29 / 215
【その後の話】
閑話.※視察中の出来事
しおりを挟む
※お読みくださっている皆様、ありがとうございます。
短編にも関わらずお気に入り数がまさかの千越えになっていたので、御礼をどうしようかなと思って…コメントにあった視察中の夜の件で書いてみました。
毎度のR‐18ですが、ああなるほどねとサラッと読んで頂けたら嬉しいです。
ちなみに会話文の後ろ()内は騎士達の心の声です。適当に無視して読み流してください。宜しくお願いします。
****************
「なぁ…王子が俺に飽きるような方法って何かないかな?」
その日の昼食時、俺はこっそり一緒に来ていた護衛騎士達に相談事を持ち掛けてみた。
ちなみに王子は今視察先の貴族と会食中なので俺は別行動中だ。
何も問題はない。
だからこそそんなことを聞けたのだが……。
ブハッ!!!!
その場にいた全員が喉に詰まらせたり飲み物を噴いたりしたのでちょっと申し訳ないなと思った。
「ゲホッ…ゴホッゴホッ……」
「わ、悪い…でも、切実なんだ」
一人で考えても何もいい案が思い浮かばないのだから、ここは誰かに頼りたい気分だった。
それだけ王子のセクハラは隙あらばと言った感じだったし、夜も酷かった。
部屋に呼んでなし崩し的に事に及ぶのは本当に勘弁してもらいたかった。
「いや、無理でしょ」
「そうですよ、アルフレッド殿」
「そこをなんとか!」
正直本当にどうにかしたくて俺は騎士達に本気で頼み込む。
すると恐る恐るという感じで確認するように訊かれてしまった。
「……えっと、それは王子に手を出されたくない的な意味合いで言ってます??」
「ああ」
そう答えると全員が顔を見合わせて難しい顔をした後、素人の一般論でいいならと意見をくれた。
「王子はアルフレッド殿をかなり気に入ってますから……。そうだ!いつもと違う行動に出たらどうです?」
「例えば?」
「そうですね……」
「いつもとは逆の行動をしてみるとかどうでしょう?消極的なのを積極的に変えてみるとかしたら印象も変わるかもしれません。(王子を喜ばせることにもなるし多分一番平和的かな。飽きるかは疑問だけど意表を突かれて一瞬戸惑うかもしれないし…その隙に都度逃げればいいのでは?)」
「積極的になるって本末転倒じゃないか?」
「え~っと…。じゃあ、職務を口実にできるだけ逃げ続けてイライラさせたら嫌になるかも?(その後が怖そうだけど…。一番険悪になるパターンかな)」
「やっぱりそれが無難か。他には?」
「たまには翻弄してみるとか!脈ありに見せ掛けてスルッと逃げるって言うのを繰り返してみたり…?(これは王子を喜ばせるだけか?より一層ハマるかもしれないからダメかもしれない…)」
「後はそうですね~…いっそ常に安全な外に逃げる!口実作って外!これなら王子も手を出してこないんじゃないかな…と。(これだ!これが一番適切なアドバイス!でも…相手はあの王子だし、絶対ダメだろうな…。却って怒らせる可能性大か?やっぱり諦めてください、アルフレッド殿。どう考えても無理です!むしろラブラブになってもらえた方が我々も嬉しいです!)」
「おぉっ!外か!確かにこれはいいかも!」
色々案を出してもらえたし、ちょっと考えて行動を起こしてみるとするか。
流石に視察中毎日毎日抱かれるのは嫌だ。
ここらへんで抵抗の意思を示しておかないと城に帰ってからもっと酷い目に合いそうな気もする。
そう思って早速その日は翻弄してみる案を試してみることにした。
とは言ってもよくわからないから、脈ありと思わせるというところは無視して取り敢えず王子が手を出そうとしてきたところをスルッと逃げるというのを試そうと思った。
いつも気づいたら捕獲されてるから、よっぽど上手く逃げないとダメなんだけど…あらかじめ身構えてたら逃げられるかもしれないと思ってのことだ。
そしてそれは珍しく上手くいき、夜まで王子のセクハラを笑顔で躱し続けることができた。
(よしっ!)
