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【英雄トルセンの弟子】
30.英雄トルセンの弟子⑥ Side.トルセン
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【Side.英雄トルセン】
「トルセン様。ブルーグレイ王国から書状が届いております」
「ブルーグレイ王国から?アルフレッドからか?」
「いえ。セドリック王子からの直々の召喚状のようです」
「王子からの召喚状だと?貸してみろ」
そしてその書状を開き、中を検めるとそこには弟子のカッツェが側妃をかどわかそうとしたので牢屋に入れたと書かれてあった。
「あいつ…何やってんだよ……」
アルフレッドと手合わせをしに行ったのではないのかと頭が痛くなってしまう。
王子の側妃をかどわかすだなんてそりゃあ牢屋にだって入れられるわと嘆きたくなった。
そもそもこのセドリック王子は残虐だという噂を持つ王子だ。
即殺されていてもおかしくはなかったのに、こうして迎えに来いと手紙を寄越してもらえただけでも恩の字だろう。
もしかしたらアルフレッドあたりが口を利いてくれたのかもしれない。
それなら王子の気が変わらない内にすぐにでも迎えに行った方がいいだろう。
「悪いがカッツェを迎えに行ってくる。すぐにスケジュールの調整を頼む」
「かしこまりました」
そしてすぐさま荷物を纏めさせ、詫びの品を用意してブルーグレイ王国へと旅立った。
人数は最低限でとお願いしたが、総勢30人と少々大仰になってしまった。まあこれは仕方がないだろう。
「久しぶりにアルフレッドにも会えるな」
あの戦闘狂は元気にしているだろうか?
きっと今日も元気に剣の腕を磨いているに違いない。
「俺みたいに嫁さんでも迎えていたらいいのにな~」
そんなことを呟きながら船に乗った。
***
ブルーグレイ王国の城を見上げ、ここにアルフレッドがいるのかと思いながら中へと案内されるとそこに見知った顔を見つけて表情が明るくなる。
「アルフレッド!」
「トルセン!久しぶりだな!」
キィンッ!
あいさつ代わりに剣を抜いて合わせてやると嬉しそうに笑われた。
その後ろからやってきたのは噂の王子だろうか?
どこか呆れたようにアルフレッドを見ている。
「貴殿がゴッドハルトの英雄トルセンか?」
「ああ、では貴方が?」
「この国の王太子 セドリックだ」
初めましてと手を差し出すと普通に握手してもらえたので特に思うところはないようで安心した。
これならカッツェも普通に引き取らせてもらえるだろう。
「それで…うちの弟子が側妃様に手を出したとか?」
早速と言うように取り敢えず詫びを入れようと口火を切ると、王子がグイッとアルフレッドを引き寄せてこう言ってきた。
「そうだ。剣の手合わせに誘うだけならこちらも何も文句はなかったのだが、俺の愛する側妃をここから連れ出そうとした上、襲おうとしたのでな…」
そしてその場でアルフレッドにキスをしたのでやっと状況を呑み込むことができた。
つまりは────側妃=アルフレッドだったのだと。
「んんっ、んんんーーーーッ!!」
しかもあのアルフレッドがその腕の中から抜け出せないように完璧に抑え込んでいるのを見て、しっかり捕まっていることまで把握してしまう。
(あいつ…あれでも体術も相当できるんだがな…)
がっしりと腕も足も固めているところを見るに相当手慣れているとみた。
「なんっでトルセンの前でキスするんだよ?!」
「お前が側妃だと一発でわかるだろう?」
「口で言え、口で!」
「キスも口じゃないか。可愛いことを言うなアルフレッド」
「~~~~ッ!!」
(こりゃ無理だ)
どうやら脳筋なアルフレッドと相性が悪い相手に掴まってしまったようだと察してしまう。
こうなると取り敢えず祝福だけはしておくかとサラッと流しておくことにする。
「あ~…アルフレッド?結婚おめでとう」
「トルセン!」
「剣と結婚するんじゃないかと心配していたがよかったじゃないか。大事にしてもらえよ」
「グッ…」
「どうせ捕まったのはその王子が強かったとか、そういうところなんだろう?お前強い奴しか興味ないし」
「うぅ…」
「夫婦喧嘩しても騎士相手に千人抜きとかするなよ?お前のストレス発散は結構迷惑だから」
「トルセン~…!」
「まあたまには手紙を書いてやるから、愚痴でも溢してこい」
「……強い奴の情報を求む」
「ああ、じゃあ書いておいてやるから王子に頼んで召喚してもらえ。間違っても一人で城から飛び出すなよ」
「え?」
「ですよね?セドリック王子」
「そうだな。それなら問題ない」
コクリと頷かれたので俺は満足げに頷きを返し、早々にカッツェを引き取りたい旨を伝えておいた。
アルフレッドはわかっていないようだが、この王子は相当アルフレッドに固執している。
簡単に城から出そうとはしないだろう。
「そうだ。もう直接会う機会もあまりないだろうから最後に一戦だけしておきたいな」
せめてもの餞別にこれくらいはさせて欲しいと王子に視線をやるとそれくらいならと許可も下りた。
カッツェも鍛錬場へと連れてこられたので、その目の前で久方ぶりにアルフレッドと向かい合う。
「二年で腕が錆びついていないか見てやるよ」
「ああ。お前の方も書類仕事ばっかりで鈍ってないかみてやる」
そして剣を交えたのだが────正直また強くなっていて驚いた。
以前よりもより鋭く、強く、速くなっている剣筋にこちらはついていくのでやっとだ。
「くっ…!」
「どうしたトルセンッ!押されてるぞ?!」
「お前が強くなってるだけだろう?!」
戦場に出てもいないくせにまた強くなっているアルフレッドには驚きを隠せない。
(花舞い!!)
