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第一章 俺がディオを堕とすまで
16.気持ちの吐露
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ガヴァムへと辿り着くとすぐに客間へと通されて、少し待つとディオがやってきた。
会うのはあの夜以来だから、お互いに少し緊張してしまう。
「ディオ…」
「ルーセウス。座って話そう」
少し困った顔でそう口にするディオ。
ディオは俺の正妃になっている話はまだ知らないんだろうか?
もしそうならこれから聞かされるのはヴィオレッタ王女と婚約したという事実と、気持ちに応えられなくてゴメンという話になるはず。
そうなったら俺からちゃんと話すつもりではあるけど────。
「ルーセウス。俺が出した結論を全部聞いてもらってから、ルーセウスがどうしたいかを聞かせてほしいんだ。いいかな?」
「わかった」
ここはちゃんと聞こう。
「あの日…ルーセウスがディアと結婚するって聞かされた時、俺はすごくショックだった。それこそロクサーヌにフラれた時以上に。でもその手を取れないってわかってたから、諦めようと思ったんだ。時間は掛かるかもしれないけど、そうすべきだと」
つまり一度そこで結論を出したという事らしい。
「でも…正直身を切るほど辛くて、そこで初めて自分の気持ちに気づいた。こんなに追い込まれてからじゃないと気づかなかった。俺はいつの間にかルーセウスを愛してたんだって」
泣きそうな顔でそれを口にするディオに心が震える。
(やっと…ディオが気づいてくれた)
それが何よりも嬉しい。
これはイケるのでは?!
「手に入れたいのに手に入れられない。それが辛くて気持ちの行き場をなくしてたら、ヴィオレッタ王女が来て、話を聞いてくれたんだ」
なるほど?
随分タイミングがいい。
もしかしてディア王女が手を打ったんだろうか?
「それで、プロポーズされた。自分とサクッと結婚しようって」
(え?)
この流れでそれを言うのはどう言った意図なんだろう?
「他の誰かだったら多分ダメだった」
ヤバい。
すごく嫌な予感がしてきた。
これはプロポーズを自分から受け入れたって事だよな?
どう考えても俺がフラれる流れになってるよな?
(うぉおおおっ!)
どう言ったら説得できるんだ?
正妃の話を上手く使わないとダメな流れか?!
「でも…ロクサーヌにフラれて、ルーセウスに慰めに抱いてもらった時みたいな気持ちにはなれなかったんだ」
「え?」
「俺は…ルーセウスとしか肌を合わせたくない」
「ディオ…」
「だから、それでもいいと言ってくれたヴィオレッタ王女と結婚しようと思う」
つまり…?
結婚はヴィオレッタ王女とするけど、寝るのは俺とだけ。そう言ってくれたんだろうか?
「それと…ロキ父様があの時の結婚式の予行練習を勝手に成立させてた」
「あ…」
どうやらディオもそれを知ったらしい。
「本当なら俺はロキ父様に怒るべきなんだろうけど、それを聞いた時…俺は嬉しかったんだ。手に入らないはずだったルーセウスの正妃になれていたのが、凄く嬉しかった」
「ディオ…」
「それを聞かされた時、絶対にその立場を手放したくないと思った」
(これ…は)
「だから、ルーセウスがディアと結婚するってわかっていても素直に離婚してあげられない。ゴメン。凄く自分勝手だって、自分でもわかってる。それでも…俺は形だけでもいいから、ルーセウスの正妃でいたい」
切なげに俺を見つめてくる瞳は不安に揺れていた。
きっと勝手な言い分だから俺に呆れられると思ってるんだろう。
「ヴィオレッタ王女とは結婚する。でもそれは側妃として迎えるだけだ。彼女もそれを了承してくれた」
ディオは…今度こそ俺が望む答えを言ってくれるんだろうか?