これで後は夜さえ回避できれば万々歳!
(やっぱここは夜の見回りにとか言って外に行けばいいよな!)
やったやったと俺は半ば成功したようなものだと思いつつ上機嫌でその日の夜を迎えた。
それなのに────。
「アルフレッド?どこへ行くつもりだ?」
するりと上手く抜け出したつもりだった。
部屋を辞してすぐ脱兎のごとく逃げ出したはずだったのに……どうして俺は宿の裏手で壁に背を向けながら王子に迫られているんだろう?
「お…王子」
「うん?」
笑っているはずなのに目が全く笑っていないのはどうしてだろう?
別に殺気を放っているわけでもないのに、やけに怖い笑顔な気がしてならない。
「たまには夜の見張りに行ってくると言いましたよね?」
「言っていたな」
「なので王子がここに来る必要はないのでは?」
あくまでも仕事だと言い張って笑顔でスルーしようと試みるが、王子は逃がす気がないのかその恐ろしい笑顔のままで小首を傾げてこう言った。
「ああ…なるほど?つまり今日は趣向を変えて外で抱かれたい…と?物好きだな、アル」
(そんなこと、誰も言ってねーーーー!!)
物好きなのはお前だろう?!と許されるなら言ってやりたかった。
でもここでそれを言ってしまったら一巻の終わりのような気がする。
ないとは思うが、この変態のことだ。ここで抱くと言い出しかねない。
だから職務上の口調を崩さず俺は引き攣る笑顔でこう言った。
「あ~…部屋まで送ります」
「そうか」
だからこの言葉にはホッとしたというのに…………。
「あ…っ、ふ…んぅぅ…っ……」
どうしてお仕置きとばかりに俺は宿の廊下でなんか抱かれてるんだろう。
勿論王子が泊まっているから基本貸し切りではあるんだけど、他の騎士達だって当然泊まっているわけで……。
(見られる…見られるから……っ!)
夜の薄暗い廊下とは言え寝静まるには早い時間帯だ。
いつ誰が物音に気付いてやってくるかと思うと気が気ではなかった。
服を着たままバックで入れられているとは言え、やっていることは一目瞭然だろう。
「や…やだ……」
「可愛いな、アルフレッド。そんなに興奮して…」
(興奮なんてしてない!こんなところで襲われて不安になってるだけだろ?!)
いっそ誰かに助けを求めた方がいいのかとそっとあたりに目を向けるが、誰の姿も見られないので変にドキドキしてしまう。
こんな姿を見られなくてよかったと思うべきなのか、どうなのか────。
「おぅ…じ……。も、部屋で……して、くれ」
「ほぅ?ベッドでたっぷり可愛がって欲しいと?」
「ちが…っ!」
違う。好んで抱かれたいわけじゃないと目で訴えるけど、王子はわかっていて敢えてここで抱き続けた。
「う…うぅん……っ」
「こんな場所でゆったり抱かれるのもいいだろう?」
「ふ…ぅうッ!いや…に決まって、る…ッ!あぁっ…!」
弱いところを狙ったように突き上げられて思わず声が出てしまい廊下へと響いて泣きたくなる。
自分が一介の騎士ならそれだけで部屋を飛び出して何事だと見に来たことだろう。
逆に言えばいつ騎士達が様子を見に来てもおかしくはない状況だった。これは怖い。
「う…、やだ……っ」
「反省したか?」
「なに…を?」
「今日一日俺を避けていたことだ」
「そ…なの、自業自得…だろッ?!ひっ…!」
ズンッと突かれて思わず悲鳴を呑み込む。
「あ…いやっいやっ……!」
「自業自得……か。ではその言葉、そっくりそのままお前に返そう」
そこからは何やらご機嫌斜めな王子に思い切り甚振られた。
イキたくてもイかせてもらえず、出したくてもせき止められて、最終的に泣きながら謝らされた。
「うぅ…悪かった……っ。これで、いいだろッ?!」
(俺は悪くないのに…!)
