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9.レイのことを考えてみた
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翌朝、早速ソファの買い替えについてレイに相談したんだけど────。
すっかり冒険者としての生活が板についてきたレイが、それを聞いてすぐにそっと俺の前に封筒を差し出してきて驚いてしまった。
「レイ?」
「ジェイドにはずっと世話になりっぱなしだし、せめてこれくらいの生活費は受け取ってほしくて…。いつ渡そうか悩んでたんだけど、ソファを買い替えるって聞いたから、その…少しでも足しにして欲しいなと」
「そんなこと、気にしなくてもいいのに」
レイは正直頑張ってくれていると思う。
記憶は相変わらず戻らないようだけど、日々冒険者ギルドで仕事を受けては森で魔物などを狩ったりしているようだし、最近ではイメチェンポーションの代金だってわざわざ払ってくれていた。
家では料理を作るのは俺だけど片付けるのはレイがしてくれているし、掃除は時間がある方が気づいた時にやると言った感じ。
だからどちらかというとレイの方が積極的にやってくれているように思う。
最初の頃の不慣れな感じは最早なく、教えた家事は全て完璧と言ってもいいだろう。
だからお世話になりっぱなしなんて気を遣わなくてもいいのにな~なんて思ってしまう訳で……。
(でも多分…そう言っても納得はしないんだろうな)
これまでレイを見てきたから言えることだが、レイは未だにどこか遠慮がちだ。
俺なんてそんな気を遣うような相手じゃないのにと思うけど、レイは育ちがいいからつい色々考えすぎてしまうのかもしれない。
それならそれでギブアンドテイクとして受け取っておいて、レイがこの家を出る時に渡してやれるようこっそり貯金しておいてあげようと思った。
ポーションの売り上げがあるから別にソファを買い替えるお金には困ってないし。
「じゃあレイの負担にならない分だけ受け取っておくな」
「ああ。そうしてもらえたら嬉しい」
そしてどこかホッとしたように笑ったので、俺はなんだか妙にくすぐったいような気持ちに襲われてしまった。
(ピュアすぎる…!)
金の亡者な自分にそんな純粋笑顔を振りまいちゃダメだぞと思いながら、俺は何とか笑みを返した。
***
「う~ん…やっぱ俺、結構レイの事気に入ってるよな」
レイは綺麗な金髪と深緑の瞳をした美丈夫だ。
これまで聖女について何度か貴族にも会ったことはあるけれど、あそこまでの美形には早々出会えない。
聖女とはまた違ったタイプの美形だと思う。
ちなみに聖女も金髪碧眼の美少女だったりする。
透き通るような白皙の美貌を持ち、垂れ目が優しげで慈悲深さをより誇張させるような容姿をしているザ・聖女様。
ま、そっちの方は俺は最初から恋愛対象として一切見てないけど。
仕事を始める前は『慈悲深い聖女様のために誠心誠意仕えよう』とは一応思っていたけど、それだって疚しい気持ちがあった訳じゃなく自分の将来の仕事のためだったし、聖女の性格を知ってからは益々恋愛対象から外れていった。
だから冗談でも結婚相手にとか言われたくはないのだ。
ちなみに俺の恋愛対象は男女どっちでもって感じ。
これまで付き合ったのは一人だけだけど、それもちょっといいなと思った年上の男だった。
良かったら一度デートでもって誘われてそれから何度かデートをしたんだけど、付き合って早々なんか違うなって思ってすぐに別れた。
なんだろう?顔は好みだったのに、デートの時恋人繋ぎされたのが気持ち悪かったんだよな。
別に自分が潔癖症とかそういうんじゃないんだけど、なんか嫌だった。
手を繋いでダメなら多分キスもそれ以上も無理だなとその段階で気づいたから、ゴメンって言って別れた覚えがある。
