王子の本命~無自覚王太子を捕まえたい〜

オレンジペコ

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第一章 俺がディオを堕とすまで

6.ルーセウスとの疑似結婚式① Side.ディオ

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ロキ父様の話をもう一度自分なりに噛み砕いて考えてみたけど、やっぱり状況が許さないのだからどうしようもないじゃないかという結論になった。
俺だとルーセウスの子供はどう足掻いても産んであげられないし、結果的に双方の国にとって良いことは何もない。
だから恋人になるというのは絶対にナシだ。

じゃあ突き放すのかと言うと、そう言うわけにもいかない。
だって俺が一番辛かった時に俺を抱いてくれて、その後も親しくしてくれて、そんなあれこれで俺はロクサーヌの事を忘れることができたんだから。
ルーセウスはそう言った意味で恩人だ。
無碍にする気はない。
じゃあどうするかと言うと、これはもう友人として接する一択だろう。
それ以外に考えつかなかった。

二人の仲は特に変わらない。
誘われたら寝るけど、ただそれだけ。
後は友人同士とやってることは変わらない。

毎日寝る前にツンナガールで話すのだって、相手がルーセウスなら全然飽きないし楽しい。

溜まったら閨本を参考にツンナガール越しに色々したりもするけど、それだって別におかしなことじゃない。
抜き合うのは男同士のあるある話だっていつだったか誰かが言っていた気がするし、特段問題はないはず。
まあルーセウスとしかこんな事しようとは思わないけど。




そんな中、ミラルカに行く用事ができた。
レオナルド皇王が『今度こそ侵入できないよう頑張ったから、試しに来て!』と俺を指名してきたせいだ。

俺とディアは裏稼業の皆仕込みのアレコレができるから、大抵の場所に入っていける。
難攻不落と言わしめたブルーグレイにも実は行ってきたことがあって、裏の皆には裏のエースだなと笑われた。
緻密に練られた防衛線の間隙を狙って入り込むのは中々スリリングで楽しかったし、出る方はとっても簡単だから今度また行ってみても楽しいかもしれない。

そうしてミラルカの王宮に易々と入って、レオナルド皇王に挨拶をして帰るだけの簡単なお仕事をこなしてから、ルーセウスとの待ち合わせ場所へと向かった。
最近ツンナガールでスル時に、早く実際にしゃぶられたいと言われるようになったから、会えそうならどうかなと誘ったら二つ返事でこっちに来ると言ってきたんだ。
やっぱり実際にやるのとツンナガール越しの擬似行為だと全然違うだろうし、嬉しいんだろうな。
ルーセウスのお陰で練習もバッチリだし、会うのも久し振りだから今日は沢山してやりたい。

(そうだ!折角だし、鉱山ホテルに行こうかな)

あのホテルは楽しいとロキ父様から何度か聞いたし、飛び込みでもマニアックな部屋なら空いているかもしれない。
ルーセウスとなら楽しめそうだし、是非連れて行こう。
もし部屋が空いてなかったらガヴァムの自室に連れて行けばいいだけの話だし、問題はないだろう。

そんな風に待ち合わせ場所で楽しく計画を立てていると、お忍び中らしい貴族の令嬢達に群がられた。
面倒臭い。

そう思って適当にあしらっていたら、ルーセウスがやってくるのが見えた。
相変わらず威風堂々としていて存在感が抜群だから、すぐわかる。

ホッとしながら合流してまずは食事に行こうと誘いをかけた。
ミラルカは知っている店も多いし、まずはゆっくり話しながら食べよう。
ルーセウスと会える時間は貴重だから大事にしたかった。

ルーセウスがどこかソワソワしてる気がするのは、きっとこの後が楽しみ過ぎるからだろうな。
やっぱり鉱山ホテルに行くのは決定だ。
きっと一緒に楽しんでもらえるはず。

そう思いながら食事を終えて店を出たところで、予定に水を差す相手が現れた。
ローズマリー皇女だ。
彼女は一応俺の花嫁候補の一人だと聞かされてはきたものの、俺はずっとロクサーヌと結婚する気満々だったから、これまで適当にあしらってきた。
だから特別一緒に居たい相手でもなんでもない存在だ。
正直ルーセウスとのこの後の時間を邪魔されたくはない。
そう思ったから適当に言いくるめて城に帰した。

