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【その後の話】
19.※なんで囲い込まれてんだ?!
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※いつの間にかこちらの作品もお気に入り登録数が大幅に増えていたので御礼の追加話です。
皆様本当にありがとうございます!
R‐18なので苦手な方はスルーしてくださいね。宜しくお願いします。
****************
視察────それはそんな名前の恐ろしい罠だった。
いや、お互い仕事をちゃんとしてたけど、その合間合間に狙ったように手を出されていたと言えばいいのか?
夜だってほぼ同室だったし、昨日なんてたまには夜の見張りにと言って外へと逃げ出したら捕まってそのまま外で抱かれた。
「物好きだな」とか言われたけど「それはお前だろ?!」と言ってやりたかった。
あんな場所でされて、誰かに見つかったらと思うだけでドキドキして涙目になりながら声を必死に押し殺したんだからな!
「なんで毎日毎日ヤられないといけないんだよ?!俺は護衛で来たんであって、側妃の役割をしにきたわけじゃないんだぞ?!」
いい加減堪忍袋の緒が切れて、バーン!とテーブルを叩きながらそう主張した俺に無情にも王子は言った。
「お前は王に認められている正式な側室だ。何もおかしくはない」
「~~~~~~っ!俺は認めてないから!」
「お前はな。ただ、他は皆認めているぞ?無駄な足掻きはするな」
「いや、俺男だから!そんな簡単に認められるわけがないから!」
「少なくとも今城の中で認めていないのはお前だけだと思うが?」
「そんなわけないだろ?!」
「試しに騎士達に聞いてみるか?」
「いやいやいやっ!お前が聞いたらどうせまた殺気撒き散らすから『ハイ』と『勿論』しか答えられなくなるだろ?!」
だからダメだと言って、俺はこっそり聞いてくると言って同じ護衛騎士として同伴してきた者達を捕まえて片っ端から聞いてみた。
「ココだけの話、側妃が男っておかしいよな?!」
「え?いいんじゃないですか?正直助かってます」
「側妃が男っておかしいよなっ?!」
「アルフレッド殿なら全然OKっすよ!」
「そ…側妃が俺って皆から認められないと思うんだけど…?」
「何言ってるんです?あの王子の手綱を握ってくれるんならって今じゃ城中の者達が歓迎してますよ?」
「お、男が側妃ってどう考えても問題があると思うんだけど??」
「またまた~。問題なんてあるわけないですよ。あれだけ溺愛されてて今更って感じです!頑張ってください!」
(えぇぇぇぇ~~~っ?!)
まさかまさかの大歓迎モードだった!
どこからどう見ても脅されているようには見えない騎士達の言葉の数々に打ちのめされる。
(一体いつの間に外堀埋めて囲い込まれてたんだ?!)
正妃がいるから皆側妃に寛大なのか?
これは由々しき事態だ。
このままでは絶対に逃げられなくなる。
(み、味方を探さないと…!)
俺は視察が終わって城に帰ったら絶対にそうしようと強く心に誓った。
***
逃げる逃げると言っていたのが悪かったのか、俺は休憩後の城まであと小一時間という馬車の中で背面座位で挿れられながら抱き込まれ、悪戯をされていた。
「あ…っ、や……、ぬい、て……」
しかも最悪なことに挿れてるくせに動かそうとはせず、手で弱いところばかり嬲ってくるから泣き言しか口にできない。
ガタガタという馬車の振動が緩やかに俺を責めたて中途半端に内を刺激してくるから泣きたくなる。
「アル…お前に逃げられたくないからこうして抱きしめているんだろう?繋がっていたら逃げられないものな?」
「ふ…ふぅぅ……。酷い…」
「体中敏感になって……。ここで突き上げたらどうなるだろうな?」
奥まで震えているぞと王子にいつもの如く楽し気に笑われてしまう。
そんなことされたらきっとあっという間に意識は飛んでしまうだろうと蒼白になった。
甘い声で楽しそうに言ってくる王子が憎らしくてたまらない。
この視察中に散々慣らされた身体もまた恨めしい。
今でさえ油断したら突いてくれと口に出してしまいそうなのを必死に耐えているというのに、こんな風に楽しんでくるなんて酷い!
(この鬼!悪魔!性悪王子!)
「んっんっ……」
「ククッ…必死に耐えるその姿は最高だ。可愛い俺のアルフレッド…」
そんな風に愛しそうに名を呼ばれやんわりと抱きしめられても俺は絆されたりなんかしないから!
ギッと睨んでも涙目だと今一効果は薄い。
「反抗的だな」
「ひっ…!」
しかもこちらの気持ちをわかった上で実に楽しそうに王子は胸の突起をギュッと強く抓るように引っ張ってきた。
「あ…あぁ…っ」
散々焦らされた身体にそんなことをされたら刺激が強すぎてイッてしまいそうになる。でも王子がすかさず俺の根元を抑えてイかせないようにしてしまったのでプルプルと身を震わせて耐える羽目になった。
「や…いや…だ……ッッ」
「どうした?イキたいのか?」
そんな意地悪な問い掛けにふるふると首を横に振るが、俺はその瞬間神にまで見放されたのか一瞬馬車が大きく揺れた。
ガタンッ!
恐らく石に乗り上げただけだろうけど、それによって王子のものがズンッと俺の中を奥深くまで穿ち、最悪なことに中イキしてしまった。
「あ────ッ!!」
王子が咄嗟に口を塞いでくれたからよかったものの、俺はビクビクと身体を弾ませて激しくイってしまう。
「ひ…ぁああッ!」
「ああ…これはマズいな」
一体何がマズいと言うのか、王子は少し予想外だったと言わんばかりに俺を抱きしめて口を塞いできた。
「アルフレッド、ほら、口を塞いでやるから安心して身を任せろ」
「ふ…ふぅぅ…んふぅ……ッッ」
中イキしたばかりでもうまともな抗議の声なんて出せなくて、俺は背後から抱きしめられながらずっと欲しかった刺激を甘受した。
それにしてもいつもより深く刺さって苦しい気がするのは気のせいだろうか?
焦らされ過ぎて思考がまともに働かないからよくわからない。
ズンッズンッと下から突き上げられて嬌声を上げかけても全部王子がキスで塞いでくれるからそのままおとなしく身を任せて快楽に堕ちていく。
「んんっんんっ…!」
舌を絡められ呼吸を奪うように激しく愛されて溺れそうになりながら焦点が合わない目で虚空を見遣る。
頭の中は真っ白で、身体は与えられる刺激に歓喜の声を上げてずっとイキっぱなしだ。
しかもその状態で前も擦られ胸も一際強く刺激されたものだからたまらない。
「イクッ…イクぅうッ!」
暴れるようにもがき、快感が過ぎて目からはポロポロと涙がこぼれ落ちた。
必死に王子の腕から抜け出そうとするのに王子はそれを許してくれず、しっかりと抱きしめて嬉しそうに何度も何度も絶頂へと導いていく。
しかも身を震わせるほどの快感を味合わされた俺は絞り出すような声であり得ないことを口走ってしまったように思う。
「ああ…セド……。も、もっとぉ……。奥欲しいぃ……っ」
「……ッ!もちろんだ。お前が欲しいだけ与えてやる」
正直そこからは何も覚えていない。
気づけば王子の部屋のベッドの上に居て、腕枕をされながら眠ってた。
しかも王子のもう片方の手は俺の腹の上に乗せられていて、まるでそこに子供でもいるかのように優しく添えられているものだから思わず目を疑ってしまった。
(俺は女じゃない!なんで孕んでほしそうなんだよ?!)
真っ赤になって身を起こすと中から王子が出したものがトロリと出てくる感覚がして蒼白になった。
一体どれだけ出されたのか。
視察中だっていっぱい中出しされたけど、いつもはちゃんと後始末までしてくれていたのに…。
「うぅ…自分でやらなきゃダメなのか…?」
実は一回もやったことがないので半泣きになってしまう。
そう考えるとこの王子は意外にも甲斐甲斐しく世話を焼いてくれていたのだなと初めて気がついた。
ただの性欲処理相手に王子自らが普通そんなことはしないだろうし…。
もしかしたらあの愛してるという言葉は少しくらいは真実も混じっているのかもしれない。
(なんだよ……それ…)
そんなこと気づきたくなかった。
気づいたらちょっと絆されてしまうし、逃げ辛くなるからだ。
「もうちょっとわかりやすく愛せよ……」
俺は気持ちよさそうに眠る王子の顔を初めてじっくり眺めてみる。
いつも意地悪で俺を翻弄してくるような王子だが、見目はいいから殺気さえ撒き散らさなければ女にはモテるだろう。
サラサラとした金の髪と日焼けとは無縁の白い肌。
その瞼が持ち上がれば切れ長の綺麗なエメラルドアイが顔をのぞかせる。
そんな男がなんで俺に執着するのかはわからないけど、好かれて悪い気はしない。
何故ならこの男はそれだけ強い実力者だからだ。
強い奴は好きだからこんな王子でも心底嫌いにはなれなかった。
「……剣の腕にはかなり惚れてるんだけどな」
そう言いながらそっと頬をつつき、その唇に自分の唇を寄せてみる。
チュッ……。
初めての自分からのキス────。
たまにはこちらから意趣返し的にしてみようかなと何となくしてしまったキスだが、王子からされるのが当たり前のそれを自分からというのはちょっと恥ずかしい。
「はぁ…もう部屋戻って風呂行こ」
取り敢えず中に出されたものを何とかしなければいけない。
そう思ってそっと抜け出そうとしたのに……。
「アル……」
いつの間に起きたのか俺はあっさりと王子に掴まってしまう。
「風呂に行くなら一緒に行こう。立てないだろう?それと、今日からここがお前の部屋だからな」
「…………へ?」
一瞬言われている意味が分からなくて、王子の顔を呆然と見遣るが王子はそれはもう嬉しそうな顔をしながら俺へと宣った。
「これからは毎日愛し合おうな?」
「いやいやいや?!何言ってんだ?!」
「視察でだって毎日抱かれていただろう?これは当然の帰結だ」
「あれはイレギュラーだから!」
「さっき惚れていると言ってくれていたじゃないか」
「聞いてたのか?!じゃあわかるだろ?!剣だよ、剣!剣の腕に惚れてるって言ったんだ!」
「その後キスまでしてくれたのに?」
「~~~~~っ?!狸寝入りか?!ふざけんな!」
「ちゃんと寝ていたが?」
どうやら眠りが浅くなっていたタイミングで俺があれこれやってしまったらしい。
「俺の愛し方が分かりにくかったのだろう?今日からはわかりやすく愛してやろう」
「いらん!」
「またそうやって意地を張る…」
そして王子はくすくすと笑いながら俺を引き寄せチュッと軽く口づけるとそのまま起きて俺を抱き上げた。
「昨日はそのまま寝てしまってできなかったが、俺に任せてくれればちゃんと後処理はしてやるぞ?」
どうやら王子は俺が最初に呟いた言葉で目が覚めていたらしいと察して真っ赤になってしまう。
自分ではできる自信がなかったから正直助かるが、さすがにこれは恥ずかしすぎるだろ。
「アル……愛してる」
しかも寝ている最中でもないのにそんな風に愛おし気な眼差しを向けてくるなんて反則だ!
「う……し、知らない、知らない!」
「ちゃんと伝わるようにわかりやすく何度でも言ってやるからな」
なんだかよくわからないがどうやら俺はこの王子に溺愛されているらしい。
あまりにも全部が全部甘すぎるせいか、これまでとは違う感情が込み上げてきて別な意味で逃げ出したくなるんだが?!
「さぁ、気が変わらない内に行こうか」
(それでもまだ……俺は逃げるのを諦めないからな!!)
絶対隙を見て逃げ出してやるからと思いながら俺は王子に掴まってしまったのだった。
****************
※ここで一段落。と思いきや、次話から5話続けてアルフレッド逃亡についてのお話になります。
ご興味のある方はそちらもどうぞお付き合いください。
皆様本当にありがとうございます!
