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【その後の話】
20.脱出チャンス到来!
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※実際にアルフレッドが逃げ出した編です。宜しくお願いします。
****************
何故か両思いみたいな認識をされてしまったみたいだけど、断じて違うからと言い張って俺は俺の部屋を死守している。
何が悲しくてこの居心地のいいプライベート空間を失くさなければならないのか。
王子の部屋に行くなんて真っ平御免だ。
「姫!姫が王子の正妃なんですから同室になるなら姫にしてもらってくださいね」
「ぐっ…ごほっ…!そ、そんなこと無理に決まっているでしょう?!貴方が王子に愛されてるんでしょう?!側室なんだからおとなしく貴方が同室にしてもらいなさい!」
「俺は姫の護衛騎士です!側室なんて認めません!」
「なら護衛騎士を今すぐやめて側室メインにしたらいいじゃないの!」
「お断りします!護衛騎士をやめていいなら今すぐ出ていきます!」
「ちょ…っ?!それはやめてちょうだい!私が殺されるでしょう?!」
「大丈夫ですよ。お腹に子供がいるかもしれないとなればそう簡単には殺されません」
「そんなのわからないでしょう?相手はあの悪魔なのよ?!」
ぎゃあぎゃあと言い合っていると、護衛騎士のコリンズがそっと声を掛けてきた。
「騎士長。言っておきますけど、出ていく時は絶対に姫に報告してから出て行ってくださいよ?でないと俺達も殺されてしまうんで」
「は?」
「そうよ!侍女や騎士達が皆殺しにされてもいいの?!この薄情者!」
「それは…嫌ですが」
「じゃあ出ていくとかもう二度と言わないでちょうだい!」
「……仕方ないですね。もしもの時はちゃんと手を打ちますよ。取り敢えず、勝手に部屋を片付けられない限りはここにいます。それでいいですか?」
「わかったわ。それなら問題ないもの」
俺は一応姫の言質を取ってから見回りに行ってくると言ってさり気なく部屋へと帰る。
(ああ…やっぱりな)
あの王子は本当に仕事が早い。
俺が姫の部屋に行ったと同時にきっと片付けるよう命じておいたのだろう。
ちょっとだけ近いうちにこうなるだろうなと思っていた光景が、今まさに目の前にあった。
(完璧に綺麗に片付けられてるな)
恐らく着替えなどの荷物は全て王子の部屋へと運ばれたのだろう。
夕方まで気づかなかったらそのまま問答無用で部屋に連れ去られていたはずだ。
だが────今回の件に関しては俺の勝ちだ!なにせこんなにも早く気づけたのだから。
逃げるなら今しかない。
俺は一応貴重品は持ち歩く主義だし、大事な剣だって常に身に着けている。
要するに、このまま身一つで逃げようと思えばいつだって逃げられるのだ。
姫からは先程言質も取っておいたことだし、大丈夫だろう。
サラサラッと持っていた紙に一言だけ書いて、近くを通りがかった侍女に姫に渡しておいてくれと託ける。
『残念ですが俺の居場所は見事に片付けられていましたのでこれで失礼します。 アルフレッド』
この手紙があれば姫達が責任を取らされることはないだろう。
部屋を勝手に片付けた王子が悪いんだから。
ふっと笑って俺はそのまま裏口へと回る。
人の気配をたぐれる俺にかかれば人を避けて移動するなんて簡単だ。
怪しまれない程度に気配を消してすっすっと移動してあっさりと城から脱出していく。
「なんだ。思ったよりも簡単だったな」
城の警備も大したことないなと思いながら俺は取り敢えず街で食料でも買ってから街を出ようとフンフンと鼻歌まじりに歩き出した。
***
【Side.アルメリア】
「な…なんてことなの……」
私は侍女から手渡された紙を手にブルブルと震えていた。
そこにはアルフレッドから部屋が片付けられてたから出ていくと書かれてあったからだ。
「こ…殺される……殺されるわ…………」
そうやって震えていると、今日の護衛騎士コリンズとアークスがその手紙を見てすぐさま動いた。
「侍女達にも声を掛けてすぐに街へ捜索に出ましょう」
「騎士も全員招集します!」
「お、お願いね!絶対、絶対見つけてきてちょうだい!」
80人(正確には79人)もいるのだし全員で向かえばきっと見つかるだろう。
逆に見つからなければ自分達の命はない。
アルフレッドに対する王子の寵愛はそれほど誰の目にも明らかなものだったからだ。
逃げ出したなんて聞いたら確実に怒りの矛先がこちらへと向き、自分以外はあっさり処分されてもおかしくはなかった。
自分の命だって無事で済む保証はどこにもないし、これはまさに緊急事態とも言えた。
兎に角一刻も早く見つけ出さなければ────!
アルフレッドがこの城から既に出たという根拠はないが、コリンズが言うように街を探す方が確実な気がする。
なにせ相手はあの英雄の片腕なのだから…。
バタバタと街へと出ていく同胞達を見送り、取り敢えず報告だけは入れておかないと自分の命はないと震える身体をなんとか叱咤してセドリック王子の元へと向かう。
そもそもアルフレッドを逃がしたくないならもっと上手くやればいいのに……。
(あの悪魔が全部悪いのよ!!)
そして恐怖を無理矢理怒りに塗り替えてなんとか王子の元へとたどり着いた。
「セドリック殿下!」
「……アルメリア姫か。どうした?」
「どうしてアルフレッドの部屋を片付けたのです?!お陰で先程嬉々として出て行ってしまいましたわ!」
「…………は?」
未だかつてこんな呆気にとられたような悪魔の顔を見たことがなかったので、ちょっとだけ強気に出てみる。
「これをご覧くださいませ!」
『残念ですが俺の居場所は見事に片付けられていましたのでこれで失礼します。 アルフレッド』
そしてこれが証拠だとばかりにアルフレッドからのメモを王子に突きつけると王子はそれを奪い取ってサッと目を通すとすぐさま動いた。
「いつだ!」
「つい先程侍女から受け取りました」
「ではまだ城にいる可能性もあるな」
「いいえ。すでに街に出ている可能性の方が高いかと。私についてきた者達総出ですでに街へ向かわせましたが、あのアルフレッドのことですから逃げられる可能性は高いかと」
「わかった。すぐに他の騎士達にも探させよう。俺も出る…!」
そこからの王子の行動は早かった。
あれだけの人数を一声で動かせるのかと驚いてしまう程素早く次々と街に向かわせていた。街の出入り口もすぐさま封鎖するよう指示を出したようだ。
「アルフレッド…絶対に逃がさんぞ」
取り敢えず王子がこれ以上ないほど怒っているから、早く帰ってきてと蒼白になりながら見送る。
……ちょっとだけ無事に逃げられた方が幸せなのかもしれないと思ってしまったのは私だけの秘密だ。
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何故か両思いみたいな認識をされてしまったみたいだけど、断じて違うからと言い張って俺は俺の部屋を死守している。
何が悲しくてこの居心地のいいプライベート空間を失くさなければならないのか。
王子の部屋に行くなんて真っ平御免だ。
「姫!姫が王子の正妃なんですから同室になるなら姫にしてもらってくださいね」
「ぐっ…ごほっ…!そ、そんなこと無理に決まっているでしょう?!貴方が王子に愛されてるんでしょう?!側室なんだからおとなしく貴方が同室にしてもらいなさい!」
「俺は姫の護衛騎士です!側室なんて認めません!」
「なら護衛騎士を今すぐやめて側室メインにしたらいいじゃないの!」
「お断りします!護衛騎士をやめていいなら今すぐ出ていきます!」
「ちょ…っ?!それはやめてちょうだい!私が殺されるでしょう?!」
「大丈夫ですよ。お腹に子供がいるかもしれないとなればそう簡単には殺されません」
「そんなのわからないでしょう?相手はあの悪魔なのよ?!」
ぎゃあぎゃあと言い合っていると、護衛騎士のコリンズがそっと声を掛けてきた。
「騎士長。言っておきますけど、出ていく時は絶対に姫に報告してから出て行ってくださいよ?でないと俺達も殺されてしまうんで」
「は?」
「そうよ!侍女や騎士達が皆殺しにされてもいいの?!この薄情者!」
「それは…嫌ですが」
「じゃあ出ていくとかもう二度と言わないでちょうだい!」
「……仕方ないですね。もしもの時はちゃんと手を打ちますよ。取り敢えず、勝手に部屋を片付けられない限りはここにいます。それでいいですか?」
「わかったわ。それなら問題ないもの」
俺は一応姫の言質を取ってから見回りに行ってくると言ってさり気なく部屋へと帰る。
(ああ…やっぱりな)
あの王子は本当に仕事が早い。
俺が姫の部屋に行ったと同時にきっと片付けるよう命じておいたのだろう。
ちょっとだけ近いうちにこうなるだろうなと思っていた光景が、今まさに目の前にあった。
(完璧に綺麗に片付けられてるな)
恐らく着替えなどの荷物は全て王子の部屋へと運ばれたのだろう。