「ルーセウス=ヘルト=ゴッドハルト。君が望む望まないに関わらず、俺の伴侶の座は君に永遠に捧げる」
「……っ!」
「勝手だと罵ってくれてもいい。殴ってくれても構わない。後はルーセウスの判断に任せるから…」
「っ!そんな事をするはずがないだろう?!それにそこまで堅苦しい言い回しなんてせず、素直に『愛してる。一緒になろう』って言って飛び込んでこい!」
そう言いつつもディオの愛がこれ以上なく伝わってきて、俺は泣きそうになりながらディオを強く抱きしめた。
「ルーセウス…っ」
俺と違って歴史ある国の王太子だからか、変に意固地なディオ。
そんなディオが形だけの側妃を娶ってでも俺の正妃で居させてほしいと言ってくれた。
それはある意味奇跡だと思う。
「ディオ。俺の正妃はずっとお前だけだ。愛してる」
今更だけど、あの時予行練習でも何でもやってよかった。
あれがなかったらきっと俺達の仲は破綻していたと思うから。
ロキ陛下の配慮に本当に感謝だ。
俺はディオの涙を拭って、気持ちが繋がった喜びに浸りながらそっと唇を重ねた。
その後ディオから晩餐へと誘われた。
どうやらディア王女とヴィオレッタ王女もそこに同席するらしい。
ロキ陛下とカリン陛下、それと側室であるアンヌ妃も一緒だとか。
実質二組の婚約を祝う場になるらしい。
「ロキ父様とディア、ヴィオレッタ王女は俺とルーセウスの関係を知ってるけど、カリン父様達は俺達がただの友人同士としか認識していないから、正妃云々はうっかり口にしないようにとロキ父様に釘を刺されてる。口にしたら問答無用で離婚だよって怖い笑みで言われたから、気をつけてほしい」
「え?!わ、わかった」
それは由々しき事態だ。
絶対に言わないでいよう。
「ロキ父様は俺の戴冠式が終わってから、ルーセウスとヴィオレッタ王女が俺の正妃…王配と側妃だってバラしたいらしいんだ。そこまでいったらもう誰も文句がつけられなくなるから」
「な、なるほど」
まあ普通は王太子同士で結婚なんてあり得ないし、丸く収まるはずもないと言うのはよくわかる。
「こっちの事情に付き合わせてゴメン」
「いいさ。俺はディオと一緒になれるなら何でもいい」
そう言って暫くキスをしていたら、あっという間に晩餐の時間になっていた。
***
晩餐の席で初めてカリン陛下とアンヌ妃と対面した。
聞くところによると、ディオとディア王女はこの二人の子供で、正確にはロキ陛下の実子ではないらしい。
元々の兄弟婚もそうだけど、側室を娶って兄と子作りさせるってよく考えたらすごい。
話すと普通っぽいけど、俺とディオの婚姻を勝手に成立させていたりしていたことからもわかる通り、かなり破天荒な人なのかもしれない。
「そのうちシャイナー陛下やトルセン陛下も一緒に三カ国で披露目のパーティーを開こうと思うが、今日は二組の婚約をささやかながら祝いたいと思う。今日と言う佳き日に、乾杯」
カリン陛下の挨拶で始まる晩餐。
挨拶をするカリン陛下を幸せそうに見つめるロキ陛下は、どうやら噂通りカリン陛下にゾッコンらしい。
俺もディオが許してくれるなら将来的にあれくらい開き直りたいものだ。
「それにしてもディアがまさかゴッドハルトに嫁ぐことになるとは思わなかったわ。話が出た時は意外過ぎて驚いたくらいよ?接点なんてなかったでしょう?」
「アンヌお母様。それはディオのお陰ですわ。ルーセウス王子とディオはとっても仲良しなので、その縁で知り合えたんです」
「王太子同士で交流があったのね。納得だわ」
どうやらそう言う話で落ち着かせる予定らしい。
(まあ嘘は言ってないな)
ディオと俺がとっても仲良しなのは間違いない。
「ディオとヴィオレッタ王女も意外と言えば意外だったわ。てっきりローズマリー皇女とくっつくと思っていたのに」
「ローズマリー皇女は俺にとっては妹みたいなものです。仲の良さで言えばヴィオレッタ王女との方が親しいですよ?」
「そう。まあ貴方はロクサーヌにずっと片想いしていたものね。その影がチラついてもヴィオレッタ王女なら笑って受け流してくれそうだし、案外悪くないかもしれないわ」
アンヌ妃はこちらも納得してくれたようだ。
「うふふ。ありがとうございます。お認めくださって嬉しい限りですわ。お父様とカリン陛下がよく火花を散らせていますし、これで少しでも両国の架け橋になれればこれほど嬉しいことはありませんもの。妃として精一杯ディオ様を支える所存ですわ」
「心強いな。これならディオに後は全部任せて俺も兄上と一緒にさっさと引退できそうだ」
「まあ、ロキ陛下ったら。相変わらずカリン陛下一筋なんですから」
と、ここまでは和やかな空気で晩餐の席は満たされていたが、続く言葉に驚かされた。
「取り敢えずヴィオレッタ王女は大丈夫だろうが、ルーセウス王子は刺客対策だけはしておいた方がいい。ルーセウス王子は普段護衛をつけていないと聞いた。いくら剣の腕に自信があるからと言っても、限度はある。対策をしておくに越したことはないぞ?」
「確かに」
カリン陛下の言葉にロキ陛下はじめ皆が頷く。
(刺客対策?)