「アル…そのどこまでも反抗的な目が本当にたまらなく好きだ」
言葉なんて所詮この行為のスパイスに過ぎないなと言いながら王子は唇を重ねて、貪り食らうようにしながら舌を絡ませ嬌声を塞ぎ、嬉々として激しく突き上げてきた。
「ふぁッ…!んんぅッ!あんんぅッ!」
(あ…そこ、ダメッ!)
ずっと我慢させられ続けていた身体はどこまでも熱くて、王子の熱塊を貪欲に堪能し始める。
「こんな場所でこんなに感じて……悪い護衛騎士だな」
「う…、ひどッ…いぃ……」
飛べそうで飛べなくて泣きたくなる。
ギリギリの快楽は体を熱くするばかりでただただ辛かった。
でももう身体に力なんて入らないから王子に縋る以外に手はない。
「あ…王子……」
「セドだ」
「セド…。部屋で…もっとちゃんと抱いて……」
ここじゃあどうしても他が気になって仕方がない。
気持ちいいのはいいけれど、常に騎士としての意識があちらこちらに向いてしまってどうしても集中しきれない。
各部屋で他の騎士達の気配がしているのだからこればかりはどうしようもなかった。
だから素直にお願いしてしまう。もっと理性が飛ぶくらいして欲しいのだと……。
「こんな半端なのは…いやだ……」
「ククッ…そうだな。お前はなんだかんだ俺に激しく抱かれるのが好きだものな?」
ある程度焦らさないと素直にならない奴だと王子は笑って言ってくるけど、俺は別に王子に抱かれるのが好きなわけじゃないと声を大にして言いたい。
王子が手を出してこなければ剣の手合わせ後以外は別に性欲は強くなったりしないんだから。
「もっともっとと中が強請ってきているぞ?そんなにこれが好きか?物欲しそうな目までして…」
「うぅ…違うぅ……」
「もっと激しくイかせてほしいか?」
そうだ…先程からずっと続いている半端にイキ続けている状態だけじゃ物足りない。
今の自分が求めているのは頭が真っ白になるほどの絶頂だった。
それを与えてくれるのは他の誰でもない、この目の前の男以外にはいなかったのだ。
だから悔しいけれど素直に首肯した。
「ふっ…素直なお前も好きだぞ?アル」
そして王子はあろうことか一度中から自身を引き抜くと、そのまま俺を抱き上げる形で挿入し直し、両足を抱えて腰を支えた状態で部屋へと歩き始めた。
「え?!ちょ、ひっ…!」
ズンズンと歩く度に突き上げられてその気持ち良さに悲鳴を上げそうになる。
慌てて王子に抱き着き肩口付近に顔を伏せて声を押し殺すが、そんなものはなんの足しにもならなくて声は漏れるばかりだ。
さっきまで当たっていたところとは別のところに当たって気持ち良過ぎてたまらなかった。
「は…はぁんッ!あんッ!」
「クッ…。アル、気持ちよさそうだな」
「あ…あぁッあぁッ……あ────ッ!」
「もう聞こえてないか……」
そんな声をどこか遠くで聞きながらビクビクッと求めていた激しい絶頂を迎え、こんなに感じまくってと満足げにほくそ笑む王子によって俺はそのまま部屋へと持ち帰られたのだった。
****************
※そして19話の例の直談判へと続く…。といった感じです。
短編にも関わらずお気に入り数がまさかの千越えになっていたので、御礼をどうしようかなと思って…コメントにあった視察中の夜の件で書いてみました。
毎度のR‐18ですが、ああなるほどねとサラッと読んで頂けたら嬉しいです。
ちなみに会話文の後ろ()内は騎士達の心の声です。適当に無視して読み流してください。宜しくお願いします。
****************
「なぁ…王子が俺に飽きるような方法って何かないかな?」
その日の昼食時、俺はこっそり一緒に来ていた護衛騎士達に相談事を持ち掛けてみた。
ちなみに王子は今視察先の貴族と会食中なので俺は別行動中だ。
何も問題はない。
だからこそそんなことを聞けたのだが……。
ブハッ!!!!
