王子の本命~無自覚王太子を捕まえたい〜

オレンジペコ

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第一章 俺がディオを堕とすまで

9.※一ヶ月ぶりの触れ合い

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ベッドへとディオを運んで、チュッチュッとキスを落とす。
ちっとも振り向いてくれなくても、身体はほぼ落ちたも同然。
俺だけがこの肌を知っていて、他の誰の手もディオは知らないんだ。
だから安心していられる。

「ディオ…会いたかった」
「うん」
「声も聞けなくて、寂しかった」
「ゴメン」

ディオもちょっとは悪かったと思ってくれているのか、『じゃあお詫びにフェラで先にイかせてあげようか?』なんて言ってくれた。

「それなら俺もディオにしたい」
「ん~…じゃあ、69でもしてみるか?それなら一緒にできるし」
「する!」

これは初めてだ。

「じゃあ俺が上に乗るから、ルーセウスはベッドに寝転がって」
「わかった」

嬉しい!
楽しみ!

嬉々として寝そべったらディオにクスッと笑われて、何故か『ルーセウスらしい』と微笑ましげに見られた。

「ルーセウスのそう言うところは、好きだな」

流し目で見つめられながら紡がれたその言葉に、ドキッと胸が弾む。

「そうだ。どっちが先にイかせるか勝負しないか?勝った方がこの後は上に乗るっていうのでどうかな?」

それって誰得?俺得しかなくないか?
要するに組み敷いてディオを抱くか、騎乗位でアンアン啼かせるかの違いだろう?

「いいな。是非やろう」

どっちに転んでも嬉しいから、当然断るはずがない。

「ディオ…俺のディオ。俺以外には絶対肌を許すなよ?」
「それは無理。結婚相手とは寝ないとダメだし」
「~~~~っ!じゃあ嫁と俺以外とは絶対寝るな!約束だ!」
「それはまあそうかな。ルーセウス以外には抱かれたいと思わないだろうし、抱く方も正直言ってロクサーヌじゃない相手に勃つかどうかわからないし」

ここでまさかの失恋相手である女の名を出された。
まだ忘れられてないって事なんだろうか?
悔しい。
とっくに俺で塗りつぶしたと思ったのに。

「ぁっ!」
「ディオ。まだ忘れられないなら、俺が全部忘れさせてやる!」
「ちょっ…ルーセウス?!ひぁっ…!」

ディオの雄を口に含み、ディオが以前やってくれたのを思い出しながら官能を引き出すように追い立てる。

玉を揉んで竿を扱き、ねぶるように舐めしゃぶってやる。
ついでに後ろにも指を突き入れて、前立腺もクニクニと嬲ったら身悶えて口淫を続けられないほど喘ぎ始めた。

「ルー…!アッアッ!ダメッ!ルーセウスッ!」
「気持ちいいか?このままイかせてやる」
「ふ…うぅっ…!やぁあっ…!」

でもそれで大人しくされるがままにはならないディオ。
喘いで口淫ができなくても、せめてとばかりに手淫に切り替え擦り上げ始めた。

「あっあっ!激しっ、いぃっ!イクッ!イッちゃ…っっ!」
「くぅっ…!」

結局ビクビクッと身を震わせながら達したディオの顔に、ディオの手淫で我慢できなかった俺が思い切り顔射するというとんでもなくエロい事態になって、慌ててディオと浴室に移動する羽目になった。

同時にイッてしまったし、今日はもうこれで終わりかと残念に思っていたら、『浴槽でも浸かりながらできるし、なんだったら立ったままでもできるだろう?』って言われて抱かせてもらえた。
『なんで?ダメなの?』みたいなキョトンとした顔が可愛過ぎて、思わず激しく口づけてしまった。

ガヴァムの閨教育と文化に万歳!

やっぱり口でなんて言おうとディオは俺に抱かれたいんだよな?
このままサラッとシャワーを浴びて抱かせてもらえないまま『じゃあまた』って言われてたら脈なしかもと思ったかもしれないけど、そうじゃなかった。
多分ディオは自覚してないだけで、ちゃんと俺への気持ちがある。
さっきも無意識かも知れないが、俺以外に抱かれたいとは思わないって言ってくれてたし、間違ってはいないはず。

(嬉しい…)

「はっ…あっ…!ルー…っ、奥、気持ちいっ…!」
「ここだろ?わかってる」

幸福感に包まれながら揺さぶり、突き上げ、ディオの胸も耳も一緒に可愛がる。
手で、舌で、余すところなく責めれば陶酔したように俺に溺れてくれるディオ。

「あぁ!ルー…、イイッ!もっと…っ」
「ディオ!」
「ンッンッ…はぁっ、上手くなり過ぎっ、だっ…!」
「ディオを悦ばせてっ、夢中にさせる為だけに頑張ってきたからな。当然だっ」
「あ…あぁぅ!ルーセウスッ…!」

縋るように抱き着いて、唇を重ねて舌を絡め、もっとしてと甘く囁くディオに胸が熱くなる。

やっと俺に堕ちてくれた。
後は本人に気づいてもらえたら完璧だ。
いっぱい愛して、愛し尽くして気持ちを伝えたらそのうちそれも叶うだろう。

「ディオ…綺麗だ」

俺一色に染まって身悶え堕ちていく姿は眼福だった。

(ディオ。もっともっと俺にハマりきれ)

