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【英雄トルセンの弟子】
32.※英雄トルセンの弟子 番外編~俺の悩み事~
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※おまけのR‐18小話です。
****************
逃げ出して捕まってデートして……。
その間4日間、俺は毎日毎日抱かれてた。────王子のベッドで。
(あれ?)
王子の部屋の隣に部屋をもらったけど、俺、一回も自分のベッドで寝てなくないか?
着替えなんかは毎日そこでしているし、部屋を全く使っていないかと訊かれたら答えはノーだ。
でもベッドは一度として使っていなかった。
そんなことに今更ながら気がついて、おかしいなと首をひねってしまう。
最初は成り行きだったしそのせいかなと思った。
でも休みも明けてトルセンの弟子に会って…王子と剣での手合わせをして…何故か流れるように抱かれた。
翌日は普通に仕事をして、夜部屋に戻ろうとしたところで夕餉を一緒にと王子に誘われて、気づけば王子の部屋のベッドで啼かされていた。
次の日もそのまた次の日も……気づけば王子のベッドの上だ。
(おかしいだろ?!)
なんで俺はこんなに捕まってるんだ?!
トルセンが来る日まで俺はなんだかんだと毎日王子の部屋に連れ込まれていた。
いくら負けたらあいつの物になるって言ったからってこれはない!
しかも今日は昼前から外なんかで抱かれて、その後も部屋に戻ってからソファでされて散々だった。
なんとか昼下がりには逃げられたけど、今日こそは言いたい!
「今日は昼間なんかにヤッたんだから、夜は自分の部屋で寝る!セドの部屋には絶対に行かない!」
バーンと夕餉の席で宣言してやると、王子はどこか余裕のある笑みを浮かべて「いいぞ」と言ってくれた。
でも……。
「お前の部屋でヤルのは初めてだな」
そう言われて何故か俺が誘ったことになっていて驚いた。
「ちがっ…!」
「アルフレッド。お前の方から誘ってくれて嬉しいぞ」
(絶対わかってて言ってるだろ?!)
にんまりと腹黒い笑みを浮かべる王子は全部わかっているのが丸わかりで、そんな姿に腹が立って仕方がなかった。
すぐに揚げ足をとるからたまったものじゃない。
(鍵かけてやる!)
いや、それだけじゃ合鍵を使われるかもしれない。
予備の鍵もつけてしまおう。
絶対に突破できない錠前を用意しておかなければ!
俺はそう考えを纏めると、怒りを前面に出しながら言い切った。
「今日という今日は絶対にお前の思い通りになってやらないからな!」
覚えてろと言って俺はすぐさま護衛騎士の詰め所へと足を向ける。
そこには確か予備の錠前がいくつかあったはずだ。
ドアを壊して突入した時の修理用というのが本来の用途だけど、事ここに至っては使っても構わないだろう。
そして俺は素早く自室に取って返し、自前でそれを取り付けた。
「よし!」
これで容易には侵入できないぞと満足げに笑みを浮かべたところでいきなり背後から耳に息を吹きかけられて飛び上がった。
「な…っ?!何だ?!」
「アル、随分楽しそうだな?」
「へ?」
そこにいたのは誰あろうセドリック王子その人で、俺は驚き過ぎて口をパカッと開けて呆然としてしまう。
楽しげに笑う王子はそんな俺をクスクスと笑いながら見遣っていた。
「可愛いな、アル。鍵を増やすのはいい考えだったが、先に侵入されるとは考えなかったのか?」
「ま…まさか……」
「そのまさかだ。お前の考えはわかりやすいからな。先に部屋に入っておいた」
その答えに捨て台詞なんて吐くんじゃなかったとガックリ項垂れてしまう。
「不法侵入反対!」
「馬鹿だな。この城に俺が入ったらダメな場所なんてあるはずがないだろう?ましてやここは妃の部屋だ。何を遠慮する必要がある?」
「なぁっ?!ちょっ…!離せ!」
「離す気はないな。さて、俺を締め出そうとするなんて…どう仕置きをしてやろうか?」
「や…やめッ…!」
「そうだ。いいことを考えた」
「い、いいことって?」
けれど王子はニッコリあくどい笑みを浮かべて何も答えてくれない。
ゾワゾワとした悪寒が背中を走り抜けたんだが、気のせいだろうか?
