【完結】俺はライバルの腕の中で啼く。

オレンジペコ

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1.突然の告白

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有馬ありま 知臣ともおみそれが俺の名前。
現在ここグランディウス学園の生徒会、副会長をやっている。
ここグランディウス学園は全寮制のボンボン学校だ。
馬鹿な奴から賢い奴まで詰め込まれた男子校。
そして生徒会の会計と書記が現在進行形で脳内お花畑の恋愛中だから、たまったものじゃない。

相手は最近転校してきたダミアン=石井。
聞くところによると大物政治家の庶子らしく、ハーフの美形。
会計の内原と書記の御堂曰く、天使のような愛らしさとのこと。
確かに美形は美形だが、男であることには変わりはない。
俺は全く興味がなかった。

そんな事より二人が脳内お花畑で仕事をそっちのけにするから、俺にしわ寄せが来るしやめてほしい。
しかもただでさえあまり話したくない、ライバルの伊集院いじゅういん ほまれが生徒会長なのに、二人きりで生徒会室にいたら気まずいじゃないか。

伊集院と俺はこの学園に入った当初から首席争いをするライバルで、それだけではなく剣道部でも張り合う間柄だった。
その上生徒会では会長と副会長。
会長選挙で負けて副会長に収まっただけに悔しくて当時は少し荒れた。

まあそんな相手だから仲良く話す関係ではないし、お互いに黙々と仕事をこなすのみなんだが…。

「有馬」

珍しく今日は向こうから話しかけてきた。

「内原と御堂の分まで一人で抱え込まずこちらに回せ」
「いや。これは俺が…」
「いいから」

そう言って席を立ち、俺が座る椅子までくると次代の生徒会への引継ぎ資料を手に取る。
その際背後から手を伸ばされたせいで、一瞬包まれるような体勢になって、ふわりと伊集院の香りに包まれた。
シャンプーの匂いなのかそれともほんの少し香水でもつけているのか、心地の良い柑橘系の香りが鼻を擽ってくる。

「全くあの二人には困ったものだな」

深々と溜息を吐く伊集院にハッと我に返って俺も短く「そうだな」と返した。
ダミアンは最初、勝手に生徒会室にやってきては内原と御堂だけではなく俺達二人にも頻繁に接触をしてきていた。
それはあまりにも度を越えていて、その態度が鬱陶しすぎて『この部屋に入れるな』と伊集院自らが思わず言い渡すほど酷いもので、それ以降内原と御堂がここに滅多に来なくなって、仕事そっちのけになったのは言うまでもない。

そんなこともあり、今現在生徒会は基本的に俺達二人で回している状態だ。
各学年の学級委員などは大規模イベント時に手伝ってはくれるが、それだけだ。
企画運営はすべて生徒会役員だけでやらないといけない。
まあそれも後数か月で終わるし、我慢すればいいだけの話なのだが。

「学園祭の予算案がこっち。想定される問題点の解決案がこっち。業者リストがこっち」

取り敢えず何とかまとめたものを伊集院に渡すと『流石だな』と言われたが、そんなものこいつにだってできることだし、できて当然だとしか思えなかった。

「有馬。剣道部顧問に今度のインターハイが終わったら引退すると言ったそうだな」
「ああ」
「何故だ?」

このままエスカレーターで上に上がるのだからもっとギリギリまでいればいいのにと言われたが、そろそろ将来的に色々考えようと思って決めたことだし、伊集院がそんなことをわざわざ言ってくる意味が分からなかった。

「お前には関係ないだろう?」
「俺は……お前がいるから剣道部に居続けたんだぞ?」
「……は?」

こいつは何を言っているんだろうか?

「俺は昔から家の都合で色んな武道を習ってきたから、部活なんて何でもよかったんだ。でもお前がいたから…。お前が居て、実力も俺と引けを取らなかったから楽しくて…」

なるほど。ライバル的な相手がいたからこそやめなかったと。
これについては気持ちは少しだけわかる。
実力差があり過ぎる相手とばかりやっていてもつまらないからだ。
そう言った意味では俺もやり甲斐はあった。

「俺はお前ともっと仲良くなりたかった」

とは言え伊集院からポツリとそう言われても、俺達はそんな仲じゃない。

「勉強の面でもお前は優秀だったし、絶対に話せば仲良くなれると思ったのに、お前はいつだって俺の誘いを拒絶する」
「まあ、お前はライバルだしな」

別に親しくする義理はないし、誘われたって困るだけだ。
負けると悔しいし、勝てたら嬉しい。
それだけの相手だ。
ライバルってそういうものだろう?
なのに、そう言った途端、伊集院はいきなり俺を引き寄せて唇を重ねてきた。

「んっ?!んんんっ?!」

必死に押しのけようとするものの、伊集院の腕はちっとも緩まない。
そのうち息が苦しくなって酸欠状態で頭がぼんやりしてきたところでやっとその唇が離される。

「有馬。ずっと好きだった」
「……へ?」
「無理強いはしたくないと思って、仲良くなろうとしてきたし、ライバルとしてであっても意識されているからとずっと我慢した結果がこれなら俺はもう遠慮なんてしない」
「え…?」
「このままずっと進展がないなら俺の我慢は無意味だろう?これからは我慢はやめて、攻めさせてもらう」

そう言った後、俺の腰を引き寄せながら伊集院はまた俺の唇を奪った。

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