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25.不穏
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信じられないほどガッツかれた日、結局俺は伊集院の部屋に泊めてもらって、翌日も世話になってしまった。
単純に腰砕けで一人で歩けなかったからだ。
トイレとシャワーに行くにも伊集院に支えてもらいながら移動する羽目に。
もう抱かれたくないって言ったら、ちゃんと加減するから許して欲しいって言われて一応許した。
普通ならもっと怒るべきなんだろうけど、申し訳なさそうに、でも嬉しそうに甲斐甲斐しく俺の世話をしてくる伊集院にあまり強くは怒れない。
本人曰く、俺が頷いたのが嬉し過ぎて舞い上がってしまったんだと。
まあ、俺のクラスメイト達曰く、これまでの俺は塩対応だったらしいから?仕方ないのかもしれないけどな。
「そう言えば夏休みが終わったらすぐ文化祭準備で忙しくなるな。選挙もあるからそっちも準備しないといけないし」
「ああ。それがあるから先生達も結局内原達を厳重注意だけに留めて、解任しなかったみたいだし、あの二人にも頑張ってもらわないとな」
問題視されている御堂と内原の二人は終業式が終わったところで先生達に呼び出されて、頭を下げて俺達に謝罪をしてきた。
曰く、二学期からは真面目に生徒会運営に尽力しますとのこと。
本当にそうなってほしいものだ。
そんな二人だが、この夏休み中に休んでいた間の仕事について話す予定ではある。
まあ文化祭関連がほとんどだけど。
当日の動きなんかもしっかり把握してくれないと困るし、ここでサボられたら本気で困る。
一応クラスメイト達も協力すると言ってくれているし、部活の後輩達も声を掛けてほしいと言ってはくれてるが、皆自分達の仕事だってあるはずだからあまり無理は言えないだろう。
「なんとか問題なく終わるといいな」
「本当にな」
そう言いながらさり気なく肩を引き寄せて俺を自分に寄りかからせてくる伊集院。
凄く今更だが、なんだかこんな風にしていると恋人扱いされているようにしか思えない。
大人しく抱かれたからって勘違いしてないだろうな?
一応はっきり付き合ってないと言ったつもりだが、どうもわかっていなさそうで心配になってしまう。
もう一度釘を刺しておくべきか?
「誉」
「なんだ?」
「付き合ってないからな?」
「知ってる。昨日ちゃんと聞いた」
「ならいい」
どうやら大丈夫そうだ。
そう思ってホッとしながら伊集院へと凭れ掛かったら、どこか嬉しそうに髪にキスを落とされた。
「知臣。付き合ってはいなくても、毎日会うのはいいよな?」
「…まあ、それくらいなら」
「あと、これまでの約束も有効だよな?」
「約束?」
「今更触れるの禁止って言うのは無しだからな?」
ニコッと爽やかに微笑む伊集院を前に俺はこれまでの約束とやらを思い出し、何故か何か大きな失敗をしてしまったような気分に襲われたのだった。
***
【Side.内原】
(腹立つ、腹立つ、腹立つ!)
最近俺が好きな相手、ダミアンが御堂とやけに仲が良い。
それもこれも休日に会長達と遭遇したあの日が要因だ。
副会長が俺よりも御堂の方が頼りになると言って店からダミアンを連れ出させたから、あれがあったからバランスが崩れたんだ。
折角御堂が生徒会に顔を出した際にあいつを出し抜いてダミアンとの距離を詰められたと思ったのに…!
(許せない…!)
いつも偉そうな会長も、口煩い副会長も、俺からダミアンを取る御堂も…!
皆目障りだ。
それもあったから会長と副会長がデキてるという噂を広めてやった。
ちょうど夜中に決定的なところを目撃したし、精々困ればいいんだ。
ちょっと会長からは脅されたけど、どうせ大したことができるはずもない。
そう思って同学年だけではなく下の学年にも噂を流布して、最後の仕上げとばかりに本人に突撃して上級生にも噂を広めてやろうと思ったのに────結果は失敗に終わってしまった。
腹立たしいことに副会長のクラスメイト達はその噂を笑い飛ばしたのだ。
本当なのに。
「しかも本人まで認めないし!」
何が付き合ってない、だ。
あの甘い雰囲気はどう考えても付き合ってるだろう。
でなければわざわざ部屋まで送ったりするはずがないじゃないか。
「…馬鹿にして!」
なのに折角流した噂はあっという間に掻き消えて、何故か会長が副会長に片思いをしているという話が通説になった。
(なんでだよ?!)
「絶対デキてるのに…!」
そうこうしているうちに先生から御堂ともども呼び出され、生徒会をサボっていることが問題になっていると厳重注意を受けた。
別にサボったってあの二人が上手く回してるんだからいいじゃないか。
何が悪いんだ?
そう思って不貞腐れていたら、御堂が深々と先生に頭を下げて『申し訳ありませんでした』なんて言うから益々イラついた。
同じようにサボってたくせに今更いい子ぶりやがって。
だから俺も形だけ謝罪して、後でこっそりダミアンに言ってやった。
『御堂の奴、先生から叱られて全く反省してなかったんだ。酷いと思わないか?』
なのに……。
『それはないと思う。だって夏休みが明けたら文化祭の準備もあるしそっちに手が取られるからあんまり会えなくなると思うけど、僕を好きな気持ちは変わらないから、気持ちに応えてもらえるなら文化祭一緒に回ってほしいって告白されたから』
そんな答えが返ってきて苛立ちは最高潮に達してしまった。
こんな風に出し抜かれるなんて最悪もいいところだ。
だから俺はすぐにダミアンに文化祭は俺と回ってほしいって伝えた。
でも返ってきた答えは『ゴメン』だった。
振られたも同然の言葉に愕然となって、でも悔しくてそのままダミアンを抱き寄せて唇を奪ったら滅茶苦茶暴れられて、御堂がすっ飛んできて助けに入るし、そこからあの二人で会うことが増えた気がする。
付き合うようになるのは時間の問題だろう。
それもこれも会長達が悪い。
絶対に許さない。
そう思って俺はとある場所に連絡を入れた。
────副会長を襲ってもらうために。
生徒会長は副会長を大事に思っているのは間違いない。
副会長が襲われたらショックを受けるだろう。
副会長だって男達に輪姦されたらあの綺麗な顔を絶望に染めるはず。
そうだ。写真も撮ってもらおう。
折角だしそれをバラまいてやろう。
そうしたらいくら会長でもどうにもできなくなるだろう。
「この俺に脅しをかけてきたんだ。これくらいの報復はしてやらないと」
そうして俺はフッと笑った。
単純に腰砕けで一人で歩けなかったからだ。
トイレとシャワーに行くにも伊集院に支えてもらいながら移動する羽目に。
もう抱かれたくないって言ったら、ちゃんと加減するから許して欲しいって言われて一応許した。
普通ならもっと怒るべきなんだろうけど、申し訳なさそうに、でも嬉しそうに甲斐甲斐しく俺の世話をしてくる伊集院にあまり強くは怒れない。
本人曰く、俺が頷いたのが嬉し過ぎて舞い上がってしまったんだと。
まあ、俺のクラスメイト達曰く、これまでの俺は塩対応だったらしいから?仕方ないのかもしれないけどな。
「そう言えば夏休みが終わったらすぐ文化祭準備で忙しくなるな。選挙もあるからそっちも準備しないといけないし」
「ああ。それがあるから先生達も結局内原達を厳重注意だけに留めて、解任しなかったみたいだし、あの二人にも頑張ってもらわないとな」
問題視されている御堂と内原の二人は終業式が終わったところで先生達に呼び出されて、頭を下げて俺達に謝罪をしてきた。
曰く、二学期からは真面目に生徒会運営に尽力しますとのこと。
本当にそうなってほしいものだ。
そんな二人だが、この夏休み中に休んでいた間の仕事について話す予定ではある。
まあ文化祭関連がほとんどだけど。
当日の動きなんかもしっかり把握してくれないと困るし、ここでサボられたら本気で困る。
一応クラスメイト達も協力すると言ってくれているし、部活の後輩達も声を掛けてほしいと言ってはくれてるが、皆自分達の仕事だってあるはずだからあまり無理は言えないだろう。
「なんとか問題なく終わるといいな」
「本当にな」
そう言いながらさり気なく肩を引き寄せて俺を自分に寄りかからせてくる伊集院。
凄く今更だが、なんだかこんな風にしていると恋人扱いされているようにしか思えない。
大人しく抱かれたからって勘違いしてないだろうな?
一応はっきり付き合ってないと言ったつもりだが、どうもわかっていなさそうで心配になってしまう。
もう一度釘を刺しておくべきか?