***
「な、なんで…」
テラスに続く大きな一枚ガラスの扉の前で俺は外を向かされながらゆるゆると抱かれていた。
高い位置にある部屋だし外からこちらの姿は見えないだろうけど、自分から外は見えるわけで…いくら夜でも恥ずかしさが半端なかった。
手は一纏めにされ頭上高く抑えられ、片足をあげられながら少し横向きで背後からされるという卑猥な格好はどこまでも羞恥心を煽ってくる。
「んんぅ…、やだ…ッ」
正直に嫌だと口にしてみるけれど王子はいつもの如く全く聞き入れてくれない。
しかもゆっくりゆっくり出し入れしてくるから腰が震えて仕方がなかった。
同じ焦らされるのでも挿れたまま動かされないよりもじれったく感じられて、自分からゆらゆらと腰を揺らしてしまう。
「物欲しそうだな。アルフレッド」
「お、お前のせいだろ…。こんな焦らし方……!」
そうやって批難しようとしたら指を口の中へと突っ込まれてそれをしゃぶらされてしまった。
「んっんっ…!」
「ほら、もっと舌を絡めて舐めてみろ」
(俺、なんかおかしくなってないか?)
こんな状況で耳元でちょっと殺気まじりの命令とかやめて欲しい。
王子の低音ボイスに俺の脳が勘違いするじゃないか。変に興奮するからマジで勘弁してほしかった。
俺、そんな変態じゃないはずなんだけどな?昼間のあれこれを引っ張っているのかと心配になってしまう。
「はぁ…セド……ッ。ぁんっ、んっんっ……」
いつもなら悪態を吐くはずなのに、こんな恥ずかしい目に合わされてるのに、何故か今日は全く文句を言う気になれずおとなしく従ってしまった。
最中に殺気をちょっと向けられただけで剣を振っている時のような気持ち良さが込み上げてきてしまい、そんな自分がちょっと信じられない。
殺気が好きにも程があるだろう。こんなのが知られたら大変だ。
(これ以上…セドに振り回されたくない……)
そう思ったところでいつだったかの騎士仲間の言葉を思い出した。
『いつもとは逆の行動をしてみるとかどうでしょう?消極的なのを積極的に変えてみるとかしたら印象も変わるかもしれません』
印象が変わったら執着してこなくなるかな?積極的…積極的ってどんな感じのことを言うんだっけ?
焦らされるのをそのまま嫌々と言うんじゃなくて自分からねだるのか?それは嫌だな。
いつも言わされてるのだって本当は言いたくないし、こんな王子にあんまり媚びたくはない。
調子に乗るに決まっている。
そうだ。例えば剣での打ち合いならどうするだろう?
ゆるゆると受け流すだけ受け流してくる面倒臭い相手に、俺ならどう出る?
相手はかなりの手練れで、相手のペースのまま戦ったら損だとして…。対等に戦うには?
答えは────機転を利かせて自分のペースに持ち込む。これしかない。
そんな結論に何故か至ってしまった俺はここにきておかしなスイッチが入ってしまったようで、ゆっくりと振り返ると陶然とした表情で王子を見遣り、自分からキスを仕掛けてしまった。
ちょっと驚いたような王子の顔が珍しくて、なんとなく勝てた気がして思わず不敵に笑ってしまう。
「はぁ……っ、セド…。お前がこれ以上焦らしてくる気なら、いっそ俺から動いてやろうか?たまには…やられる側でも体験してみろっ」
まだ始まったばかりで余裕がある分笑うこともできるし、挑発するには問題ない。
こっちは伊達に王子に抱かれ続けてないんだからな!ちょっとは慣れたんだからこれくらいの反逆はできるんだ!
