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【アルフレッドの家出】
48.アルフレッドの家出⑥ Side.セドリック
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アルフレッドがあまりにも可愛すぎて、これまで我慢していた性欲が一気に噴出してしまった。
アルフレッドのすべてが愛しすぎてたまらない。
トルセンに嫉妬したり、言葉の数々で俺を喜ばせたり、もうどうしてくれようか?
やっぱり追いかけてきて欲しかったのだと、来てもらえて嬉しいのだと、そう実感して益々自分が止まらなくなった。
抱き潰してしまったのも仕方のないことだ。
「アルフレッドは死んでませんか?」
「ちゃんと生きている」
腹上死させていないかと揶揄うように問われてトルセンの方を向き殺気を飛ばすが、流石英雄。これくらいの殺気は全く平気なようだ。
「あの脳筋も流石に二日も三日も抱かれ続けてたらぐったりしてるでしょうね」
「まあ否定はしない」
「ふっ…。それで、どうされます?」
「そうだな。ワイバーンの騎乗はこちらで訓練するのは可能か?」
「それは滞在中にやるという意味で?」
「そうだ」
そう問うとトルセンは少し考えてから可能だと答えた。
「セドリック殿下の身体能力的に恐らく三日もあれば乗れるようになると思うので大丈夫でしょう」
「そうか。別荘の方はどんな感じだ?」
「ちょうどここから馬で小一時間ほどの場所に良い物件があって、そこならワイバーンも乗りつけられるんですよ」
トルセン曰くそこは元々ゴッドハルトの貴族の別宅だったらしく、そこそこの大きさがある屋敷なのだそうだ。
当然庭も広い。
「それならそこを買おう。請求書を国に送ってくれ」
「了解です。下見が必要ならまた言っていただきたい。他には何かありますか?」
「そうだな。オリハルコンの剣は手に入りそうか?」
「ああ、そっちは鍛冶屋に訊いたらちょうど今打ってる最中だって返事があったので、出来次第品質を確認してブルーグレイの城に送りますよ」
「そうか。助かる」
「いえ。アルフレッドの持っていた剣も元々結婚祝いにどうかと思ってとっておいたものなので、夫婦で使ってもらえたら嬉しいです」
長く使える他の誰も持っていない逸品だと思うのでと言われて思わず笑みがこぼれた。
確かに自分達にとってはこれ以上ないほど適した結婚祝いの品だろう。
「トルセンは気遣いが上手いな」
「まあ一応これでも今はこの国のトップなので」
「そうか。ではアルフレッド同様、俺とも良き友となってもらえたら嬉しい」
「……。そんなことを言われたら本気にとりますよ?」
「もちろん本気と取ってもらって構わない。俺は冗談でもこんなことは他で言ったことがないからな」
「それなら…。末永く宜しくということで」
「ああ」
そして固く握手を交わして両国に友好をと口にした。
実質ゴッドハルトとの友好条約を交わしたようなものだ。
後で正式に使者と書類は送ると告げ、アルフレッドの元へと戻った。
***
「アル?」
部屋に戻りそう呼び掛けると、アルフレッドがいつものストイックな雰囲気をガラリと変え、色気を漂わせながら俺の方を甘く見つめてきた。
「んんぅ…。セド…?」
トロリと蕩けた眼差しで見つめられると、自分がこの男をこうしたのだという妙な高揚感に襲われてしまう。
「あ…今、何…時?」
「まだ朝の十時だ。昼まで寝ていろ」
「ん…」
くったりとベッドに沈むアルフレッドの隣へと足を向け、ベッドの淵に腰掛けるとサラリとその髪を撫で上げた。
「セド……」
逃げるでもなく気持ちよさそうにおとなしくされるがままのアルフレッド。
その姿についつい笑みをこぼしてしまう。
(すっかり素直になって…)
多分また剣を持たせたらいつものアルフレッドに戻るんだろうが、三日ほどかけてこれでもかとベッドで責めてやったらここまで堕ちた。
可愛すぎる。
「やっと迎えた蜜月だな」
「みつ…げつ?」
「ああ。俺とお前の蜜月だ。父も新婚旅行に行って来いと言ってくれたし、一週間くらいここに滞在しても問題はない」
「ん……」
疲れが溜まってぼんやりはしているものの、ここに居られること自体は嬉しいのか、どこか満足げにしながらゆっくりとまた眠りに落ちていった。
「…………あれ?」
夜中にそんな声でふと目が覚めた。
どうやらアルフレッドが正気に返ったらしい。
ぐっすり眠ったせいか調子も良さそうだ。
もう一度襲ってもよかったが、そろそろいつものアルフレッドも恋しくなってきたところだし、今日は黙って放っておくとしようとそのまま狸寝入りすることに。
「最悪!セドのやつ、盛りすぎだろ?!」
アルフレッドはどうやら少し怒っているらしい。
まあやり過ぎた自覚はあるからわからないでもないが…。
「はぁ…でも俺も気持ち良かったし、いっか」
けれどそんな意外なことを口にして、アルフレッドは枕元に置いていた剣をそっと手に取ったようだ。
「寝てる…よな?」
気配を探ると、ちょっとくらい抜け出してもいいかなという迷いが見える。
それでも結局は剣を振ることを選んだようでいそいそとベッドから脱出してしまう。
アルフレッドらしいと言えば非常にアルフレッドらしい行動だ。
まあ抱き潰していた間は剣を振らせてやれなかったし仕方がないかと黙って見送ろうとしていたら、徐にこちらへと近づいてきてそっと頬にキスを落とされ、思わず一瞬目を開けてしまった。
でもアルフレッドは仄かな月明りしかない中で目をつむったままキスしていたから気づかなかったようで、そのまま小声で「行ってきます」と言って静かに部屋を出て行った。
(…………甘い…!!)
まさに蜜月。
まさかあのアルフレッドがあんなことをしてくるなんて思ってもみなかった。
気づかれないようにこっそりしているところがまたアルフレッドらしくて、柄にもなく頬に朱が昇る。
(タイミングよく起きれてよかった。やはり素直じゃないアルフレッドはたまらないな)
いつまで経っても自分を虜にしてくるアルフレッドがどこか憎らしい。
「はぁ…仕方がない。俺も行くか」
夜中ではあるがアルフレッドと剣を合わせよう。
それで満足したら興奮するからまた抱いて、これでもかと愛し合って落ち着いたらまた剣を合わせて……。
(ああ、そういうのも悪くはないな)
どうせここに仕事は持ってきてはいないのだから、自分の好きにすればいいのだ。
帰るまでのひと時の休暇。
それをそんな風に過ごすのも悪くはない。
とは言えワイバーンは二人で是非とも乗ってみたいし、きっとそれもアルフレッドは楽しんでくれることだろう。
滞在中の計画を立てるのもいいものだ。
(明日は時間を取ってトルセンのところに二人で向かうとするか)
そんな風に珍しく穏やかな気持ちになりながら俺はそっと剣を手に部屋を抜け出したのだった。
アルフレッドのすべてが愛しすぎてたまらない。
トルセンに嫉妬したり、言葉の数々で俺を喜ばせたり、もうどうしてくれようか?
やっぱり追いかけてきて欲しかったのだと、来てもらえて嬉しいのだと、そう実感して益々自分が止まらなくなった。
抱き潰してしまったのも仕方のないことだ。
「アルフレッドは死んでませんか?」
「ちゃんと生きている」
腹上死させていないかと揶揄うように問われてトルセンの方を向き殺気を飛ばすが、流石英雄。これくらいの殺気は全く平気なようだ。
「あの脳筋も流石に二日も三日も抱かれ続けてたらぐったりしてるでしょうね」
「まあ否定はしない」
「ふっ…。それで、どうされます?」
「そうだな。ワイバーンの騎乗はこちらで訓練するのは可能か?」
「それは滞在中にやるという意味で?」
「そうだ」
そう問うとトルセンは少し考えてから可能だと答えた。
「セドリック殿下の身体能力的に恐らく三日もあれば乗れるようになると思うので大丈夫でしょう」
「そうか。別荘の方はどんな感じだ?」
「ちょうどここから馬で小一時間ほどの場所に良い物件があって、そこならワイバーンも乗りつけられるんですよ」
トルセン曰くそこは元々ゴッドハルトの貴族の別宅だったらしく、そこそこの大きさがある屋敷なのだそうだ。
当然庭も広い。
「それならそこを買おう。請求書を国に送ってくれ」
「了解です。下見が必要ならまた言っていただきたい。他には何かありますか?」
「そうだな。オリハルコンの剣は手に入りそうか?」
「ああ、そっちは鍛冶屋に訊いたらちょうど今打ってる最中だって返事があったので、出来次第品質を確認してブルーグレイの城に送りますよ」
「そうか。助かる」
「いえ。アルフレッドの持っていた剣も元々結婚祝いにどうかと思ってとっておいたものなので、夫婦で使ってもらえたら嬉しいです」
長く使える他の誰も持っていない逸品だと思うのでと言われて思わず笑みがこぼれた。
確かに自分達にとってはこれ以上ないほど適した結婚祝いの品だろう。
「トルセンは気遣いが上手いな」
「まあ一応これでも今はこの国のトップなので」
「そうか。ではアルフレッド同様、俺とも良き友となってもらえたら嬉しい」
「……。そんなことを言われたら本気にとりますよ?」
「もちろん本気と取ってもらって構わない。俺は冗談でもこんなことは他で言ったことがないからな」
「それなら…。末永く宜しくということで」
「ああ」
そして固く握手を交わして両国に友好をと口にした。
実質ゴッドハルトとの友好条約を交わしたようなものだ。
後で正式に使者と書類は送ると告げ、アルフレッドの元へと戻った。
***
「アル?」
部屋に戻りそう呼び掛けると、アルフレッドがいつものストイックな雰囲気をガラリと変え、色気を漂わせながら俺の方を甘く見つめてきた。
「んんぅ…。セド…?」
トロリと蕩けた眼差しで見つめられると、自分がこの男をこうしたのだという妙な高揚感に襲われてしまう。
「あ…今、何…時?」
「まだ朝の十時だ。昼まで寝ていろ」
「ん…」
くったりとベッドに沈むアルフレッドの隣へと足を向け、ベッドの淵に腰掛けるとサラリとその髪を撫で上げた。
「セド……」
逃げるでもなく気持ちよさそうにおとなしくされるがままのアルフレッド。
その姿についつい笑みをこぼしてしまう。
(すっかり素直になって…)
多分また剣を持たせたらいつものアルフレッドに戻るんだろうが、三日ほどかけてこれでもかとベッドで責めてやったらここまで堕ちた。
可愛すぎる。
「やっと迎えた蜜月だな」
「みつ…げつ?」
「ああ。俺とお前の蜜月だ。父も新婚旅行に行って来いと言ってくれたし、一週間くらいここに滞在しても問題はない」
「ん……」
疲れが溜まってぼんやりはしているものの、ここに居られること自体は嬉しいのか、どこか満足げにしながらゆっくりとまた眠りに落ちていった。
「…………あれ?」
夜中にそんな声でふと目が覚めた。
どうやらアルフレッドが正気に返ったらしい。
ぐっすり眠ったせいか調子も良さそうだ。
もう一度襲ってもよかったが、そろそろいつものアルフレッドも恋しくなってきたところだし、今日は黙って放っておくとしようとそのまま狸寝入りすることに。
「最悪!セドのやつ、盛りすぎだろ?!」
アルフレッドはどうやら少し怒っているらしい。
まあやり過ぎた自覚はあるからわからないでもないが…。
「はぁ…でも俺も気持ち良かったし、いっか」
けれどそんな意外なことを口にして、アルフレッドは枕元に置いていた剣をそっと手に取ったようだ。
「寝てる…よな?」
気配を探ると、ちょっとくらい抜け出してもいいかなという迷いが見える。
それでも結局は剣を振ることを選んだようでいそいそとベッドから脱出してしまう。
アルフレッドらしいと言えば非常にアルフレッドらしい行動だ。
まあ抱き潰していた間は剣を振らせてやれなかったし仕方がないかと黙って見送ろうとしていたら、徐にこちらへと近づいてきてそっと頬にキスを落とされ、思わず一瞬目を開けてしまった。
でもアルフレッドは仄かな月明りしかない中で目をつむったままキスしていたから気づかなかったようで、そのまま小声で「行ってきます」と言って静かに部屋を出て行った。
(…………甘い…!!)
まさに蜜月。
まさかあのアルフレッドがあんなことをしてくるなんて思ってもみなかった。
気づかれないようにこっそりしているところがまたアルフレッドらしくて、柄にもなく頬に朱が昇る。
(タイミングよく起きれてよかった。やはり素直じゃないアルフレッドはたまらないな)
いつまで経っても自分を虜にしてくるアルフレッドがどこか憎らしい。
「はぁ…仕方がない。俺も行くか」
夜中ではあるがアルフレッドと剣を合わせよう。
それで満足したら興奮するからまた抱いて、これでもかと愛し合って落ち着いたらまた剣を合わせて……。
(ああ、そういうのも悪くはないな)
どうせここに仕事は持ってきてはいないのだから、自分の好きにすればいいのだ。
帰るまでのひと時の休暇。
それをそんな風に過ごすのも悪くはない。
とは言えワイバーンは二人で是非とも乗ってみたいし、きっとそれもアルフレッドは楽しんでくれることだろう。
滞在中の計画を立てるのもいいものだ。
(明日は時間を取ってトルセンのところに二人で向かうとするか)
そんな風に珍しく穏やかな気持ちになりながら俺はそっと剣を手に部屋を抜け出したのだった。
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※皆様いつもありがとうございます♪この度スピンオフ作品をアップしましたので、ご興味のある方はそちらも宜しくお願いしますm(_ _)m『王子の本命~ガヴァム王国の王子達~』https://www.alphapolis.co.jp/novel/91408108/52430498
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