【完結】王子の本命~姫の護衛騎士は逃げ出したい~

オレンジペコ

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【本編】

7.※手に入れた護衛騎士 Side.セドリック

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式も披露パーティーも全て終え、後は初夜を残すのみとなった一日の終わりに、待ちに待ったノック音が耳へと届いた。

(来たな)

そして入れと促すと、そこには待ちに待った男の姿が…。

「ああ……姫ではなくお前が来たのか」
「姫の護衛騎士アルフレッドです。申し訳ございませんが姫は本日気分がすぐれず来られないとのこと。式の気疲れが出たものと思われますので、何卒ご容赦いただきたく」
「……そうか。それでお前が生贄になったということだな」

わかっていたこととは言え、本当に嬉しくて仕方がなかった。
ここまで狙い通りに事が運ぶとは…。
しかもアルフレッドは何を勘違いしたのか、生贄と言う言葉を聞いて別なことを言い出した。

「失礼ですが王子は俺を殺す気は微塵も持っておられないでしょう?」
「……何故そう思う?」
「殺気も感じられませんし、リラックスされているご様子。あの謁見の間での殺気は姫に対するただの牽制だったのではないかと…そう考えているのですが?」

(ああ、なるほど?)

殺される可能性もなくはなかったと言いたいのか。
だがこの場合の生贄の意味は全く別だ。
どうやらアルフレッドはこの後姫の代わりに抱かれるのだとは微塵も思っていないらしい。
そのことが酷くおかしかった。

「いいな。実にいい……」

この男を組み敷いてやったらどんな顔をするだろうか?
どんな表情で腕の中で喘ぐのだろう?
そう考えるだけで妙な高揚感に襲われる気がした。
とは言えこの男は恐らくかなり強い。
不意打ちのように押し倒したところで反撃され逃げられるのがオチだろう。
そうさせないためにもまずは酒を勧めておかないと……。
そして向かいに座るようにと促し、一緒に飲もうと誘いをかけた。

「花嫁の身代わりに捧げられた哀れな生贄に…乾杯」
「せめてもの慰めに…乾杯」

カツンとグラスを合わせてそのまま酒を飲む。
その言葉が本当にその通りの言葉だとは知らず、男は素直に酒を煽った────。


***


アルフレッドとの会話は存外楽しいものだった。
警戒させないようにと姫の話題から入り、徐々にアルフレッド本人のものへと変えていく。

「アル、その年で筆頭騎士長だなんて凄い大抜擢じゃないのか?女にモテるだろう?」
「いえ、姫の輿入れに合わせて出世しただけなので然程ではないですよ」
「剣の腕も大したことはないと?」
「いえ。剣の方は今回の護衛の中では一番できる方だと思います。ジャイアントスネークやキラーベアくらいなら一人で倒せるかと」
「そうか……」

(お前がその程度の腕だとでも?)

我が国が誇る暗部をあれだけ手玉に取れる男がその程度のはずがないではないかと思わず口にしたくなったが、そんなことはひた隠しにして別な話題を口にする。
情報を引き出しながら、意外にもしっかりポイントを抑えて重要なことは口にしないのだなと感心していた。
やはり彼はただの護衛とは一味違う。

(もっともっとアルフレッドのことが知りたい)

そんな思いを抱きながら、夜が更けるまで酒を飲み続けた。
そして酒量が限界を迎えたのだろう。アルフレッドがようやくその腰を上げた。
酔いつぶれるでもなく酔っ払うでもなく最後まで自分を保てている姿は立派だが、酔いが足に来てしまっているのは隠しようがない。
途中からさり気なく水に切り替えていた俺とは違い、アルフレッドは飲み続けていたのだから然もありなん。
罠にかかった兎を捕食する時間がとうとうやってきたのだ。

俺はふらついたアルフレッドの身体をサッと支えて、酒のせいで赤らんだその耳にそっと囁きを落とした。

「アル、どこに行く気だ?」
「……え?部屋に…そろそろ戻ろうかと……」
「今夜は初夜だ。行先は奥のベッド以外にないぞ?」

当然だが部屋になど帰すわけがない。
これだけ酔っていたら大丈夫だろうと俺はすかさずアルフレッドを抱き上げて素早く寝室へと攫って行く。
酒のせいで思考が上手くまとまらず状況を把握できていないアルフレッドはただただ戸惑うばかり。
ベッドへと運びすぐさま上へとのしかかり、囲い込むようにしながらその身を味わい始める俺に、アルフレッドは困惑の声を上げた。

「え?あ…何…を……?」
「綺麗に筋肉がついてるな…」

鍛え上げられた身体に余分な脂肪なんて見当たらない。
やはり思った通り彼はかなりの実力者だ。
もしかしたら自分よりも強い可能性もあるのかと考えるとそれだけでぞくぞくする程の高揚を覚えた。
そんな男をこれから抱くのだ。
期待しないわけがない。

「ちゃんとお前も楽しませてやるからな」

恐らく初めてであろうアルフレッドにそうやって声を掛け、丁寧に丁寧に慣らして抱いていく。
油断なんてしない。
酒が入っていようとどうしようと気を抜いたら逃げられるのはわかり切っているのだから……。

「あ…ッ!も、やめ……てくれ……っ!」

こんなところに挿れられるなんてと目に涙を浮かべて俺を見てくるアルフレッドが可愛くて、何度も何度もキスを落とす。
ここでの経験はやはりないようで、しっかりと閉じられた雄膣は狭く慎ましやかだった。
だからこそ潤滑油をたっぷりと使い痛みがないようにと手を尽くしたのだが、挿れた途端泣き言を言われてしまう。

「おぅ…じ……。頼むから…も、やめ……ッ」
「大丈夫。初めては誰だって怖いものだ。ゆっくりするから……」

そうは言いつつも徐々に滑りも良くなっていくし、ずっと優しくとは言わないけれど……。

「あっ…!やめっ…ひっ…ッッ!」

アルフレッドの泣き言を聞きつつ中の好いところを探り、そこを重点的に攻めていく。

「や、いやだッ!」
「ここ、感じるだろう?」
「しら、知らないっ…!」
「そうか…ならもっともっと感じさせてやろう」

凶悪なほど自分が笑っていることが自分でも良くわかる。
けれどこの騎士を抱いているという事実に興奮が止まらないのだ。

「いや…だぁ……ッ!」

口では否定しているが身体の方は段々快感を拾い上げ、腰を揺らして悦び始めている。
それをアルフレッドは認めたくないようだった。

「アル…愛しい俺の花嫁……」

絶対に逃がさないからと囁きながら何度も何度もアルフレッドを溺れさせ、懇願する姿を堪能する。

「あ…セド…も、許して……」
「ふっ…やっと名を呼んでくれたな」
「や…嫌だぁ……」
「そう言うな。気持ちいいのだろう?素直に縋っていればいい」

力なくベッドに沈むアルフレッドを慈しみながらそっと頭を撫でると、ギュッと下肢に力を入れて俺を締め付けてきた。

「イかせてほしいか?」

そう問いかけるとアルフレッドは潤む瞳で俺を見て、小さく頷きを返した。

「いい子だ」

そしてこれで最後だとばかりに喘ぐアルフレッドを腕に閉じ込め奥を嬲るようにしながら何度も突き上げ吐精した。

「アルフレッド…」

こちらがイクと同時に果て、感極まって身を震わせたアルフレッドを宥めながら俺はそのまま横になる。

(落ち着いたら身を清めてやらないとな…)

ぐったりとしたアルフレッドをそのままにして風邪でも引かせたら大変だ。
これからはずっと可愛がってやるからなと思いながら、俺は愛しい男の寝顔を眺めたのだった。


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