そんなもの考えたこともなかった。
ゴッドハルトは新興国だから皆で力を合わせて国を作っていこうと一致団結している。
勿論危険人物が皆無とは言わないし、兵達の見回りはしっかりしているが、自分の身は自分で守るのが基本で、暗部とかは特にはいない。
それがわかっているからこそ、忠告してくれたのかもしれない。
「ルーセウス王子に何かあったらディオも私も悲しいですわ。そうだ!私が護衛致しましょうか?こう見えてなかなかの腕なんですのよ?公務で忙しいディオより時間には余裕がありますし」
「ディア」
「ディオだってその方が安心でしょう?」
「…まあ腕は認める」
どうやらディア王女はディオが認めるほどの腕前らしい。
やっぱり暗部の技なんだろうか?
兄妹だし、同じような技を覚えていてもおかしくはない。
「では決まりですわね。心配ならディオもちょくちょく様子を見にきたらいいのよ。ね?腕が鈍らないよう、手合わせもついでにしてもらえたら嬉しいわ」
「…わかった」
どうやら俺がディオと会う機会を増やす手伝いを買って出てくれた様子。
有り難い話だ。
そうして双方の婚約は成立し、晩餐の席は和やかに幕を閉じたのだった。
会うのはあの夜以来だから、お互いに少し緊張してしまう。
「ディオ…」
「ルーセウス。座って話そう」
少し困った顔でそう口にするディオ。
ディオは俺の正妃になっている話はまだ知らないんだろうか?
もしそうならこれから聞かされるのはヴィオレッタ王女と婚約したという事実と、気持ちに応えられなくてゴメンという話になるはず。
そうなったら俺からちゃんと話すつもりではあるけど────。
「ルーセウス。俺が出した結論を全部聞いてもらってから、ルーセウスがどうしたいかを聞かせてほしいんだ。いいかな?」
「わかった」
ここはちゃんと聞こう。
「あの日…ルーセウスがディアと結婚するって聞かされた時、俺はすごくショックだった。それこそロクサーヌにフラれた時以上に。でもその手を取れないってわかってたから、諦めようと思ったんだ。時間は掛かるかもしれないけど、そうすべきだと」
つまり一度そこで結論を出したという事らしい。
「でも…正直身を切るほど辛くて、そこで初めて自分の気持ちに気づいた。こんなに追い込まれてからじゃないと気づかなかった。俺はいつの間にかルーセウスを愛してたんだって」
泣きそうな顔でそれを口にするディオに心が震える。
(やっと…ディオが気づいてくれた)
それが何よりも嬉しい。
これはイケるのでは?!
「手に入れたいのに手に入れられない。それが辛くて気持ちの行き場をなくしてたら、ヴィオレッタ王女が来て、話を聞いてくれたんだ」
なるほど?
随分タイミングがいい。
もしかしてディア王女が手を打ったんだろうか?
「それで、プロポーズされた。自分とサクッと結婚しようって」
(え?)
この流れでそれを言うのはどう言った意図なんだろう?
「他の誰かだったら多分ダメだった」
ヤバい。
すごく嫌な予感がしてきた。
これはプロポーズを自分から受け入れたって事だよな?
