12 / 41
12.遭遇
しおりを挟む
俺が剣道部仲間と話していると、突然その声は耳に飛び込んできた。
「あ、会長と副会長だ!」
見ると内原と御堂が生徒会に顔を出さなくなった諸悪の根源、ダミアンが満面の笑みで立っていた。
しかも二人と一緒だ。
「え~?奇遇ですね!今日は部活の皆でご飯ですか?」
「ああ」
伊集院が淡々と返事を返す。
「いいですね!そうだ、折角ですしついでに生徒会の親睦も兼ねてご一緒していいですか?ほら、内原君と御堂君もいるので是非!」
「悪いけど、今日は遠慮してくれないか?」
「ええ~?どうしてですか?」
「今度のインターハイについての話をしてたから。悪いな」
「そんなの別に今じゃなくてもいいじゃないですか~」
どこか拗ねたように甘えた口調で伊集院に同席をねだるこいつに、正直俺は激怒寸前だった。
ふざけるなと怒鳴りつけたい気持ちが込み上げてきて、ギッと思わず睨んだところでそっと隣から手を重ねられ、『落ち着け』とばかりに軽く握られる。
「正直仕事をサボってばかりの内原達より、真面目に部活に取り組んでいる後輩達と過ごす時間の方が有意義なんだ。わかったらさっさとどこかに行ってくれないか?店にも迷惑だから」
俺の手を握りながら真っ直ぐにダミアンの方を笑顔で見遣り、キッパリとそう言い切る伊集院は文句なしにカッコよかった。
後輩達も皆伊集院にキラキラした目を向けている。
そしてキッパリと断られた方のダミアンはと言うと、なんとここでいきなり泣き出した。
もう高校生なのにそれはないだろう。女なら兎も角男だろう?
内原と御堂が慌てて慰めているが、そういう茶番はどこか余所でやってほしい。
「御堂。内原よりお前の方が頼りになる。そいつを連れて店を出ろ。男なら好きな奴にこんな場所で恥ずかしい思いをさせてやるな」
溜息を吐き、俺がそう言ってやると御堂はハッとした顔ですぐに行動に移してくれる。
これが内原だったらきっと余計に事態がややこしくなっただろうし、無難な人選だったと思う。
「すみません。これで失礼します」
そう言いながら御堂はダミアンを連れて店を出て行ったが、内原は去り際にこちらを睨んでから二人の後を追っていった。
きっと俺の言い方が気に食わなかったんだろう。
「災難だったな」
思わずそう溢したら後輩達も『本当ですよ』と皆頷いてくる。
そんな中、伊集院は皆を宥めるように『まあまあ』と苦笑して『さあ。食べようか』と改めて場を仕切り直した。
***
【Side.伊集院 誉】
折角の楽しい時間を邪魔するように乱入してきたダミアン達。
そんなダミアン達に有馬はとても怒っていた。
有馬は基本的にこういう相手の都合を考えず、無理矢理自分の意見を通そうとするような奴が大嫌いなんだ。
まあだからこそ俺もあの時の行動を後から物凄く後悔したのだけど…。
何はともあれここで騒ぎを起こすのは得策ではない。
そう思って有馬の手をさり気なく握って『落ち着け』と促し、さっさと行けとばかりにダミアン達を追い払いにかかった。
なのにここでまさかの泣き落としに出るとは。
俺には姉が一人いて、いつだってその手法で親の関心を掻っ攫っていっていたから、実は俺はこの嘘泣きのような『可哀想な自分』を演出してくるような奴が大嫌いなのだ。
だからここでその手段を取られて、もう本当にイラっとした。
でも俺が不機嫌を露わにするよりも前に、ここでサラッと有馬は御堂に声を掛けその場から退散させてくれる。
「御堂。内原よりお前の方が頼りになる。そいつを連れて店を出ろ。男なら好きな奴にこんな場所で恥ずかしい思いをさせてやるな」
そのセリフがまた似合うんだ。
『男なら好きな奴に恥ずかしい思いをさせてやるな』
これが俺をさり気なく助けるために紡がれた言葉だったら嬉しいのに────。
思わずそんなことを考えてしまう自分がいた。
有馬は文句なしにカッコいい奴だ。
有馬の『好きな奴』になれたら凄く守ってもらえそうな気がしてならない。
だからこそそれに焦りを感じた。
卒業したらまず間違いなくあっという間に彼女を作ってしまいそうだし、そうなる前に絶対に捕まえておきたいと改めて考え直す。
やはりここは気を緩めず、積極的に攻めるしかない。
「この後、どうします?」
食事を再開したところで、後輩の一人が徐にそんな言葉を口にした。
「あ、俺本屋に寄りたいんだけど」
ツイてることに、そのタイミングで有馬が希望を口にしてくれる。
(てっきり『すぐに帰る』と言うと思ってたのに)
これはある意味チャンスだ。
「あ、俺服を見に行きたいんで、帰りの時間だけ指定してもらっていいですか?」
「俺もちょっと文具を見に行きたかったんです」
しかも都合のいいことに後輩達はいつもの如く行きたい場所がバラバラだった。
これなら有馬と二人きりになるのは容易い。
「じゃあ5時に車のところで集合にしようか」
「了解です!」
本屋に行くのは俺と有馬の二人だけ。
まさに気分は初デート!
