王子の本命~無自覚王太子を捕まえたい〜

オレンジペコ

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第一章 俺がディオを堕とすまで

2.※会いたくて

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ディオを国に帰した後、俺はツンナガールという魔道具を早速ディオへと送った。
これで離れていてもいつでも話す事ができる。

それから寝る前はディオの声を聞くのが日課になった。
色んな話をして、気になっていたガヴァムの閨指導の本も送ってもらうことができた。
全12巻と結構なボリュームだが、自慰という初歩の初歩から複数プレイという驚きの上級者編まで網羅しつつ、且つハニートラップ対策と、仕掛け方まで事細かな解説付き。
これさえあれば万事OK間違いなしというのも納得の内容だ。
当然熟読はするが、その後は家宝にしよう。

王太子同士だからか国の今後の話などで盛り上がることも多く、問題点を考察しあったりする時もあって、自分とは違う視点で考えられる切っ掛けにもなって凄く勉強になる。
特にうちは新興国でまだまだ手探りの政策が多いから、非常に有り難かった。

「やっぱりガヴァムは歴史がある国だからすごいな」
『え?ああ。違うよ。うちの政策はロキ父様が各国の首脳陣をたぶらか…ゴホン、有意義な話を引き出してきて、それを元にカリン父様達がガヴァムの事情に合わせてベストな政策を打ち出して、少しずつ作り上げてきたものが多いんだ。だから歴史云々は関係ないかな』

困ったような声でそんな意外なことを聞かされて、情報収集の大切さを学んだ。

そこからは俺もこれまで以上に国をより良くすべく、アドバイスももらいながら勉強に励み始めた。
今のままじゃダメだ。
もっと頑張らないと。
周囲もそんな俺を見て頼もしいと言ってくれ、沢山協力してくれた。

ディオと出会ってから三か月も経った頃には、ディオは俺にとってすごく大事で、大好きな人になっていた。

ディオの耳に心地良く響くしっとりとした声が好きだ。
一緒に話していて楽しいのも、相手がディオだから。

(会いたいな…)

こうして毎日声を聞いているのに、ディオに会いたくて仕方がない。
自他共に認める剣バカの俺が、誰かに対して恋しいなんて思う日が来るなんて思いもしなかった。

ディオに会って抱きしめて、温もりを感じながらその笑顔を見つめたい。
キスをしてそのままその先も堪能したい。

そこまで考えたところで俺の愚息が大きくなった。
今日も通話が切れたら一人寂しく自慰をしてから眠ろう。
ディオの痴態を思い出しながらするのは最早日課になっているくらいだ。

ディオを抱きたい。
早く会いたい。

「……っ、ディオ!」

荒く息を吐き出しながら扱きあげると、パタパタッと白濁が手を汚した。

次にディオに会えるのはいつだろう?
一か月先?それよりももっと先?
そんなもの、とても耐えられる気がしない。

(何か口実を作らないと…)

恋心は募るばかりだ。
俺は後片付けをして眠りについた。


***


翌日、早速俺はディオに会う口実を考え始めた。
それまでの俺は受け身の姿勢過ぎたんだ。
勿論チャンスがあれば会いに行く気満々だったが、こちらからチャンスを作ろうなんて考えもしていなかった。
これじゃあダメだ。
向こうは現状俺をただの毎日話す友達程度にしか思っていないのだし、ここから一歩踏み込むにはこちらから積極的に動くしかない。

(公務を重ねるか)

向こうの予定を聞き出して、俺の公務をそちらに寄せて『近場だし会おう』と持ちかける。
よし。これで行こう!

こうして努力の甲斐もあって俺はディオに会えるようになって、デートや食事、勿論身体の関係を幾度も持つ事が可能になった。

告白だってちゃんとした。
恋人関係になることについては断られたけど、その後特に避けられることもなく、二人の関係は続いている。




「ルーセウス…ッ」
「ディオ。どんどん俺色に染まってくるな。ほら、こっちも好き…だろ?」
「あっあぁっ!ルー…ッ!」

グリッと弱いところを突いてやりながら好きなだけ擦ってやると、身を捩りながら俺を締めつけディオが嬌声を上げる。
とても気持ち良さそうだ。
でもここで一旦動くのをやめ、シーツを握りしめるディオの手をそっとほぐし、指を絡めて縫い止めるように手を繋ぐ。
するとディオが俺へとそっと視線を向けてきて、動いてと言うように物欲しげに見つめ返してくれた。
求めてくれている────それを感じて胸が熱くなる。

「もっと…もっともっと感じて落ちてくれ。ディオ」

早く俺に堕ちきれ。
そうしたらちゃんとした恋人になってくれるはず。

国のことは確かに大事だけど、それはそれ。これはこれだ。
たとえ結ばれなくても、恋人にくらいなってくれてもいいじゃないか。
頷いてほしい。

「ディオ。そろそろいいだろう?恋人になってくれないか?」
「は…はぁ…っ、ダメッ、だって言ってるっ!」
「どうして?…チュッ」
「んぅっ…!そ…なの、聞かなくてもっ、わかるだろう?アッ!」
「じゃあ頷いてもらえるようにもっと頑張る」
「あぅっ!アッアッ…!それっ、弱いのにぃっ!」
「大好きの間違いだろう?ほら掴まって」

優しく腕を取り俺に抱きつくよう促すと、ディオは素直に俺に抱きつき腰を揺らしてきた。
気持ち良過ぎてどうにかなってしまいそうだ。

「ルー…ッ!アッアッ!ルー、もっ、気持ちい?」

自分だけが快楽を一方的に与えられるのを良しとしないディオが、紅潮した表情で感じ入りながら俺へと問い掛けてくるから煽られてどうしようもなくなってしまった。
しかもディオのこの腰使いがたまらなく唆られて気持ちよくて腰が止まらなくなった。

「ディオッ!このまま一緒にっ…!」
「あっああっ!それダメッ!アッアッ!も、イク────ッ!」

奥深くへと子種を注ぎ込むように腰を打ちつけ、中へと思い切り注ぎ込む。

これまでもう何度こうしてディオの中へと注いだだろう?
孕ませたくてたまらない。
そうしたら問答無用で嫁にできるのに。
それが叶わないから口惜しい。

ビクビクッと身を震わせて恍惚とした顔でうっとりと俺を見つめてくるくせに、ディオは落ち着いたらいつもあっさり俺から離れていく。

どうすれば振り向いてもらえるんだろう?
失恋相手なんてもういい加減忘れてくれたよな?
ディオの口から俺だけだと言ってほしい。

「ディオ。絶対に俺以外の奴に抱かれるなよ?」

ギュッと抱きしめ乞い願う。

ガヴァムは昔は兎も角、今は解放的なお国柄だ。
油断したら誰かに掻っ攫われてしまう危険性は多分にある。

女だけじゃなく男だって要注意だ。
ディオはこんなに魅力的なんだから、本人に気を付けてもらうしかない。

なのにディオは俺の気持ちなんて全然わかっていないようで、薄く笑ってこう言うんだ。

「俺を抱きたがるのなんてルーセウスだけだから、わざわざ釘なんて刺さなくても大丈夫なのに」
「…………」

全く信用できない。
襲いかかられて、そのまま押し倒されたらどうするつもりだ?
こんなに小柄なのに、ちゃんと自衛できるのか?
心配でたまらない。

そう言えばディオの剣の腕はどれくらいなんだろう?
今度手合わせでもやってみないかと誘ってみようか?
それ次第で少しは安心できるかもしれない。

「俺のディオ…愛してる。早く諦めて俺のものになってくれ」

いつか同じ気持ちを返して欲しいと願いながら、いつも通り困った顔をして応えてはくれないディオを捕まえるべく、腕の中へと閉じ込めた。


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