その場にいた全員が喉に詰まらせたり飲み物を噴いたりしたのでちょっと申し訳ないなと思った。
「ゲホッ…ゴホッゴホッ……」
「わ、悪い…でも、切実なんだ」
一人で考えても何もいい案が思い浮かばないのだから、ここは誰かに頼りたい気分だった。
それだけ王子のセクハラは隙あらばと言った感じだったし、夜も酷かった。
部屋に呼んでなし崩し的に事に及ぶのは本当に勘弁してもらいたかった。
「いや、無理でしょ」
「そうですよ、アルフレッド殿」
「そこをなんとか!」
正直本当にどうにかしたくて俺は騎士達に本気で頼み込む。
すると恐る恐るという感じで確認するように訊かれてしまった。
「……えっと、それは王子に手を出されたくない的な意味合いで言ってます??」
「ああ」
そう答えると全員が顔を見合わせて難しい顔をした後、素人の一般論でいいならと意見をくれた。
「王子はアルフレッド殿をかなり気に入ってますから……。そうだ!いつもと違う行動に出たらどうです?」
「例えば?」
「そうですね……」
「いつもとは逆の行動をしてみるとかどうでしょう?消極的なのを積極的に変えてみるとかしたら印象も変わるかもしれません。(王子を喜ばせることにもなるし多分一番平和的かな。飽きるかは疑問だけど意表を突かれて一瞬戸惑うかもしれないし…その隙に都度逃げればいいのでは?)」
「積極的になるって本末転倒じゃないか?」
「え~っと…。じゃあ、職務を口実にできるだけ逃げ続けてイライラさせたら嫌になるかも?(その後が怖そうだけど…。一番険悪になるパターンかな)」
「やっぱりそれが無難か。他には?」
「たまには翻弄してみるとか!脈ありに見せ掛けてスルッと逃げるって言うのを繰り返してみたり…?(これは王子を喜ばせるだけか?より一層ハマるかもしれないからダメかもしれない…)」
「後はそうですね~…いっそ常に安全な外に逃げる!口実作って外!これなら王子も手を出してこないんじゃないかな…と。(これだ!これが一番適切なアドバイス!でも…相手はあの王子だし、絶対ダメだろうな…。却って怒らせる可能性大か?やっぱり諦めてください、アルフレッド殿。どう考えても無理です!むしろラブラブになってもらえた方が我々も嬉しいです!)」
「おぉっ!外か!確かにこれはいいかも!」
色々案を出してもらえたし、ちょっと考えて行動を起こしてみるとするか。
流石に視察中毎日毎日抱かれるのは嫌だ。
ここらへんで抵抗の意思を示しておかないと城に帰ってからもっと酷い目に合いそうな気もする。
そう思って早速その日は翻弄してみる案を試してみることにした。
とは言ってもよくわからないから、脈ありと思わせるというところは無視して取り敢えず王子が手を出そうとしてきたところをスルッと逃げるというのを試そうと思った。
いつも気づいたら捕獲されてるから、よっぽど上手く逃げないとダメなんだけど…あらかじめ身構えてたら逃げられるかもしれないと思ってのことだ。
そしてそれは珍しく上手くいき、夜まで王子のセクハラを笑顔で躱し続けることができた。
(よしっ!)
これで後は夜さえ回避できれば万々歳!
(やっぱここは夜の見回りにとか言って外に行けばいいよな!)
やったやったと俺は半ば成功したようなものだと思いつつ上機嫌でその日の夜を迎えた。
それなのに────。
「アルフレッド?どこへ行くつもりだ?」
するりと上手く抜け出したつもりだった。
部屋を辞してすぐ脱兎のごとく逃げ出したはずだったのに……どうして俺は宿の裏手で壁に背を向けながら王子に迫られているんだろう?
「お…王子」
「うん?」
笑っているはずなのに目が全く笑っていないのはどうしてだろう?
別に殺気を放っているわけでもないのに、やけに怖い笑顔な気がしてならない。
「たまには夜の見張りに行ってくると言いましたよね?」
「言っていたな」
「なので王子がここに来る必要はないのでは?」
あくまでも仕事だと言い張って笑顔でスルーしようと試みるが、王子は逃がす気がないのかその恐ろしい笑顔のままで小首を傾げてこう言った。
「ああ…なるほど?つまり今日は趣向を変えて外で抱かれたい…と?物好きだな、アル」
(そんなこと、誰も言ってねーーーー!!)
物好きなのはお前だろう?!と許されるなら言ってやりたかった。
でもここでそれを言ってしまったら一巻の終わりのような気がする。
ないとは思うが、この変態のことだ。ここで抱くと言い出しかねない。
だから職務上の口調を崩さず俺は引き攣る笑顔でこう言った。
「あ~…部屋まで送ります」
「そうか」
だからこの言葉にはホッとしたというのに…………。
「あ…っ、ふ…んぅぅ…っ……」
どうしてお仕置きとばかりに俺は宿の廊下でなんか抱かれてるんだろう。
勿論王子が泊まっているから基本貸し切りではあるんだけど、他の騎士達だって当然泊まっているわけで……。
(見られる…見られるから……っ!)
夜の薄暗い廊下とは言え寝静まるには早い時間帯だ。
いつ誰が物音に気付いてやってくるかと思うと気が気ではなかった。
服を着たままバックで入れられているとは言え、やっていることは一目瞭然だろう。
「や…やだ……」
「可愛いな、アルフレッド。そんなに興奮して…」
(興奮なんてしてない!こんなところで襲われて不安になってるだけだろ?!)
いっそ誰かに助けを求めた方がいいのかとそっとあたりに目を向けるが、誰の姿も見られないので変にドキドキしてしまう。
こんな姿を見られなくてよかったと思うべきなのか、どうなのか────。
「おぅ…じ……。も、部屋で……して、くれ」
「ほぅ?ベッドでたっぷり可愛がって欲しいと?」
「ちが…っ!」
違う。好んで抱かれたいわけじゃないと目で訴えるけど、王子はわかっていて敢えてここで抱き続けた。
「う…うぅん……っ」
「こんな場所でゆったり抱かれるのもいいだろう?」
「ふ…ぅうッ!いや…に決まって、る…ッ!あぁっ…!」
弱いところを狙ったように突き上げられて思わず声が出てしまい廊下へと響いて泣きたくなる。
自分が一介の騎士ならそれだけで部屋を飛び出して何事だと見に来たことだろう。
逆に言えばいつ騎士達が様子を見に来てもおかしくはない状況だった。これは怖い。
「う…、やだ……っ」
「反省したか?」
「なに…を?」
「今日一日俺を避けていたことだ」
「そ…なの、自業自得…だろッ?!ひっ…!」
ズンッと突かれて思わず悲鳴を呑み込む。
「あ…いやっいやっ……!」
「自業自得……か。ではその言葉、そっくりそのままお前に返そう」
そこからは何やらご機嫌斜めな王子に思い切り甚振られた。
イキたくてもイかせてもらえず、出したくてもせき止められて、最終的に泣きながら謝らされた。
「うぅ…悪かった……っ。これで、いいだろッ?!」
(俺は悪くないのに…!)
