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【本編】
9.魅力的な護衛騎士 Side.セドリック
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翌朝、朝食でも一緒に食べながら現状を自覚させてやろうかとアルフレッドの元へと向かったのだが、その途中庭園で剣を振るうアルフレッドを発見した。
剣を振り、鋭く、速く、正確に型をこなすその姿に思わず目を奪われる。
その姿は圧巻で、まさに剣豪と呼ぶにふさわしい。
自分は昔から剣についても天才だと言われてきたが、恐らくいい勝負ができるだろうとすぐさま悟った。
手合わせをしてみたい。
彼ならこちらの剣を受けてもすぐにやられないのではないか?
打ち合うことができるのではないか?
何度も何度も剣を交えられるのではないか?
そんな期待が膨らんで、試しに剣を手にしながら気配を消し死角から向かってみた。
すると集中していたからか、前回のように簡単に後ろを取らせてもらうことはできず、すぐさま恐ろしく速い剣戟に襲い掛かられた。
キィンッ!
俺はそれをすぐさま剣で受け止め満足げに笑う。
「…気配は消していたつもりだが?」
「……すみません。普段なら兎も角、鍛錬中は感覚を研ぎ澄ませているので気配を消されていても気づいてしまうんです。ご無礼を…」
アルフレッドはそう言いながら剣を鞘へと仕舞って、こちらへと頭を下げてくる。
だが…それは悪手だ。
「へ…?」
驚くアルフレッドの身体をがっしりと引き寄せて、絶対に逃げられないようにしながら俺はその唇を奪った。
剣を手にしていない状態では俺に勝てないとわかっていないのが何とも可愛らしい。
「んんんっ?!んっ!んんぅーーー!」
現に必死にこちらの胸を押して逃げようとしてくるが、全く抜け出せてはいない。
それを楽しく思いながら思う様口内を犯してやる。
「ふ…うぅ…んぅ……」
「ふっ…気持ちいいか?」
「ふざ…けないでほし…ぃ」
「その割にはフラフラなようだが?」
どうやら舌を吸い上げられるのが弱いらしく、頬を染め上げほんの少し快感を覚えているように見えた。
先程までのストイックな姿からは程遠いその姿にそそられて、つい腹の奥から欲望が湧き上がってきてしまう。
「も…やめ……」
「やめなくてもいいだろう?お前は俺の側室なのだから」
「それは断ったはず…っ!んんんッッ…!」
「残念。もう王の裁可も貰ったから正式に受理されている。今更逃げられると思うな」
そしてここぞとばかりにこのタイミングで事実を教えてやる。
それはアルフレッドからしたら衝撃的だったようで、あからさまにショックを受けたように固まってしまった。
「ああ、いいな。そのショックを受けた顔…」
「へんた…ぃ……っっ!ふぁッ…!」
「ククッ…そこがいいのだと少しは理解した方がいいぞ?」
それなのにちょっと突つくとすぐに反抗的な態度で向かってくるところがたまらない。
(ああ…好きで好きでたまらない)
「う…っ、うぅ…っ……」
「可愛いな」
これまでどんな相手にも可愛いなんて思ったことはなかったのに、相手がこの男だというただそれだけでするりとそんな言葉が口から飛び出してしまうから始末に負えない。
もうこのまま部屋に連れ込んで食べてしまおうか?
そう思うくらいに縋りついてくる手が愛おしく感じられた。
「今夜は…俺のところに来てくれるな?」
今すぐはダメでも夜ならいいだろうと誘いをかける。
けれどどこまでいってもアルフレッドはアルフレッドで、口を塞がれて返事ができないのをいいことにすぐさま首を振って拒否しようとしてきた。
(素直に頷けばいいものを……)
憎らしいほど思うようにならないその姿に、逃げ場はないのだと教え込む。
「お前に許された答えは『ハイ』か『イエス』か『喜んで』だ」
少しの威圧を込めてそう言いながら口づけてやるが、アルフレッドには然程効かず睨むようにして非難の声をあげられた。
「んっんー!」
「答えは決まったか?」
「んっ…はぁ…っ、はぁ…っ」
「アルフレッド…答えは?」
「剣で……」
「ん?」
「剣で勝負して、王子が勝ったなら、抱かれてやってもいい!」
しかもそんなことまで口にしてくるのだからもう胸が弾んで仕方がなかった。
手合わせを内心望んでいる相手にそれはないだろう。
益々自分に嵌れと言っているようなものだ。
きっとアルフレッドは俺の剣の腕について噂に聞いたことがないのだろう。
それは自分の腕に絶対の自信を持つが故の落とし穴だと思う。
「ほぉ…?この俺に戦いを挑むか」
「ああ。この条件以外で抱かれることはない!」
「クッ…本当に面白い男だ。いいだろう。その代わり一度限りの勝負などと言わず、俺が抱きたいと思ったら都度勝負を挑むがいいか?」
そう尋ねると幾分ホッとしたのか、すぐにまた態度を改め丁寧な口調へと戻った。
「もちろん。受けて立ちます」
「ならばいい。取り敢えず今日の分の勝負は…そうだな、午後の執務後に挑むとしようか。構わないか?」
「わかりました。時間の方のご連絡はお待ちしております」
罠にかかった獲物をそっと見遣り、俺はフッと笑みをこぼす。
まだ実際に手合わせをしたわけではないからわからないが、恐らく勝負は五分五分と言ったところだろう。
ただ、抱けないのは嫌だからこちらも全力で向かいたいとは思う。
こんな気持ちになれたのは一体いつ振りだろうか?
午後を思うと自然と笑みがこぼれ落ち、アルフレッドから離れてからも暫く高揚感は続いたのだった。
剣を振り、鋭く、速く、正確に型をこなすその姿に思わず目を奪われる。
その姿は圧巻で、まさに剣豪と呼ぶにふさわしい。
自分は昔から剣についても天才だと言われてきたが、恐らくいい勝負ができるだろうとすぐさま悟った。
手合わせをしてみたい。
彼ならこちらの剣を受けてもすぐにやられないのではないか?
打ち合うことができるのではないか?
何度も何度も剣を交えられるのではないか?
そんな期待が膨らんで、試しに剣を手にしながら気配を消し死角から向かってみた。
すると集中していたからか、前回のように簡単に後ろを取らせてもらうことはできず、すぐさま恐ろしく速い剣戟に襲い掛かられた。
キィンッ!
俺はそれをすぐさま剣で受け止め満足げに笑う。
「…気配は消していたつもりだが?」
「……すみません。普段なら兎も角、鍛錬中は感覚を研ぎ澄ませているので気配を消されていても気づいてしまうんです。ご無礼を…」
アルフレッドはそう言いながら剣を鞘へと仕舞って、こちらへと頭を下げてくる。
だが…それは悪手だ。
「へ…?」
驚くアルフレッドの身体をがっしりと引き寄せて、絶対に逃げられないようにしながら俺はその唇を奪った。
剣を手にしていない状態では俺に勝てないとわかっていないのが何とも可愛らしい。
「んんんっ?!んっ!んんぅーーー!」
現に必死にこちらの胸を押して逃げようとしてくるが、全く抜け出せてはいない。
それを楽しく思いながら思う様口内を犯してやる。
「ふ…うぅ…んぅ……」
「ふっ…気持ちいいか?」
「ふざ…けないでほし…ぃ」
「その割にはフラフラなようだが?」
どうやら舌を吸い上げられるのが弱いらしく、頬を染め上げほんの少し快感を覚えているように見えた。
先程までのストイックな姿からは程遠いその姿にそそられて、つい腹の奥から欲望が湧き上がってきてしまう。
「も…やめ……」
「やめなくてもいいだろう?お前は俺の側室なのだから」
「それは断ったはず…っ!んんんッッ…!」
「残念。もう王の裁可も貰ったから正式に受理されている。今更逃げられると思うな」
そしてここぞとばかりにこのタイミングで事実を教えてやる。
それはアルフレッドからしたら衝撃的だったようで、あからさまにショックを受けたように固まってしまった。
「ああ、いいな。そのショックを受けた顔…」
「へんた…ぃ……っっ!ふぁッ…!」
「ククッ…そこがいいのだと少しは理解した方がいいぞ?」
それなのにちょっと突つくとすぐに反抗的な態度で向かってくるところがたまらない。
(ああ…好きで好きでたまらない)
「う…っ、うぅ…っ……」
「可愛いな」
これまでどんな相手にも可愛いなんて思ったことはなかったのに、相手がこの男だというただそれだけでするりとそんな言葉が口から飛び出してしまうから始末に負えない。
もうこのまま部屋に連れ込んで食べてしまおうか?
そう思うくらいに縋りついてくる手が愛おしく感じられた。
「今夜は…俺のところに来てくれるな?」
今すぐはダメでも夜ならいいだろうと誘いをかける。
けれどどこまでいってもアルフレッドはアルフレッドで、口を塞がれて返事ができないのをいいことにすぐさま首を振って拒否しようとしてきた。
(素直に頷けばいいものを……)
憎らしいほど思うようにならないその姿に、逃げ場はないのだと教え込む。
「お前に許された答えは『ハイ』か『イエス』か『喜んで』だ」
少しの威圧を込めてそう言いながら口づけてやるが、アルフレッドには然程効かず睨むようにして非難の声をあげられた。
「んっんー!」
「答えは決まったか?」
「んっ…はぁ…っ、はぁ…っ」
「アルフレッド…答えは?」
「剣で……」
「ん?」
「剣で勝負して、王子が勝ったなら、抱かれてやってもいい!」
しかもそんなことまで口にしてくるのだからもう胸が弾んで仕方がなかった。
手合わせを内心望んでいる相手にそれはないだろう。
益々自分に嵌れと言っているようなものだ。
きっとアルフレッドは俺の剣の腕について噂に聞いたことがないのだろう。
それは自分の腕に絶対の自信を持つが故の落とし穴だと思う。
「ほぉ…?この俺に戦いを挑むか」
「ああ。この条件以外で抱かれることはない!」
「クッ…本当に面白い男だ。いいだろう。その代わり一度限りの勝負などと言わず、俺が抱きたいと思ったら都度勝負を挑むがいいか?」
そう尋ねると幾分ホッとしたのか、すぐにまた態度を改め丁寧な口調へと戻った。
「もちろん。受けて立ちます」
「ならばいい。取り敢えず今日の分の勝負は…そうだな、午後の執務後に挑むとしようか。構わないか?」
「わかりました。時間の方のご連絡はお待ちしております」
罠にかかった獲物をそっと見遣り、俺はフッと笑みをこぼす。
まだ実際に手合わせをしたわけではないからわからないが、恐らく勝負は五分五分と言ったところだろう。
ただ、抱けないのは嫌だからこちらも全力で向かいたいとは思う。
こんな気持ちになれたのは一体いつ振りだろうか?
午後を思うと自然と笑みがこぼれ落ち、アルフレッドから離れてからも暫く高揚感は続いたのだった。
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※皆様いつもありがとうございます♪この度スピンオフ作品をアップしましたので、ご興味のある方はそちらも宜しくお願いしますm(_ _)m『王子の本命~ガヴァム王国の王子達~』https://www.alphapolis.co.jp/novel/91408108/52430498
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