どう考えても俺がフラれる流れになってるよな?
(うぉおおおっ!)
どう言ったら説得できるんだ?
正妃の話を上手く使わないとダメな流れか?!
「でも…ロクサーヌにフラれて、ルーセウスに慰めに抱いてもらった時みたいな気持ちにはなれなかったんだ」
「え?」
「俺は…ルーセウスとしか肌を合わせたくない」
「ディオ…」
「だから、それでもいいと言ってくれたヴィオレッタ王女と結婚しようと思う」
つまり…?
結婚はヴィオレッタ王女とするけど、寝るのは俺とだけ。そう言ってくれたんだろうか?
「それと…ロキ父様があの時の結婚式の予行練習を勝手に成立させてた」
「あ…」
どうやらディオもそれを知ったらしい。
「本当なら俺はロキ父様に怒るべきなんだろうけど、それを聞いた時…俺は嬉しかったんだ。手に入らないはずだったルーセウスの正妃になれていたのが、凄く嬉しかった」
「ディオ…」
「それを聞かされた時、絶対にその立場を手放したくないと思った」
(これ…は)
「だから、ルーセウスがディアと結婚するってわかっていても素直に離婚してあげられない。ゴメン。凄く自分勝手だって、自分でもわかってる。それでも…俺は形だけでもいいから、ルーセウスの正妃でいたい」
切なげに俺を見つめてくる瞳は不安に揺れていた。
きっと勝手な言い分だから俺に呆れられると思ってるんだろう。
「ヴィオレッタ王女とは結婚する。でもそれは側妃として迎えるだけだ。彼女もそれを了承してくれた」
ディオは…今度こそ俺が望む答えを言ってくれるんだろうか?
「ルーセウス=ヘルト=ゴッドハルト。君が望む望まないに関わらず、俺の伴侶の座は君に永遠に捧げる」
「……っ!」
「勝手だと罵ってくれてもいい。殴ってくれても構わない。後はルーセウスの判断に任せるから…」
「っ!そんな事をするはずがないだろう?!それにそこまで堅苦しい言い回しなんてせず、素直に『愛してる。一緒になろう』って言って飛び込んでこい!」
そう言いつつもディオの愛がこれ以上なく伝わってきて、俺は泣きそうになりながらディオを強く抱きしめた。
「ルーセウス…っ」
俺と違って歴史ある国の王太子だからか、変に意固地なディオ。
そんなディオが形だけの側妃を娶ってでも俺の正妃で居させてほしいと言ってくれた。
それはある意味奇跡だと思う。
「ディオ。俺の正妃はずっとお前だけだ。愛してる」
今更だけど、あの時予行練習でも何でもやってよかった。
あれがなかったらきっと俺達の仲は破綻していたと思うから。
ロキ陛下の配慮に本当に感謝だ。
俺はディオの涙を拭って、気持ちが繋がった喜びに浸りながらそっと唇を重ねた。
その後ディオから晩餐へと誘われた。
どうやらディア王女とヴィオレッタ王女もそこに同席するらしい。
ロキ陛下とカリン陛下、それと側室であるアンヌ妃も一緒だとか。
実質二組の婚約を祝う場になるらしい。
「ロキ父様とディア、ヴィオレッタ王女は俺とルーセウスの関係を知ってるけど、カリン父様達は俺達がただの友人同士としか認識していないから、正妃云々はうっかり口にしないようにとロキ父様に釘を刺されてる。口にしたら問答無用で離婚だよって怖い笑みで言われたから、気をつけてほしい」
「え?!わ、わかった」
それは由々しき事態だ。
絶対に言わないでいよう。
「ロキ父様は俺の戴冠式が終わってから、ルーセウスとヴィオレッタ王女が俺の正妃…王配と側妃だってバラしたいらしいんだ。そこまでいったらもう誰も文句がつけられなくなるから」
「な、なるほど」
まあ普通は王太子同士で結婚なんてあり得ないし、丸く収まるはずもないと言うのはよくわかる。
「こっちの事情に付き合わせてゴメン」
「いいさ。俺はディオと一緒になれるなら何でもいい」
そう言って暫くキスをしていたら、あっという間に晩餐の時間になっていた。
***
晩餐の席で初めてカリン陛下とアンヌ妃と対面した。