「アル…そのどこまでも反抗的な目が本当にたまらなく好きだ」
言葉なんて所詮この行為のスパイスに過ぎないなと言いながら王子は唇を重ねて、貪り食らうようにしながら舌を絡ませ嬌声を塞ぎ、嬉々として激しく突き上げてきた。
「ふぁッ…!んんぅッ!あんんぅッ!」
(あ…そこ、ダメッ!)
ずっと我慢させられ続けていた身体はどこまでも熱くて、王子の熱塊を貪欲に堪能し始める。
「こんな場所でこんなに感じて……悪い護衛騎士だな」
「う…、ひどッ…いぃ……」
飛べそうで飛べなくて泣きたくなる。
ギリギリの快楽は体を熱くするばかりでただただ辛かった。
でももう身体に力なんて入らないから王子に縋る以外に手はない。
「あ…王子……」
「セドだ」
「セド…。部屋で…もっとちゃんと抱いて……」
ここじゃあどうしても他が気になって仕方がない。
気持ちいいのはいいけれど、常に騎士としての意識があちらこちらに向いてしまってどうしても集中しきれない。
各部屋で他の騎士達の気配がしているのだからこればかりはどうしようもなかった。
だから素直にお願いしてしまう。もっと理性が飛ぶくらいして欲しいのだと……。
「こんな半端なのは…いやだ……」
「ククッ…そうだな。お前はなんだかんだ俺に激しく抱かれるのが好きだものな?」
ある程度焦らさないと素直にならない奴だと王子は笑って言ってくるけど、俺は別に王子に抱かれるのが好きなわけじゃないと声を大にして言いたい。
王子が手を出してこなければ剣の手合わせ後以外は別に性欲は強くなったりしないんだから。
「もっともっとと中が強請ってきているぞ?そんなにこれが好きか?物欲しそうな目までして…」
「うぅ…違うぅ……」
「もっと激しくイかせてほしいか?」
そうだ…先程からずっと続いている半端にイキ続けている状態だけじゃ物足りない。
今の自分が求めているのは頭が真っ白になるほどの絶頂だった。
それを与えてくれるのは他の誰でもない、この目の前の男以外にはいなかったのだ。
だから悔しいけれど素直に首肯した。
「ふっ…素直なお前も好きだぞ?アル」
そして王子はあろうことか一度中から自身を引き抜くと、そのまま俺を抱き上げる形で挿入し直し、両足を抱えて腰を支えた状態で部屋へと歩き始めた。
「え?!ちょ、ひっ…!」
ズンズンと歩く度に突き上げられてその気持ち良さに悲鳴を上げそうになる。
慌てて王子に抱き着き肩口付近に顔を伏せて声を押し殺すが、そんなものはなんの足しにもならなくて声は漏れるばかりだ。
さっきまで当たっていたところとは別のところに当たって気持ち良過ぎてたまらなかった。
「は…はぁんッ!あんッ!」
「クッ…。アル、気持ちよさそうだな」
「あ…あぁッあぁッ……あ────ッ!」
「もう聞こえてないか……」
そんな声をどこか遠くで聞きながらビクビクッと求めていた激しい絶頂を迎え、こんなに感じまくってと満足げにほくそ笑む王子によって俺はそのまま部屋へと持ち帰られたのだった。
****************
※そして19話の例の直談判へと続く…。といった感じです。
58
お気に入りに追加
3,635
あなたにおすすめの小説
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
異世界ぼっち暮らし(神様と一緒!!)
藤雪たすく
BL
愛してくれない家族から旅立ち、希望に満ちた一人暮らしが始まるはずが……異世界で一人暮らしが始まった!?
手違いで人の命を巻き込む神様なんて信じません!!俺が信じる神様はこの世にただ一人……俺の推しは神様です!!
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。
【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる
木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8)
和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。
この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか?
鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。
もうすぐ主人公が転校してくる。
僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。
これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。
片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる