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Ⅱ.セカンド・コンタクト

11.街だ~!

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俺はラフィに連れられて取り敢えず以前と同じ部屋に案内され、そこで予め用意されていたこっちでの庶民の服に着替えた。
薄緑の爽やかな色合いのシャツにゆったりとした動きやすいベージュのパンツで、特にコスプレ感はない。
足元は茶色のショートブーツだけど、柔らかい革素材で履き心地も抜群だった。
最後に渡されたバンダナを首に巻けば完成だ。
これは日焼け防止にもなるし、暑い時は頭に巻いてもいいから便利なんだって。
ちなみにラフィは水色のシャツに細身の濃いブルーのパンツですっきり着こなしている。
足元は黒の編み上げブーツでカッコよくきめていて、バンダナもお洒落に首元に巻かれていることから随分慣れている印象を受けた。
これは絶対何度も外に出掛けているに違いない。
でもそのおかげでこうして街に連れて行ってもらえるのだから、俺には否やはなかった。

「じゃ、行くか」

ラフィはそう言うと俺の手を引き窓際まで連れてくると、こっちこっちと言ってスルスルと窓から脱出していく。
え~…俺に出来るかな?
そうは思いながらもこんな機会滅多にないからわくわくして仕方がない。
俺はラフィの降り方をじっくり観察して足場を確認し、落ちたら受け止めるからと言ってくれるラフィの言葉に頷いてから同じように脱出にかかった。
下から小声で「そっちに足かけて!」なんて言われながら頑張ってなんとか降りきるとラフィが満面の笑みでハイタッチをしてくれる。
それを受けてじわじわと達成感が湧き上がり思わず顔が綻んでしまったほどだ。
後は庭を駆け抜け使用人の出入りする通用門から抜け出すだけ────。

「よし。じゃあユウジにもお金渡しておくから、もし迷子になったらこの通用門前で集合な」

それと共に通貨を渡され、大体の説明を受ける。
四角い銀色の小さなものが1アレ。
同じくらい小さい丸い銀色のものが10アレ。
それより一回り大きい銀色の丸いものが100アレ。
このあたりは一円、十円、百円と一緒のようだ。
それから1アレと同じく四角いけど青銅みたいな色合いのものが500アレ。
10アレの青銅バージョンが1000アレ。
100アレの青銅バージョンが5000アレ。
まあそのまんま五百円、千円、五千円と考えるとわかりやすい。
どうやら紙幣って言うのはないらしく、そのまま10,000アレ以降も全部貨幣のようだった。

今回の街歩きでは上にあげたような貨幣で30,000アレ分持たされた。
貰い過ぎじゃないかなと思ったんだけど、どうせ五日いるんだから気にせず使ってほしいって言われた。
しかも足りない分はまた随時渡すからなんて言われて、やっぱり王子だななんて思ってしまった。
太っ腹だ。
でもラフィにそれを言ったら、自分はそれだけ毎日のように仕事をこなしてるんだから当然の対価として受け取っている。それを友人に使って何が悪い、という感じなのだそうだ。
どうやら仕事疲れと共に相当鬱屈が溜まっているらしいので、この辺は触れない方がいいだろう。
とは言え貰いっぱなしは悪いから、今度何かで返せたらなと思ったのだが────。

「あ、そうそう。忘れないうちにコレ」

そう言ってラフィが渡してくれたのは前回俺が給仕として働いた対価だった。
まさか貰えるとは思ってもみなかったので、驚いて固まってしまう。
しかも「全部で三日分。36,000アレあるから」なんてサラッと言われて、それなら最初に受け取った分はいらないって言ったんだけど、いいからいいからと流された。
ラフィは意外と頑固だ。
仕方がないからこれで何かラフィに買ってやろうと思い懐に仕舞った。
え?仕舞えるのかって?
そう!仕舞えるんですよ!
こっちの服はシャツの前合わせが二重になってて、そこを開くと一風変わったポケットになってるんだ。
スリ防止仕様になってる上に結構物も入るから、ここに物を入れて手ぶらで歩いている人も多いらしい。
パンツの方のポケットにもジッパーみたいなのがついてるからそっちに仕舞ってもいいし、本当に便利に作られた服だと思う。

まあ何はともあれ、俺は受け取ったお金を大事にしまってラフィと一緒に城の外へと飛び出した。




さわさわと風に揺れる葉擦れの音を聞きながら街道を歩き街に出る。
そこに広がっていたのは白い壁と鮮やかなブルーの屋根、屋根、屋根!
俺の勝手なイメージで言うと地中海風って感じ?屋根はオレンジじゃないけどね。

どこを見遣っても爽やかな街並みが続いているのは見ていて清々しい。
ちなみに足元も綺麗に敷き詰められた石畳で非常に歩きやすかったりする。
そんな気持ちのいい街並みに人々が行き交い、店には色とりどりの物が売られていて活気があるのがまた楽しい。
店先にあるものは見たことのないものばっかりで、ついつい興味を惹かれてキョロキョロしてしまう。
ラフィはそんな俺を優しく見守りながら、フラフラしてたら危ないからと手を繋いできた。
流石に俺はそこまで子供じゃないと言い返したものの、何度か人にぶつかりそうになったのでラフィからは大笑いされて、結局渋々手を繋ぐ羽目になってしまった。
情けない。

そんな中、俺は一つの店に目が留まった。
所謂いわゆる雑貨屋だったんだけど、そこに書かれた言葉が気になったんだ。
こっちの言葉は一応俺にも読めるみたいなんだけど、そこには『お好みの魔法付与、致します』と書かれてて、『魔法?!』って思わず食いついてしまった次第だ。
だって魔法って思いっきりファンタジーじゃないか!
この間のポーションもだったけど、異世界って感じがしてすっごく興味が湧いて仕方がない。
だから気づけばラフィに「あの店を見たい!」って言ってたんだ。
そんな俺にラフィは不思議そうにしながらも了承の返事をしてくれて、俺は喜び勇んでその店へと入った。




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