら剣を合わせてでも止めてやろうとそっと自分の愛剣へと手を掛ける。
でもセドはなんとか怒りを呑み込み深く息を吐くと、意外にもあっさりと剣を引いてくれた。
(セ、セドが大人になってる…!)
ちょっと感動と思ってたら、ギッと強く睨まれてしまった。
どうやら怒りは早々納まってはいないようだ。
「アルフレッド。後で覚えていろ」
「ああ、もちろん。お前の怒りはちゃんと受け止めてやる」
別に俺は殺気全開で抱かれても平気だしな。
怒ってようと全然平気だ。
「…………そうか」
「ああ。だからちゃんと陛下と三人で話して戻ってこい」
「…………わかった。それならそれまでにその沁みついた香水の匂いをしっかり洗い流しておけ」
「わかったよ。仕方ないな」
無事に王妃が斬り殺されずに済んでよかったって安心したし、ちゃんと話し合いの場が設けられるのならもう何も心配することもないだろうって思ったんだ。
これで全部丸く収まるって信じてたし、姫ももうすぐ戻ってくるだろうってちょっとウキウキしてた。
だからすっかり頭の中からそのことが飛んでたんだ。
王妃からのキスをセドに隠してたことを────。
***
シャワーを浴びてソファで寛いでたら話し合いを終えたらしいセドが部屋へと戻ってきた。
でもなんだか物凄く怒ってるっぽい。
また王妃が何かセドを怒らせるようなことでも口にしたんだろうか?
(トラブルメーカーだなぁ…)
そう思って、それならそれでせめて笑顔で迎えてやろうと声を掛けた。
「セド、おかえり。疲れただろう?一緒に茶でも飲むか?」
「…………そうだな、冷たい水を一杯もらおうか」
「水でいいのか?」
「ああ」
変なのと思いつつ、喉が渇いてるんだろうなと思って水差しからグラスに水を注いで手渡してやると、凄い勢いで一気飲みした。
「落ち着いたか?」
「ああ」
「それなら良かった」
でも俺が穏やかでいられたのはここまでだった。
グラスを片付け、名を呼ばれたところでそちらを向くと、何故か物凄く凶悪な顔でセドが笑ってて、こう言ったんだ。
「アルフレッド。俺に隠し事はないか?」────と。
(え?隠し事?)
その言葉に一気に蒼白になる。
(ど、どれがバレた?!)
オーガストへ近況報告の手紙を書くついでに『早く帰ってきて手合わせしてほしい』って書いたことだろうか?
それとも殺気全開で連日抱き潰されるのが辛いから、セドの暗部に『二日に一回睡眠薬でも盛れないか?』って愚痴を溢しがてら相談した件だろうか?
どっちも怒られそうだからできれば言いたくないんだけど…。
そう思ってたら、胡乱気な顔で「キス…」と言ってきた。
「…え?」
も、もしかして極たまに愛剣にキスしてるのがバレたんだろうか?
今日も宜しくって感じでしてただけなんだけど、これがバレたんなら流石に恥ずかしい!
「や、それは…その…っ」
「…………何故照れる?」
「え?だって、どう考えても恥ずかしいだろ?!」
「だから何故だ?」
「だ、だって…」
「どうやら予想は正しかったようだな?」
「え?」
「まさかお前が嫌がることなく受け入れているとはな?」
(な、なんかセドの怒りが滅茶苦茶増していってないか?!)
なんで愛剣にキスしたくらいでこんなに怒るんだよ?!
「セ、セド?!」
そのまま俺はあっという間にセドに抱き上げられて、問答無用でベッドへと放り投げられた。
「さあ────お仕置きの時間だ」
こうしてこれ以上ないってくらい激怒したセドに見下ろされ、俺はブルリと震える羽目になったのだった。
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