逃げられないように上手く行動しよう。
そんなことを考えながら俺はそっと微笑んだ。
「あ、会長と副会長だ!」
見ると内原と御堂が生徒会に顔を出さなくなった諸悪の根源、ダミアンが満面の笑みで立っていた。
しかも二人と一緒だ。
「え~?奇遇ですね!今日は部活の皆でご飯ですか?」
「ああ」
伊集院が淡々と返事を返す。
「いいですね!そうだ、折角ですしついでに生徒会の親睦も兼ねてご一緒していいですか?ほら、内原君と御堂君もいるので是非!」
「悪いけど、今日は遠慮してくれないか?」
「ええ~?どうしてですか?」
「今度のインターハイについての話をしてたから。悪いな」
「そんなの別に今じゃなくてもいいじゃないですか~」
どこか拗ねたように甘えた口調で伊集院に同席をねだるこいつに、正直俺は激怒寸前だった。
ふざけるなと怒鳴りつけたい気持ちが込み上げてきて、ギッと思わず睨んだところでそっと隣から手を重ねられ、『落ち着け』とばかりに軽く握られる。
「正直仕事をサボってばかりの内原達より、真面目に部活に取り組んでいる後輩達と過ごす時間の方が有意義なんだ。わかったらさっさとどこかに行ってくれないか?店にも迷惑だから」
俺の手を握りながら真っ直ぐにダミアンの方を笑顔で見遣り、キッパリとそう言い切る伊集院は文句なしにカッコよかった。
後輩達も皆伊集院にキラキラした目を向けている。
そしてキッパリと断られた方のダミアンはと言うと、なんとここでいきなり泣き出した。
もう高校生なのにそれはないだろう。女なら兎も角男だろう?
内原と御堂が慌てて慰めているが、そういう茶番はどこか余所でやってほしい。
「御堂。内原よりお前の方が頼りになる。そいつを連れて店を出ろ。男なら好きな奴にこんな場所で恥ずかしい思いをさせてやるな」
溜息を吐き、俺がそう言ってやると御堂はハッとした顔ですぐに行動に移してくれる。
これが内原だったらきっと余計に事態がややこしくなっただろうし、無難な人選だったと思う。
「すみません。これで失礼します」
そう言いながら御堂はダミアンを連れて店を出て行ったが、内原は去り際にこちらを睨んでから二人の後を追っていった。
きっと俺の言い方が気に食わなかったんだろう。
「災難だったな」
思わずそう溢したら後輩達も『本当ですよ』と皆頷いてくる。
そんな中、伊集院は皆を宥めるように『まあまあ』と苦笑して『さあ。食べようか』と改めて場を仕切り直した。
***
【Side.伊集院 誉】
折角の楽しい時間を邪魔するように乱入してきたダミアン達。
そんなダミアン達に有馬はとても怒っていた。
有馬は基本的にこういう相手の都合を考えず、無理矢理自分の意見を通そうとするような奴が大嫌いなんだ。
まあだからこそ俺もあの時の行動を後から物凄く後悔したのだけど…。
何はともあれここで騒ぎを起こすのは得策ではない。
そう思って有馬の手をさり気なく握って『落ち着け』と促し、さっさと行けとばかりにダミアン達を追い払いにかかった。
なのにここでまさかの泣き落としに出るとは。
俺には姉が一人いて、いつだってその手法で親の関心を掻っ攫っていっていたから、実は俺はこの嘘泣きのような『可哀想な自分』を演出してくるような奴が大嫌いなのだ。
だからここでその手段を取られて、もう本当にイラっとした。
でも俺が不機嫌を露わにするよりも前に、ここでサラッと有馬は御堂に声を掛けその場から退散させてくれる。
「御堂。内原よりお前の方が頼りになる。そいつを連れて店を出ろ。男なら好きな奴にこんな場所で恥ずかしい思いをさせてやるな」
そのセリフがまた似合うんだ。
『男なら好きな奴に恥ずかしい思いをさせてやるな』
これが俺をさり気なく助けるために紡がれた言葉だったら嬉しいのに────。
思わずそんなことを考えてしまう自分がいた。
有馬は文句なしにカッコいい奴だ。
有馬の『好きな奴』になれたら凄く守ってもらえそうな気がしてならない。
だからこそそれに焦りを感じた。
卒業したらまず間違いなくあっという間に彼女を作ってしまいそうだし、そうなる前に絶対に捕まえておきたいと改めて考え直す。
やはりここは気を緩めず、積極的に攻めるしかない。
「この後、どうします?」
食事を再開したところで、後輩の一人が徐にそんな言葉を口にした。
「あ、俺本屋に寄りたいんだけど」
ツイてることに、そのタイミングで有馬が希望を口にしてくれる。
(てっきり『すぐに帰る』と言うと思ってたのに)
これはある意味チャンスだ。
「あ、俺服を見に行きたいんで、帰りの時間だけ指定してもらっていいですか?」
「俺もちょっと文具を見に行きたかったんです」
しかも都合のいいことに後輩達はいつもの如く行きたい場所がバラバラだった。
これなら有馬と二人きりになるのは容易い。
「じゃあ5時に車のところで集合にしようか」
「了解です!」
本屋に行くのは俺と有馬の二人だけ。
まさに気分は初デート!
逃げられないように上手く行動しよう。
そんなことを考えながら俺はそっと微笑んだ。
39
あなたにおすすめの小説
もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?
藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。
なんで?どうして?
そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。
片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。
勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。
お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。
少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。
(R4.11.3 全体に手を入れました)
【ちょこっとネタバレ】
番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。
BL大賞期間内に番外編も完結予定です。
もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか
まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。
そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。
テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。
そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。
大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン
ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。
テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。
※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
春を拒む【完結】
璃々丸
BL
日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。
「ケイト君を解放してあげてください!」
大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。
ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。
環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』
そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。
オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。
不定期更新になります。
ブレスレットが運んできたもの
mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。
そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。
血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。
これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。
俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。
そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる