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【その後の話】
12.※本当に極悪性悪な王子だな。
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通算12戦目。俺は初めて王子に負けてしまった。
ここ連日めきめきと強くなっていく自分が嬉しくて断ることなく王子の相手をし続けてしまった自分が憎い。
油断したつもりは全くないが、セドリック王子は本気で俺と張るほど強かったのだ。
そして今日……とうとう負けてしまった。
なんだかんだと俺が勝つたびにキスを仕掛けられていたせいか拒否感は以前ほど強くはないが、それとこれとは別だ。
いざ抱かれるとなるとげんなりしてしまう。
けれど逃げるなよと言われれば男に二言はないと返さざるを得なくて、もうここは腹を括ってしまうことにした。
剣で勝ったら抱かれてやると言ったのは他の誰でもなく俺自身だし、これで逃げたら男が廃るだろう。
でも────まさか夜のベッド以外で抱かれることになるとは思ってもみなかった。
夕餉の前に汗を流そうと誘われて風呂場にノコノコ付き合ったのが悪かった。
勝負の後で油断していたと言えばそれまでだけど、この王子にどこかで気を許してしまっている自分が嫌だ。
そもそも何となく剣の手合わせを通じて親近感を抱いてしまっているのが間違いなのだ。
身体を洗ってやると言われた時に初めて警戒したけど、時すでに遅し。
泡で全身撫でまわされて感じている間に後ろを慣らされ、そのまま翻弄されている内に身体を持ち上げられて気づいた時には挿れられてた。
「あ…あぁぁぁぁ…っっ!」
(くそっ、くそっ…!)
どうしてあり得ない場所に挿れられているのにこんなに感じてしまうんだろう?
自重でじわじわと奥を侵略していく雄に貫かれて、思わず切なさの混じった叫びを上げてしまう。
苦しいのに気持ちいいなんて…それが無性に悔しくて仕方がない。
あの日からこっち、王子との手合わせ後に火照る身体を持て余していたこともあって本当にたまらなかった。
一人で抜いていた時よりもずっと気持ちいいのが許せない。
「やっと…やっとだ。アル……」
王子の嬉しそうな声が耳を擽っていく。
そんなに俺を抱けたのが嬉しいのか?相手なんて他にもいくらでもいるだろうに…。
「立ったままするのもいいだろう?」
でも口にする言葉は相変わらず変態臭い。
仮にも王子なんだったらもう少し取り繕え!
恐れられてるだけじゃなくてそこがダメなんじゃないか?と疑いたくなる。
「ここはちゃんと俺を覚えてくれているようだな」
嬉々としてそんな恥ずかしいことを口にされて素直に俺が応じると思ったら大間違いだ!
「う……っ。しら、知らないぃ……」
「本当に?」
なのに王子は楽し気にしながら思い切り突き上げてきやがった。
(嘘…だろ……?)
感じたくないのに身体の奥が疼いて王子の突き上げを過度に悦んでいる自分がいた。
こんな自分…信じたくはない。でも、快感に震える身体はどうしようもなくて、俺はただ王子に縋りつくことしかできなかった。
「可愛いな。もっと縋って甘えてみろ」
「じょ…だんじゃ、な…ぃ……」
辛うじて強がりを言うことはできたが、それ以上に身体が王子を求めて仕方がなかった。
やっぱり手合わせ後で気持ちが高ぶっていたのが悪かったのかもしれない。
男に挿れられて悦ぶなんてまるで女みたいじゃないか。
(くそっ!二度と負けるか!)
これ以上抱かれてこの行為に嵌ってしまったら大変だ。
それくらい気持ち良くて、その後視察の話やらで長々話しながら焦らされた時には思わず自分から腰を揺らしてしまっていたほど…。
焦らしに焦らされ、早く思いっきり突いてほしいだなんて考える自分はやっぱりどこかおかしくなっていたのかもしれない。
その後思いっきり犯されて、イク時にはこれまでにないくらいの快感に侵されて頭が真っ白になってしまっていた。
「ん…んんぅ……」
正直気持ち良過ぎて半分意識がとんでいたと思う。
王子が何か言っているが全く何も頭に入ってこなくて、あまりの快楽に俺はただただ震えていた。
***
それからハッと我に返った時には王子に抱きかかえられながら服を着せられていて、その後何故か膝の上に乗せられながら食事を摂らされた。
「大丈夫か?」
そんな気遣いの言葉がまさか王子の口から飛び出すなんて思ってもみなくて、つい「頭大丈夫か?」って返したら軽めの頭突きをされたんだが…酷くないか?
折角心配してやったのに!
しかもその後ベッドに連れ込まれてまた抱かれる羽目になった。
「お前は本当に飽きない男だな」
そんな風に言われながら抱かれるのは正直嫌だったけど、何となくその眼差しがほんの少しだけいつもより柔らかく感じられたので俺も敢えて何も言い返さずプイッとそっぽを向いた。
(なんだよ…。調子狂うな)
剣で発散して、風呂場でも発散したからちょっと気持ちに余裕でも出来たのか?
