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【国際会議】

82.※国際会議⑳ Side.セドリック

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折角アルフレッドといい雰囲気になっていたというのに、急になにやらぐるぐる考え込んだと思ったら真っ赤になって、様子がおかしいなと思っていたらいきなり不意打ちの攻撃を食らった。
流石にあの雰囲気からこれはないだろうと油断していたから、もろに食らってしまいうっかりそのまま逃がしてしまう。

「頭と身体を冷やしてくる!」

そんな言葉と共に部屋を飛び出されて追い掛けるなという方がおかしいだろう。

このまま逃がすと思うなとばかりに殺気を振りまきながら追いかけたら何を言わずとも皆が皆道を開け、アルフレッドが逃げた方向を教えてくれる。
これには非常に助けられた。

そして宿の裏手でやっと追いつき壁際にその身を縫い留めると、何故逃げると問い詰めてやった。
勿論今度は油断なんてせず、がっちりアルフレッドの動きは抑え済みだ。

「セ…セド……」

こちらの怒りを感じ取って焦ったようにしているが、言い分くらいは聞いてやろう。

「さて、アルフレッド?どうしていきなり俺から逃げ出した?」

素直に吐けと殺気まじりに問いかけると、何故か頬を染めて視線を逸らされる。

「…………アル?」

そのまま膝を股間に差し入れグリッと嬲るように動かしてやるとビクッと身を震わせるが、素直に吐かない方が悪いとばかりに追い詰めてやる。
そもそもこんな着乱れた姿で飛び出して、誰かに襲われたらどうするつもりだったんだと言ってやりたい。

「外で襲われたくて逃げたのか?」

あまりにも何も言おうとしないので、わざと煽るようにそう言ってやると、やっとそんなわけがあるかと噛みついてきた。

「お、俺は…その、お前との関係が…っ」
「……?俺との関係?」
「そう!その…側妃…っていうのが、だな……」
「……?」

いまいち要領を得ない。
でも何やら一生懸命だし、恥ずかし気にしているから嫌になって逃げたわけではなさそうだと思い至り、おとなしくその続きを待ってみる。

「だから…!カリン王子達…が……」
「カリン王子達が?」

どうしてそこであいつの名前が出てくるんだと思って少しイラッとしたところで、その続きがアルフレッドの口から零れ落ちた。

「好き合って結婚するなら…それはもう立派な夫婦なんだって思って……」
「……?まあそうだな?」

当たり前のことを言われて今一アルフレッドが言いたいことが分からない。

「その…俺が…セドを好きなら…俺達も……もしかして、そう…なのかなって……」

けれど続けてそんなことを言われて、物凄く今更だと思ったが、どうやら初めてアルフレッドは俺と『夫婦』なのだと認識したようだということがわかり喜びが込み上げてきてしまう。
これまで何度も側妃だと伝えてきたというのに、本当にやっとかと言ってやりたかった。

「つまり、思い合う夫婦だと認識した途端恥ずかしくなって逃げ出した…ということか?」

意地悪く笑いながらそう問い掛けてやると、返事はしてくれなかったが真っ赤になって俯いてしまったので、それが正しいのだということが嫌でも伝わってきた。
やっと自分が妃だと自覚してもらえて嬉しい限りだ。

「アルフレッド。鈍いお前がやっとそこまで理解してくれて本当に嬉しいぞ?」

そしてご褒美だと言ってそのまま優しく唇を塞いでやったら特に反発されることなく受け入れてもらえたので、そのままゆっくりと先程の続きとばかりに愛撫を開始してやった。

「え?ん…はぁ……セド?」

あまりにも可愛すぎるアルフレッドを前にして、このまま部屋に戻る時間も惜しいほどだ。
もうこのままここで抱いたっていいだろう。
どうせこんな宿の裏手なんかに人なんて来ないだろうしと思いながら、そのまま口を塞ぎながらアルフレッドの下穿きに手を入れ後孔を確認すると、そのままで十分入りそうだったので一息に剛直を突き入れた。

「んぁあぁあ────っ!!」

キスに集中しすぎていて油断していたのか、なんなく飲み込んだ後孔にアルフレッドが身を捩りながら逃げようとするが、文句も嬌声も全部キスで塞いでそのまま追い込んでやった。

「ひ…ゃ…ぁあっ…!」

ズンと奥まで突いてやったら気持ちいいのかしがみつくように俺に縋ってきて、甘い声を漏らし始める。

「あ…あっあっ!あぅ…っ!」
「アルフレッド?俺と夫婦の営みをするのは気持ちいいな?」

そんな問い掛けにキュッと後孔が締まり、中も蠢いて俺を甘く絡めとる。

「やぁあ…っ」

そう言いながらもアルフレッドの身体は全身で俺を好きだと言って全く放そうとはしないし、俺を求めてやまないのに…。

「愛してるぞ。アルフレッド」

全く素直になってくれないアルフレッドにそれでも愛の言葉を紡いでやると、返事と言わんばかりに口づけられて懸命に舌を絡められた。

「ん…んふっ…」
「アルフレッド、何度でも言ってやる。お前は俺のもので、俺の愛する唯一の妃だ」

改めてわざわざ言わなくてもいい言葉。
でも今日という日に最も相応しい、言い聞かせるのに適した言葉はこれ以外にないだろう。

「お前はブルーグレイ王太子セドリックの側妃、アルフレッド=ゴッドハルト=ブルーフェリアだと知れ」

そうやって正式な名を教えてやるとアルフレッドは驚いたように目を見開いた。
信じられないのか、信じたくはないのか。
けれどそれは事実でしかない。
だから壁に背をつかせるようにアルフレッドを抱き上げ、何度も教え込むように翻弄していく。