聞くところによると、ディオとディア王女はこの二人の子供で、正確にはロキ陛下の実子ではないらしい。
元々の兄弟婚もそうだけど、側室を娶って兄と子作りさせるってよく考えたらすごい。
話すと普通っぽいけど、俺とディオの婚姻を勝手に成立させていたりしていたことからもわかる通り、かなり破天荒な人なのかもしれない。
「そのうちシャイナー陛下やトルセン陛下も一緒に三カ国で披露目のパーティーを開こうと思うが、今日は二組の婚約をささやかながら祝いたいと思う。今日と言う佳き日に、乾杯」
カリン陛下の挨拶で始まる晩餐。
挨拶をするカリン陛下を幸せそうに見つめるロキ陛下は、どうやら噂通りカリン陛下にゾッコンらしい。
俺もディオが許してくれるなら将来的にあれくらい開き直りたいものだ。
「それにしてもディアがまさかゴッドハルトに嫁ぐことになるとは思わなかったわ。話が出た時は意外過ぎて驚いたくらいよ?接点なんてなかったでしょう?」
「アンヌお母様。それはディオのお陰ですわ。ルーセウス王子とディオはとっても仲良しなので、その縁で知り合えたんです」
「王太子同士で交流があったのね。納得だわ」
どうやらそう言う話で落ち着かせる予定らしい。
(まあ嘘は言ってないな)
ディオと俺がとっても仲良しなのは間違いない。
「ディオとヴィオレッタ王女も意外と言えば意外だったわ。てっきりローズマリー皇女とくっつくと思っていたのに」
「ローズマリー皇女は俺にとっては妹みたいなものです。仲の良さで言えばヴィオレッタ王女との方が親しいですよ?」
「そう。まあ貴方はロクサーヌにずっと片想いしていたものね。その影がチラついてもヴィオレッタ王女なら笑って受け流してくれそうだし、案外悪くないかもしれないわ」
アンヌ妃はこちらも納得してくれたようだ。
「うふふ。ありがとうございます。お認めくださって嬉しい限りですわ。お父様とカリン陛下がよく火花を散らせていますし、これで少しでも両国の架け橋になれればこれほど嬉しいことはありませんもの。妃として精一杯ディオ様を支える所存ですわ」
「心強いな。これならディオに後は全部任せて俺も兄上と一緒にさっさと引退できそうだ」
「まあ、ロキ陛下ったら。相変わらずカリン陛下一筋なんですから」
と、ここまでは和やかな空気で晩餐の席は満たされていたが、続く言葉に驚かされた。
「取り敢えずヴィオレッタ王女は大丈夫だろうが、ルーセウス王子は刺客対策だけはしておいた方がいい。ルーセウス王子は普段護衛をつけていないと聞いた。いくら剣の腕に自信があるからと言っても、限度はある。対策をしておくに越したことはないぞ?」
「確かに」
カリン陛下の言葉にロキ陛下はじめ皆が頷く。
(刺客対策?)
そんなもの考えたこともなかった。
ゴッドハルトは新興国だから皆で力を合わせて国を作っていこうと一致団結している。
勿論危険人物が皆無とは言わないし、兵達の見回りはしっかりしているが、自分の身は自分で守るのが基本で、暗部とかは特にはいない。
それがわかっているからこそ、忠告してくれたのかもしれない。
「ルーセウス王子に何かあったらディオも私も悲しいですわ。そうだ!私が護衛致しましょうか?こう見えてなかなかの腕なんですのよ?公務で忙しいディオより時間には余裕がありますし」
「ディア」
「ディオだってその方が安心でしょう?」
「…まあ腕は認める」
どうやらディア王女はディオが認めるほどの腕前らしい。
やっぱり暗部の技なんだろうか?
兄妹だし、同じような技を覚えていてもおかしくはない。
「では決まりですわね。心配ならディオもちょくちょく様子を見にきたらいいのよ。ね?腕が鈍らないよう、手合わせもついでにしてもらえたら嬉しいわ」
「…わかった」
どうやら俺がディオと会う機会を増やす手伝いを買って出てくれた様子。
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