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2.運命の再会
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俺が生まれた先はここメロウジーノ王国の公爵家。
名前はウタ=メディスン。
なんでウタ?って最初思ったんだけど、この国ではウタには祝福って言う意味があるからなんだって。
前世の感覚からすると女っぽい名前で嫌だなとつい考えずにはいられなかったけど、そう聞かされたらなんとなく悪い気はしなかった。
で、俺はお貴族様としてすくすく成長した。
しかもどうやらこの国の王太子様が俺と年が近いらしく、六歳になると早速というように王宮のお茶会へと連れ出された。
そこには当然ながら他の年の近い子息が集まっているわけで、騎士団長の息子、魔導士長の息子、宰相の息子なんかも集められていた。
どうやらみんな将来の王太子の側近候補らしい。
俺は正直あんまり王太子様に興味がなかったから無難に挨拶をしてさっさとお茶菓子に目を向けていた。
子供だなって?
俺、今思いっきり子供だし!
というかこっちのお菓子ってあんまり美味しくないのが多いから、こういう時にリサーチしておいて将来的に自分でもうちょっと好みの味で仕上げたいって言うのが本音。
貴族の息子だからそう簡単に厨房には入れてもらえないけど、大きくなったら自分専用のキッチンでも作らせよう。そうしよう。なんて考え中。
俺は別に料理男子とか乙男とかではないけど、母さんがお菓子代節約しなさいって言うから自分で作るようになった。
色々作ったけど、最終的に母さんのために低カロリー&ヘルシーなお菓子まで作れるようになっていた。
年中ダイエットダイエットって言ってる割にちっとも痩せない母さんだったから、色々考えたな~。
今では懐かしい思い出だ。
父さん母さん、間抜けな死に方して本当にごめん。
でもできれば俺のPCの中身は見ないで欲しい!
恥ずかしいものいっぱい突っ込んでたから見られたら恥ずかしすぎて死んじゃう!
あ、本棚の某書籍の間にこっそり仕舞ってるゲームもできれば見ないで!
あれ、買ったはいいけどあそこまでマニアック向けとは思わなくて、結局やらなかった奴なんだ。
俺に猟奇趣味があるわけじゃないから誤解しないで!
どっちもせめて死ぬ前に何とかしておきたかったなぁ…というのが本音。
誰にだって見られたくないものの一つや二つあるもんだしな。
そう言えば妹が友達から乙女ゲームを一緒にやろうって誘われたとか言ってたっけ。
あれってちょうど目の前にいるような連中を攻略していくようなゲームじゃなかったっけ?
まあ言ってみれば王道だよな。
キラキラした美形をヒロインが落としていくんだったっけ?
上手くやればハーレムルートとかに突入できるとか何とか。
ま、俺には関係ないけど。
俺は公爵家の嫡男ではあるけど、特に親はそういう目立つ役職でもないし。
なんだっけ?大臣ではあるけど、あんまり馴染みのない名称だったから忘れた。
それくらいの認識。
まあまだ六歳だし、これから学んでいけばいいかなとは思ってる。
取り敢えず今は目の前の雑事をこなしますかと思いながら、当り障りなくひっそりと場に溶け込んで周囲を観察する。
王太子の周りには当然と言えば当然だが人が次から次へと集まっていた。
覚えがめでたければそれだけ将来が明るいものへと繋がるし、気持ちもわからないでもない。
そんな連中を見ながら俺が何気なく目を向けたのは騎士団長の息子────。
(……え?)
最初はなんとも思わなかったんだけど、よく見ると柔和な顔が誰かと重なる気がして思わず目を擦ってしまう。
くりくりとした優し気なブラウンの瞳。
春風が吹き抜けるとふわっと柔らかく広がる髪。
「蓮…さん?」
顔は当然ながら全然違う。
日本人顔ではなくここではみんな西洋風の顔立ちなのだからそれは仕方がない。
けれど、あの優しい雰囲気も触れたくなるような髪も、全部好みドンピシャだった。
そして彼の方も自分に気づいたのか、呆けたようにこちらを向いてその口が俺の名を口にしたような気がした。
「こ…うた……?」
(やったー!!)
その時の気持ちを一体どう言い表せばいいんだろう?
もうこの人貰った!って心境。わかる?
同じ場所に転生出来たらいいなとは思ってたけど、まさか本当にこんな風に同じ世界に転生できるなんて…!