「お前の正しい名を覚えろ。俺はお前を側妃に迎え、今ではほぼ毎日のように抱いているだろう?」
「んっんっ…」
「気づいているか?お前のここはもうすっかり女のように俺を受け入れるようになった」
「あ…あぁ…っ」
「わかるか?ここはもう雄膣と言ってもいいほど俺に馴染んでいる」
「や…いわなぃ…で……」
「ククッ…恥ずかしいか?」
「ふぅぅ…セドぉ…」

真っ赤になりながら完全に否定できない自分を持て余すアルフレッドが可愛すぎる。
だから奥をコツコツと弱く突いてやりながら、そっと耳元にその言葉を落としてやった。

「お前が大好きなこの奥も…言ってみれば女の子宮と同じだな?」
「……っ!」
「ここに中出ししてくれとお前はよく言うが…それは種付けしてほしいと言っているのと同義だぞ?」
「え…や…。嘘…だ……」

アルフレッドはそんな言葉に思わず想像してしまったのか、羞恥でふるふる震えながら涙目で俺を見てくる。

「孕むと言いながら抱かれたこともあったな?お前は本能で俺の子が欲しいと望んでいたんだ。俺の妃としてな」
「ちがっ…違うぅ…っ」
「何も違わない」

混乱するアルフレッドを俺はこれ幸いと思い切り追い詰め、グッと奥へと腰を押し付けた。

「ひぅっ!や…っ!そこ、挿れないでっ!」
「このままいつものように奥まで挿れて、お前の弱いところは全部突いてやる。俺なしじゃいられないほど乱れ狂って、俺がお前の夫だとしっかりと覚え込め」
「やだっやだっ!」
「お前は俺の妃だ。ちゃんとそれを自覚し自分の正式な名を覚えて、誰が夫なのか言えるようになるまでこうして犯してやろう」
「ぃやっ!~~~~~~っ!」

言葉で散々煽られ奥まで挿れられて、衝撃が強すぎたのかアルフレッドが喘ぐようにパクパクと口を開きながら声なき悲鳴を上げる。

「…………今日から名実ともに、お前が俺の妃だ」

そう言って溺れるように抱かれるアルフレッドの唇を貪り、忘れるなと言わんばかりに子種を最奥へとしっかりと注ぎ込んだ。




気を失ったアルフレッドを抱き上げ部屋へと戻る途中トルセンに会ったので、恐らく人払いをしておいてくれたのだろうと察する。
すまないなと言ったら、思ったより短く済んでよかったと笑われた。
まだまだ帰国の行程は長いのだ。
同行させてもらっている手前あまり迷惑はかけられないし、ほどほどにしておかないととは思う。
とは言えアルフレッドが側妃の自覚を持ってくれたのなら少し姫と相談をして詰めておきたい話があった。
また明日にでもしっかり話し合っておかないと…。

ちなみにアルフレッドが聞かないと言い切ったミラルカから届いた報告書だが、そこにはロキ王子とレオナルド皇子の友情により鉱山事業は良い方向に向かう模様と書かれてあった。
どうやら廃坑後にマニアックなホテル運営を予定しているらしく、話を聞くだけで面白く、思わず笑ってしまったほどだ。
将来的にその事業が成功すればミラルカは借金を返すことも可能になるだろうし、益々ガヴァム王国との付き合いは増えていくだろう。
それ即ちどんどんロキ王子にレオナルド皇子が染まっていくというのと同義で────。

(アルフレッドはミラルカに帰りにくくなるだろうな)

ただでさえロキ王子を苦手に思っているのだ。
そうなるのは容易に想像できる。
つまり、アルフレッドの帰る場所はブルーグレイ以外だと非常に行きやすいゴッドハルトだけになる。
そこには別荘もあるし、いつだって環境は整っているから迎えに行くのも楽だ。

(本当にロキ王子ほど使える相手はいないな)

これからのガヴァムはきっと面白くなる。
どうせ国政はカリン王子が動かすのだ。
その陰でロキ王子には精々レオナルド皇子と友情を深めて、ミラルカを味方につけてもらいたいものだ。
それを利用し、アルフレッドをミラルカから遠ざけ、姫と共謀してより一層ブルーグレイに縛り付けてやることにしよう。
そんな事を考えながら、そっと腕の中のアルフレッドへと口づけを落とした。
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