抜け出せないほどの快楽に身を浸して、俺以外に目移りできないようにしてしまおう。
今の俺ならきっとできるはず。

「はぁ…はぁ…も、のぼせる……」
「じゃあ出ようか。部屋で涼んでからイチャイチャしよう」
「イチャイチャ?」
「ロキ陛下がそうしろって言ってくれてたから」
「……またロキ父様は。余計なことを…」

困ったように口にするけど、ディオは別に嫌がってなさそうだし、このままイチャイチャに持ち込もう。

浴室から出て着替え、ソファに座りながらディオを膝に乗せて抱きしめる。
特に抵抗はされない。
それが俺に気を許している何よりの証拠だ。

「ディオ。俺のこと、好きか?」
「友人としてなら、かなり好きかな。話してて楽しいし、一緒にいるのも心地良いし。嫌いになる要素が一つもない」

体関係以外も好きと言われて、心臓が壊れるかと思った。
これで自分の気持ちに気づいていないのが不思議なくらいだ。
兎にも角にも嬉しすぎる。

「そこまで好きでいてくれるなら、ちゃんと付き合おう?」
「それは諦めてくれ。無理だから」

どこまでもツレない答えだけど、俺のことが好きって言うのはわかったから…。

「しょうがない。一旦退こう」

初めてそう言ったら、ディオの表情がパッと明るくなった。

「ルーセウスが初めて退いてくれた」
「退かない方が良かったか?」
「うーん…どうだろう?ホッとしたような、でもちょっと寂しいような、変な感じ?」

(ディオぉおお!)

これで『もしかして好きなのかも』に繋がってくれたらいいけど、気づかないのがディオなんだよな…。

「本当にディオは鈍感だな」
「初めて言われた。そんなこと言うのはルーセウスだけだと思う」

ディオは不服そうだが、これは本当だ。

「早く気づいてほしいな」
「何に?」
「俺が言ったら意味がないから、言わない」
「意味がわからない」
「いいんだ。ディオ…愛してる」

それに対する答えはいつも通り返ってこないけど、今日で自信がついたし特に気にしない。
ちゃんとディオが俺への気持ちを自覚して応えてくれるようになるまで、焦らず気長にいこう。

そう思ったのも束の間。

「そうそう。今度うちでパーティーがあるんだけど」
「パーティー?」
「そう。そこに厄介な令嬢が来るから面倒臭くて。予定が合えば是非ルーセウスも参加してくれないか?」
「厄介な…令嬢」
「俺の花嫁候補の一人なんだけど、ロクサーヌに何度も嫌がらせをしてたとんでもない令嬢なんだ。俺が振られたのもそれじゃないかって実は疑ってる」

なるほど。
それはディオにとっては天敵だろう。
嫌悪感を抱くには十分すぎる相手だ。

「わかった。いつだ?参加できそうなら必ず行く」
「ありがとう。二週間後なんだけど…」
「それなら行けそうだ。気を付けるのはその令嬢だけか?」
「まあ、今回はそうかな」

そう言いながら、現在のディオの花嫁候補について詳しく教えてもらうことができた。

一人はひと月前にミラルカ皇国で会ったミラルカの皇女、ローズマリー。
昔からレオナルド皇王が猛プッシュしているらしいが、本人もディオに気があるようだったから油断は禁物だ。

二人目が、今言っていた初恋相手に嫌がらせをしていた可能性が高い公爵家の令嬢、シェリル=バーネット。
どうやらロキ陛下の補佐官の娘らしい。
ガヴァムの他の貴族令嬢達を牽制し、何が何でも王太子妃になると言い放つ令嬢で、話を聞くと母親が元々カリン陛下の花嫁最有力候補だったのにそれが叶わなかったらしく、今度こそと意気込みが凄いらしい。

三人目はアンシャンテ王国の王女、ヴィオレッタ。
彼女もまた昔からシャイナー陛下がディオの花嫁にと強く望んでいるらしいが、本人は母に似て『どうせ嫁ぐなら楽しいところに嫁ぎたい』と公言してやまないのだとか。

「ヴィオレッタ王女とローズマリー皇女は害はないんだけど、シェリル嬢だけはちょっと色々あって……」

要するに大嫌いらしい。
逆に言うと他の二人は俺の最大のライバルと言えるだろう。
忘れないようにチェックしておかないと。

「取り敢えず撃退したらいいんだな?」
「いや。撃退までは考えなくていい。単にルーセウスが隣に居てくれたらベッタリ腕に絡みつかれたりしないかもって思っただけだから」
「排除だ!」

ディオの腕にベッタリ纏わりつくだと?
そんなもの一瞬たりとも許したくはない。

「俺が追い払ってやる」
「そこまでは…」
「任せろ!」
「じゃあ…できる範囲で頼むよ」

取り敢えず次に会える日まで少しでもディオを補充しておかないと。

俺はディオをギュッと抱き締めキスをして、しっかり堪能してから帰路へと着いた。

父にもちゃんと仲直りできたと報告を入れたら、仲良くするんだぞと応援してもらうことができたし、良いことずくめだ。

さて、パーティーの準備に取り掛からないと。
ディオにまたすぐ会えるのが楽しみだ。



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