R‐18なので苦手な方はスルーしてくださいね。宜しくお願いします。
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視察────それはそんな名前の恐ろしい罠だった。
いや、お互い仕事をちゃんとしてたけど、その合間合間に狙ったように手を出されていたと言えばいいのか?
夜だってほぼ同室だったし、昨日なんてたまには夜の見張りにと言って外へと逃げ出したら捕まってそのまま外で抱かれた。
「物好きだな」とか言われたけど「それはお前だろ?!」と言ってやりたかった。
あんな場所でされて、誰かに見つかったらと思うだけでドキドキして涙目になりながら声を必死に押し殺したんだからな!
「なんで毎日毎日ヤられないといけないんだよ?!俺は護衛で来たんであって、側妃の役割をしにきたわけじゃないんだぞ?!」
いい加減堪忍袋の緒が切れて、バーン!とテーブルを叩きながらそう主張した俺に無情にも王子は言った。
「お前は王に認められている正式な側室だ。何もおかしくはない」
「~~~~~~っ!俺は認めてないから!」
「お前はな。ただ、他は皆認めているぞ?無駄な足掻きはするな」
「いや、俺男だから!そんな簡単に認められるわけがないから!」
「少なくとも今城の中で認めていないのはお前だけだと思うが?」
「そんなわけないだろ?!」
「試しに騎士達に聞いてみるか?」
「いやいやいやっ!お前が聞いたらどうせまた殺気撒き散らすから『ハイ』と『勿論』しか答えられなくなるだろ?!」
だからダメだと言って、俺はこっそり聞いてくると言って同じ護衛騎士として同伴してきた者達を捕まえて片っ端から聞いてみた。
「ココだけの話、側妃が男っておかしいよな?!」
「え?いいんじゃないですか?正直助かってます」
「側妃が男っておかしいよなっ?!」
「アルフレッド殿なら全然OKっすよ!」
「そ…側妃が俺って皆から認められないと思うんだけど…?」
「何言ってるんです?あの王子の手綱を握ってくれるんならって今じゃ城中の者達が歓迎してますよ?」
「お、男が側妃ってどう考えても問題があると思うんだけど??」
「またまた~。問題なんてあるわけないですよ。あれだけ溺愛されてて今更って感じです!頑張ってください!」
(えぇぇぇぇ~~~っ?!)
まさかまさかの大歓迎モードだった!
どこからどう見ても脅されているようには見えない騎士達の言葉の数々に打ちのめされる。
(一体いつの間に外堀埋めて囲い込まれてたんだ?!)
正妃がいるから皆側妃に寛大なのか?
これは由々しき事態だ。
このままでは絶対に逃げられなくなる。
(み、味方を探さないと…!)
俺は視察が終わって城に帰ったら絶対にそうしようと強く心に誓った。
***
逃げる逃げると言っていたのが悪かったのか、俺は休憩後の城まであと小一時間という馬車の中で背面座位で挿れられながら抱き込まれ、悪戯をされていた。
「あ…っ、や……、ぬい、て……」
しかも最悪なことに挿れてるくせに動かそうとはせず、手で弱いところばかり嬲ってくるから泣き言しか口にできない。
ガタガタという馬車の振動が緩やかに俺を責めたて中途半端に内を刺激してくるから泣きたくなる。
「アル…お前に逃げられたくないからこうして抱きしめているんだろう?繋がっていたら逃げられないものな?」
「ふ…ふぅぅ……。酷い…」
「体中敏感になって……。ここで突き上げたらどうなるだろうな?」
奥まで震えているぞと王子にいつもの如く楽し気に笑われてしまう。
そんなことされたらきっとあっという間に意識は飛んでしまうだろうと蒼白になった。
甘い声で楽しそうに言ってくる王子が憎らしくてたまらない。
この視察中に散々慣らされた身体もまた恨めしい。
今でさえ油断したら突いてくれと口に出してしまいそうなのを必死に耐えているというのに、こんな風に楽しんでくるなんて酷い!
(この鬼!悪魔!性悪王子!)
「んっんっ……」
「ククッ…必死に耐えるその姿は最高だ。可愛い俺のアルフレッド…」
そんな風に愛しそうに名を呼ばれやんわりと抱きしめられても俺は絆されたりなんかしないから!
ギッと睨んでも涙目だと今一効果は薄い。
「反抗的だな」
「ひっ…!」
しかもこちらの気持ちをわかった上で実に楽しそうに王子は胸の突起をギュッと強く抓るように引っ張ってきた。
「あ…あぁ…っ」
散々焦らされた身体にそんなことをされたら刺激が強すぎてイッてしまいそうになる。でも王子がすかさず俺の根元を抑えてイかせないようにしてしまったのでプルプルと身を震わせて耐える羽目になった。
「や…いや…だ……ッッ」
「どうした?イキたいのか?」
そんな意地悪な問い掛けにふるふると首を横に振るが、俺はその瞬間神にまで見放されたのか一瞬馬車が大きく揺れた。
ガタンッ!
恐らく石に乗り上げただけだろうけど、それによって王子のものがズンッと俺の中を奥深くまで穿ち、最悪なことに中イキしてしまった。
「あ────ッ!!」
王子が咄嗟に口を塞いでくれたからよかったものの、俺はビクビクと身体を弾ませて激しくイってしまう。
「ひ…ぁああッ!」
「ああ…これはマズいな」
一体何がマズいと言うのか、王子は少し予想外だったと言わんばかりに俺を抱きしめて口を塞いできた。
「アルフレッド、ほら、口を塞いでやるから安心して身を任せろ」
「ふ…ふぅぅ…んふぅ……ッッ」
中イキしたばかりでもうまともな抗議の声なんて出せなくて、俺は背後から抱きしめられながらずっと欲しかった刺激を甘受した。
それにしてもいつもより深く刺さって苦しい気がするのは気のせいだろうか?
焦らされ過ぎて思考がまともに働かないからよくわからない。
ズンッズンッと下から突き上げられて嬌声を上げかけても全部王子がキスで塞いでくれるからそのままおとなしく身を任せて快楽に堕ちていく。
「んんっんんっ…!」
舌を絡められ呼吸を奪うように激しく愛されて溺れそうになりながら焦点が合わない目で虚空を見遣る。
頭の中は真っ白で、身体は与えられる刺激に歓喜の声を上げてずっとイキっぱなしだ。
しかもその状態で前も擦られ胸も一際強く刺激されたものだからたまらない。
「イクッ…イクぅうッ!」
暴れるようにもがき、快感が過ぎて目からはポロポロと涙がこぼれ落ちた。
必死に王子の腕から抜け出そうとするのに王子はそれを許してくれず、しっかりと抱きしめて嬉しそうに何度も何度も絶頂へと導いていく。
しかも身を震わせるほどの快感を味合わされた俺は絞り出すような声であり得ないことを口走ってしまったように思う。
「ああ…セド……。も、もっとぉ……。奥欲しいぃ……っ」
「……ッ!もちろんだ。お前が欲しいだけ与えてやる」
正直そこからは何も覚えていない。
気づけば王子の部屋のベッドの上に居て、腕枕をされながら眠ってた。
しかも王子のもう片方の手は俺の腹の上に乗せられていて、まるでそこに子供でもいるかのように優しく添えられているものだから思わず目を疑ってしまった。
(俺は女じゃない!なんで孕んでほしそうなんだよ?!)