もうこれは口説くしかないよな!
名前はウタ=メディスン。
なんでウタ?って最初思ったんだけど、この国ではウタには祝福って言う意味があるからなんだって。
前世の感覚からすると女っぽい名前で嫌だなとつい考えずにはいられなかったけど、そう聞かされたらなんとなく悪い気はしなかった。
で、俺はお貴族様としてすくすく成長した。
しかもどうやらこの国の王太子様が俺と年が近いらしく、六歳になると早速というように王宮のお茶会へと連れ出された。
そこには当然ながら他の年の近い子息が集まっているわけで、騎士団長の息子、魔導士長の息子、宰相の息子なんかも集められていた。
どうやらみんな将来の王太子の側近候補らしい。
俺は正直あんまり王太子様に興味がなかったから無難に挨拶をしてさっさとお茶菓子に目を向けていた。
子供だなって?
俺、今思いっきり子供だし!
というかこっちのお菓子ってあんまり美味しくないのが多いから、こういう時にリサーチしておいて将来的に自分でもうちょっと好みの味で仕上げたいって言うのが本音。
貴族の息子だからそう簡単に厨房には入れてもらえないけど、大きくなったら自分専用のキッチンでも作らせよう。そうしよう。なんて考え中。
俺は別に料理男子とか乙男とかではないけど、母さんがお菓子代節約しなさいって言うから自分で作るようになった。
色々作ったけど、最終的に母さんのために低カロリー&ヘルシーなお菓子まで作れるようになっていた。
年中ダイエットダイエットって言ってる割にちっとも痩せない母さんだったから、色々考えたな~。
今では懐かしい思い出だ。
父さん母さん、間抜けな死に方して本当にごめん。
でもできれば俺のPCの中身は見ないで欲しい!
恥ずかしいものいっぱい突っ込んでたから見られたら恥ずかしすぎて死んじゃう!
あ、本棚の某書籍の間にこっそり仕舞ってるゲームもできれば見ないで!
あれ、買ったはいいけどあそこまでマニアック向けとは思わなくて、結局やらなかった奴なんだ。
俺に猟奇趣味があるわけじゃないから誤解しないで!
どっちもせめて死ぬ前に何とかしておきたかったなぁ…というのが本音。
誰にだって見られたくないものの一つや二つあるもんだしな。
そう言えば妹が友達から乙女ゲームを一緒にやろうって誘われたとか言ってたっけ。
あれってちょうど目の前にいるような連中を攻略していくようなゲームじゃなかったっけ?
まあ言ってみれば王道だよな。
キラキラした美形をヒロインが落としていくんだったっけ?
上手くやればハーレムルートとかに突入できるとか何とか。
ま、俺には関係ないけど。
俺は公爵家の嫡男ではあるけど、特に親はそういう目立つ役職でもないし。
なんだっけ?大臣ではあるけど、あんまり馴染みのない名称だったから忘れた。
それくらいの認識。
まあまだ六歳だし、これから学んでいけばいいかなとは思ってる。
取り敢えず今は目の前の雑事をこなしますかと思いながら、当り障りなくひっそりと場に溶け込んで周囲を観察する。
王太子の周りには当然と言えば当然だが人が次から次へと集まっていた。
覚えがめでたければそれだけ将来が明るいものへと繋がるし、気持ちもわからないでもない。
そんな連中を見ながら俺が何気なく目を向けたのは騎士団長の息子────。
(……え?)
最初はなんとも思わなかったんだけど、よく見ると柔和な顔が誰かと重なる気がして思わず目を擦ってしまう。
くりくりとした優し気なブラウンの瞳。
春風が吹き抜けるとふわっと柔らかく広がる髪。
「蓮…さん?」
顔は当然ながら全然違う。
日本人顔ではなくここではみんな西洋風の顔立ちなのだからそれは仕方がない。
けれど、あの優しい雰囲気も触れたくなるような髪も、全部好みドンピシャだった。
そして彼の方も自分に気づいたのか、呆けたようにこちらを向いてその口が俺の名を口にしたような気がした。
「こ…うた……?」
(やったー!!)
その時の気持ちを一体どう言い表せばいいんだろう?
もうこの人貰った!って心境。わかる?
同じ場所に転生出来たらいいなとは思ってたけど、まさか本当にこんな風に同じ世界に転生できるなんて…!
もうこれは口説くしかないよな!
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