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1.死神さんグッジョブ!
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「おい!しっかりしろ!」
そんな声が遠くに聞こえる。
えっと?おれ、どうしたんだっけ…?
確か自転車を漕いでて……そうだ!目の前に猫が飛び出してきたから避けたら運悪くバランスを崩して土手から転がり落ちたんだった!
え~……俺まさかそんなんで死んだとか言わないよな?
まさかね?
でも……身体が全く痛くないのがな~……。
そう思ってそっと目を開けると、案の定そこには見たこともない風景が広がってました。
あっちに見えるのがかの有名な賽の河原ですか?そうですか。
そうしてぼんやりしていると、俺に声を掛けてくれていた人が心配そうに顔を覗き込んできた。
(…………!!)
すっごい好みドンピシャ!
────って……あれ?
「蓮…さん?」
そこにいたのは10年前に亡くなったはずの父の親友、加賀 蓮さんだった。
当時俺は小学一年生。
遊びたい盛りにこの人にいっぱい遊んでもらった覚えがある。
でも……残念なことにその後バスの事故に巻き込まれて亡くなってしまったのだと父は酷く落ち込んでいた。
今でもたまに酒を飲みながら「あいつがいればな~…」なんて溢すことがあるくらい父さんも蓮さんが好きだったみたい。
そんな蓮さんなんだけど、どうしてこんなところにいるんだろう?
とっくに成仏しててもおかしくはないはずなのに……。
そうやって首を傾げていると蓮さんがどうして名前を知ってるんだと尋ねてきたので俺は素直に自分の名前を名乗った。
「俺、有村 康太。父さんの親友の蓮さんだろ?俺、小1の頃遊んでもらったんだけど…覚えてない?」
それを聞いた蓮さんは「有村って…お前、康太?あのちびっ子の?!」ってすっごく驚いてた。
そりゃまあね?10年経ってるし。大きくもなるよな。
で、蓮さん側の事情を聴いたんだけど、どうやら死神さんの都合で長らくここに留まっていたらしい。
なんでも100人集めてから一気に成仏…というか、転生させるって主義の人なんだって。
蓮さんが亡くなった時はちょうどその死神さんがその前の転生作業を終えたばかりで、また100人集まるまで待ってねと言われたらしい。
まあどうせすぐ集まるだろうと気楽にしてたら、どうやらこの死神はものぐさだったらしく、お仕事は気が向いた時にやりますよと言う感じで魂を集めるのに10年かかりましたとさ。
(ちゃんと仕事しろよ!)
まあそんなものぐさな死神のお陰で蓮さんとこうして再会できたし、溜めておいて一気に片付けると爽快感があっていいよねっていうのもよくわかる。
俺もどちらかというとそのタイプだし。
「はぁ…これでやっと転生できる……」
妙にホッとしたような蓮さんを見て、やっぱり好みだなと改めてしみじみと感じてしまった。
できれば生きてる時に会いたかった。
でもまあお互い死んじゃったものは仕方がない。
次の人生に期待だな。
「転生先、一緒だったらいいね」
そして死神らしい人が説明を始める中、こっそり蓮さんの隙をついて唇を奪った。
どうせ最後なんだし、これくらいの役得はあってもいいよな?
驚く蓮さんの顔を最期に俺達は光に飲み込まれて────気づけば俺は赤子になっていた。
そんな声が遠くに聞こえる。
えっと?おれ、どうしたんだっけ…?
確か自転車を漕いでて……そうだ!目の前に猫が飛び出してきたから避けたら運悪くバランスを崩して土手から転がり落ちたんだった!
え~……俺まさかそんなんで死んだとか言わないよな?
まさかね?
でも……身体が全く痛くないのがな~……。
そう思ってそっと目を開けると、案の定そこには見たこともない風景が広がってました。
あっちに見えるのがかの有名な賽の河原ですか?そうですか。
そうしてぼんやりしていると、俺に声を掛けてくれていた人が心配そうに顔を覗き込んできた。
(…………!!)
すっごい好みドンピシャ!
────って……あれ?
「蓮…さん?」
そこにいたのは10年前に亡くなったはずの父の親友、加賀 蓮さんだった。
当時俺は小学一年生。
遊びたい盛りにこの人にいっぱい遊んでもらった覚えがある。
でも……残念なことにその後バスの事故に巻き込まれて亡くなってしまったのだと父は酷く落ち込んでいた。
今でもたまに酒を飲みながら「あいつがいればな~…」なんて溢すことがあるくらい父さんも蓮さんが好きだったみたい。
そんな蓮さんなんだけど、どうしてこんなところにいるんだろう?
とっくに成仏しててもおかしくはないはずなのに……。
そうやって首を傾げていると蓮さんがどうして名前を知ってるんだと尋ねてきたので俺は素直に自分の名前を名乗った。
「俺、有村 康太。父さんの親友の蓮さんだろ?俺、小1の頃遊んでもらったんだけど…覚えてない?」
それを聞いた蓮さんは「有村って…お前、康太?あのちびっ子の?!」ってすっごく驚いてた。
そりゃまあね?10年経ってるし。大きくもなるよな。
で、蓮さん側の事情を聴いたんだけど、どうやら死神さんの都合で長らくここに留まっていたらしい。
なんでも100人集めてから一気に成仏…というか、転生させるって主義の人なんだって。
蓮さんが亡くなった時はちょうどその死神さんがその前の転生作業を終えたばかりで、また100人集まるまで待ってねと言われたらしい。
まあどうせすぐ集まるだろうと気楽にしてたら、どうやらこの死神はものぐさだったらしく、お仕事は気が向いた時にやりますよと言う感じで魂を集めるのに10年かかりましたとさ。
(ちゃんと仕事しろよ!)
まあそんなものぐさな死神のお陰で蓮さんとこうして再会できたし、溜めておいて一気に片付けると爽快感があっていいよねっていうのもよくわかる。
俺もどちらかというとそのタイプだし。
「はぁ…これでやっと転生できる……」
妙にホッとしたような蓮さんを見て、やっぱり好みだなと改めてしみじみと感じてしまった。
できれば生きてる時に会いたかった。
でもまあお互い死んじゃったものは仕方がない。
次の人生に期待だな。
「転生先、一緒だったらいいね」
そして死神らしい人が説明を始める中、こっそり蓮さんの隙をついて唇を奪った。
どうせ最後なんだし、これくらいの役得はあってもいいよな?
驚く蓮さんの顔を最期に俺達は光に飲み込まれて────気づけば俺は赤子になっていた。
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