そんなおかしな負けん気が俺を支配していたような気がする。
なのに挑むようにそう言ってやった途端、王子が壮絶な笑みを浮かべて面白いと言いながらパンッと突き上げてきた。
「ひぁッ!あんッ、えっ?ちょ、待って…!はぁんッ!」
(なんかさっきより大きくなってないか?!)
ちょっと挑発しただけなのになんでこんなに火がついてんだよ?!
そこはまず話し合いだろ?!対等に持っていきたかったのに、なんでそうなる?!
「アルフレッド、そんな新しいお前も面白くていいな。今のは剣を振っている時のようでなかなかそそられたぞ?」
「嘘ッ!やっ…!そこッ、あぁッ!」
「褒美に弱いところを余さず責めてやるからな?お前の恥ずかしい姿を外のやつらに見せつけてやれ」
(まるで誰かに見られてるみたいに言うな!え…ちょっと待て…!もしかして本当に誰かいるとか?!)
「あッ、やぁッ!ひぅッ!」
気配を探ろうとしたのにさせるかと言わんばかりにそのまま激しく突き上げられてしまう。
(怪しい!怪しすぎる!)
完全に油断していた。でももう何も考えられないほど責め立てられて、今の自分には何もできそうにない。
そこからは欲しくてたまらなかった刺激を沢山受け取って、散々嬌声をあげさせられてしまう。
気づけば体位も変わっていて俺は自然と王子の首に腕を回していたし、向かい合うように抱き合って何度も舌を絡ませ口づけあっていた。
なのに漏れ出る喘ぎ声はとめどなく溢れ出ていて、もしかしなくても外に丸聞こえだったんじゃないだろうか?我慢がきかない自分が憎い!
自分から王子を求めて締め付けてるなんてわかってる。
だって片足を上げていると奥まで入るから気持ち良くて仕方がないんだ。
誰だか知らないけど、テラスにもしいたとしてもこんなシーンなんて見たくないだろうし、さっさとどっか行ってくれるよな?
王子が全く警戒していないからきっといたとしても危ない奴とかではないだろう。
もしかしたら暗部とかそのへんの王子の部下なのかもしれない。
「う…うぅッ!そこッ……好きっ!はぁ…んッ!ぁんッ!気持ちいッ…!」
正直積極的にいく作戦は大失敗だった。
でも殺気を駆使されたらまた同じように挑発してしまうかもしれない自分がいて、どうしようと悩んでしまう。
「はぁ…ッ、あッ、んッ!も、やッ、ダメッ…!セド…ッ!~~~~~~ッッ!!」
俺の反応を見ながら嬉々として責め立ててくる王子の熱杭が気持ち良過ぎてたまらない。
俺は身をくねらせ追い詰められるままに王子を咥え込み、王子の熱い飛沫を身体の奥で感じながらビクビクッと身を震わせ絶頂へと駆けあがってしまった。
「あッ…はぁぁッ……」
視界がチカチカしてあまりの良さに感嘆の息が漏れたが、そんな中でも結局王子に好きに抱かれてしまった自分に愕然としてしまう。
いくら気持ち良くても流され過ぎだろう、俺!
(くそっ!明日からは絶対絶対、鍵をしっかり閉めて、締め出してやるからな!)
今日は昼間もやったからここで打ち止めのはずだ。
だからこのままちょっとくらい王子に抱き着いてても大丈夫。
ぼんやりと事後の余韻に浸りながら息を整え思うのはただ一つ────。
(やっぱりそもそも抱かれないのが一番だ!)
そんな結論に至りながらも、俺は何故かいつも以上に満足感に満たされている自分を感じたのだった。
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逃げ出して捕まってデートして……。
その間4日間、俺は毎日毎日抱かれてた。────王子のベッドで。
(あれ?)
王子の部屋の隣に部屋をもらったけど、俺、一回も自分のベッドで寝てなくないか?
着替えなんかは毎日そこでしているし、部屋を全く使っていないかと訊かれたら答えはノーだ。
でもベッドは一度として使っていなかった。
そんなことに今更ながら気がついて、おかしいなと首をひねってしまう。
最初は成り行きだったしそのせいかなと思った。
でも休みも明けてトルセンの弟子に会って…王子と剣での手合わせをして…何故か流れるように抱かれた。
翌日は普通に仕事をして、夜部屋に戻ろうとしたところで夕餉を一緒にと王子に誘われて、気づけば王子の部屋のベッドで啼かされていた。
次の日もそのまた次の日も……気づけば王子のベッドの上だ。
(おかしいだろ?!)
なんで俺はこんなに捕まってるんだ?!
トルセンが来る日まで俺はなんだかんだと毎日王子の部屋に連れ込まれていた。
いくら負けたらあいつの物になるって言ったからってこれはない!
しかも今日は昼前から外なんかで抱かれて、その後も部屋に戻ってからソファでされて散々だった。
なんとか昼下がりには逃げられたけど、今日こそは言いたい!
「今日は昼間なんかにヤッたんだから、夜は自分の部屋で寝る!セドの部屋には絶対に行かない!」
バーンと夕餉の席で宣言してやると、王子はどこか余裕のある笑みを浮かべて「いいぞ」と言ってくれた。
でも……。
「お前の部屋でヤルのは初めてだな」
そう言われて何故か俺が誘ったことになっていて驚いた。
「ちがっ…!」
「アルフレッド。お前の方から誘ってくれて嬉しいぞ」
(絶対わかってて言ってるだろ?!)
にんまりと腹黒い笑みを浮かべる王子は全部わかっているのが丸わかりで、そんな姿に腹が立って仕方がなかった。
すぐに揚げ足をとるからたまったものじゃない。
(鍵かけてやる!)
いや、それだけじゃ合鍵を使われるかもしれない。
予備の鍵もつけてしまおう。
絶対に突破できない錠前を用意しておかなければ!
俺はそう考えを纏めると、怒りを前面に出しながら言い切った。
「今日という今日は絶対にお前の思い通りになってやらないからな!」
覚えてろと言って俺はすぐさま護衛騎士の詰め所へと足を向ける。
そこには確か予備の錠前がいくつかあったはずだ。
ドアを壊して突入した時の修理用というのが本来の用途だけど、事ここに至っては使っても構わないだろう。
そして俺は素早く自室に取って返し、自前でそれを取り付けた。
「よし!」
これで容易には侵入できないぞと満足げに笑みを浮かべたところでいきなり背後から耳に息を吹きかけられて飛び上がった。
「な…っ?!何だ?!」
「アル、随分楽しそうだな?」
「へ?」
そこにいたのは誰あろうセドリック王子その人で、俺は驚き過ぎて口をパカッと開けて呆然としてしまう。
楽しげに笑う王子はそんな俺をクスクスと笑いながら見遣っていた。
「可愛いな、アル。鍵を増やすのはいい考えだったが、先に侵入されるとは考えなかったのか?」
「ま…まさか……」
「そのまさかだ。お前の考えはわかりやすいからな。先に部屋に入っておいた」
その答えに捨て台詞なんて吐くんじゃなかったとガックリ項垂れてしまう。
「不法侵入反対!」
「馬鹿だな。この城に俺が入ったらダメな場所なんてあるはずがないだろう?ましてやここは妃の部屋だ。何を遠慮する必要がある?」
「なぁっ?!ちょっ…!離せ!」
「離す気はないな。さて、俺を締め出そうとするなんて…どう仕置きをしてやろうか?」
「や…やめッ…!」
「そうだ。いいことを考えた」
「い、いいことって?」
けれど王子はニッコリあくどい笑みを浮かべて何も答えてくれない。
ゾワゾワとした悪寒が背中を走り抜けたんだが、気のせいだろうか?