超高速で打ち出される剣の乱撃を受けきるが、気を抜くことは一瞬たりともできなかった。
次に来るのは絶対に木の葉斬りだからだ。
鋭い一閃が来るのは何度もアルフレッドと手合わせしてきた自分だからこそわかる。
けれどわかっていたはずなのに、俺はそれを見切れなかった。
ピタリと頸動脈の横で止められた剣にヒヤリと汗が流れ落ちる。
心臓がドッドッと激しく脈打ち、戦場でのあの命を削る日々を思い起こさせた。
ひたりと据えられたアルフレッドの眼差しに昔の緊張感が思い出されて思わず乾いた笑みがこぼれ落ちる。
俺は一体いつの間にこんなに平和ボケしていたのだろう?
「は…はは…っ……」
「トルセン?」
「……何でもない。相変わらずの戦闘狂の覇気に懐かしくなっただけだ」
「そうか」
勝負はアルフレッドの勝ちだったが、正直ここに来てよかったとも思った。
「アルフレッド。今日はいい勝負だった。良かったら今度王子と一緒に海を渡ってゴッドハルトに来るといい。強敵はいないかもしれないが成長した俺を見せてやれるようきっと精進しておくから。ついでに俺の嫁も紹介させてくれ」
「え?」
「セドリック王子!新婚旅行は是非ゴッドハルトへ」
「……なるほど。考えておこう」
暗にアルフレッドのストレスが溜まったらいつでも息抜きに来てくれと匂わせておいた。
これならきっと一度くらいは来てくれることだろう。
ゴッドハルトはまだまだ立ち直ってきたばかりだ。
革命から二年────。自分も含め最近少々気の緩んできている者達が増えてきている。
アルフレッド達が来ることで少しでも刺激になれば嬉しい。
「では我々はこの辺で」
「もう行くのか?」
「ああ。国を空けてきたからな。急いで帰らないと」
「そうか。頑張れよ」
そしてコツンと今度は剣の柄を合わせて別れを惜しむ。
「元気で」
「そっちこそ」
親友とも言える自分の嘗ての片腕に手を振って別れを告げた。
カッツェは自分も手合わせしたかったというような顔をしているが、今のカッツェなら瞬殺だろう。
もっと一から鍛えてやらねばとてもではないがアルフレッドの相手にはならない。
「もしよろしければこちらを」
すると横から一騎士がやってきてサッと紙の束を渡してきた。
「我々がやっている騎士長からの訓練メニューです。できる範囲でご活用ください」
「騎士長?」
「アルフレッド殿です」
「……そうか」
あの戦闘狂が組んだ訓練メニューか。興味はある。
「有難く参考にさせてもらおう」
「はい。ではお気をつけて」
それから帰りの船でそれにじっくり目を通したのだが……。
「無理だろ?!」
思わずそう突っ込みを入れ、次いで大笑いしてしまった。
あの騎士達はどんな顔でこれに取り組んでいるのだろうか?