俺はロキ父様みたいな特殊性癖はないから、見物人はいらないんだ。
ルーセウスと二人きりがいい。
ルーセウスだってきっとそうだろう。

「邪魔が入って気を悪くしてないか?ルーセウス」
「いや。俺は全然」

これは嘘だ。
ローズマリー皇女が来た時、物凄くガッカリしていたのを俺はちゃんと確認している。
身長差があるから、ルーセウスが落ち込んで下を向くと俺にはよく見えるんだ。
大丈夫。
俺はルーセウスがずっと楽しみにしていたのを知っているから、予定を覆す気はないし安心して欲しい。

「じゃあ移動しようか」

そう言って俺は予定通りルーセウスを鉱山ホテルへと連れて行くべく、ヴァレトミュラへと乗り込んだ。




「今日はここにルーセウスを連れて来ようって決めてたんだ」

鉱山ホテルに着いてルーセウスにそう言ったら、何故か誤解されてしまった。

「ディオ!もしかしてやっと俺の恋人になってくれる気に…っ」
「違うけど?」

ここははっきり言っておかないとダメだろう。
俺達はあくまでも友人同士。
それ以上でもそれ以下でもない。
勘違いされたら困る。

ルーセウスは期待した分悔しかったのか、残念そうにしているけど、毎回断ってるんだからそろそろ理解して諦めてもらいたい。
別に友人同士でいいじゃないか。
一緒に楽しい時間を過ごすのは同じなんだから。

空き部屋を確認すると運良く教会風の部屋が空いていた。
ここは確かブルーグレイのセドリック王子が希望して作られた部屋だけど、クオリティが高く、実際に結婚式が挙げられると評判の部屋だ。
ロキ父様の護衛であるリヒターと暗部のカーライルはここで結婚式をしたと昔言っていたし、なんだか感慨深いものがあった。

これも縁だろうと思い早速部屋を取る。
そしてルーセウスを部屋へと連れて行って、この部屋のことを説明した。

「ほら。教会風の部屋が運良く空いてたんだ!ここはブルーグレイのセドリック王子が希望して作ってもらった部屋で、うちの護衛騎士と暗部の二人が結婚式を挙げたこともある部屋なんだって」

実際に部屋に入ると本当に本格的な祭壇が置かれてあって、天井も高く声もよく響いた。
これなら挙式できるのも納得だ。
そう思いながら感動していたら、ルーセウスの口から思いがけない言葉が飛び出してきた。

「ディオ。じゃあ将来の練習にここでちょっとだけ結婚式の予行練習をしないか?ほら、練習は大事だろう?」
「結婚式の予行練習?」

その言葉に俺は驚きしかない。
確かにこれだけ本格的な祭壇があるんだから、予行練習にはピッタリだろうけど、ルーセウスはガヴァムの王太子にそれを言っているのをちゃんとわかっているんだろうか?
一般的な結婚式とガヴァムの結婚式は大きく違う。
神の前で抱かれるのがガヴァム式だ。

(でもそうか。フェラの後に抱くという流れは今日のコンセプトにぴったりだな)

知っているからこそ言った可能性は高い。

(結婚式か…)

予行練習と言われればそれまでだけど、勝手にやってしまって大丈夫だろうか?