夕方まで気づかなかったらそのまま問答無用で部屋に連れ去られていたはずだ。
だが────今回の件に関しては俺の勝ちだ!なにせこんなにも早く気づけたのだから。
逃げるなら今しかない。
俺は一応貴重品は持ち歩く主義だし、大事な剣だって常に身に着けている。
要するに、このまま身一つで逃げようと思えばいつだって逃げられるのだ。
姫からは先程言質も取っておいたことだし、大丈夫だろう。
サラサラッと持っていた紙に一言だけ書いて、近くを通りがかった侍女に姫に渡しておいてくれと託ける。
『残念ですが俺の居場所は見事に片付けられていましたのでこれで失礼します。 アルフレッド』
この手紙があれば姫達が責任を取らされることはないだろう。
部屋を勝手に片付けた王子が悪いんだから。
ふっと笑って俺はそのまま裏口へと回る。
人の気配をたぐれる俺にかかれば人を避けて移動するなんて簡単だ。
怪しまれない程度に気配を消してすっすっと移動してあっさりと城から脱出していく。
「なんだ。思ったよりも簡単だったな」
城の警備も大したことないなと思いながら俺は取り敢えず街で食料でも買ってから街を出ようとフンフンと鼻歌まじりに歩き出した。
***
【Side.アルメリア】
「な…なんてことなの……」
私は侍女から手渡された紙を手にブルブルと震えていた。
そこにはアルフレッドから部屋が片付けられてたから出ていくと書かれてあったからだ。
「こ…殺される……殺されるわ…………」
そうやって震えていると、今日の護衛騎士コリンズとアークスがその手紙を見てすぐさま動いた。
「侍女達にも声を掛けてすぐに街へ捜索に出ましょう」
「騎士も全員招集します!」
「お、お願いね!絶対、絶対見つけてきてちょうだい!」
80人(正確には79人)もいるのだし全員で向かえばきっと見つかるだろう。
逆に見つからなければ自分達の命はない。
アルフレッドに対する王子の寵愛はそれほど誰の目にも明らかなものだったからだ。
逃げ出したなんて聞いたら確実に怒りの矛先がこちらへと向き、自分以外はあっさり処分されてもおかしくはなかった。
自分の命だって無事で済む保証はどこにもないし、これはまさに緊急事態とも言えた。
兎に角一刻も早く見つけ出さなければ────!
アルフレッドがこの城から既に出たという根拠はないが、コリンズが言うように街を探す方が確実な気がする。
なにせ相手はあの英雄の片腕なのだから…。
バタバタと街へと出ていく同胞達を見送り、取り敢えず報告だけは入れておかないと自分の命はないと震える身体をなんとか叱咤してセドリック王子の元へと向かう。
そもそもアルフレッドを逃がしたくないならもっと上手くやればいいのに……。
(あの悪魔が全部悪いのよ!!)
そして恐怖を無理矢理怒りに塗り替えてなんとか王子の元へとたどり着いた。
「セドリック殿下!」
「……アルメリア姫か。どうした?」
「どうしてアルフレッドの部屋を片付けたのです?!お陰で先程嬉々として出て行ってしまいましたわ!」
「…………は?」
未だかつてこんな呆気にとられたような悪魔の顔を見たことがなかったので、ちょっとだけ強気に出てみる。
「これをご覧くださいませ!」
『残念ですが俺の居場所は見事に片付けられていましたのでこれで失礼します。 アルフレッド』
そしてこれが証拠だとばかりにアルフレッドからのメモを王子に突きつけると王子はそれを奪い取ってサッと目を通すとすぐさま動いた。
「いつだ!」
「つい先程侍女から受け取りました」
「ではまだ城にいる可能性もあるな」
「いいえ。すでに街に出ている可能性の方が高いかと。私についてきた者達総出ですでに街へ向かわせましたが、あのアルフレッドのことですから逃げられる可能性は高いかと」
「わかった。すぐに他の騎士達にも探させよう。俺も出る…!」
そこからの王子の行動は早かった。
あれだけの人数を一声で動かせるのかと驚いてしまう程素早く次々と街に向かわせていた。街の出入り口もすぐさま封鎖するよう指示を出したようだ。
「アルフレッド…絶対に逃がさんぞ」
取り敢えず王子がこれ以上ないほど怒っているから、早く帰ってきてと蒼白になりながら見送る。
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