「誉」
「なんだ?」
「付き合ってないからな?」
「知ってる。昨日ちゃんと聞いた」
「ならいい」
どうやら大丈夫そうだ。
そう思ってホッとしながら伊集院へと凭れ掛かったら、どこか嬉しそうに髪にキスを落とされた。
「知臣。付き合ってはいなくても、毎日会うのはいいよな?」
「…まあ、それくらいなら」
「あと、これまでの約束も有効だよな?」
「約束?」
「今更触れるの禁止って言うのは無しだからな?」
ニコッと爽やかに微笑む伊集院を前に俺はこれまでの約束とやらを思い出し、何故か何か大きな失敗をしてしまったような気分に襲われたのだった。
***
【Side.内原】
(腹立つ、腹立つ、腹立つ!)
最近俺が好きな相手、ダミアンが御堂とやけに仲が良い。
それもこれも休日に会長達と遭遇したあの日が要因だ。
副会長が俺よりも御堂の方が頼りになると言って店からダミアンを連れ出させたから、あれがあったからバランスが崩れたんだ。
折角御堂が生徒会に顔を出した際にあいつを出し抜いてダミアンとの距離を詰められたと思ったのに…!
(許せない…!)
いつも偉そうな会長も、口煩い副会長も、俺からダミアンを取る御堂も…!
皆目障りだ。
それもあったから会長と副会長がデキてるという噂を広めてやった。
ちょうど夜中に決定的なところを目撃したし、精々困ればいいんだ。
ちょっと会長からは脅されたけど、どうせ大したことができるはずもない。
そう思って同学年だけではなく下の学年にも噂を流布して、最後の仕上げとばかりに本人に突撃して上級生にも噂を広めてやろうと思ったのに────結果は失敗に終わってしまった。
腹立たしいことに副会長のクラスメイト達はその噂を笑い飛ばしたのだ。
本当なのに。
「しかも本人まで認めないし!」
何が付き合ってない、だ。
あの甘い雰囲気はどう考えても付き合ってるだろう。
でなければわざわざ部屋まで送ったりするはずがないじゃないか。
「…馬鹿にして!」
なのに折角流した噂はあっという間に掻き消えて、何故か会長が副会長に片思いをしているという話が通説になった。
(なんでだよ?!)
「絶対デキてるのに…!」
そうこうしているうちに先生から御堂ともども呼び出され、生徒会をサボっていることが問題になっていると厳重注意を受けた。
別にサボったってあの二人が上手く回してるんだからいいじゃないか。
何が悪いんだ?
そう思って不貞腐れていたら、御堂が深々と先生に頭を下げて『申し訳ありませんでした』なんて言うから益々イラついた。
同じようにサボってたくせに今更いい子ぶりやがって。
だから俺も形だけ謝罪して、後でこっそりダミアンに言ってやった。
『御堂の奴、先生から叱られて全く反省してなかったんだ。酷いと思わないか?』
なのに……。
『それはないと思う。だって夏休みが明けたら文化祭の準備もあるしそっちに手が取られるからあんまり会えなくなると思うけど、僕を好きな気持ちは変わらないから、気持ちに応えてもらえるなら文化祭一緒に回ってほしいって告白されたから』
そんな答えが返ってきて苛立ちは最高潮に達してしまった。
こんな風に出し抜かれるなんて最悪もいいところだ。
だから俺はすぐにダミアンに文化祭は俺と回ってほしいって伝えた。
でも返ってきた答えは『ゴメン』だった。
振られたも同然の言葉に愕然となって、でも悔しくてそのままダミアンを抱き寄せて唇を奪ったら滅茶苦茶暴れられて、御堂がすっ飛んできて助けに入るし、そこからあの二人で会うことが増えた気がする。
付き合うようになるのは時間の問題だろう。
それもこれも会長達が悪い。
絶対に許さない。
そう思って俺はとある場所に連絡を入れた。
────副会長を襲ってもらうために。
生徒会長は副会長を大事に思っているのは間違いない。
副会長が襲われたらショックを受けるだろう。
副会長だって男達に輪姦されたらあの綺麗な顔を絶望に染めるはず。
そうだ。写真も撮ってもらおう。
折角だしそれをバラまいてやろう。
そうしたらいくら会長でもどうにもできなくなるだろう。
「この俺に脅しをかけてきたんだ。これくらいの報復はしてやらないと」
そうして俺はフッと笑った。
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