だから次の相手はちょっといいなでは決めたくないし、自分から触れたいって思える相手に出会いたいと思ってたりする。
レイはそういった意味では好みの容姿だし、いいなとは思う。
家事のやりとりでふとした瞬間手が触れたりすることもあるし距離が近くなることもあるけど、それを嫌だと感じたことは一度もないし、寧ろ心地いいとさえ思えた。
助けた当初は本当に親切心から一緒に住むかって言ったけど、今では連れてきてよかったとさえ思ってしまっている。
特におかえりと言って毎日笑顔で出迎えてもらえるのがいい。
家に人がいて自分の帰りを待ってくれている。なんだかそれが無性に嬉しかった。
それにレイは俺が作った料理を本当に美味しそうに食べてくれるし、わからないことはわからないと素直に言って、謙虚に教えて欲しいって言ってくる。
そんなとても同い年に見えないちょっとした可愛いところが好きだった。
仮に本当は年下なんだって言われてもレイなら全然OK!むしろいい!って思うくらい母性本能が擽られまくりだ。
記憶喪失で不安になってるレイにそんなこと言ったら嫌われると思うから絶対に言わないけど。
あとはこちらの話を穏やかに聞いてくれるところも好ましいと思う。
(うん。やっぱりここ最近会った中で一番タイプかも)
でも記憶喪失のレイに自分から積極的にアプローチするのは弱みに付け込むみたいで嫌だし、無理矢理恋人関係を迫るなんてこともしたくはない。
相手あってこその恋愛だし、相手が嫌がることはしたくないからその辺は記憶が戻ってから少しずつ距離を近づけていけたらななんて思ってしまう。
「でも胃袋を掴んでおくくらいはいいよな?」
記憶が戻ってこちらのことを忘れたとしても、胃袋さえつかんでおいたら好感は得られるだろう。
下心ありまくりでちょっと申し訳ないけど、俺は強かなんだ。許してくれ。
「さてと。今日は何を作ってやろうかな?」
ついでにレイの好き嫌いもしっかり把握できたらいいなと思いながら、俺はその日も仕事に励んだ。
すっかり冒険者としての生活が板についてきたレイが、それを聞いてすぐにそっと俺の前に封筒を差し出してきて驚いてしまった。
「レイ?」
「ジェイドにはずっと世話になりっぱなしだし、せめてこれくらいの生活費は受け取ってほしくて…。いつ渡そうか悩んでたんだけど、ソファを買い替えるって聞いたから、その…少しでも足しにして欲しいなと」
「そんなこと、気にしなくてもいいのに」
レイは正直頑張ってくれていると思う。
記憶は相変わらず戻らないようだけど、日々冒険者ギルドで仕事を受けては森で魔物などを狩ったりしているようだし、最近ではイメチェンポーションの代金だってわざわざ払ってくれていた。
家では料理を作るのは俺だけど片付けるのはレイがしてくれているし、掃除は時間がある方が気づいた時にやると言った感じ。
だからどちらかというとレイの方が積極的にやってくれているように思う。
最初の頃の不慣れな感じは最早なく、教えた家事は全て完璧と言ってもいいだろう。
だからお世話になりっぱなしなんて気を遣わなくてもいいのにな~なんて思ってしまう訳で……。
(でも多分…そう言っても納得はしないんだろうな)
これまでレイを見てきたから言えることだが、レイは未だにどこか遠慮がちだ。
俺なんてそんな気を遣うような相手じゃないのにと思うけど、レイは育ちがいいからつい色々考えすぎてしまうのかもしれない。
それならそれでギブアンドテイクとして受け取っておいて、レイがこの家を出る時に渡してやれるようこっそり貯金しておいてあげようと思った。
ポーションの売り上げがあるから別にソファを買い替えるお金には困ってないし。
「じゃあレイの負担にならない分だけ受け取っておくな」
「ああ。そうしてもらえたら嬉しい」
そしてどこかホッとしたように笑ったので、俺はなんだか妙にくすぐったいような気持ちに襲われてしまった。
(ピュアすぎる…!)
金の亡者な自分にそんな純粋笑顔を振りまいちゃダメだぞと思いながら、俺は何とか笑みを返した。
***
「う~ん…やっぱ俺、結構レイの事気に入ってるよな」
レイは綺麗な金髪と深緑の瞳をした美丈夫だ。
これまで聖女について何度か貴族にも会ったことはあるけれど、あそこまでの美形には早々出会えない。
聖女とはまた違ったタイプの美形だと思う。
ちなみに聖女も金髪碧眼の美少女だったりする。
透き通るような白皙の美貌を持ち、垂れ目が優しげで慈悲深さをより誇張させるような容姿をしているザ・聖女様。
ま、そっちの方は俺は最初から恋愛対象として一切見てないけど。
仕事を始める前は『慈悲深い聖女様のために誠心誠意仕えよう』とは一応思っていたけど、それだって疚しい気持ちがあった訳じゃなく自分の将来の仕事のためだったし、聖女の性格を知ってからは益々恋愛対象から外れていった。
だから冗談でも結婚相手にとか言われたくはないのだ。
ちなみに俺の恋愛対象は男女どっちでもって感じ。
これまで付き合ったのは一人だけだけど、それもちょっといいなと思った年上の男だった。
良かったら一度デートでもって誘われてそれから何度かデートをしたんだけど、付き合って早々なんか違うなって思ってすぐに別れた。
なんだろう?顔は好みだったのに、デートの時恋人繋ぎされたのが気持ち悪かったんだよな。
別に自分が潔癖症とかそういうんじゃないんだけど、なんか嫌だった。
手を繋いでダメなら多分キスもそれ以上も無理だなとその段階で気づいたから、ゴメンって言って別れた覚えがある。
だから次の相手はちょっといいなでは決めたくないし、自分から触れたいって思える相手に出会いたいと思ってたりする。
レイはそういった意味では好みの容姿だし、いいなとは思う。
家事のやりとりでふとした瞬間手が触れたりすることもあるし距離が近くなることもあるけど、それを嫌だと感じたことは一度もないし、寧ろ心地いいとさえ思えた。
助けた当初は本当に親切心から一緒に住むかって言ったけど、今では連れてきてよかったとさえ思ってしまっている。
特におかえりと言って毎日笑顔で出迎えてもらえるのがいい。
家に人がいて自分の帰りを待ってくれている。なんだかそれが無性に嬉しかった。
それにレイは俺が作った料理を本当に美味しそうに食べてくれるし、わからないことはわからないと素直に言って、謙虚に教えて欲しいって言ってくる。
そんなとても同い年に見えないちょっとした可愛いところが好きだった。
仮に本当は年下なんだって言われてもレイなら全然OK!むしろいい!って思うくらい母性本能が擽られまくりだ。
記憶喪失で不安になってるレイにそんなこと言ったら嫌われると思うから絶対に言わないけど。
あとはこちらの話を穏やかに聞いてくれるところも好ましいと思う。
(うん。やっぱりここ最近会った中で一番タイプかも)
でも記憶喪失のレイに自分から積極的にアプローチするのは弱みに付け込むみたいで嫌だし、無理矢理恋人関係を迫るなんてこともしたくはない。
相手あってこその恋愛だし、相手が嫌がることはしたくないからその辺は記憶が戻ってから少しずつ距離を近づけていけたらななんて思ってしまう。
「でも胃袋を掴んでおくくらいはいいよな?」
記憶が戻ってこちらのことを忘れたとしても、胃袋さえつかんでおいたら好感は得られるだろう。
下心ありまくりでちょっと申し訳ないけど、俺は強かなんだ。許してくれ。
「さてと。今日は何を作ってやろうかな?」
ついでにレイの好き嫌いもしっかり把握できたらいいなと思いながら、俺はその日も仕事に励んだ。
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