それならそれで激しくはされないだろうしいいかと思っていたら、今度はじわじわ責めるスタイルに変わってしまって違う意味で悲鳴を上げてしまう。
中に挿れた状態でゆらゆら腰を揺らして焦らしながら、あっちもこっちも触ってくるなんて何の拷問だ?!
「あ…あぁ…そこ…、もっ、やめ……っ…っ…!」
「ククッ…やめてじゃなく、もっと触って…だろう?」
嬉々として虐めてくるのは性格が悪いからだ。
でも行為自体は手心を感じるし、無理矢理酷くしてくるという感じではないからドSではないと思う。
痛みよりも快楽をといった感じで嬲ってくるからたちが悪いと言うだけの話。
それがいいのかというと話は勿論別だが…。
(もう本当にこいつ嫌だ!絶対絶対逃げてやる!)
視察に同行することには同意してしまったから逃げるならその後だけど、できれば今すぐ解放してほしい。
だってさっきから嫌な予感がして仕方がないんだ。
これでいきなり強く突かれたら俺、どうなるんだろう?想像するだけで怖いんだが?
「アル…」
「んっ…ふ…んぅん…っ」
俺はこんな優しいキスで誤魔化されたりなんかしない!王子の本性はちゃんとわかってるんだからな!
「さて、そろそろお前の弱点もわかったことだし……責めさせてもらうとするか」
「ひっ…!」
(ほらな!こいつはこういう奴なんだよ!!)
「やっ…やめっ…!!」
「やめると思うか?」
「──────ッッ!んぁあぁあッ!」
ずっと焦らされ続けた身体が歓喜の声を上げるのを感じて絶望する。
胸をいじられるのも耳を嬲られるのも全部全部気持ちいい。
突きあげられる内側はもっとだ。
王子の雄を嬉々として締めつけてもっと寄越せと絞り上げる。
「ああ…気持ちよさそうだな」
「あ…あぁぁ…っ!んぅッんぅッ!」
「可愛いな…」
ジュッと舌を吸い上げながら突き上げられて俺はまた嬌声を上げてしまう。
(気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい……ッ!)
もうそれ以外考えられなくなってしまって、縋るように王子に爪を立てた。
「うぅ…っ。も、これ以上はダメ……ッ。ひぅッ…!許して……ッ!」
そんな言葉が当然この王子に受け入れられるはずもなく、この日俺は懇願させられながら感じまくり、最終的に二度目となる快楽の海へとダイブしたのだった。
ここ連日めきめきと強くなっていく自分が嬉しくて断ることなく王子の相手をし続けてしまった自分が憎い。
油断したつもりは全くないが、セドリック王子は本気で俺と張るほど強かったのだ。
そして今日……とうとう負けてしまった。
なんだかんだと俺が勝つたびにキスを仕掛けられていたせいか拒否感は以前ほど強くはないが、それとこれとは別だ。
いざ抱かれるとなるとげんなりしてしまう。
けれど逃げるなよと言われれば男に二言はないと返さざるを得なくて、もうここは腹を括ってしまうことにした。
剣で勝ったら抱かれてやると言ったのは他の誰でもなく俺自身だし、これで逃げたら男が廃るだろう。
でも────まさか夜のベッド以外で抱かれることになるとは思ってもみなかった。
夕餉の前に汗を流そうと誘われて風呂場にノコノコ付き合ったのが悪かった。
勝負の後で油断していたと言えばそれまでだけど、この王子にどこかで気を許してしまっている自分が嫌だ。
そもそも何となく剣の手合わせを通じて親近感を抱いてしまっているのが間違いなのだ。
身体を洗ってやると言われた時に初めて警戒したけど、時すでに遅し。
泡で全身撫でまわされて感じている間に後ろを慣らされ、そのまま翻弄されている内に身体を持ち上げられて気づいた時には挿れられてた。
「あ…あぁぁぁぁ…っっ!」
(くそっ、くそっ…!)
どうしてあり得ない場所に挿れられているのにこんなに感じてしまうんだろう?
自重でじわじわと奥を侵略していく雄に貫かれて、思わず切なさの混じった叫びを上げてしまう。
苦しいのに気持ちいいなんて…それが無性に悔しくて仕方がない。
あの日からこっち、王子との手合わせ後に火照る身体を持て余していたこともあって本当にたまらなかった。
一人で抜いていた時よりもずっと気持ちいいのが許せない。
「やっと…やっとだ。アル……」
王子の嬉しそうな声が耳を擽っていく。
そんなに俺を抱けたのが嬉しいのか?相手なんて他にもいくらでもいるだろうに…。
「立ったままするのもいいだろう?」
でも口にする言葉は相変わらず変態臭い。
仮にも王子なんだったらもう少し取り繕え!
恐れられてるだけじゃなくてそこがダメなんじゃないか?と疑いたくなる。
「ここはちゃんと俺を覚えてくれているようだな」
嬉々としてそんな恥ずかしいことを口にされて素直に俺が応じると思ったら大間違いだ!
「う……っ。しら、知らないぃ……」
「本当に?」
なのに王子は楽し気にしながら思い切り突き上げてきやがった。
(嘘…だろ……?)
感じたくないのに身体の奥が疼いて王子の突き上げを過度に悦んでいる自分がいた。
こんな自分…信じたくはない。でも、快感に震える身体はどうしようもなくて、俺はただ王子に縋りつくことしかできなかった。
「可愛いな。もっと縋って甘えてみろ」
「じょ…だんじゃ、な…ぃ……」
辛うじて強がりを言うことはできたが、それ以上に身体が王子を求めて仕方がなかった。
やっぱり手合わせ後で気持ちが高ぶっていたのが悪かったのかもしれない。
男に挿れられて悦ぶなんてまるで女みたいじゃないか。
(くそっ!二度と負けるか!)
これ以上抱かれてこの行為に嵌ってしまったら大変だ。
それくらい気持ち良くて、その後視察の話やらで長々話しながら焦らされた時には思わず自分から腰を揺らしてしまっていたほど…。
焦らしに焦らされ、早く思いっきり突いてほしいだなんて考える自分はやっぱりどこかおかしくなっていたのかもしれない。
その後思いっきり犯されて、イク時にはこれまでにないくらいの快感に侵されて頭が真っ白になってしまっていた。
「ん…んんぅ……」
正直気持ち良過ぎて半分意識がとんでいたと思う。
王子が何か言っているが全く何も頭に入ってこなくて、あまりの快楽に俺はただただ震えていた。
***
それからハッと我に返った時には王子に抱きかかえられながら服を着せられていて、その後何故か膝の上に乗せられながら食事を摂らされた。
「大丈夫か?」
そんな気遣いの言葉がまさか王子の口から飛び出すなんて思ってもみなくて、つい「頭大丈夫か?」って返したら軽めの頭突きをされたんだが…酷くないか?
折角心配してやったのに!
しかもその後ベッドに連れ込まれてまた抱かれる羽目になった。
「お前は本当に飽きない男だな」
そんな風に言われながら抱かれるのは正直嫌だったけど、何となくその眼差しがほんの少しだけいつもより柔らかく感じられたので俺も敢えて何も言い返さずプイッとそっぽを向いた。
(なんだよ…。調子狂うな)
剣で発散して、風呂場でも発散したからちょっと気持ちに余裕でも出来たのか?
それならそれで激しくはされないだろうしいいかと思っていたら、今度はじわじわ責めるスタイルに変わってしまって違う意味で悲鳴を上げてしまう。
中に挿れた状態でゆらゆら腰を揺らして焦らしながら、あっちもこっちも触ってくるなんて何の拷問だ?!
「あ…あぁ…そこ…、もっ、やめ……っ…っ…!」
「ククッ…やめてじゃなく、もっと触って…だろう?」
嬉々として虐めてくるのは性格が悪いからだ。
でも行為自体は手心を感じるし、無理矢理酷くしてくるという感じではないからドSではないと思う。
痛みよりも快楽をといった感じで嬲ってくるからたちが悪いと言うだけの話。
それがいいのかというと話は勿論別だが…。
(もう本当にこいつ嫌だ!絶対絶対逃げてやる!)
視察に同行することには同意してしまったから逃げるならその後だけど、できれば今すぐ解放してほしい。
だってさっきから嫌な予感がして仕方がないんだ。
これでいきなり強く突かれたら俺、どうなるんだろう?想像するだけで怖いんだが?
「アル…」
「んっ…ふ…んぅん…っ」
俺はこんな優しいキスで誤魔化されたりなんかしない!王子の本性はちゃんとわかってるんだからな!
「さて、そろそろお前の弱点もわかったことだし……責めさせてもらうとするか」
「ひっ…!」
(ほらな!こいつはこういう奴なんだよ!!)
「やっ…やめっ…!!」
「やめると思うか?」
「──────ッッ!んぁあぁあッ!」
ずっと焦らされ続けた身体が歓喜の声を上げるのを感じて絶望する。
胸をいじられるのも耳を嬲られるのも全部全部気持ちいい。
突きあげられる内側はもっとだ。
王子の雄を嬉々として締めつけてもっと寄越せと絞り上げる。
「ああ…気持ちよさそうだな」
「あ…あぁぁ…っ!んぅッんぅッ!」
「可愛いな…」
ジュッと舌を吸い上げながら突き上げられて俺はまた嬌声を上げてしまう。
(気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい……ッ!)
もうそれ以外考えられなくなってしまって、縋るように王子に爪を立てた。
「うぅ…っ。も、これ以上はダメ……ッ。ひぅッ…!許して……ッ!」
そんな言葉が当然この王子に受け入れられるはずもなく、この日俺は懇願させられながら感じまくり、最終的に二度目となる快楽の海へとダイブしたのだった。
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