真っ赤になって身を起こすと中から王子が出したものがトロリと出てくる感覚がして蒼白になった。
一体どれだけ出されたのか。
視察中だっていっぱい中出しされたけど、いつもはちゃんと後始末までしてくれていたのに…。
「うぅ…自分でやらなきゃダメなのか…?」
実は一回もやったことがないので半泣きになってしまう。
そう考えるとこの王子は意外にも甲斐甲斐しく世話を焼いてくれていたのだなと初めて気がついた。
ただの性欲処理相手に王子自らが普通そんなことはしないだろうし…。
もしかしたらあの愛してるという言葉は少しくらいは真実も混じっているのかもしれない。
(なんだよ……それ…)
そんなこと気づきたくなかった。
気づいたらちょっと絆されてしまうし、逃げ辛くなるからだ。
「もうちょっとわかりやすく愛せよ……」
俺は気持ちよさそうに眠る王子の顔を初めてじっくり眺めてみる。
いつも意地悪で俺を翻弄してくるような王子だが、見目はいいから殺気さえ撒き散らさなければ女にはモテるだろう。
サラサラとした金の髪と日焼けとは無縁の白い肌。
その瞼が持ち上がれば切れ長の綺麗なエメラルドアイが顔をのぞかせる。
そんな男がなんで俺に執着するのかはわからないけど、好かれて悪い気はしない。
何故ならこの男はそれだけ強い実力者だからだ。
強い奴は好きだからこんな王子でも心底嫌いにはなれなかった。
「……剣の腕にはかなり惚れてるんだけどな」
そう言いながらそっと頬をつつき、その唇に自分の唇を寄せてみる。
チュッ……。
初めての自分からのキス────。
たまにはこちらから意趣返し的にしてみようかなと何となくしてしまったキスだが、王子からされるのが当たり前のそれを自分からというのはちょっと恥ずかしい。
「はぁ…もう部屋戻って風呂行こ」
取り敢えず中に出されたものを何とかしなければいけない。
そう思ってそっと抜け出そうとしたのに……。
「アル……」
いつの間に起きたのか俺はあっさりと王子に掴まってしまう。
「風呂に行くなら一緒に行こう。立てないだろう?それと、今日からここがお前の部屋だからな」
「…………へ?」
一瞬言われている意味が分からなくて、王子の顔を呆然と見遣るが王子はそれはもう嬉しそうな顔をしながら俺へと宣った。
「これからは毎日愛し合おうな?」
「いやいやいや?!何言ってんだ?!」
「視察でだって毎日抱かれていただろう?これは当然の帰結だ」
「あれはイレギュラーだから!」
「さっき惚れていると言ってくれていたじゃないか」
「聞いてたのか?!じゃあわかるだろ?!剣だよ、剣!剣の腕に惚れてるって言ったんだ!」
「その後キスまでしてくれたのに?」
「~~~~~っ?!狸寝入りか?!ふざけんな!」
「ちゃんと寝ていたが?」
どうやら眠りが浅くなっていたタイミングで俺があれこれやってしまったらしい。
「俺の愛し方が分かりにくかったのだろう?今日からはわかりやすく愛してやろう」
「いらん!」
「またそうやって意地を張る…」
そして王子はくすくすと笑いながら俺を引き寄せチュッと軽く口づけるとそのまま起きて俺を抱き上げた。
「昨日はそのまま寝てしまってできなかったが、俺に任せてくれればちゃんと後処理はしてやるぞ?」
どうやら王子は俺が最初に呟いた言葉で目が覚めていたらしいと察して真っ赤になってしまう。
自分ではできる自信がなかったから正直助かるが、さすがにこれは恥ずかしすぎるだろ。
「アル……愛してる」
しかも寝ている最中でもないのにそんな風に愛おし気な眼差しを向けてくるなんて反則だ!
「う……し、知らない、知らない!」
「ちゃんと伝わるようにわかりやすく何度でも言ってやるからな」
なんだかよくわからないがどうやら俺はこの王子に溺愛されているらしい。
あまりにも全部が全部甘すぎるせいか、これまでとは違う感情が込み上げてきて別な意味で逃げ出したくなるんだが?!
「さぁ、気が変わらない内に行こうか」
(それでもまだ……俺は逃げるのを諦めないからな!!)
絶対隙を見て逃げ出してやるからと思いながら俺は王子に掴まってしまったのだった。
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※ここで一段落。と思いきや、次話から5話続けてアルフレッド逃亡についてのお話になります。
ご興味のある方はそちらもどうぞお付き合いください。
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※皆様いつもありがとうございます♪この度スピンオフ作品をアップしましたので、ご興味のある方はそちらも宜しくお願いしますm(_ _)m『王子の本命~ガヴァム王国の王子達~』https://www.alphapolis.co.jp/novel/91408108/52430498
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