なんだかんだと楽しく日々を送ってそうなアルフレッドの顔を思い浮かべ、俺はそっと船上から遠ざかっていくブルーグレイ王国を見てエールを送る。
「頑張れよ、アルフレッド。楽しい日々を…」
充実した日々を送っているであろう友に思いを馳せ、俺は俺の居場所へと帰ったのだった。
****************
※トルセンは本当にドストレートな人です。
アルフレッドとのやり取り然り、既婚者でもあるので王子からしたら一番安全だと認識できる人かもしれません。
次話でこのトルセンの弟子編も終わりますが、R‐18なので苦手な方はお気を付けください。
「トルセン様。ブルーグレイ王国から書状が届いております」
「ブルーグレイ王国から?アルフレッドからか?」
「いえ。セドリック王子からの直々の召喚状のようです」
「王子からの召喚状だと?貸してみろ」
そしてその書状を開き、中を検めるとそこには弟子のカッツェが側妃をかどわかそうとしたので牢屋に入れたと書かれてあった。
「あいつ…何やってんだよ……」
アルフレッドと手合わせをしに行ったのではないのかと頭が痛くなってしまう。
王子の側妃をかどわかすだなんてそりゃあ牢屋にだって入れられるわと嘆きたくなった。
そもそもこのセドリック王子は残虐だという噂を持つ王子だ。
即殺されていてもおかしくはなかったのに、こうして迎えに来いと手紙を寄越してもらえただけでも恩の字だろう。
もしかしたらアルフレッドあたりが口を利いてくれたのかもしれない。
それなら王子の気が変わらない内にすぐにでも迎えに行った方がいいだろう。
「悪いがカッツェを迎えに行ってくる。すぐにスケジュールの調整を頼む」
「かしこまりました」
そしてすぐさま荷物を纏めさせ、詫びの品を用意してブルーグレイ王国へと旅立った。
人数は最低限でとお願いしたが、総勢30人と少々大仰になってしまった。まあこれは仕方がないだろう。
「久しぶりにアルフレッドにも会えるな」
あの戦闘狂は元気にしているだろうか?
きっと今日も元気に剣の腕を磨いているに違いない。
「俺みたいに嫁さんでも迎えていたらいいのにな~」
そんなことを呟きながら船に乗った。
***
ブルーグレイ王国の城を見上げ、ここにアルフレッドがいるのかと思いながら中へと案内されるとそこに見知った顔を見つけて表情が明るくなる。
「アルフレッド!」
「トルセン!久しぶりだな!」
キィンッ!
あいさつ代わりに剣を抜いて合わせてやると嬉しそうに笑われた。
その後ろからやってきたのは噂の王子だろうか?
どこか呆れたようにアルフレッドを見ている。
「貴殿がゴッドハルトの英雄トルセンか?」
「ああ、では貴方が?」
「この国の王太子 セドリックだ」
初めましてと手を差し出すと普通に握手してもらえたので特に思うところはないようで安心した。
これならカッツェも普通に引き取らせてもらえるだろう。
「それで…うちの弟子が側妃様に手を出したとか?」
早速と言うように取り敢えず詫びを入れようと口火を切ると、王子がグイッとアルフレッドを引き寄せてこう言ってきた。
「そうだ。剣の手合わせに誘うだけならこちらも何も文句はなかったのだが、俺の愛する側妃をここから連れ出そうとした上、襲おうとしたのでな…」
そしてその場でアルフレッドにキスをしたのでやっと状況を呑み込むことができた。
つまりは────側妃=アルフレッドだったのだと。
「んんっ、んんんーーーーッ!!」
しかもあのアルフレッドがその腕の中から抜け出せないように完璧に抑え込んでいるのを見て、しっかり捕まっていることまで把握してしまう。
(あいつ…あれでも体術も相当できるんだがな…)
がっしりと腕も足も固めているところを見るに相当手慣れているとみた。
「なんっでトルセンの前でキスするんだよ?!」
「お前が側妃だと一発でわかるだろう?」
「口で言え、口で!」
「キスも口じゃないか。可愛いことを言うなアルフレッド」
「~~~~ッ!!」
(こりゃ無理だ)
どうやら脳筋なアルフレッドと相性が悪い相手に掴まってしまったようだと察してしまう。
こうなると取り敢えず祝福だけはしておくかとサラッと流しておくことにする。
「あ~…アルフレッド?結婚おめでとう」
「トルセン!」
「剣と結婚するんじゃないかと心配していたがよかったじゃないか。大事にしてもらえよ」
「グッ…」
「どうせ捕まったのはその王子が強かったとか、そういうところなんだろう?お前強い奴しか興味ないし」
「うぅ…」
「夫婦喧嘩しても騎士相手に千人抜きとかするなよ?お前のストレス発散は結構迷惑だから」
「トルセン~…!」
「まあたまには手紙を書いてやるから、愚痴でも溢してこい」
「……強い奴の情報を求む」
「ああ、じゃあ書いておいてやるから王子に頼んで召喚してもらえ。間違っても一人で城から飛び出すなよ」
「え?」
「ですよね?セドリック王子」
「そうだな。それなら問題ない」
コクリと頷かれたので俺は満足げに頷きを返し、早々にカッツェを引き取りたい旨を伝えておいた。
アルフレッドはわかっていないようだが、この王子は相当アルフレッドに固執している。
簡単に城から出そうとはしないだろう。
「そうだ。もう直接会う機会もあまりないだろうから最後に一戦だけしておきたいな」
せめてもの餞別にこれくらいはさせて欲しいと王子に視線をやるとそれくらいならと許可も下りた。
カッツェも鍛錬場へと連れてこられたので、その目の前で久方ぶりにアルフレッドと向かい合う。
「二年で腕が錆びついていないか見てやるよ」
「ああ。お前の方も書類仕事ばっかりで鈍ってないかみてやる」
そして剣を交えたのだが────正直また強くなっていて驚いた。
以前よりもより鋭く、強く、速くなっている剣筋にこちらはついていくのでやっとだ。
「くっ…!」
「どうしたトルセンッ!押されてるぞ?!」
「お前が強くなってるだけだろう?!」
戦場に出てもいないくせにまた強くなっているアルフレッドには驚きを隠せない。
(花舞い!!)
超高速で打ち出される剣の乱撃を受けきるが、気を抜くことは一瞬たりともできなかった。
次に来るのは絶対に木の葉斬りだからだ。
鋭い一閃が来るのは何度もアルフレッドと手合わせしてきた自分だからこそわかる。
けれどわかっていたはずなのに、俺はそれを見切れなかった。
ピタリと頸動脈の横で止められた剣にヒヤリと汗が流れ落ちる。
心臓がドッドッと激しく脈打ち、戦場でのあの命を削る日々を思い起こさせた。
ひたりと据えられたアルフレッドの眼差しに昔の緊張感が思い出されて思わず乾いた笑みがこぼれ落ちる。
俺は一体いつの間にこんなに平和ボケしていたのだろう?
「は…はは…っ……」
「トルセン?」
「……何でもない。相変わらずの戦闘狂の覇気に懐かしくなっただけだ」
「そうか」
勝負はアルフレッドの勝ちだったが、正直ここに来てよかったとも思った。
「アルフレッド。今日はいい勝負だった。良かったら今度王子と一緒に海を渡ってゴッドハルトに来るといい。強敵はいないかもしれないが成長した俺を見せてやれるようきっと精進しておくから。ついでに俺の嫁も紹介させてくれ」
「え?」
「セドリック王子!新婚旅行は是非ゴッドハルトへ」
「……なるほど。考えておこう」
暗にアルフレッドのストレスが溜まったらいつでも息抜きに来てくれと匂わせておいた。
これならきっと一度くらいは来てくれることだろう。
ゴッドハルトはまだまだ立ち直ってきたばかりだ。
革命から二年────。自分も含め最近少々気の緩んできている者達が増えてきている。
アルフレッド達が来ることで少しでも刺激になれば嬉しい。
「では我々はこの辺で」
「もう行くのか?」
「ああ。国を空けてきたからな。急いで帰らないと」
「そうか。頑張れよ」
そしてコツンと今度は剣の柄を合わせて別れを惜しむ。
「元気で」
「そっちこそ」
親友とも言える自分の嘗ての片腕に手を振って別れを告げた。
カッツェは自分も手合わせしたかったというような顔をしているが、今のカッツェなら瞬殺だろう。
もっと一から鍛えてやらねばとてもではないがアルフレッドの相手にはならない。
「もしよろしければこちらを」
すると横から一騎士がやってきてサッと紙の束を渡してきた。
「我々がやっている騎士長からの訓練メニューです。できる範囲でご活用ください」
「騎士長?」
「アルフレッド殿です」
「……そうか」
あの戦闘狂が組んだ訓練メニューか。興味はある。
「有難く参考にさせてもらおう」
「はい。ではお気をつけて」
それから帰りの船でそれにじっくり目を通したのだが……。
「無理だろ?!」
思わずそう突っ込みを入れ、次いで大笑いしてしまった。
あの騎士達はどんな顔でこれに取り組んでいるのだろうか?
なんだかんだと楽しく日々を送ってそうなアルフレッドの顔を思い浮かべ、俺はそっと船上から遠ざかっていくブルーグレイ王国を見てエールを送る。
「頑張れよ、アルフレッド。楽しい日々を…」
充実した日々を送っているであろう友に思いを馳せ、俺は俺の居場所へと帰ったのだった。
****************
※トルセンは本当にドストレートな人です。
アルフレッドとのやり取り然り、既婚者でもあるので王子からしたら一番安全だと認識できる人かもしれません。
次話でこのトルセンの弟子編も終わりますが、R‐18なので苦手な方はお気を付けください。
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