「う~ん…まあ立会人もいないし、俺が抱く側じゃなければ多分大丈夫…かな?」

実際の結婚式では立会人の元俺が花嫁を抱く立場だから、多分大丈夫なはず。

うん。
相手がルーセウスなら別に嫌ではないし、構わないだろう。

「ディオ?」
「ここで俺に言うからには、ルーセウスはガヴァム式の結婚式を知ってるんだよね?」

一応確認だ。
もし俺の勘違いなら隣の寝室にあるベッドに移動すればいいだけの話だし。
そう思ってルーセウスを見遣ると、目を丸くして驚いていた。

「…え?」
「…?もしかして知ってて言ったわけじゃない?」
「勉強不足ですまない。教えてくれないか?」

どうやら本当に知らなかったらしい。
だからちゃんと丁寧に教えてあげた。
ガヴァムでは立会人の元、神の前で愛を誓い、愛し合う姿を見せつけて結婚を認めてもらうのだと。

ルーセウスはそれを聞いて知らなかったと落ち込んでいたけど、これはうちの独特な文化だから別に知らなくてもおかしな事ではないし、そこまで気にしなくてもいいと思う。
だから元気づけたくなって、ベッドに移動するのではなく『予行練習をしよう』と声を掛けた。

「予行練習、しようか。してみたかったんだろう?」
「ディオ…予行練習とは言え、神の前で俺に抱かれてもいいのか?」
「別に構わないけど?」

誰でもいいわけじゃない。
ルーセウスだからいいと思ったんだ。




「神の元で今一組の愛し合う者達が婚姻を望み誓いを立てます。どうかその愛を見届け、二人に永遠の祝福をお与えください」

式の始まりの言葉を口にして祭壇前で一礼し、互いに服を脱ぎ捨てて俺はルーセウスの前へと跪く。
立会人はいないけど、まるで本当の結婚式のようでドキドキした。
目の前にあるのはこれまで何度も俺が受け入れてきたルーセウスの分身。
それを前にして、ごくりと喉が鳴る。
ディルドとは全然違う、熱くて先走りの滲む雄々しい猛りに俺はおずおずと舌を伸ばしてそっと舐めた。
くすぐるようにチロチロと舐めた後、今度は絡めるようにねっとりと舐め上げて、練習してきた通りに裏筋を沢山舐めてからパクリと先端を口に含んだ。
そのまま先走りを舐め取り、尿道口を舌でグリグリと責める。
その間竿の部分を手で可愛がって、玉の方も揉んであげた。

「ちょっ…!ディオ!そんなにされたらすぐっ…!うっ!」

まだ全然しゃぶれてないのにルーセウスはイッてしまう。
どうしよう?

(まあいいか)

結婚式本番だったらこのまま立ち上がって次の行程に移るけど、これはあくまでも予行練習だし、続行しよう。

「ルーセウス。今日は予行練習なんだろう?ちゃんと満足できるまでするから、そんな顔をするな」

さて、続き続き。
この日の為に練習してきたんだから、ちゃんと本人に堪能してもらわないと。

「うっ…ディオッ!上手すぎ…っ」
「ルーセウスが練習に付き合ってくれたからだろ?いっぱい堪能してくれ」

口をスライドさせてグポグポと竿を擦り上げながら舌でも当然のように可愛がる。
気持ち良さそうなルーセウスの様子に気を良くして俺はそのままラストスパートとばかりに喉奥まで咥えこんだ。
初めての行為にえずきそうになるけど、ルーセウスのものだとそれさえ許してしまえるから不思議だ。
なんだろう?
全然嫌じゃないんだ。
どちらかと言うと、愛おしい気持ちに似ている気がする。
でもそれはロクサーヌに対して抱いていたような感情とは違うような気もするし、きっと初めて肌を合わせた相手だから特別に感じているだけなんだろう。

そんな事を考えながら追い上げて、なんとかルーセウスの射精を促すことに成功した。
苦い子種が喉奥に思い切り吐き出されたけど、最初の一回目同様俺はコクリと飲み込んだ。

「ルー…」

そっと手を差し伸べるとその手を取ってルーセウスが立ち上がらせてくれる。

「ディオ。神の前で誓う。愛してる」

優しい眼差し。
そこに嘘は一切ない真っ直ぐな気持ち。
それが嬉しい。
応えてあげられないのだけが残念でならない。

「俺も、ルーセウスが大好きだ」

友達としてだけど、大好きなのに変わりはない。
だからそう口にした。

「ディオ!」

嬉しそうに破顔して口づけてくるルーセウスに応えるように舌を絡め合って、お互いに抱き合う。
それはまるで本当の結婚式のようだった。




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