***
「な、なんで…」
テラスに続く大きな一枚ガラスの扉の前で俺は外を向かされながらゆるゆると抱かれていた。
高い位置にある部屋だし外からこちらの姿は見えないだろうけど、自分から外は見えるわけで…いくら夜でも恥ずかしさが半端なかった。
手は一纏めにされ頭上高く抑えられ、片足をあげられながら少し横向きで背後からされるという卑猥な格好はどこまでも羞恥心を煽ってくる。
「んんぅ…、やだ…ッ」
正直に嫌だと口にしてみるけれど王子はいつもの如く全く聞き入れてくれない。
しかもゆっくりゆっくり出し入れしてくるから腰が震えて仕方がなかった。
同じ焦らされるのでも挿れたまま動かされないよりもじれったく感じられて、自分からゆらゆらと腰を揺らしてしまう。
「物欲しそうだな。アルフレッド」
「お、お前のせいだろ…。こんな焦らし方……!」
そうやって批難しようとしたら指を口の中へと突っ込まれてそれをしゃぶらされてしまった。
「んっんっ…!」
「ほら、もっと舌を絡めて舐めてみろ」
(俺、なんかおかしくなってないか?)
こんな状況で耳元でちょっと殺気まじりの命令とかやめて欲しい。
王子の低音ボイスに俺の脳が勘違いするじゃないか。変に興奮するからマジで勘弁してほしかった。
俺、そんな変態じゃないはずなんだけどな?昼間のあれこれを引っ張っているのかと心配になってしまう。
「はぁ…セド……ッ。ぁんっ、んっんっ……」
いつもなら悪態を吐くはずなのに、こんな恥ずかしい目に合わされてるのに、何故か今日は全く文句を言う気になれずおとなしく従ってしまった。
最中に殺気をちょっと向けられただけで剣を振っている時のような気持ち良さが込み上げてきてしまい、そんな自分がちょっと信じられない。
殺気が好きにも程があるだろう。こんなのが知られたら大変だ。
(これ以上…セドに振り回されたくない……)
そう思ったところでいつだったかの騎士仲間の言葉を思い出した。
『いつもとは逆の行動をしてみるとかどうでしょう?消極的なのを積極的に変えてみるとかしたら印象も変わるかもしれません』
印象が変わったら執着してこなくなるかな?積極的…積極的ってどんな感じのことを言うんだっけ?
焦らされるのをそのまま嫌々と言うんじゃなくて自分からねだるのか?それは嫌だな。
いつも言わされてるのだって本当は言いたくないし、こんな王子にあんまり媚びたくはない。
調子に乗るに決まっている。
そうだ。例えば剣での打ち合いならどうするだろう?
ゆるゆると受け流すだけ受け流してくる面倒臭い相手に、俺ならどう出る?
相手はかなりの手練れで、相手のペースのまま戦ったら損だとして…。対等に戦うには?
答えは────機転を利かせて自分のペースに持ち込む。これしかない。
そんな結論に何故か至ってしまった俺はここにきておかしなスイッチが入ってしまったようで、ゆっくりと振り返ると陶然とした表情で王子を見遣り、自分からキスを仕掛けてしまった。
ちょっと驚いたような王子の顔が珍しくて、なんとなく勝てた気がして思わず不敵に笑ってしまう。
「はぁ……っ、セド…。お前がこれ以上焦らしてくる気なら、いっそ俺から動いてやろうか?たまには…やられる側でも体験してみろっ」
まだ始まったばかりで余裕がある分笑うこともできるし、挑発するには問題ない。
こっちは伊達に王子に抱かれ続けてないんだからな!ちょっとは慣れたんだからこれくらいの反逆はできるんだ!
そんなおかしな負けん気が俺を支配していたような気がする。
なのに挑むようにそう言ってやった途端、王子が壮絶な笑みを浮かべて面白いと言いながらパンッと突き上げてきた。
「ひぁッ!あんッ、えっ?ちょ、待って…!はぁんッ!」
(なんかさっきより大きくなってないか?!)
ちょっと挑発しただけなのになんでこんなに火がついてんだよ?!
そこはまず話し合いだろ?!対等に持っていきたかったのに、なんでそうなる?!
「アルフレッド、そんな新しいお前も面白くていいな。今のは剣を振っている時のようでなかなかそそられたぞ?」
「嘘ッ!やっ…!そこッ、あぁッ!」
「褒美に弱いところを余さず責めてやるからな?お前の恥ずかしい姿を外のやつらに見せつけてやれ」
(まるで誰かに見られてるみたいに言うな!え…ちょっと待て…!もしかして本当に誰かいるとか?!)
「あッ、やぁッ!ひぅッ!」
気配を探ろうとしたのにさせるかと言わんばかりにそのまま激しく突き上げられてしまう。
(怪しい!怪しすぎる!)
完全に油断していた。でももう何も考えられないほど責め立てられて、今の自分には何もできそうにない。
そこからは欲しくてたまらなかった刺激を沢山受け取って、散々嬌声をあげさせられてしまう。
気づけば体位も変わっていて俺は自然と王子の首に腕を回していたし、向かい合うように抱き合って何度も舌を絡ませ口づけあっていた。
なのに漏れ出る喘ぎ声はとめどなく溢れ出ていて、もしかしなくても外に丸聞こえだったんじゃないだろうか?我慢がきかない自分が憎い!
自分から王子を求めて締め付けてるなんてわかってる。
だって片足を上げていると奥まで入るから気持ち良くて仕方がないんだ。
誰だか知らないけど、テラスにもしいたとしてもこんなシーンなんて見たくないだろうし、さっさとどっか行ってくれるよな?
王子が全く警戒していないからきっといたとしても危ない奴とかではないだろう。
もしかしたら暗部とかそのへんの王子の部下なのかもしれない。
「う…うぅッ!そこッ……好きっ!はぁ…んッ!ぁんッ!気持ちいッ…!」
正直積極的にいく作戦は大失敗だった。
でも殺気を駆使されたらまた同じように挑発してしまうかもしれない自分がいて、どうしようと悩んでしまう。
「はぁ…ッ、あッ、んッ!も、やッ、ダメッ…!セド…ッ!~~~~~~ッッ!!」
俺の反応を見ながら嬉々として責め立ててくる王子の熱杭が気持ち良過ぎてたまらない。
俺は身をくねらせ追い詰められるままに王子を咥え込み、王子の熱い飛沫を身体の奥で感じながらビクビクッと身を震わせ絶頂へと駆けあがってしまった。
「あッ…はぁぁッ……」
視界がチカチカしてあまりの良さに感嘆の息が漏れたが、そんな中でも結局王子に好きに抱かれてしまった自分に愕然としてしまう。
いくら気持ち良くても流され過ぎだろう、俺!
(くそっ!明日からは絶対絶対、鍵をしっかり閉めて、締め出してやるからな!)
今日は昼間もやったからここで打ち止めのはずだ。
だからこのままちょっとくらい王子に抱き着いてても大丈夫。
ぼんやりと事後の余韻に浸りながら息を整え思うのはただ一つ────。
(やっぱりそもそも抱かれないのが一番だ!)
そんな結論に至りながらも、俺は何故かいつも以上に満足感に満たされている自分を感じたのだった。
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※皆様いつもありがとうございます♪この度スピンオフ作品をアップしましたので、ご興味のある方はそちらも宜しくお願いしますm(_ _)m『王子の本命~ガヴァム王国の王子達~』https://www.alphapolis.co.jp/novel/91408108/52430498
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