26 / 51
26.王弟の後悔 Side.王弟
しおりを挟む 喧嘩などろくにしたことはないが、幼いころから、ヤクザや刑事の役を演じる男たちの芝居風景を見慣れてきたせいで、どうすれば強い男に見られるか、本能的に習得していたのだ。
上級生たちは、大人しいと思っていた竹弥の気迫と演技力に気圧されてしまって、肩をすくめて去っていった。彼らが見えなくなってから身体がふるえてきた。
だが、今自分の前にいる男は、あのときの中学生たちのように、はったりが通じるような相手ではない。
この状況でどう立ち向かえばいいのか。竹弥はまさに絶体絶命だった。
「うう……」
びりびりに切りきざんだ下着の残骸を引っ張ると、相手は笑ってそれを床に投げすてる。
「色っぽいな。近江竹弥のストリップか。高く売れるぞ」
「……ひ、卑怯者! こんなことして、なんになるんだよぉ……」
先の言葉は気強く放ったものの、後の言葉は涙声になってしまう。
「泣くなよ。うんといい気持ちにしてやるから」
「あっ! よ、よせ!」
男が、竹弥の前に膝をついた。
さすがに初心な竹弥も、相手がこれからしようとしていることに気づいて、全身を硬直させた。
「小さい、可愛い芽だ。かわいそうに、こんなに怯えて」
やんわりと、相手は指に力をこめて、竹弥の若芽をいじる。
「つぅ……!」
「よしよし、俺がこれから大きくしてやるからな」
まさか……、と竹弥はこの期におよんでも、未練がましいほどの期待を捨てれず、それにしがみついた。
竹弥だとて二十歳になる若い男で、男子寮で過ごしていたのだから、当然、男があつまると当たり前のように交わされる猥談から、通常の性の知識は得ていたし、僚友や学友のなかには早いものなら、すでに初体験を済ませた者も何人かいることはいるが、だが、男のしようとしていることは、竹弥には驚愕だった。
そういう行為は聞き知ってはいるが、それは別世界のことのように竹弥には遠かったのだ。
上級生たちは、大人しいと思っていた竹弥の気迫と演技力に気圧されてしまって、肩をすくめて去っていった。彼らが見えなくなってから身体がふるえてきた。
だが、今自分の前にいる男は、あのときの中学生たちのように、はったりが通じるような相手ではない。
この状況でどう立ち向かえばいいのか。竹弥はまさに絶体絶命だった。
「うう……」
びりびりに切りきざんだ下着の残骸を引っ張ると、相手は笑ってそれを床に投げすてる。
「色っぽいな。近江竹弥のストリップか。高く売れるぞ」
「……ひ、卑怯者! こんなことして、なんになるんだよぉ……」
先の言葉は気強く放ったものの、後の言葉は涙声になってしまう。
「泣くなよ。うんといい気持ちにしてやるから」
「あっ! よ、よせ!」
男が、竹弥の前に膝をついた。
さすがに初心な竹弥も、相手がこれからしようとしていることに気づいて、全身を硬直させた。
「小さい、可愛い芽だ。かわいそうに、こんなに怯えて」
やんわりと、相手は指に力をこめて、竹弥の若芽をいじる。
「つぅ……!」
「よしよし、俺がこれから大きくしてやるからな」
まさか……、と竹弥はこの期におよんでも、未練がましいほどの期待を捨てれず、それにしがみついた。
竹弥だとて二十歳になる若い男で、男子寮で過ごしていたのだから、当然、男があつまると当たり前のように交わされる猥談から、通常の性の知識は得ていたし、僚友や学友のなかには早いものなら、すでに初体験を済ませた者も何人かいることはいるが、だが、男のしようとしていることは、竹弥には驚愕だった。
そういう行為は聞き知ってはいるが、それは別世界のことのように竹弥には遠かったのだ。
21
お気に入りに追加
1,692
あなたにおすすめの小説


王道学園のモブ
四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。
私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。
そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。



陛下の前で婚約破棄!………でも実は……(笑)
ミクリ21
BL
陛下を祝う誕生パーティーにて。
僕の婚約者のセレンが、僕に婚約破棄だと言い出した。
隣には、婚約者の僕ではなく元平民少女のアイルがいる。
僕を断罪するセレンに、僕は涙を流す。
でも、実はこれには訳がある。
知らないのは、アイルだけ………。
さぁ、楽しい楽しい劇の始まりさ〜♪

見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる